玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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謎の彼女X第9話「謎のなんだかちょっと」山内重保、初恋を彩る

脚本:赤尾でこ コンテ:山内重保 演出:山内重保 作画監督羽山淳一 
大好きな謎の彼女Xに大好きな山内重保さんが降臨!
しかも植芝理一原作の線の少ない絵なのに、北斗の拳とかジョジョの奇妙な冒険 聖闘士星矢 マジンカイザーなどの、こってりと濃い絵の羽山淳一さんも降臨!作画スタッフには私が昨年大好きで、BDも全部買った輪るピングドラムの西位輝実さん、薗部あい子さん!
謎の彼女X - アニメスタッフデータベース - Seesaa Wiki(ウィキ)
おお、豪華!なんという俺得アニメ!

謎の彼女X(4) (アフタヌーンKC)

謎の彼女X(4) (アフタヌーンKC)

↑今回の話は4巻に収録されています。


最近の僕の中での山内重保の変遷のまとめ!
ブレンパワードの18話「愛の淵」の、ネリーブレンのアイスダンスなど!(張り詰めた美しさと死と生命感。シリアスな話、演出、作画)

キャシャーンSins(張り詰めた美しさと、死、転じて生命感。シリアスな話、芸術的演出、アクション作画)

夢喰いメリー(軽妙なアクションマンガを、芸術的にアレンジした演出。夢と言うテーマを使った話、青春期の主人公たちの生命感と夢の世界を描きわけた作画)

THE IDOLM@STERの探偵回(意外とギャグ?日常回?山内の割に?山内幻想は冒頭の殺人事件ドラマシーンと亜美真美の小芝居に使われ。山内のおどろおどろしい演出を逆手にとった自己批評感)

輪るピングドラム18話(話、作画、ともにシリアス、アクション。感情の振れ幅、生命感、死に近い大けが。子どもブロイラーの幻想など、山内炸裂)

今回の謎の彼女X9話
話は謎の彼女Xなので、そんなに戦いや死があるわけではない、高校生の日常のストーリー。脚本も、ほぼ原作通りのアニメ化で、それほど奇をてらったものではない。
しかし、演出はシリアス!感情の振れ幅は大きく、緊張感、テンションは高い。
カメラの角度、アップと引きの切り替えの素早さ、俯瞰の挿入の巧みさ、色と照明と女の裸の大胆な使い方。男女の肌の触れ合いも描いている。
演出はかなりシリアス。(お弁当の具などのギャグや、飛行機雲などの箸休めカットも巧みに配置されている)
作画も、前述の豪華メンバー。羽山さんの濃さ、西位さんの可愛らしさなど、絵柄の面ではアニメーターの個性はあまり感じられない。だが、上手く原作の絵柄も昇華しつつ、髪型を変えた卜部の魅力を表現していたように見える。
あえて言えば、卜部に似ているアイドル今井百夏の写真集の水着の、17歳の女の子らしい下腹部の腹筋の影の付け方が健康的なエロスを醸し出していたので、筋肉系が得意な羽山系列作画だろうか?


今回の山内重保さんの起用は、輪るピングドラムの池Pプロデューサーの差し金のような気もするんだが。
輪るピングドラムのイベント、ピングウェーブで3千円払って、池田プロデューサーと幾原邦彦監督と小泉豊さんがタバスコを飲むのを見に行った。なんだろう・・・)


僕は、今回の山内さんの演出はとてもよかったと思います。
山内さん得意の、派手なアクションとか、ものすごく大きな感情の起伏は無い話なんだけども。でも、17歳の少年少女にとって、好きな人との気持ちのやり取りのドラマって言うのは、やっぱり戦闘アクション映画に匹敵するほどのドキドキ感、感情の重大さなんだと思う。
だから、卜部と椿の会話や行動の一つ一つに合わせてカメラの角度やファインダーの種類やフィルターの色が切り替わったり、赤くなったり緑になったりする演出は良いんだよ!ちょっとした気持ちの変化を、壮大に演出することで、恋愛のすごさを表現したと言えるのではないでしょうか?


出崎統的な、ハレーション気味の画面が白く飛んでいる演出は、卜部が髪型を変えて前髪を上げて「なんだかまぶしい」と言ったから、という、キャラクターの感覚変化が直接画面の照明に影響していたり、すごいね!
しかも、卜部と丘の百合っぽい二人の空間を演出するためのハレーションの白!


椿が卜部への独占欲を表す赤!


椿が今井百夏の写真集を買って、それを抱きしめる時、カメラが「その感情は嘘だ!」と言わんばかりのモノクローム!(批評的!)


卜部が椿へ独占欲を表す緑!


こういう分かりやすい、シネマっぽさで感情を表現すると、ちょっとした感情の機微にも敏感に反応する17歳の初恋の初々しさが感じられていいね。シネフィルとしての演出技術主義の巧みさにも感心するけど、結局重要なのは初恋の匂いなわけで。それを表現する山内重保さんはやっぱり凄いなーって思うんだよ。映像の原則にかなり忠実。


映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

放課後の道で並んで髪の毛をまさぐる
(下手)椿→卜部(上手)

次の日の昼食で髪の毛をまさぐる
(下手)卜部→丘(上手)

その放課後で髪の毛をまさぐる
(下手)丘→上野(上手)
っていう、カット割りしりとりっていうか、主観人物のバトンリレーのような絵の見せ方も非常に技巧的なんだけど、シーンごとの主観人物を感覚的見せるっていうのは、1.5人称小説のような芸術的効果も生み出してるよね。
技巧的だからと言って、固くならず、感性を強調するのが良いと思うんだよねー。


「謎の彼女X」 | バンダイチャンネル
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謎の彼女X 謎の小説版 (講談社ラノベ文庫)

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