玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年9月 第9話 第7節

サブタイトル:第9話 [家庭教師VSニンフェット!頭令兄妹誕生の秘密です!!]

  • 午後3時ころ。日本の何処かの町の河川敷。

 人気のない河原に、暴れる頭令そらを抱きすくめた黒い執事服の宇宙人のレイが、セブンセンサーを媒介にした瞬間移動で出た。
レイ「そら様。知的生物を殺してはいけません」
そら「あんたまで邪魔をしたのね!あんな卑怯なロリコンは何だろうが殺す!」
レイ「落ち着いて下さい。そら様」
そら「だぁってえええええええっ!おにいちゃんとけっこんできないって、ほうりつできまってるなんてしらなかったんだもんっ!
 かんがえもしなかったのよぉおおっ!いやだよぉお……。あたし、ばかみたい。あああーーーっ。ばかああああああ……」

 180センチ以上ある長身のレイに抱かれ、その胸の白いスカーフに涙をにじませるそら。
レイ「泣く必要も、殺す事もありません。そら様。結論から言います。お二人は結婚できます
そら「本当?!嘘なら死ね!」
 ぱっっと明るい顔で初老の皮を被った宇宙人を見上げたそらの目と鼻の頭は真っ赤になっている。しかし、レイは自分のスカーフから鼻水が糸を引いているのは苦手だ。
レイ「本当に我々が嘘を付いているのなら死にもしましょう。少し長い話になりますので、歩きながらお話しいたします。
 そら様、靴を履き替えますか?」

そら「ん。そうね。このスリッパは捨てて」
 レイがそらの足くびを撫でると、宇宙人の技術で血濡れのスリッパの代わりに歩きやすいスニーカーが装着された。そうして一人の美少女と人型ロボットに宿る一国の群体宇宙人奴隷は河川敷を歩き始めた。堤防の向こうには製紙工場がある。
レイ「我々とそら様が初めて遭った時の話から始めなくてはなりません。覚えていらっしゃいますか?」
そら「覚えた事は忘れないけど、覚えてない事は知らない」
レイ「我々、黒色遊星周辺諸国連邦と、そら様と倶雫様が遭遇したのは西暦1991年。そら様が生まれて間もないころです。そして我々が地球上の物体に宿り、そら様に仕え始めたのが、西暦1997年です」
そら「0歳と6歳の時の事なんて覚えてない。なんか、あんたたちって気が付いたらずっと居たし、あんたたちの事は気にした事がなかったわ」
レイ「そうです。この話は、そら様がもう少し大きくなってからする予定だったのですが、社先生の事もありますし、今日、改めてお伝えします。我々とそら様と倶雫様の出会いについてです」
そら「覚えるわ」
レイ「順を追って話しますので1時間ほどかかります。よろしいでしょうか」
そら「とりあえず、あたしとお兄ちゃんは結婚できるのよね」
レイ「できます」
そら「なぜ?」
レイ「社先生の言った民法第七百三十四条第一項には続きがあるのです。
 『直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をする事が出来ない。
 ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。』
 つまり、そら様と倶雫様はお二人とも戸籍上は頭令礼一郎が別々に引き取った養子で、実の兄妹ではありません。そして、兄妹は傍系血族ですので、お二人は日本国において、公式な婚姻が可能です。こちらが戸籍謄本です」

 黒い執事のジャケットの内側の異次元空間から取り寄せられた戸籍謄本を、そらはむしり取り、凝視し、唇が伸びきり、喜びが決壊した。
そら「やったーっ!結婚できるーっ!そうかーっ!そうだったんだーっ!わーいわーい!社のばーか!ばーか!ざまーみろ!
 そっか、そっか。なら、あいつを殺す必要はなかったわけか。無駄な事をしたなー」

 喜びに、そらは芝生の上を跳ねまわり駆けだし、哄笑が川面を渡る。
レイ「社先生は生きています。意識をなくされたのでミイコ達が修復しました。じきに回復されます」
そら「ああ、そう!それはよかったわねえっ!あははっ!ダーッシュ!」 
 ひとしきり騒いでから不意に足を止めた少女に、執事はするりと追いつく。  
そら「でも、ちょっと待ちなさいよ。あたしとお兄ちゃんが実の兄妹じゃない?こんなにそっくりなのに?え?
 それはそれで嫌ッ。お兄ちゃんはあたしのお兄ちゃんよね?ちょっと!レイ!!どういう事よ!」

レイ「ですから、説明させていただきます。まず、結婚は可能と言う事はご了承してください」
そら「わかった。聞く。早く話しなさい!」
 怒りと悲しみに続く喜びから一転、不平と疑問を垂れる。そらの今の思考、感情、運動には落ち着きが全くない。
 宇宙人であるレイには、そらがここまで混乱し、結婚制度と言う物にこだわる事が理解できない。が、とりあえずそらが聞く耳を持ったようであるので、12年前の話を始めた。