玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士ガンダム40 エルメスのララァは女の子

相変わらず、id:GiGirさんや囚人さんの読みが深い。だから、忙しい私は補足のみ書く。
ガンダムは深い分、ガンダムについて書く人の話も面白いな。
特に、GiGirさん曰く、終盤のシャアが部下の信頼を失っているとの読みは私には気付かなかった。悔しいな。
オタクは自分より深い読みのできるオタクを尊敬するが、憎らしい。
しかし、シャアも「マリガンもやればできるではないか」などと言い、部下の心が離れつつあるとは気付かないで、まだ自信を持っている気取った振る舞いしか出来ない。
そのように男の信頼を失うシャア・アズナブルだが、ララァ・スンキシリア・ザビといった女の力や派閥に接近しているのは興味深い。
今のシャアの地位はキシリアの後ろ盾と、キシリア派閥のニュータイプ部隊の先駆けであるララァに維持されている。
これが、イケメンのシャアの処世術であろうか?
シャアは上司をドズル、ガルマ、キシリアと、女の方にシフトしているな。
ギレンやデギンに近づくのは難しく、危険だったか?


というわけで、覆面を付けたキシリアが、少女然としたワンピース私服のララァに「気に入らんな」と言うのは女同士の確執というか、女を隠したキシリア少将と、女そのままの高級娼婦少女ララァとの摩擦か。
面白い!
(安彦良和が倒れて、ララァの軍服がデザイン出来なかっただけという事情を逆手に取るドラマ!)
そして、キシリアは続く話でシャアを「かわいいじゃないか」という。
そのような女を馬鹿にしながら利用して裏切るのがシャアだ。
やはり、シャアの妹以外に対する女性観は歪んでいるし、妹だけを純粋だとするのも歪んでいる。
そして、レコアやハマーンに続く。
カミーユもクェスもだな。
シャアは自分が美しく価値があり、強いということを知っている、愛を喰らう猛禽である。生まれながらの王子。
森茉莉的に耽美。
だから、女性人気も高いのかもしれない?
だが、自分の器よりも大きな愛を持つ物には負け続け、密かに嫉妬するのもシャアだ。
ハマーンもレコアもカミーユ(新訳)も、シャアへの愛が膨らんで自意識を持つとシャアから離れていく。
シャアの方が逃げることも。
シャアに近づいたままだと壊れる。
シャアは仕方がないなあ。


しかし、ララァはそのシャアを美しい物、偶像王子に萌えるのではなく、人間として愛した。
今回のララァのシャアに対する心象の変化はまさに女の愛。


シャアの命令で出撃し、自分の才能をシャアに見せて喜ぶララァ
シャアの命令を聞かない部下に怒るララァ
シャアのために一人で意地になって戦うララァ
シャアがいなくて集中して戦えないララァ
シャアがゲルググで助けに来て、力を取り戻す、シャアを頼るララァ
シャアと同じ立場で共にガンダムを討とうとするララァ
しかし、 シャアが自分よりも劣り、ララァは彼を戦いの邪魔に思う。
かっこよい演出に乗せて、「シャアがくる!」という微妙な挿入歌がかかる中、アムロに押されるシャア。
そして、ララァアムロに向かって叫ぶ。
「シャアをいじめる悪い人だ!」
ララァはシャアを守ると決意する。
たった20分ちょいのアニメの中でララァの愛は形を変え、それでも深い愛だ。


しかし、一人の女であるララァは「綺麗な目」で「悪い人」のアムロ・レイにも惹かれてしまう。


そして、シャアはララァを失うまで、道具として扱って心を開かず、その死後に愛していたと泣くが、ニュータイプララァの願いには応えられない。
シャアは愛を知らないナルシストのシスコンだから。

これだからガンダムはすごい。
人間の機微がすごい。
しかも、デギンとギレン親子の公王政と独裁軍政の確執、ヒットラーの尻尾発言などのドラマ、ソーラレイやマグネットコーティングのモスク・ハン博士などの登場も詰め込まれている。
しかも、流れがきれいでエンターテイメントになっていてわかりやすい。
あえて言おう!ガンダム万歳!




しかし、余談だが、僕は恋愛経験がほとんどない癖に、ガンダムに関しては恋愛や女の心について書くのが多くて恥ずかしいな。
富野監督もブレンパワードでは女性脚本家陣に「女が分かってない」って言われたから、あまり調子に乗らない方がいいな。
だが、女が自分を分かってるとも思えない。
まあ、男もだが。人間は便利ではないのだ。