玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年9月 第9話 第6節

サブタイトル:第9話 [家庭教師VSニンフェット!頭令兄妹誕生の秘密です!!]

  • 四つ辻の四つの塔の屋敷の、そらの勉強部屋

 首元に白いリボンのついた紺のパフスリーブの膝丈ワンピースを着たそらは、机に向ったまま隣に立つ社に問うた。
そら「社先生。さっきの社会科のテストの答え合わせでわからない所があるんですけど」
 社亜砂がそらに解かせたテストは、二人しか使わないので、彼の手書きだ。ロリータコンプレックスを持つ社にとって、それは文通そのものであり、甘美。それについて質問を受けるのは、教師と生徒らしいコミュニケーションであり、ときめく。
社「どこかな?」

そら「この民法の所です」
 テスト用紙の紅印に白い人指し指の先の桜色の爪を指し当てるそらを、社は机に手を付いて左側から覗きこむ。この机も、そらが座っている椅子も、社がそらのために吟味して選んだ物だ。机は落ち着いた飴色の木製で重厚、椅子は成長に合うように、各部が調節でき、座りやすく軽いチタンフレームで出来た車輪付きの近代的な物。背もたれは通気性のいい象牙色の合皮だが、メイド手製の白いレース編みのカバーを毎日付け替えている。
社『我ながら、いい勉強部屋の雰囲気が出来ている』
 と、思う。
そら「兄妹で結婚できるっていう所がバツになってるんですが?どういうことかしら?」
 左手側に置いた卓上白色電灯に照らされた、そらの横顔の左目は用紙の紅い/印を睨み、白目が灯を反射して光っていた。
社「ああ、親等の問題だな。
 『民法第七三四条、第一項。直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をする事が出来ない。』
 兄弟姉妹は二親等の傍系血族だから、結婚はできんな。ちなみに、本人は零親等として数えるとわかりやすい。貴様は本人を一親等と数えたのではないかな?しかし、三親等の伯父叔母、甥姪等でも結婚はできない」

そら「そうですか。ややこしいですね。……ちょっと頭を整理するので、下がってください」
社「ああ」
 たまに難しい問題を解く時や、講義の後に、そらは背もたれに長い髪を沈めて目を閉じて考える癖があった。下唇を少し突き出すように考え込む様がとてもかわいい。そのように真剣に考える教え子を社は一歩後ろで、待つ。そうすると利発なそらはいつも教えられた事をキチンとまとめて理解する。教え甲斐のある生徒だ。
 どうやら正解にたどり着いたよう
で、そらは少し床を蹴って椅子を滑らしながら反時計回りに振り向いて、ふわっと床に降り立った。まるでワルツを踊るように、優雅に椅子の肘かけを握り、くるりと振り向く勢いを無駄にせず、全身をバネにして社亜砂の左側頭部に椅子の足で渾身のスマッシュをたたき込んだ!
 椅子は上下反転しながら正確な円弧を描きチタンフレームの脚が、社の仮面に覆われていない金髪の頭皮を斬り裂き、頭蓋骨に突き刺さった。
  
  
ガズンッ!どさっ
 血を吹き上げながら真横に倒れる赤いスーツの教師。
そら「この野郎!だましたな!」
社「だ、だましては、いない。法律、だ」
 まだ、教え子の質問に答えるつもりでいたが、口を動かすだけで頭が痛い。神経を焼く矯正超音波のヒリっとした痛みとは全く違う、硬く響く痛みだ。左手がぬるっとする。血?殴られた?正確な間合いだな!

レイ「そら様!絨毯に血が!」
 勉強部屋の床に棲む四つの塔の屋敷国の住人達は血の穢れを恐れて逃げ出そうと慌てている。

 倒れた家庭教師を見下ろし、美少女が叫ぶ。
そら「お前は!結婚できないのに、お兄ちゃんに好かれるいい女になれって勉強させた!」
社「教科書は読ませた。覚えていないのか?」
そら「条文は読んだわよ!それでお兄ちゃんと結婚できないって!思いつくわけないでしょ!」
社「兄と結婚するのか?!11歳で!
 がっ!」

ゴギッ!
 また振るわれた椅子が今度はゴルフボールのように社の右の頭を打つ。
クロムのロザリオ『……ッ!』
 その勢いのまま、椅子はすっ飛んで漆喰の壁で跳ねる。そらの首に架けたクロムのロザリオに宿る宇宙人が咄嗟に放った斥力波動によるものだ。その操作は逆上する女主人には気づかれていない。
 血液が散る。
そら「16歳未満の女とは結婚できないんだよ!!ロリコンめ!」
社「私に……そのつもりはない!」
そら「責任を取る気もないのか!!」
社『次は顔に蹴りが来る!子供の足蹴りは組み伏せる!怪我の事はその後!
 仮面は警察に通じ、下僕たちに殺意はない。なら!』

 判断は一瞬。社は戦場慣れている。
社『あ、ぱんつみえた。私の選んだ白きパンツ!』
ぐしゃああ
 緩んだガードを抜け、そらのかかとが室内用スリッパの皮越しに社の白く高い鼻を折る。
ギュキイイイイイイイイイイイイイインンンンッッ!
 彼に追い打ちをかけるように、仮面に内蔵されたロリコン矯正超音波電磁波の出力がパンチラに喜ぶ脳波に反応して上がる!仮面を踏みつけたそらの足に、その振動が伝わる。足の裏で鼻血の体温がわかる。
そら「お前!感じてるな!下衆が!下衆が!下衆が!」
 げしっ!げしっ!げしっ!
社「ぐああああああっ!ああっ!げはぁっ!があああっ!」
 美少女のかかと!美少女のスカートの中!少女性愛矯正波動の痛み!頭と顔と脳髄からの容赦ない出血!気管が鼻血を吸い込み窒息。視界を満開に覆う朝顔の雄しべの鎚に打たれ、赤い火花の舞う至福の地獄
の中で社は意識を無くした。
レイ「そら様!殺してはいけません!」
 社の失神を確認すると、主をレイは羽交い絞めにし、そのまま地球の大気を満たす下僕宇宙人国家のセブンセンサーと連携し、超時空移動で勉強部屋から消えた。社が失神しなければ、メイド三体の宇宙人も、四つの塔の屋敷の宇宙人も、宇宙的技術で彼の怪我は直せないのだから。