今回はかなり構成がパキッとしてて分かりやすかったですね。なので、そんなに感想とか考察とかあんまり書く必要がなさそう。
基本的に島村さんが徐々に自信を取り戻していくって言うそれだけの話ですね。
Aパートは事務所に戻ってきた島村さんがシンデレラプロジェクトのメンバー一人一人と面談して、メンバーそれぞれも島村さんと同じように悩んだりギャップを感じたりしつつもアイドル活動してるんだなーって言うことを聞いて回る。
ここで緒方智絵里のクローバーのくだりがラブライカと蘭子と話している時に挿入視されてるので、ちょっと時間軸を入れ替えてる。つまり単に島村さんが事務所に戻ってきて346プロを回っているのを漫然と順番に時系列で映してるんじゃなくて、島村さんの主観的な自信の回復の段階を追っているという事。
Bパートは島村さんとNGに星を送るシンデレラプロジェクトのメンバーだけでなくて他のプロジェクトの346プロのアイドルのみんなが描かれた。直接会わない人でも島村さんたちを気にかけているという事。優しい世界。アイドルはライバルだけど仲間って言うのはアイマスらしさでもある。
Bパート後半はNGのクリスマスライブ(シンデレラの舞踏会とは違うのか)に向かう途中、前の冬に島村さんが高垣楓さんたちのライブのスタッフをしていた会場に寄り道をしてプロデューサーと会話して進むかどうか島村さんが自分で選ぶ。
ここで島村さんが「周りのみんなに期待されてるから」という空気に流されてアイドルに復帰するんじゃなくて、プロデューサーに言われたからやるんじゃなくて、自分で選ぶように、プロデューサーが考えさせるって言うのが実にアイドルマスターらしいメンタルも含めた二人三脚プロデュースと言う感じだ。(正直武内Pは不器用だしバッドコミュもいくつかあったんだが)
で、自分でアイドルになりたいという事を選び取る島村さんだが、その前に前回のラストに渋谷凛と本田未央に打ち明けた「何もなかったらどうしようか怖い」という本心をプロデューサーに改めて言えたのが、プロデューサーに心を開いた感じだった。
また、大橋彩香さんの「こわいよ」という泣きの演技は今までの島村卯月のゲームボイスや、はっしーの演技とはまた違った感じで新境地に聞こえた。
プロデューサーの「あなただけの笑顔」と言うのは、ものすごくあいまいだし島村さん本人が自然に出来過ぎるからこそ、どうやって笑顔を作ればいいのかわならなくてお互い不安だなーって感じだった。そこで笑顔を本人以上に信じてやるのがプロデューサーのアイマスのプロデューサーとしての立場だな。
それで制服のまま、星に願いを書けないまま島村さんはライブ会場に到着してしまうのだが。その星はポケットに入れておけばいいよ、って言う渋凛がなかなかかっこいい。ちゃんみおも良い奴。
それで、島村さんは制服のまま舞台に一人で立って、ファンの視線に晒されて、やっぱり「怖い!」ってなってしまう。
アイドルは少女を消費する風俗みたいなものだーって22話の感想で書いたけど。nuryouguda.hatenablog.com
性風俗だとかセックスのメタファーだと言わなくても、17歳の未成年の女の子がお仕事でたくさんの他人を相手にするのは普通にしんどいでしょって言う。
そこで、やっぱり島村さんは小さな女の子に過ぎないので上手く喋れなくてアワワワワってなってしまう。そういう困ってる女の子が困ってるのが可愛いよーって言うのもアニメオタクの邪悪な楽しみ方?
僕はあんまりリアルアイドルには詳しくないけど、学生劇団はやってたけど、台本とかリハーサルもなくいきなりほっぽり出されて生のリアクションを芸として見世物にされるのはやっぱりきついものがあるのでは。
僕はあんまりテレビバラエティのリアクション芸とかは好きではないのだが。
ただ、アニメのTHE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLSには「アイドルの女の子の生リアクションを見世物にする」という即物的な意味だけでなく、「ギリギリまで追い込まれた島村卯月が本気で笑顔を取り戻す」という物語構造論としての意味も二重にある。
ていうか、それくらい「本気の笑顔」って言うのはものすごく曖昧かつ本能的で感情的で奥深いものなんだよなあと。
それを信じて任せたプロデューサーの信頼感は偉い。
また、島村さんが自分を信じられるようにと応援してくれたプロジェクトの仲間たちの力も大きい。
特に、シンデレラプロジェクトのメンバー以外で応援に来たアイドルが小日向美穂ちゃんだというのも大きい。少女漫画的な感じだと島村さんは小日向さんに対して「よく知らない人だし、仲良しのNGと離されてプロデューサーに組まされた人」というちょっと遠い印象で22話では仲良くできず、一方的に仕事をキャンセルして迷惑をかけた相手でもある。だから島村さんは小日向さんに対してちょっと壁を感じていたと思うが、そんな小日向さんの方から「もう一回島村さんと本気の仕事をしたいです」って願われて、応援にも来てもらったら、そりゃあ第一印象は「あんまり仲が良くない仕事上の小日向さん」でも「自分を思ってくれる人!」ってなりますよね。それで島村さんはまたもう一段階自信を取り戻した。
それで、島村さんが自分を過去の事実の実績や周りの人の期待の存在に基づいて信じるというだけでなく、何があるか分からないけど自分を信じてみたいと思うのもすごい大事だな。
「信じるに足る証拠があるから自信を持つ」というのも当たり前に大事だが、「自分はこれからどうなるか分からないが自信を付けるためにやってみる」という、自分を信じてない段階でも「信じたい」という方向を心の中に持つというのも大事。
だから島村さんは衣装なしで、ほとんどゼロの段階の裸足の女の子としてソロで歌う。
そういうゼロから何か輝く物を得られるかどうかわからないけど手を伸ばすって言う博打みたいなのが芸能とかアイドル活動の、本能とか感動とかまでも芸に組み込んだアイドルとしての生き方の一つのあり方なんだろうなあ。普通の仕事で1を集めて10の製品に仕上げていくって言う生き様も堅実で良いけど、ゼロから多くの価値を生み出すって言う芸能と言う異能もまた、生き方。
そして、島村さんは泣きながら笑顔を取り戻した!博打に勝った!
やった!
「ファンに向き合うは怖い!」とか、「島村さんを勇気づけたのはシンデレラプロジェクトのアイドルたち」という風な描き方をされたので、ともすればファン不要論を描いているのかもしれないと見えた。
しかし、今回、島村さん真剣に歌って笑顔を取り戻す過程での歌を聞いたのはやっぱりファンだ。
アイドルアニメでは(個人的な友人以外の)(大勢の)ファンはメインキャラにはなりにくいし、描きにくい。ライブシーンではファンは大体暗い所にいるし。沢山いるし。
なので、劇マスではジュピターの冬馬や矢吹可奈にファンを代表させた。
アイカツ!とかプリパラみたいな長めのアイドルアニメだと単話でファンとの交流話がいくつかあったりするんだけど、1、2クールアニメでファンとの交流を描くとそのファンのキャラクターが特別になり過ぎちゃって難しい。
なんだけども、今回の24話では色んな人に後押しされてステージに上がって一人に舞台に立った島村さんが歌いながら「自分の歌やパフォーマンスや笑顔は悪いものじゃないんだよな、誰でもできることじゃないんだ」って本当の「証拠」とか「実感」として思えるようになる最後の最後のトリガーとしては、「ファン」という最後のピースが必要だったし、それでアイドルは完成したのだ。
だから、今回の島村さんの歌は良かったのだ。
もちろん、録音し直した大橋彩香さんの歌やアニメーターの動画も、その他の撮影や音響のスタッフの労力も、それを支えるPの課金も素晴らしかった。
では、自信を取り戻し、多くの仲間を得て、ツンデレ常務にも今西部長を通じて認めさせて色々なものが完成したシンデレラプロジェクトの、その最後の舞踏会のラスト、括目してみよう。
(26話の収録された円盤を買います)
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あと、再来週までにこれまで録画した分を見返したいとも思うんだけど、他の夏アニメの録画も消化しなきゃいけないし秋アニメもチェックしなきゃいけないしあと一時間でガンダムの新シリーズが始まるとか…。ウワー――!アニメ見てばっかりだー!
でもデレステもやります!
ハロウィンガチャでSSRかな子とSR小梅もゲットしました。課金の力で―ッ!