玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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語ろうシャア!を読み終わった。

結構面白かったのだが、シャアと言う人のことは結局良くわからなかった。ファーストのシャアだけならまだ分からんでもないが、Zと逆シャアのシャアは25歳のニートの僕には良くわからない。
以前、
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20051213/1134466381
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20051213/1134472288
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20051213/1134492906

、人類は異常な適応性と異常な繁殖姓を持つ。そのくせ、知恵ももち、文明国においては知恵と繁殖性が相反して精神異常を引き起こすまでにもなっている。そもそも、人間男性は射精し続けるようにできてるし、女性は妊娠し授乳し続けるようにできている。留まる所を知らない欲望は膨大なエネルギーを要求する。

つまり、原子力の発明こそが我々の種の最終目標だったのだ。

厳密には、核廃棄物を生産することか。
そこに、シャア・アズナブルは気付いたのではなかろうか?

核兵器を満載したアクシズを地球に直撃させれば、ほとんどの生物が死に絶えるだろう。しかし、大量の核物質と稀少元素と新種の化合物を生み出すことにも成ろう。

それが、次の生物進化を促進するのではないか?

NHK地球大進化の受け売りだが、わりかし生物は全滅リセットを喰らってるらしい。でも、地中とか成層圏の隅っこに浸透した細胞の切れっパシとかRNAのヘナヘナの奴とかが生き残ってくれててすぐに(といっても数千万年で)増えるんだと。

だから、シャア・アズナブルの「地球にはしばらく休んで貰う」と、言うのはまさに、それくらいの長いスパンでの休みなのだろう。

んで、スターシード(星の種子)の事だが。おそらく、次の主幹生物は、知能を持った原子炉だろうな。

人類が阿呆みたいに撒き散らした核物質を細胞内の新回路でミクロ的に代謝し、核分裂核融合光合成するかのようにエネルギー源とする怪獣が生まれるのではないか?と私は思う。

また、人類の文明遺物の中でも耐久力の強いものは残り、怪獣の脳を刺激して知能を持たせるのではないか。そうでなくとも、融解し焼け残ったビル街の森などは知的な刺激を与える気がするなあ。


その怪獣は進化を続け、いつしか宇宙空間でも自立的に熱核融合を可能とする宇宙怪獣とかウルトラマンになるのではないかと。

そう、我々人類の脆弱な精神と肉体では想像もつかない神聖高貴な星界の火矢となる宇宙のケモノたちが生まれるのだ。そして彼らは宇宙全土を征服し、高度な精神感応のネットワークで銀河を数珠のように結ぶのだ。それから先は私のようなサルには想像を絶する!

その、真なるスターシードの礎となって消えていくのなら、我々人類の混乱や絶望もむしろ誇らしいものとなりませんか?
シャアは本当に人類を消そうとしたんだなあ。ネオ・ジオンだと人の革新だとおだてて人類を使って。

だが、そのシャアにも心残りというか人の部分がある。そこがシャアをただのマッド独裁者とは違う英雄にしている所だ。アムロアルテイシアだな。

アムロ・レイだけはシャアの心を見抜き射抜いてくれるのだ。

シャアはアムロには正直に人類の切腹願望を口にしている。ナナイもクェスも見捨てたのに。

そして、ベルトーチカチルドレンのラストで感動したのがやっぱりアルテイシアのくだりなんだなあ。妹萌えニスト的には。

そうなのだ。

人類は絶滅し、次の星の種子へゆりかごを譲らなくてはならない。しかし、それは、今なのか?その引き金を引いて良いのは私なのか?宇宙の進化のために、妹やミライさんやベルトーチカや、地球の上で飽きもせず湧き出る愚民の子供を殺してしまって良いのか?そして、核物質は本当に十分溜まっているのか?

そんな迷いもある。それを断ち切るアムロガンダムの鉄拳!命の光!太陽との融合!

だから、やっぱりシャアム最高。

なんてのは、逆襲のシャアの妙なエコロジー思想とか設定の粗がどうしても受け付けない俺が無理やり面白がるために捏造した電波に過ぎない。生命がどう進化するかなんか知ったことか。ただ一つ確かなのは、ガンダムがどんな歴史を辿ろうとも最後には必ずディアナ様が幸せになってくれるから安心だ、と言う事だけ。

という妄想を逆襲のシャアの小説版を読んだ時に考えたのだが。
よくわからんね。
隕石を落とすよりはエンジェルハイロウとかウィルスでアースノイドだけを殲滅した方がスペースノイドの独立にはわかりやすいんだけど。映画としては隕石落しというガジェットが便利なのかなあ。


んで、語ろうシャア!ですが。
サカキバラ・ゴウさんの富野理論が特に面白かった。
富野アニメはキャラクターの過去を描かないので、作品のテンションを維持するために現在を理由付けにして、それは恋愛か死だ、と言う。
富野アニメはやたら男と女がくっついて、そのプロセスの中で誰かが死んでいくのが基本。だという。
なるほどなー。
まあ、それが映画の基本だと言う事かもしれんが。僕はあんまり過去話を理由にするのは好きじゃないし。
で、シャア・アズナブルは過去を持ってるから凄いと言う。
なるほどなー。
そこで、今見ているブレンパワードですが、これはエヴァの影響からか、わりとキャラクターの過去の回想シーンが語られています。ヒギンズですら。
それでいて、恋愛はいっぱい。死人は少なめ。
ブレンパワードは新しいなあ。僕はリハビリと言う感じよりは凄く面白いと思う。
カガチ=シャアというのは、ボクもそう思っていたので同意。っていうか、富野さんの願望。
で、トミノさんは自分の願望がカッコいい主人公にボコボコにされる作品ばかり作ってる気がするんですけど、マゾなのか?
んで、マスクで過去を隠してキャラクターを強くしたり、女性にすがらざるを得ない男性である自分をトミノは描いてきたとか言う理論は面白かった。
特に女性については、ボクも脳内妹の物語で脳内妹やその女子校の友達を通じてテーマを語ろうという構造になっていたので、身につまされます。やっぱりね、男だけで物語を作ろうとしても権力闘争とか言う卑近な所にしか行かないわけなんですよね。そこで、男から見て訳がわからないゆえに、逆に設定の自由度を広く取れる女性を使ってテーマを語るということをやるわけ。
それが、宮崎駿から最近のアニメは美少女物ばかりだと言う事にもなってるんでしょうね。
つか、今のアニメに出ている美少女って、少女とは違うし、男とも違う変な思考パターンの生き物で変ですね。
富野はそこら辺の変さを、「売れたらいいじゃねえか」と諦めないで、何とか女性的なものも取り込もうと言う努力もしてきたし、それでキングゲイナーからは男性を描くようになっていると言うサカキバラ氏の指摘ももっともだ。
で、最新作のリーンの翼では「女の子がキスしてきても男は黙って核爆弾から地球の平和を守る」という。
マンガ版のリーンの翼では、リュクスが迫水の改心のキーポイントになっていたり、最後のナナジンの突撃に参加したりしていたんだが、それは美少女にテーマを語らせるということなのかなあ。
マンガ版の方がわかりやすいし、エイサップのセリフもイケメンっぽくて判りやすかったんだが。
あと、迫水王の隈取は、マスクでありながら、マスクでない物で、あきまんさんの言うような「仮面をしてなくても仮面級のドラマができる人がいてほしいな」と言うところの落しどころだったりするのかねえ?


などと、うだうだとアニメについて考えるのは楽しいのだが、本書に散見されるような、「ニュータイプが出てきたらSFじゃなくなったからつまらん」という意見は寂しいな。
というか、その、分析は楽しいんだが、分析をしすぎて作品が楽しく見れなくなるのは本末転倒だと思う。
分析も印象と切り離せない物ではあるんですが。
ニュータイプってSFじゃないんですかねえ?エスパーものはSFなのに?価値観の流動がSFだと言う定義も狭いと思うし。
ニュータイプが出るとオールドタイプは敵わないからつまらないと言うが、Zガンダムになるとニュータイプ的な描写はほとんど全ての登場人物に起こっているので、皆ニュータイプじゃん。シャリア・ブルみたいなおっさんがすごいニュータイプなんだし。若者の特権と言うわけでもない。
ニュータイプが出ると超越的な神様が出てくると言うのも、よくわからん。逆襲のギガンティスならイデが絡んでくるけど、それだけだしなあ。
僕は、単純にニュータイプは宇宙に出て使ってなかった脳細胞が全部つかえるようになった人類は北斗神拳の伝承者並なので闘気や強敵の魂を使えるんだと思う。


というわけで、僕は単純におもしろがって作品を見ようと思っているわけなんですけど、そう考えると意外にも福田己津央監督の意見が平易で読みやすい物だった。売れるものを作れと言うのを単純に推し進めたと言うのも判りやすい。
でも、作品としては富野アニメの方が好きだな。だって、トミノは本気すぎるもん。それは見てるだけなら面白いよね。
でも、僕はそういう生き方は出来ないで、福田さんタイプなんだなあ。