玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ベルリの殺人考察第3部第16話B キチガイ主人公に刃物

 ひどい記事タイトルだが、ガンダム Gのレコンギスタ第16話「ベルリの戦争」の戦闘シーンについて解析していこうと思います。
nuryouguda.hatenablog.com
↑本放送のときの感想
 これまでの殺人考察シリーズは画像込みで超長文でしたが、今回は本放送のときの感想もそれほど外したことを書いていないので、今回はBパートの「ベルリの戦闘」について記述します。

  • 前回の殺人考察

nuryouguda.hatenablog.com
nuryouguda.hatenablog.com


 また、この殺人考察シリーズは一定の読者を獲得したものの、2016年からやっていて、遅すぎる。劇場版が示唆された頃から使徒襲来までの警告状態でエヴァンゲリオンを作っているときのネルフみたいになっていたが、パリで7/5に劇場版Gレコが公開されたので、すでに使徒が暴れている状態になってしまった。しかし、やるしかないんだ!今季は感想を書かずに楽しめるアニメが多いので、無職なので、殺人考察しかやらない方向で行きます。



 ロルッカさんはクンパ・ルシータピアニ・カルータに薄々気づく。ミラジさんはよくわかってない







 外洋へのドレッド艦隊とは違ってトワサンガの土地の警備隊のようなガヴァンは艦隊の連中が地球人の船の入港を迎えて(ノーマルスーツではない)平服で整列していることに立腹。

 ヘカテーを取り押さえた実績のあるガヴァンは「地球人のモビルスーツはどう動くかわからんのだぞ」と文句を言って嫌がらせをする。「我慢だ、ミック」と、クリム・ニックは懐の広さを見せる。



 トワサンガの軍隊の組織も受け持ちが違っていて対立がある、という複雑さを見せてくる。



 ロックパイサラマンドラがすでにゲスト待遇で入港しているので、敵対しているガランデンについて心配してマッシュナーに述べる。


 前回、サラマンドラ(というかその間のメガファウナ)と激しく戦闘したロックパイとマッシュナーだが、やはりトワサンガの港で捕まえられたらいい、という当初の方針が当たって満足のようだ。(無駄にぶっ壊されたアリンカトの立場は・・・)





 場の空気から、敵国の政治情勢を推察するクリム・ニック。ある意味、ニュータイプかもしれない。センスがある。まあ、ザンクト・ポルトロックパイと殴り合いをするようなところもあるのだが・・・。クリム・ニックはこういうところでクレバーさを見せてくれるので、単なる武人とか戦闘マニアになってなくて趣深い。


  • 勝手に出るベルリ

 と、アパッチ軍港ではわりと各勢力が穏やかにガランデンの入港を待つ雰囲気になっている。クリム・ニックも戦闘モードではなく、平服を着て、和平ムードを演出している。(ミックはノーマルスーツだが、手袋とメットは外している)


 対して、シラノ5の田舎のサウスリングの寂れた軍港に詰まっているメガファウナから、われらが主人公のベルリ・ゼナム君が出撃する。Aパートでアイーダさんが姉で、自分たちが王家の末裔だと聞かされて、表面上はにこやかに応対していたし、アイーダさんに「弟は人殺しの汚名を着せられて」と指さされても、夜のベランダでクリム・ニックの思い出などで談笑していて、落ち着いていたのだが。


 ガランデンが来ると聞いて、ベルリがいきなり動き出す。

 ドニエル艦長にも当然怒られる。



 理系のベルリと仲がいいハッパ中尉もベルリをクレーンでコックピットに誘導したようだが、「やっぱり勝手に出るんだ?」って言う。ハッパ中尉はベルリと本当に仲が良くてMSの整備もしてくれるし女房役っぽい。ベルリが勝手に動いてることを、ハッパさんはそこまで怒ってない。
 なのに、ベルリは

 「ガランデンに直接行って事情を聞くしかないじゃありませんか」って言う。
 そして、コックピットハッチを閉じる前に、まだ会話の途中なのに、G-セルフの右手に持たせたビームライフルでクレーンを押しのける。危うくハッパさんはクレーンから転落しかける。デッキクルーのアダム・スミスさんにもマジギレされる。完全にベルリが悪い。

 ハッパさんはベルリのせいでひどい目にあうこと(5話のコア・ファイターの間に挟まれる事件とか)が多いのだが、ハッパさんはベルリのためにいつもマシンを整備してくれてるし話もわかるいい大人なのに、ベルリ!このやろう!味方してくれる人をそういうふうに無理やり排除するのはよくない。死んだらどうする。完全に、この時点ですでにベルリは暴走している。だが、本人はアイーダさんが「自分の目で確かめる」と言って月のトワサンガまで来たことに(悪い)影響を受けていて「自分もガランデンの事情を自分の目で見て聞きに行くつもりだから、姉と同じく正しいことをしているつもり」という意識だ。


 また、前々回の第14話でベルリが3人位殺したあと、アイーダさんに「あなたは立派な戦士です」とおだてられたことも効いている。

 それで、前回はアサルトパックで出撃して、牽制のつもりで長距離射撃して、無自覚に最低一人くらい殺してしまった。


 ベルリ・ゼナム君は第6話でデレンセンを破ったあと、クリム・ニックを救助したり、「困った時や自分が善人であるという自意識が揺らいだときに、その反動として”正しいこと”をやりたがる癖がある」。


 なので、今回はみんなにやめろって言われているのに、「アイーダさんと同じように事情を聞きに現地に行くのは正しい」「アイーダさんが褒めてくれたので、自分がモビルスーツを使うのは正しい」という「正しさの暴走」で勝手に出撃している。
 暴走しているし視野も狭まっていることはハッパさんへの扱いでわかる。やはり、アイーダさんが姉だと告げられたことがショックだったのだろう。ただ、ベルリ本人はそれが行動の原因だと自覚することを避けていて、「ぼくは正しいことをしているんだ」である。
 また、姉のアイーダさんと同じようなこと(自分で見に行く)をしようとする、というのは弟としてのわがままっぽさなのかもしれない。


 その姉本人には動くなと言われているのに・・・。


 多分ベルリは手柄を立てて褒めてほしかったんだと思う。ガンダムで脱走しつつマ・クベの鉱山を独力で無意味に破壊したアムロ・レイみたいな感じで、逆らっているけど褒められたい、みたいな富野主人公らしい不安定行動。それか、他の仲間にもついてきてほしかったのかもしれない。
 でもベルリは天才すぎて他の仲間よりも速すぎるので仲間と連携はできなかった。アイーダさんが割りと求心力があるというか姫様として慕われているのは、MS戦闘ではそんなに突出しないで奥に居させられているというのもあるかもしれない。富野思想での女性アイドルにこそ人はついてくる、というのもあるかもしれないけど。弟で戦士のベルリは部下を持ったりできないで一人で突出するだけ・・・。


  • 故郷を差別するベルリ

 キャピタル・ガードとしてキャピタル・タワーの宇宙設備を守る仕事に就きたいと思っていたベルリだが、タワーの先にある月のトワサンガが生まれ故郷だと言われるとイラつく。
 キャピタル・タワーのナットもスペース・コロニーみたいなものだが、ベルリはやっぱり実家が地上にあって、その上でエリートとしてタワーを守ってやる、みたいなアースノイド的な思想が学生ながら、彼の奥底にあったようだ。

 主人公メカなのに、トワサンガの施設に圧倒されているようなちんまりとした感じで出撃するのも、演習的にベルリのこの行動は褒められたものではないと示しているようだ。








 トワサンガ、聖地のザンクト・ポルトよりも上の月にある伝説の都のように思われていたのかもしれない。(メッタバルの国際会議より以前は秘密だったのかもしれないが)
 でも、実際来てみると、植物はいいやつがあるものの、農業が中心だったり、レジスタンスと軍部と政権で揉めていたり、自分の家がすでに滅ぼされていたり、なによりトワサンガの施設は床が抜けたりしていて、正直、しょぼい。
 あと、やっぱりアースノイドのエリートのベルリとしてはしっかりと地面に立脚するのが自然だと思っていて、ガードの養成学校で勉強しながらもナットの人々を見下していたのかもしれない。
 (放送終了後に出た裏設定では、キャピタル・タワーのナットの下の方では、地球上では環境汚染になるからやってはいけない重工業の汚れ仕事をする工場が配置されていたりして、クンタラとはまた違った意味で、土地による差別的扱いがあるらしい)
 ベルリは優等生なので、アイーダさんが姉ということがなくて単純に生まれ故郷というだけだったら、ドライに「そうですか。僕はここで生まれたんですね。育ったのは地球ですけど」と流しそうだけど。恋していたアイーダさんと同じ故郷だったということが事態をややこしくしていてベルリは頭が混乱する。


 あと、宇宙エレベーター勤務を志望していても、地球で一番環境がいいと言われるキャピタル・テリトリィで育ったベルリには「宇宙の人工物の内壁を人の生活の場所にする」のは本能的に不自然だと思っているのかもしれない。(ビーナス・グロゥブのシー・デスクについてもベルリは不自然がっていたし)



 また、G-セルフに親のDNAが仕込まれているというのも、普通に気持ち悪い。ベルリにとってG-セルフは自分を守ってくれるメカであると同時に姉の恋人や恩師を殺した嫌な思い出もあるマシーンでもある。たまたま高性能で、自分しか乗れないから乗ってる、くらいのドライな気持ちでG-セルフに乗っていたと思うが、そこに「親のDNA」というとても生々しい物が入っていたというのも、ベルリを混乱させているだろう。思春期の男子にとって、今まで使ってたマシーンが親のDNA関係って言うの、気持ち悪いと思いそう。
 しかも、G-セルフに乗ってベルリはアイーダが言うようにとてもひどい現実と対面してきていたのだが、かといって具体的に情報を教えてくれたり助けてくれたりはしませんでしたからね。(4話のカットシー部隊などに対する突発的な全身ビームシールドなど、そういうイレギュラーな防衛機能は出たけど、レイハントン家についての情報は無し。)自分たちで必死で月までロケットを飛ばしてロルッカとミラジに会わないとレイハントン家のことはわからなかった。ベルリとアイーダは辛い目にあってきたのに、実家とその家臣たちは何も助けてくれなくて、むしろ知らないところで勝手にレジスタンス活動の神輿に担ぐためにレイハントン・コードで見つけ出そうということだけしていた。助けてくれよ!って思うのもベルリのイライラの原因になってるだろう。とにかくいろんな新情報が一気にベルリに入ってきたので、最初はにこやかに大人たちに応対していたけど、キレちゃったんだろうな・・・。

  • 規範を押し付けるベルリ


 なぜ表面上はにこやかにしていたベルリがキレたのか、という直接の引き金はガランデンの到着だろう。ベルリは正しいことをしたがる傾向がある。そして、ガランデンはマスクが所属する敵対勢力の船である。今までも戦ってきた。なので、月でも惰性で攻撃、はしないにしても威力偵察するのは正しい、とベルリは思ってしまったのだろう。というか、月のトワサンガという知らない土地で色々と混乱させられている状況で、「今まで通りガランデンと戦闘をする」というのは優れた戦士になったベルリにとっては「慣れていて安心すること」として行動選択のチョイスになる。「皇子としてレジスタンスと交渉するより、今まで通りガランデンと戦っていたほうが気持ちが楽」。戦争をしていたほうが楽というのはひどいことなのだが、それくらいベルリは混乱状況に落とされてしまっている。



 また、ベルリはキャピタル・アーミィに対して義務を果たさせようと発言することが多々ある。例えば第6話で成層圏を限界高度まで上がってきていたエフラグのジロンド部隊が撤退したことについて、ベルリは文句を言っていた。
 今回はベルリの想定の中では、キャピタル・アーミィとして地球を護るべきガランデンはドレッド艦隊を叩くべきだと思われていた。そのベルリが思っている義務を果たさずに月に来たガランデンには、ベルリの想像を逸脱したという印象があり、怒りになる。
 主人公が規則を押し付けるというのは、こういうロボット戦闘アニメでは珍しい。だいたい自由な主人公が強敵と戦って・・・というのがよくあるロボットアニメだ。 
 だが、ベルリ・ゼナム候補生は海賊に加担していても心はキャピタル・ガードの規範に従っているという自意識だ。なので、キャピタル・ガードから発達したキャピタル・アーミィガランデンが地球の守護をせずに(ベルリが想定していた)規範を破ったように月に来ているのはタブー破りというか、ベルリにとっての怒りになる。
 ここで事態をややこしくしているのは、ベルリは出生の秘密とかG-セルフの秘密とかを急に明かされていろいろなことにイライラしていて、ガランデンが悪いというより、ガランデンに怒りの矛先とストレスの標的を向けるのが一番楽だから、そうしているという面があるということ。今更キャピタルの実家に帰れる状況ではないし、メガファウナトワサンガレジスタンスに一人で反乱したりはできない。なので、今まで敵役をしてくれていたガランデンに突進する。そういうわけで、「逃避」に近い。





 ここで対象的なのがクリム・ニック。彼は武人として大西洋大陸間戦争を戦ってきた男。同時に大統領の息子として政治の暗闘も見てきた。なので、ベルリのように「ガランデンはやるべき任務を放棄している!」と腹を立てたりはしない。
 アメリア帝国の大統領の息子でサラマンドラ部隊の司令官のクリムはベルリ以上にガランデンと敵対度が高いが、そのガランデンと自分の戦艦が同じ港に入ることについて「みんなお友達さ」と恋人であり相棒のミックにうそぶく。ここの点に限れば、主人公のベルリよりもクリムのほうが物事の推移に対して柔軟に考えて行動しているようにみえる。
 ベルリは規範意識が高いので決まった行動をやらない相手には腹を立てるが、クリムは様々な戦場や大人の都合を経験しているので、事態の変化への許容範囲が広い。前回、クリムはガヴァン隊に電磁ネットで拘束されるという暴力を受けたが、それも引きずらないで、冷静に事態を観察している。特にベルリ・ゼナムが今回中途半端にノーマルスーツを雑な着方をしているのに対して、クリム・ニックは余裕のある私服で行動しているのも、二人の緊張感や平静さの対比だろう。
 もちろん、クリム・ニックは政治家の素養もあるので、敢えて宇宙服を着ないで私服で余裕を見せるというのもトワサンガの人に対するパフォーマンスなのだろう。こういう点で、クリム・ニックは単なる戦闘マシーンや奸雄ではなく、深みのある独特なキャラクター性を獲得して、今も女性ファンに愛されている。単に美形と言うだけではないのだ。




 だが、ベルリはG-セルフに対しても「地元に帰ってきたなら地図を見せろ」と規範を押し付けてくる。それで見知らぬ土地の地図をデータからすぐに取り出せるベルリは、すごい才能と言えばそうなのだが。

  • 言動がおかしいベルリ




 独り言だから文法がメチャクチャなのは、仕方ないにしても、屈指の意味がわからんセリフ。
 本放送のときは以下のように解釈した。

「クンパ大佐の直属の船なら、来たっておかしくない」→「アメリア軍がトワサンガに入港しているので、対するキャピタル・アーミィトワサンガに来てもおかしくない。それで来るとしたらその中でもクンパ大佐の直属のガランデンが来るはずだろう」
「だが、改めて港を見て考え直してみるとドレット艦隊はアメリアのサラマンドラを味方にしようとしているのだから、アメリアと敵対していたガランデントワサンガのMSに護衛されて穏便に入港するのは変でしょ?」
と、富野台詞を整理するとこれくらい思考が転換している。

 ガランデンが穏便に入港するのが変だと思うベルリは、やはりクリムよりも頭が固い。クリムは政治的な力関係で、敵対関係も流動化すると思っているのだろう。大陸間戦争でも懐柔や殲滅など、色々とやっていたのだろう。ベルリはキャピタル・タワーという一本(路線は4本)の交通機関を守る仕事を志望していたし、ダイヤのことしか頭にないという義母のウィルミット長官を尊敬していたし、こういうところでクリムとの育ちの違いが出てくる。



 ガランデンを警戒しつつ、突然出てきたG-セルフにも機敏に反応して、部下をテキパキとG-セルフとの接触ガランデンの警戒に役割分担させる指示を出すガヴァンは荒々しいが有能な指揮官だ。



 トワサンガの軍隊の配置を説明しつつ、ラライヤにもくっつくリンゴ君のドラマも展開するのだが、今回はベルリの戦闘に注目するので割愛。




 ラライヤと間違えられるベルリ。しかし、記憶を取り戻したラライヤはフラミニアたちレジスタンスと合流してしまったので、ドレッド艦隊やガヴァン隊に対して、ラライヤは何をするのが正規の手続きだったのか、ここはちょっとわかりにくい。地球偵察に出る前のラライヤの身分や所属がいまいちはっきり描写されていない。
 とりあえず、YG-111の姿とラライヤの任務がドレッド艦隊にいたリンゴだけでなく、ガヴァン隊にも周知されているということはわかる。



 前回のロックパイは「ラライヤ・アクパールは殺人鬼になったのか?」と言いながらやられたのだが、ガヴァン隊長は割とすぐにラライヤではないと気づいた。経験の差なんだろうなあ。ロックパイも専用モランを与えられるくらいには有能なのだろうが。レコンギスタ作戦を目的としたドレッド艦隊より、地元の警備で諍いごとに慣れているザックス兵団のガヴァンの方が実戦経験があるのだろう。(年齢的にレイハントン家への攻撃には参加していないか?)
あと、このザックスの目のセンサーの光る水玉の動きがなんともおもしろい。



 ベルリのアイデンティティの不安がもやもやした色で表現される。レジスタンスには皇子と迎えられたが、トワサンガの公的警備隊のガヴァンには地球人と言われて、ベルリはどっちに所属しているのかわからなくなる。



 そこでガンダムの伝統、電磁ネット!ベルリは絡まれながらもビーム・ライフルを3発撃つ。宇宙用バックパックが少し爆発する。

 この時点ではYG-111争奪戦にはなっていないようで、ガヴァンはG-セルフを爆破して処理しようと即決する。(何で地球人に奪われたのかとか、調査はしないのか?)
 で、ベルリは殺されかける。





 シールドにバルカン砲ついてたの???という感じで感電しながら反撃。
一機のザックスのライフルを破壊。
(しかし、モビルスーツは雷に打たれることもあるだろうに、何でパイロットも感電するんだろうね。航空機は金属製の場合は落雷が当たっても放電システムで電気を逃して大してダメージがない(それでも穴が空いたりはする)が、カーボン繊維の場合は焼かれて損傷する場合があるらしい。また、コンピューターにも影響があるらしい。しかし、宇宙に行ったりするモビルスーツパイロットが感電するのは本当に謎。まあ、アニメとして見栄えがわかりやすいからだろうけど)
 
 一機のザックスのライフルを破壊。


 次の瞬間、シャーッっとした音(ニュータイプ?)が短くなって、ベルリが鋭い眼光を見せ、



 ビーム・ライフルでザックスの上半身を撃破。これは不殺ではなく、殺されかけたベルリが反射的にやった殺人だろう。14話でモランを数えながら殺した直後、リンゴを捕虜にしてトワサンガの人も人間だと実感させられたが、自分が殺されかけているときにそんな手加減する余裕はなく、そして正確に狙撃をできてしまうのがベルリの腕前。




 そして、更に今回、一番えげつないと思ったのが、これ。ネットに絡め取られながらも、むしろネットにビーム・ライフルを固定して、フルオートで乱射しながら、空いた右手でビーム・サーベルを抜く。
 逆襲のシャアの時のアムロ・レイ並のえげつないビーム・ライフルの使い方。


 本当に僕はGレコのよくある評論の「ベルリはデレンセンを破ってから人を殺さないように戦った」というのを否定したい気持ちが強く、こうやって戦法の分析をしているのだが、この、「敵のネットを利用してビーム・ライフルを固定して手を離してフルオートで乱射」って、まあ狙ってないので牽制だろうけど、不殺でもないよね。もう、ベルリは今回、ザックスと戦闘になる前からハッパさんを事故死させかけるくらいキレてて、戦法も荒々しいです。ドン引きです。



 で、サーベルを抜いてネットを切りつつ、クロー付きの脚でキックしてきたザックス(おそらくガヴァン機)の脚をズタズタに切り裂く。

 すごい身勝手な理屈を叫びながら、返す刀で腕も切り落とす。

 左腕でもサーベルを抜いて(ここでフルオート乱射していたライフルがネットの放電か過剰発熱かで爆発しているのもポイントが高い)

 左側のザックスのシールドにも攻撃を加える。


 そして勝利宣言。

 電磁ネットを浴びせられてから逆転して制圧するまで、たった40秒。速すぎる。実際のマシン戦闘としても速すぎるし、アニメーションの主人公のバトルシーンの見せ場としても視聴者の認識をぶっちぎっていて速すぎる。富野監督、この密度の戦闘をこの速度で絵コンテに切るとか常人じゃないよ・・・。あと、こういうテクニカルなのにテクニックに視聴者が気づく間もなく何が起きたかわからないうちにG-セルフが勝ってしまう演出なので、視聴者が置いてけぼりになるのはあったんじゃないかなあ・・・。
(まあ、逆襲のシャアの頃からそんなんだけども)
 普通の戦闘ロボットアニメだったらロボットのカッコイイところをもっと見せ場として溜めて秒数をかけて見せてくるはずなのに、Gレコは「ロボットの戦闘なんて人間業を超越して速いに決まってんだろ」というか「戦闘なんて物語の本質じゃないし」みたいな、戦闘描写がクッソ上手いし戦術のアイディアも面白すぎるのに、爆速で突き抜ける。富野監督怖いな。
 Gレコを50回位は延べで見たと思うけど縛られながらフリーハンドでライフルのノールックフルオート連射なんて邪悪なことをしてるとは、今回やっと気づいたし、めっちゃ怖いと思った。モビルスーツ怖い!


 また、今回の戦闘中のベルリは照明が下から当たっていて、目の下に隈ができているようで、主人公なのにホラーっぽく表現してますね。リーンの翼の暴走したサコミズ王の引用かも知れない。




 ベルリはもちろん基本的には殺人慣れしているクリムと違って殺人が嫌いな人物ではあるのだが、キレているときに殺されかけたら「次は殺すぞ!」みたいなことをものすごく汗をかいてしんどそうな顔で、叫ぶ。G-セルフからの通信はザックスたちには伝わってないみたいだし独り言だけど。ベルリもしんどいんだよなあ。しんどいけどアホみたいに強いんやなあ・・・。
 あと、殺す理由を「姉さんがいるんだから」と「他人のため」に置き換えているのが、やっぱりベルリ君の癖だと思う。最初はキャピタル・タワーのため、ノレドとラライヤのため、好きな人のため、メガファウナのみんなのため、地球の平和のため、そして姉さんのため。ベルリは最強なんだけど、そしてとてもいい子なんだけど、自分のために戦わない。最強の力を身勝手に振るいながら、「僕は人のためにやっているんだ」という正義面をしたがる。なので、マスクみたいな自分のために戦っている戦士はベルリにメチャクチャイラつく。
 あと、このベルリの宇宙世紀の最高技術チートMSと天才技術で警備していただけのザックスをボコボコにする行為は、ちょっとなろう主人公っぽいというか、黙れドン太郎やイキリ骨太郎に通じる蛮行だなあ。でも、なろうに比べて、ベルリは主人公なのに女の子にちやほやしてもらえないどころか怒られたりするので、なろうによくある「敵に恨まれても仲間の女の子の信頼は得られる」という盾三郎のような快楽原則がないし、今回の第16話はGレコ屈指の辛い回だなあ。まあ、辛い回の方が多いかもしれないアニメだが。
 責任感を暴走させて一人で大気圏突入する終盤もベルリは主人公なのにつらさがすごい。元気のGだけど、本当に辛い旅路。




 で、アムロ・レイ並のエグい戦い方をするG-セルフガンダムの幻影を見てしまったガヴァン隊長はビビって撤退する。しゃーないよな!俺もベルリの戦い方は速くて正確でしかもテクニカルで怖いと思ったもん。



 替わりに、アイーダさんとケルベス教官とラライヤさんとグリモアの誰かが迎えに来る。全部聞こえていたということはベルリの「次は殺すぞ!」みたいなキレた叫びも聞いたということか。




 で、ここが今回の記事のタイトルの「キチガイに刃物」の理由なんですが、ベルリはキレてハッパさんを殺しかけて出ていって、そんでザックスも一体は殺した。なので、ジョジョ5部のパープル・ヘイズとおなじく、危ないのは最強のMSに乗ってるベルリなんですよ。
 そういうわけで、年長者のケルベスはベルリを怒ったりして刺激しないように、「褒めながら近づく」とりあえずベルリの動きを止めるのが最優先。
 (追記;あと、進撃の巨人ではもっと強調されているけど、ここでベルリを取り押さえようとしつつ優しい言葉をかけるケルベスの額に影が落ちていて、ここもベルリの恐ろしさの表現・・・)


 Gレコは痛快冒険アニメというのを富野監督が目指したらしいのだが、ここでは主人公が一番の危険人物なのでなだめすかして止めないといけないっていう風に描かれる。それくらいベルリはアイーダさんが姉でキレてる。
 でも、ケルベスはモノローグで「ベルリがやばい」とか言わないで優しそうに止めに来るので、いまいちベルリのヤバさが伝わりにくい。なんとなく流してみると、ベルリが戦ってピンチを脱したところを普通に迎えに来ただけにも見える。
 でも、細かく見ると「主人公でも精神が不安定になった状態で武器を持っていると、味方の脅威になる」というホラー要素がある。
 こういう、描いているけど、スピードが早すぎるのと、キャラクターが必要以上にビビったり説明しないせいで、視聴者に気づかれない要素がGレコにはたくさんあって、それが「惜しい」アニメに成っている理由なんだろうなあ。まあ、僕みたいなハードコアなファンはこういう匂わせる演出が大好きなんですが。劇場版は子どもにもわかる速度になるのかなあ・・・。




 そして、デレンセン戦の後のような言い訳をアイーダさんにする。怒られたくない気持ちがある。反射的に1人は殺しているのに・・・(それを自覚的に冷静にやったのがロックパイ終戦)。


 で、第4話でカットシー部隊を殺したあとみたいに、やっぱりベルリは殺した後に言葉では「殺してないです」って言いながら、殺した不快感を感じて顔をひきつらせたり手袋を外したりする。カミーユの母親を殺したジェリド程度にはニュータイプ

 アイーダさんも、この時点では「キチガイに刃物状態」だとわかっているので、とりあえず褒める。刺激してはいけない。



 武器が嫌いなラライヤさんは「キチガイが持っている刃物がやばい!」と思ったのか、トワサンガの軍隊の今後の動静を心配する。

 そこで、さりげなく画面の下を回り込んで上手側に回ったケルベスが「G-セルフは動かすな」と注意する。ケルベスは教官だからか、暴走しそうな生徒を何とか止めようとしている。将来の就職先がはっきりしているエリート学校のキャピタル・ガードにはわかりやすい不良はいないと思うけど、ケルベスは教官らしく混乱気味の生徒を鎮静させる。

 それで、殺した不快感と疲労感もあるベルリはG-セルフを動かさないことに同意して、ケルベスたちに牽引してもらうことにする。
 ここの全周囲モニターでG-セルフの後ろをスーッと移動していくレックスノーが味わい深い。G-セルフを保護しようとしつつ、警戒している。主人公なのに・・・。 


 ここが、ベルリの殺してしまうんだけど、優しくて、そして過酷なところでもある。どういう事かというと、ベルリは殺したことを隠して、そして不快感を抱きながらも自分の内に閉じ込める。クリム・ニックなら仲間に「私は天才だから、逆に撃破してやったぞ!フハハハ!」と殺したことを自慢するだろう。マスクだったらバララに「よくやりましたね、大尉」とか言ってもらうだろう。ベルリは殺人が悪いと思っているし、やりたくないのに、能力的にかんたんに殺人をできてしまう。その罪悪感をベルリは自分一人で抱え込む癖があり、そして責任感を増大させてなんでも自分で解決しようとしてしまう。(そしてそれができてしまう)これがベルリの最終回のラストバトルまで続く行動パターンです。だから、ベルリは一歩間違ったらカミーユみたいになってたんですよ。ベルリはバララくらいしか女性パイロットを攻撃してないのがカミーユとの大きな違いですけど。クリムはチッカラさんを正々堂々殺害する。


それで、コックピットのなかで孤独に不快感に襲われて顔を掻いたり髪を引っ張ったり、自傷行為一歩手前のイライラを見せる。が、ラライヤには無線で「大丈夫だ」と言ってしまう。こういうふうに、ベルリはストレスを貯めていってしまう。つらい。元気のGなんだが、初期にめっちゃ元気だったベルリがどんどん元気を取り崩していっていくアニメでもある。初期にめっちゃ元気だったので、最終回でギリギリ元気がマイナスにならずに済んだ、くらいの過酷さがある。
 子ども向けアニメなんですけど・・・。まあ、僕はVガンダムを小学校の時に直撃させられたSD世代ですが。ザンボット3も子ども向けアニメなので、まあ、富野監督はそういう人なんだ・・・。


で、トワサンガの中のメガファウナに連行されながらシラノ-5を見て、改めてキレる。

 ザックスに暴力を振るったくらいではぜんぜんストレス解消に成っていない。辛い。

 ベルリに着目するので省くが。

 クリムとミックは普通に間接キスで水を分け合う仲。やってきたクンパ・ルシータ大佐を余裕を持って見ているクリムは本当に器がでかい。


 細かい話で、よくある群衆シーンであるが。このトワサンガの人々の顔を適度に省略しつつ多様な年令や性別を描き分ける仕方は、よくある美少女アニメとかではあまり見られない絵柄で、なるほど、渋い。

 マスクは尉官なのだが、初対面のトワサンガの首相クラスの人にメガファウナのことを聞いてしまう。落ち着いている風だが、やっぱりメガファウナとベルリを気にしているんだなあ。こういう細かいところでキャラを立てていく。

  • 刃物を手放したキチガイ主人公へのお説教タイム


 (おそらくとりあえずシャワー浴びて落ち着けって言われて)シャワー浴びたけど、「天才クリムよりうまくやったって思っちゃいけないんですか!」とキレながら出てくるベルリ。
 先にシャワーをあびていたアイーダさん
 「大尉を超えましたよ。G-セルフの性能のおかげで」

 と、説教モードになる。ここもまたGレコの会話の細かく微妙な所。ベルリがMSに乗ってるときは下手にキレさせて暴れられると困るのでみんなで褒めてなだめたのだが、MSから降りて裸になったベルリ(まあ、喧嘩も強いんだけど)には、姉のアイーダさんは説教モードになる。アイーダさんはもともとベルリに当たりが強いし、姉になったので堂々と説教する。
 ベルリがキチガイに刃物状態だったという事を踏まえてないと、なんでさっきは褒めたのにいきなり怒るの?と疑問になりそうだが、戦場では暴走した仲間をなだめるのが大変ということを頭においておくと、ベルリへの態度の変化は論理的に作られてるとわかる。
 ノレドは14話の「男をやれって言われてんだろ」ということの延長で「でも使える人が使わなければ性能は引き出せません」ってベルリを弁護するが、アイーダは「けど、あの戦いは必要だったんですか?」とベルリを追求する。メガファウナの大半の人の意見はガランデンに対して静観しつつ警戒だったが、ベルリは自分ひとりでなんでも解決しようとしてしまうくせがあるので、不必要にノープランでガランデンに突撃して、結局クンパ・ルシータにも会えず、というかガランデンにも接触できず、その前に警護に当たっていたザックス隊と戦って一人殺した。主人公なのにベルリのほうが普通に船舶に対するテロ行為をしてる形。
 ベルリとしては、他の仲間とも連携してガランデン接触して話し合いをできたら、と思っていたのかもしれないけど、第13話の白旗作戦の失敗でもわかるように、トワサンガの軍隊では「事前の連絡もない使者は馬鹿だ」「非公式の動きを見せるものは撃墜しておけ」というのが方針。


 でも、ベルリは自分が被害者だ!って叫ぶ


 その上、レジスタンスの人が悪いと論点をすり替える。



 で、メガファウナは監視されているから、レジスタンスと協力して反戦運動(反レコンギスタ作戦運動)はできない、と叫ぶ。あと、細かいところだけど、ここでベルリがツナギのノーマルスーツを着るときに脚から先に履くのではなく袖に先に手を通していて、着る順番がおかしい。(そんなに伸縮しないと思うし)もう、ベルリは色々と混乱して、それを隠すのもできなくなってしまっている。




 レジスタンスの人にとってはメガファウナが来航したのは完全に偶然の想定外だと思うが、現在のトワサンガフォトン・バッテリーの受け渡し作業でバタバタしている時期なので、隙きをつけるのでは、みたいに言う。レイハントン家の元家臣たちも結構テロリストみたいな発想だな。


 そういうレジスタンスの人との戦略的な情報交換を無視して、ベルリはノーマルスーツに着替える。(Aパートラストではベルリはアイーダさんの「フラミニアさんたちの情報は役に立ちます(だから、それを聞いた上で今後を考えましょう)」という発言を聞いていたのに、ベルリはそれも忘れている)



 で、レイハントン家とかトワサンガの情勢とかがもうどうでも良くなってと言うか、思考放棄してしまう。まあ、アイーダさんが姉と言われたからっていうのが一番なんだけど。
 思考放棄して、教え込まれたキャピタル・ガードの鉄の掟にすがる。目の前の現実や情勢の変化に対応したくなくて、ウヨク学生として学校の校訓を振りかざすようになる。


 そんなベルリはノレドに「(生き延びることを意識しろって言っても、生きるか死ぬかの状況になったのは)ベルが勝手にガランデンに行こうとしたからでしょ」と突っ込まれる。(また、ベルリのことが好きなノレドがアイーダの後ろに隠れているようにしているのも、キレたベルリを恐れている描写だろう)



 もうおかしくなったことを隠すのも無理になってノレドにもキレる。


 Aパートではまだ冷静ににこやかに大人たちに対応していたベルリだ。ベルリは規範意識で自分を律しようとしていた。そこに、ガランデンが入港という事件があって、ベルリは規範意識を暴走させてガランデンが間違ったことをしていると勝手にキレて、正義を暴走させて、結果として無駄な戦いをした。それで人を殺してストレスが更に上乗せされて、アイーダさんにも説教されて、レジスタンスの大人たちやノレドに対してにこやかに振る舞う余裕をなくして、キレ散らかすようになってしまった。
 この、ベルリという優等生が、出生の秘密を知らされていきなりキレるのではなく、段階を踏んでキレていくという劇構成は(あんまり説明されていないので)わかりにくいのだが、リアルなキレ方だなあと思う。というか、出生の秘密と失恋と見知らぬ土地の紛争が一度に押し寄せてきたので、最初は情報を処理するので手一杯で感情を出せなかったのだろう。だけど、戦闘したり怒られたりして、後からブチギレが表に出てくる。


 で、ベルリは切れた時のカミーユみたいに、すごく雑にノーマルスーツを着てメットのバイザーを開け閉めする。それで、アイーダやノレドたちが集まる休憩室(?)にいるのがいたたまれなくなってモビルスーツデッキに行くのだが。



 そこで、ベルリが目にして聞いたものは、ベルリの勝手な行動のせいでボロボロに壊れたG-セルフと、ハッパさん達メカニッククルーが徹夜で修理をする姿。
 ハッパさんがベルリに怒る描写は(殺されかけたのに)無いけど、ベルリのせいで要らない仕事が増えて必死に修理する。クレン・モアや、メガファウナのクルーの中ではカナリア扱いで役立たずっぽかったジャマ・デリアですら修理に参加して、ミラジの仲間も加わって、メカニッククルー総出でG-セルフを修理する。
 ベルリのせいで!


 仕事人間の富野監督としても、「自分の勝手やミスのせいでいらん仕事を多くのスタッフにやらせてしまう」辛さは実感としてあると思う。そして、ベルリはメカニッククルーには怒られることもないし、手伝おうとも言えず、やっぱりストレスが溜まる。
(大人のメカニッククルーたち職人連中が、パイロットのベルリを糾弾するなんていう無駄なことをせず、とにかく徹夜で修理作業をする、という態度もベルリの子供っぽいキレ方と対照的。そして、ハッパさんと仲が良かったベルリは責められるよりもしんどくなるだろう)


 で、そういう自分のやらかしも含めて、すべてのイライラを親のせいにする。

 主人公としてはかなりかっこ悪いのかもしれないけど、こういうストーリーの谷も必要。


 あと、アイーダさんが姉だと知ったことに対してベルリがショックを受ける、という展開は絶対に当初から避けきれないものだが、それをどういう行動で見せるのか?というのがGレコを作る上での課題だったと思う。


 そこで、今までの話数で示されたベルリの行動様式に沿って「ベルリは優等生なので最初は大人しくする」「でもストレスがたまっているので、自分が我慢しているときに他人(ガランデン)が規範と外れたと見るとキレる」「自分は能力が高いと思っているので自分一人で突出してしまう」「無駄な戦いでも最強のMSとテクニックで瞬殺する」「殺した後にストレスを感じる」「自分は正しい人間だと思いたいので、他人のせいにする」という要素を入れて組み立てて、最大級のブチギレを表現したと思える。


 ただ単に泣きわめいたり暴れたりではなく、ベルリらしいキレ方を作っているなあと感心する。
 次回の冒頭では、ベルリは回想してモノローグで「姉弟だなんて誰が信じるものか」「ガランデンが来たということでGセルフで出たのだけど、ボクが何をやったのか…」「知らない人に奉られても楽しいことなどはないのだから一人で踏ん張るしかなかった」と言う。ベルリは自分ひとりでやっているつもりだけど、メカニッククルーにも迷惑をかけたし、G-セルフが超強力マシーンだとトワサンガに見せつけて事態をややこしくした。


 そんなベルリがノーマルスーツを着て緊張感をマックスにして、次回をどうするのか?というのだが、次回は突然トワサンガの床の土が抜けて、メガファウナのみんながボランティアでゴミ掃除して、G-セルフはラライヤが操縦している。そして、ベルリは寝ていた。
 キレてノーマルスーツを着てたのに、緊張を張り続けすぎるのも無理だったようで、結局寝逃げしてしまったベルリ君。主人公としては情けないのだが、いろんなものに振り回されている少年のメンタルの動きとしてはそういうものかな?


  • まとめ

 ベルリのキレ方の組み立ても上手いし、また、キレたベルリのエグい戦い方も「ガンダム」を思い出させるくらい恐怖を感じさせるようだった。また、キレたベルリを武装解除させたケルベスも、表に出さなかったけど非常に気を使った様子で、リアルだった。
 ただ、そういう感情や行動の理由が示唆はされているものの、モノローグが少ない作りだし、これまでのベルリの行動との類似点を思い起こさないと気づきにくい感じだし、「Gレコのキャラクターの行動は突飛すぎて感情移入できない」というGレコアンチの意見も仕方のない面もあるのかなあという気もした。


 劇場版でわかりやすくなって欲しいのだが、よくあるアニメみたいに説明過剰だったり、陳腐な言葉遣いをしたり、主人公に甘くなったりするとGレコらしいコクが薄くなる。なので、わかりやすくしつつも芯の部分は残してほしい。それがどんなものかは、僕はプロの演出家ではないのでわからないけど。(富野監督もトワサンガ編の劇場版3部を構成するときに「苦しくて死んだほうがマシだと思った」とおっしゃってる。高齢者が死んだほうがマシっていうの、本当にヤバさがあるので、体調に気をつけて全五部作作り上げてほしいですね)

  • 前回の殺人考察

nuryouguda.hatenablog.com
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  • Gレコの感想目次

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 うーん。金策してるけど、失敗したら富野由悠季の世界展(兵庫バージョン)に行けない・・・。切腹するか・・・。いや、泥をすすっても監督が生きているうちは諦めないほうがいいか。諦めなくても死ぬときは死ぬし。




 しかし、Gレコがオトナ帝国のせいで売れないっていう記事とか、
nuryouguda.hatenablog.com


 偶然人から金をもらって映画を見れてラッキーという記事とか
nuryouguda.hatenablog.com



 そういう1時間くらいで雑に書いた記事の方が炎上してアクセスが伸びて広告収入も出るってのは、考察を読んでほしい僕としては・・・。
 一応、この殺人考察シリーズを楽しみにしてくれているというコメントもいただいているので、やるのですが。
 僕の実力不足と言われればそれまでなのですが。この記事を書くのにほぼ3日使いましたからね。時間効率だけ考えたら雑に時事ネタに噛み付いて炎上させるのが楽なんだけど、そこを本筋にしたくないし富野オタクとして映像をネチネチと見ていきたい。
 それに、富野絵コンテの殺陣を分析するの、単純にバトル物として面白いので。



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