玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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最後の感想

嘘をついて生きている。と、
自分のついた嘘の中の自分と、嘘を聞いた他人の心の中の自分と、嘘をついてまで保護しようとした自分の3種類以上の自分の人生を生きることになるので通常の3倍のゲインが必要になるのだが、そのようなスキルを持っていないから嘘をつかざるを得ないのであって。
かと言って死ぬ予定が無いのなら、せめてこの3人の内、3番目の自分を殺すのが妥当でしょう。なぜなら状況の戦犯はこいつなのでこいつに腹を切らせるべきだ。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/935_3037.html

小生は小生の姉、妻と共に告白します。小生等は彼女を爪の垢(あか)ほども憎んでおりません。
 何事も報いられぬこの世に……神も仏もない、血も涙もない、緑地(オアシス)も蜃気楼(しんきろう)も求められない沙漠のような……カサカサに乾干(ひから)びたこの巨大な空間に、自分の空想が生んだ虚構(うそ)の事実を、唯一無上の天国と信じて、生命がけで抱き締めて来た彼女の心境を、小生等は繰り返し繰り返し憐れみ語り合っております。その大切な大切な彼女の天国……小児が掻き抱いている綺麗なオモチャのような、貴重この上もない彼女の創作の天国を、アトカタもなくブチ毀(こわ)され、タタキ付けられたために、とうとう自殺してしまったであろうミジメな彼女の気持を、姉も、妻も、涙を流して悲しんでおります。隣家の田宮特高課長氏も、小生等の話を聞きまして、そんな風に考えて行けばこの世に罪人はない……と言って笑っておりましたが、事実、その通りだと思います。
 彼女は罪人ではないのです。一個のスバラシイ創作家に過ぎないのです。単に小生と同一の性格を持った白鷹先生……貴下に非ざる貴下をウッカリ創作したために……しかも、それが真に迫った傑作であったために、彼女は直ぐにも自殺しなければならないほどの恐怖観念に脅やかされつつ、その脅迫観念から救われたいばっかりに、次から次へと虚構の世界を拡大し、複雑化して行って、その中に自然と彼女自身の破局を構成して行ったのです。
 しかるに小生等は、小生等自身の面目のために、真剣に、寄ってたかって彼女を、そうした破局のドン底に追いつめて行きました。そうしてギューギューと追い詰めたまま幻滅の世界へタタキ出してしまいました。
彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んで行ったのです。
彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。
 ただそれだけです。

少女地獄 (角川文庫)

少女地獄 (角川文庫)

「童貞」も共感できますが。所詮俺はこのピアニストほどの才能も覚悟も無いのだから就職した方がいい。

生まれつきの気弱さから、音楽以外の何ものも知らずに死んでいきたいと願った彼の全生涯の象徴であった。

世にもみじめな童貞の誇りは持ちつづけたいと思いますが。