玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

おにいさまへ… 6巻 27〜31話 心をえぐる名作

27話といえば、あんなぷる作画の名作「マリ子刃傷事件」である。
これはすごい。
すごい動いてたし、絵柄としてもカメラワークの距離感とかカメラの振り方とか、すごく好み。
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安藤 そうですね。ただ、僕は『おにいさまへ…』で1度だけ作監を経験した事があったんです。それは国内の話数で。確か「マリ子刃傷事件」というタイトルで、マリ子がカッターをカタカタと動かす……。
小黒 ああ、あれですか!
安藤 あれと、そう、もう1本やっています。「マリ子刃傷事件」でちょっとやりすぎたので、その次の回は、少し大人しくやろうと思いました。2本やって、それで作監には向いていないなと思って、それ以降はやめました。
小黒 「マリ子刃傷事件」は、やたらと細かく動いているんですけれど、あれは作監として安藤さんがおやりになったんですか。
安藤 そうですね。僕ともう1人、土屋(堅一)君と2人でやったんですけれど、まあ若かったんで、いろいろとやりたかったんじゃないですかね。衝動の捌け口というか(笑)。
小黒 別にマリ子の話だから気合いが入ったというわけではない?
安藤 いや、やりすぎてしまうぐらいにのめり込める話でしたよ。とにかく韓国出しの仕事ばっかりやっていたので、せっかく1本やれるし、杉野さんのチェックも入らないという事でやり過ぎました。もう放映当時に観たきりなんですけれど、若気の至りだった気がします。
小黒 いえいえ。『おにいさまへ…』後半と言えば、あの話数ですよ。
WEBアニメスタイル_特別企画
ストレンヂア安藤真裕監督インタビュー

↑webアニメスタイルに詳しい。
美少女の睫毛や指先や髪の毛のなびきや血のしずくに至るまでの、細かい表情や動きを計算した小芝居の仕草とか、大勢の人が同時に動く作画の豪華さとか、すごいの。
ハーモニーの止め絵も美しいし。

おにいさまへ…DVD-BOX2

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若林厚史さんの描く有倉智子さんとか。智子さんがデパートに行くと若林さん?
おにいさまへ3話の若林厚史パートって - まっつねのアニメとか作画とか
それにしても智子さん可愛いなぁ。原作では全然出てこないのに、悩みまくる御苑生奈々子さんや信夫マリ子さんのツレとして3人娘になってる。原作ではマリ子に追い出されて全然出なくなった智子さんだが、アニメでは逆にマリ子さんの心まで思いやるすごいいい友達になってる。出崎統のこういう親友キャラいいよね。エースをねらえ!からの路線の====なんだろうけど。

第27話マリ子刃傷事件
脚本:小出克彦
絵コンテ:須利耶圭
演出:吉村文宏
原画:しまだひであき 木川純一 大城勝 渡辺真由美 若林厚史 川島明子 青木真理子 青柳重美 松本清 神原敏昭 中田正彦


第28話クリスマスキャンドル
脚本:高屋敷英夫
絵コンテ:出崎統
演出:広嶋秀樹
原画:長岡みどり 大下久馬 中村亜貴子 小林準治 志村隆行 野田道子 武井智子 八木元喜 若木義昭 大城勝 宮川かおり 山崎誠士 山本謙二


第29話生徒総会
脚本:金春智子
絵コンテ:出崎統
演出:佐藤豊
原画:本木久年 DRムービー


第30話署名運動
脚本:高屋敷英夫 小出克彦
絵コンテ:須利耶圭
演出:鈴木卓夫
原画:AMISONG YOUNG WOO PRO しまだひであき 木川純一 大下久馬


第31話腐った果実
脚本:金春智子 森雅美
絵コンテ・演出:吉村文宏
原画:AMISONG 清山滋崇 しまだひであき 木川純一
おにいさまへ… - drrrr

割と母親との関係に問題を抱えてきた私ですが。
最近母親に冷たくしたら母親が自殺して、傷ついちゃったなー。
母親の事を考えたら、27話で三咲綾さんをカッターナイフで傷つけたマリ子さんの台詞がすごく実感が持てて。つらい。

派手好きで見栄っ張りで気が強くて負けず嫌いで自分勝手。その上、どうしようもないほどの寂しがり屋。
あの人、私にとってもよく似ているってことが。私が気にしている嫌なところが、何もかもそっくりだっていうことが。
私、私、なんてひどいことを!

でも、僕は女子高生キャラと違って、30歳の一人の男なので、有倉智子さんとか、一の宮貴とか、そういう風に僕のことを思いやってずっとそばにいて、心をフォローしてくれる人はあんまりいませんね。いや、まあ、多少の友人はいるかもしれないけど、所詮、多少の友人です。
いや、アニメと自分の人間関係を比べて劣等感を抱くのは良くないか。物語の人間関係は生理されてるしな。現実の問題はぐずぐずだし、話もきちんと最後まで聞いてもらえないし。まあ、ダメな時はダメなんだよ。
やっぱり男は一人だし、ジョン・シルバーとか矢吹丈とか光源氏みたいにさすらう事に耐えるみたいな覚悟は大事だし、私は自分が許せないのでございます。
だんご大家族とか、あると良いけど、やっぱりそういうのは難しいし、AIRのラストみたいによくわからん感じで物忌み電車に乗るしかないような気がする。



まあ、マリ子さんは殺さなくて、三咲さんが助かって良かったね。素敵な友達が居て良かったね。
俺は母親を助けなかったけど。アニメは良いよね・・・。この、助かって良かったね、って言う気持ちが生命感の重みだし、そういう事に気づかせてくれるアニメは良いよね・・・。うん・・・。

  • マリ子さん達の自殺

マリ子が三咲さんを傷つけたのは、レベルは全然違うけど、僕がクズすぎて母親を自殺に追いやったのに似てるんだけど。
あと、うちの家庭が冷え切って母親が自殺したのも、信夫マリ子さんの親父の檜川信夫が家庭を顧みなかったのに似てるんだけど。
そういうわけで、僕も自分が生まれた事が間違いだなーって思ってるし、マリ子さんが
「私が生まれたのも何かのウソ!」って叫ぶのに共感できます。
まあ、30にもなって15歳の小娘の家庭環境に共感してしまう俺もどうかと思うけどね。30歳と言えばバリバリと働いて社会に貢献して、自分の仕事で社会を笑顔にする事に喜びを感じるべき年齢なんですけどねー。ほんと、僕はアニメを見て楽しむことしかできず、つらい。
精神科医に「君は自分のために生きてなくて、家族のためとか、人に気を使っていて、他者に評価される事を重視してるから、回避性人格障害になったっぽいし、自分のために生きるべき」とか言われてるんですけど。でも、アニメ見てるだけで母親を殺したし。僕はすごく自分勝手なクズですよ。
自分は自己中心的なのか、他人に気を使ってるのか、わからないですね。インターネットで母親の自殺について書いたら

id:zz_sexy
自分のクズさに甘えてる。お前のことなんか知るか、みんな忙しいんだ、と思って途中で読むのをやめた。


id:samepa
最近グダちんさんは内罰的過ぎて見ていて辛い


yuka 2012/12/24 18:48 寂しい人ですね
自分が助けられなかった事実を他に責任転嫁しているだけでしかないのに
貴方のお母様がこんな事をしてくれと望んだならこれにも意味があるかもしれませんが
そうでないなら貴方もお母様の死を単に利用してるだけ
言いたい事があるなら人の死を利用せずに発言してください


id:Stack-O-Tracksメディア自殺政治人生社会興味深いアニヲタでさえなければ、ぼくはこの人のこと好きになれる

とか、色々言われて、やっぱり自分がどういう人間かわからなくなった。
僕は自分勝手なのか?他罰的なのか?内罰的なのか?
もう、他人からの評価はわからんな!!!!勝手にしろ!母親だって勝手に死なせたんだ!


だが、出崎統のアニメを見て、それが「良いな」と思う自分の心だけは真実だと思う。芸術だけが真実なんじゃないかなあ。


しかし、マリ子さんが三咲さんを傷つけた事に傷ついて自殺未遂をして、それを奈々子と智子さんに助けられて、マリ子さんに傷つけられた事とか友人関係のもつれで心に傷を負った三咲さんが海に入水自殺未遂して奈々子と智子さんに助けられて、対話をする事で似た者同士の喧嘩が、それなりに解決したっぽい30話ラストは泣けた。
だって、僕は母親の自殺を止められなかったので。自殺を止めて、話す機会があるって事はすごく素敵な事だよね。キチンと話す事が出来るってのはすごい事だ。僕の家庭はこういう話し合いが苦手な人間ばかりで、みんなぼんやりテレビのバラエティ番組で時間を潰して、あとは仕事に行って疲れて寝るだけだからな。
自殺を止めた上で、マリ子さんが三咲さんに過去の運動会の思い出をネタにして「待っててあげるから!」って言って、三咲さんもマリ子さんが何を例えてるかちゃんと理解して、「それじゃあ、あなた、アンカーになれないじゃない!」って答えるとか、最高に出来過ぎた脚本ですね。実際の人間って、そんな風に相手の言いたい事とかニュータイプみたいに分かってくれませんし!適当に雑な会話を切り上げて、みんな疲れて嫌な気分になるのが現実の会話だ!現実では誰も心が通じ合わなくて、金や仕事の話と、立場の上下関係の争いのポジショントークばかり!みんな、みんな上っ面ばかりだ!
でも、アニメだと分かり合えるので、美しいものが描かれていると感じる。アニメにはちゃんと脚本家が居て、その上で天才出崎統が台詞と絵のテンポを美しく調律してるんで、本当に素敵。
アニメは良いよなあ・・・。

  • マリ子の親父

まあ、クズなんだけど。
三流だけど金を持っている人気ポルノ小説家で、娘の学校に多額の寄付をしながら女優である愛人と結婚するためにマリ子の母と離婚しようとして、マリ子に自殺未遂とか傷害事件とかさせるダメな男なんだけど。CLANNADの朋也の親父を越えるレベルのダメさな(金は持ってる)んだけど。
でも、娘が自分の家に放火して自殺しようとしてる時に

お前がしたいならそうしてもいい!
しかし、しかし、これだけはパパの言う事を聞いて欲しい。

って説教ですよ!

何があっても、どんなことがあっても、自分を嫌いになってはいけない。決して自分をボロクズのように扱ってはいけない。
他人に誇る事は無いにせよ、自分の良い所を見つめ、愛し続けなくてはいけない。

って、俺が精神科医に言われるような事を言うわけですよ。まあ、俺は10年も精神科に通っても大して良くなってないまま、ずるずると公共機関でフリーターまがいの事をしてるんだが。
俺も他人を平気で傷つけて母親も殺したようなクズだしなあ。マリ子さん以上に俺は自分が嫌いだし、マリ子さんに感情移入できる。まあ、マリ子さんは美少女だけど。
そんな風にマリ子さんは自分が嫌いだし、親父を許せん所もあるんだが。
マリ子さんの親父は言う。

でもね、マリ子。
そんな私でも、ほんの少しだがいい所があると自分では思っている。
誰にも見えないが、私だけが知っている良い所が少しはあると思っている。
私はそれを大事にしているんだ。ひそやかだが、愛してさえいる。
どうしてだかわかるか?
それが無いと生きられないからだよ。
いや、それさえあれば、どんな事があっても生きていけると思えるからだよ。

って、泣きながら説教して、マリ子さんと一家号泣してねえ。「許してくれマリ子!」
って言う。
お前が言うな、って言う感じがすごい。浮気して離婚して娘を傷つけて週刊誌のネタにされる流行作家ですよ。原作ではもっと出番が全然なかったのに、アニメでは出崎統の人生訓を言う。
だが、ここで「お前が言うなm9(^Д^)プギャー」で終わっては、出崎統アニメは本当には味わえない。
この、人生の負け犬のような情けないやつでも、心に人生訓を一つくらいは持ってるんだ、っていう出崎統イズムがいいわけですよ!あしたのジョー2の「第26話 チャンピオン…そして、敗者の栄光」とか「第27話 ボクシング…その鎮魂歌」とか、こういう出崎統のオリジナルエピソードに共通するアレのワビサビが実にいいんですよ!
WEBアニメスタイル | アニメ様365日 第57回 敗者の栄光
演出的にも、女優と浮気密会していたり、原稿を書きながら電話をするシーンではマリ子の父の顔は影になって隠れてるんだけど、マリ子が問題を起こして家に駆けつけたときはタバコで顔を隠しながらも顔が見え始めて、マリ子と向き合った時に男泣きの涙を見せながら顔の表情を見せて説教することで、「お前が言うな」っていうレベルのセリフに説得力、というか切迫感、本気っぽさを表現している。この演出技法は割とわかりやすいんだけども。
「顔を隠す」=「自分を守る」っていう演出は宮様やサン・ジュスト様にも使われていて、おにいさまへ・・・全体で使われているキーになる演出だったりする。OPでもやってるし。
幾原邦彦監督の少女革命ウテナ新房昭之監督作品の演出にも受け継がれている、顔隠し。
それくらい、重要で心に響く顔の隠し方、表情の見せ方。
それなのに、崩れていく家族。必死の説教をしても、人生はうまくいかない。
そういう侘び寂を描くアニメ。母親を自殺させたようなクズ中のクズである私でも、何かの感動を得る。泣ける。
出崎統、いい・・・。

あっ。あと1クール10話も残ってるのに、29話からソロリティ廃止運動が始まるのか・・・。原作だとソロリティ廃止の流れが始まったら結構すぐ終わった気がするんだけども。



脇役では智子さんが素晴らしすぎるが、原作では使い捨てキャラだった仲矢さんが、仲矢順子さんがなんとここにきて再登場して!
桐生さんと林田さんまで・・・。
仲矢さんは楳図かずおのマンガに出てくるようなリボンをつけた美少女ですごく美少女だ。
こういう、脇役の人もシナリオの道具にしないで、ちゃんと人生がある感じに描いてる生命感って言うの?出崎統はキャラクターの命をすごく大事にしてる感じですっごく素敵。
僕は母親を自殺させるような人間で、人の命を大事にできなかったんだけどね。
出崎統はホント、素敵だ。人には人の心が個別にあるんだ、って言う事を伝えてくれて、人の命の重みと言う物を実感させてくれる。
それは原作ではなかった、31話でのモナリザの君やボルジアの君のソロリティ廃止運動に巻き込まれた感じのクーデター未遂でも、彼女たち脇役にも彼女たちなりの悩みや衝動や欲求や考えや感情や人生があるんだなーって感じだ。
まあ、そんな風に人の命の重さを富野アニメや出崎統アニメで実感していても、母親の自殺すら止められなかったクズが私になります。なんにもならなかった。


まあ、何にもならなくても俺はアニメを見る。誰のためでもない、自分のために。なぜなら、アニメが面白いからだ。面白くないアニメは切る。

今回はマリ子さんの事件と、それをきっかけにしての折原薫の君が始めたソロリティ廃止署名運動にまつわる事件がメインだったんだが。
そして、原作では割とさりげなく薫の君に協力してソロリティを潰しにかかったサン・ジュスト様なんだが、アニメでは薫に協力する直前にサン・ジュスト様は一回は薫のその計画に反対している。でも、一の宮蕗子様と乗馬で女と女、姉と妹の勝負をして、その上で宮様の女を見込んだ上で、宮様のために敢えて、宮様がリーダーを務めるソロリティと対決するというアニメオリジナルシーンが付け足されている。
こういうふうに仁義や忠義、誇りと美意識を重視するサン・ジュスト様の心情が付け足されているアニメのおにいさまへ・・・。いい。
まあ、そういう心情描写をするのに、「女だてらに突然乗馬」を用いてしまうのがサン・ジュスト様と宮様の姉妹の過激なところなんだけども。そういう変なところも含めて、おにいさまへ・・・はいいよね。
ソロリティが「人身売買だ」っていう薫や原作者の池田理代子の意見もあるけど、サン・ジュスト出崎統の意見では「ソロリティは誇りだ!」っていう所もある。こういう多面性がいいよね。
その多面的な意見を見せるために、変な乗馬シーンとか過剰なアクションが入るんだけど。変な行動で視聴者を揺さぶることで、いろんな意見があるんだなーっていう、いろんな登場人物の気持ちの一端を我々視聴者に伝わらせるっていうか。
作品で100過剰なことをして、視聴者に1、気持ちが伝わるっていうか。


あ、モナリザの君とボルジアの君がビルをぶち壊すところもかなり過剰ですごかったな。
十代の女の子の愛憎劇なのに、割と派手にモノがぶち壊れたり燃えたりするところもあって過剰だよなー。でも、こういう過剰なところも出崎統の魅力だし。そのうえで、そう言う過剰で変な行動も含めての一貫性を持たせる全体的な雰囲気の統一感というか出崎統の美意識っていうか、いいよね・・・。
愛憎劇とか、百合とか、階級闘争とか、そういう一言ではくくれない生命力みたいなのがあるよね・・・。
作り物のアニメなのに、そういう生命力を見せられると、やっぱり最近親を自殺させた身としては、心がえぐられるような気がするんだけど、それも含めて名作のパワーだよね。