玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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謎の彼女X第6話謎のステップ・アップ 今週のアニメならではの演出

脚本:赤尾でこ コンテ:若林信 演出:若林信 作画監督:高橋瑞香


スクリーンショットを撮るのがめんどくさいので取らないけど。
(録画機械をパソコンとつないでないのでデジタルカメラで撮影と言うアナクロな手法しかない)
今回は演出がまたよかったねー。
構成もよかったけど。
Aパートが原作3巻の「謎のステップアップ」でBパートが原作1巻の第2話「謎の写真」で、実は時系列が原作では前後してるんだが、これを上手くつないでいたのが良かった。
監督がドラえもんの渡辺歩監督だから、原作から取捨選択するのが上手いんだろうなー。

  • 構成

原作2話は確かに唐突に椿明の夢のシーンから始まるので、そこをBパートに持ってくるのが上手い。「卜部の笑顔」をノリシロにして繋げるのも良いねー。
原作ファンとしてはこういう風にアニメ版で軸を作ってくれると嬉しい。原作はある意味、1話完結のドラえもん時空オムニバスだからなあ。
基本的に「彼氏」「事件」「彼女」っていう三題話を毎月やってるような萬画だし。
アニメは1クールだっけ?アニメはストーリーラインを組み上げてる感じだね。
あと、原作で後半になるにつれて少なくなっていく「夢」のシーンを順列入れ替えで交換にも持って行くとか、アニメオリジナルで追加する、って事をして、映像としての面白みのあるシーンを入れ込んで行くという全体構成も良いと思う。

  • 小芝居

僕は富野ファンだから小芝居好きなんだけど、今回は原作に無かった小芝居が多くて良かった。特にAパート。
丘歩子の胸がテーブルの上で潰れる所とか、上野公平が夏休み明けにダラダラしてる所とか、椿が寝がえりを打つ所とか、微妙な所で動画の枚数を使ってるって言うかよく動くって言うか、細かい生活感を出してるのが良いね。
他にも椿が日焼けしてるって言うちょっとしたシークエンスを入れて前回からの続きを味付けしたりね。良いよね。
椿がミンミンゼミについてダラダラ語る所も、ちょっと冗長かもしれないけど生活感が出てる。
アニメは萬画よりも実在感を出した方が良いからなー。萬画は割とシチュエーションに特化して説明的に(?)パキっとした構成だけど。アニメは流れだしね。植芝理一萬画はコマ割りアートって言う側面もあるから、硬質でもあるんだ。扱ってる内容は生っぽいけど。お題にそって話を組み上げるのは結構論理的な萬画でもある。アニメはそこら辺を「芝居」としてもうちょっと生っぽくしてる印象があるね。印象論だけども。

  • カメラワークでの感情表現

これは特にBパートラスト。
id:mattune id:karimikarimi 両氏や、http://nextsociety.blog102.fc2.com/の、おはぎさんあたりだったらスクリーンショットを撮って説明するんだろうし、無職だった頃の俺ならピングドラムの解説みたいに出来たんだけども。上手下手とか。
今日は眠いのでパス。(と言うか平日仕事だから月曜深夜のアニメの感想を土曜に書いてるとかで察しろよ)
椿が中学で片思いをしていた早川さんとの関係のせいで、卜部との距離が離れる所をカメラが横側から追って、二人が一緒に歩いてるのに、椿の方の歩くスピードが遅くなって、二人が別のカットになって、会話シーンで別々に映されて喋る。っていうのが、恋人同士の心が離れた感じを端正に描いてるねー。
(ここで、一回、歩いている二人を前から同一ショットで映して「実際は近づきたいけど」っていうニュアンスもにおわせるのが良いね)
そのあと、椿と卜部が会話するシーンの背景で、原作では意味のない背景だった「フェンス」を効果的に使って、カメラを交互に二人に割り振りして、あたかも「二人がフェンスで隔てられている」ような「心に壁ができた」ような暗喩を出してるのがまた、味わい深いねえ。
んで、卜部が椿によだれを舐めさせたり、椿が泣いたり、っていう所で心が近づいて、また二人が同一ショットに入って、良かったねって言う。
ここら辺は原作を知ってるとカット割りもちょっと予想できたりするくらい、映像の原則に忠実で端正な絵コンテだなー。(笑)
椿に不安感を感じさせる卜部の方が下手だしね。

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)


椿が卜部の写真を撮る時は二人とも中央ポジションになってるので、「椿のカメラを挟んでる」って感じかな?
ま、そこで卜部がどんな写真を撮らせてくれるかな?っていうのが視聴者の興味の対象なわけで、そこでドキドキ感を出すために、また二人が別ショットに分かれる。
ただし、【早川さんの件】で心が離れた時ほどではないので、中央ポジションで二人の関係が対等っぽく見える。
んで、二人が俯瞰でロングで映って、写真を持って並んで歩きながら去るのをカメラが追って、劇終。
これはめでたしめでたし、って感じでもあるし、「カメラマンと視聴者は卜部と椿の二人のラブラブ空間には入れません」っていう視聴者と恋人たちとの距離感でもあるわけ。
それで、相対的に卜部と椿の距離感の近さを演出してるんだよな。端正だなあ。
原作ではここは二人は並んでる絵は無いんだけど。


あと、今回は後ろ頭を映すショットが多くて「視聴者にキャラの表情を見せない」って演出がちょっと多かった。そこは多用すると見にくく感じられるかもしれないけど。まあ、意図は分かった。


そういうわけで、演出オタク的には結構いいですよ。謎の彼女X
卜部の可愛い顔の色気はやっぱり原作の一枚絵の方が出てると思うんで、美少女系を期待するとちょっと微妙なんだけど。そこは作画にもうちょっと頑張って欲しいかなー。謎の彼女X はシチュエーション、演出のフェチと萌えは氷菓や這い寄れ!ニャル子さん を超越してるんだけど、これらの美少女アニメよりも作画がいまいち端正じゃないからオタク受けしにくいんだよなー。動画は丁寧なんだけど。
「美少女の作画は端正じゃないけど、動画は結構よく動く」ってのは渡辺歩監督のドラえもんの影響かなー?うーん。しずかちゃんは簡単な線でエロいんだけども。今後、良作画回があると良いなあ。前回の水着回は色とかが良かった。
植芝理一はやっぱりそういう色気があるよねえ。絵の色気は植芝の方が上かなあ。

謎の彼女X(1) (アフタヌーンKC)

謎の彼女X(1) (アフタヌーンKC)

まー、卜部美琴の美少女度は一巻が一番高くて、どんどん普通の女の子になって行くんだけどね。卜部は最初黒眼が大きかったのに、どんどん三白眼に・・・。ここら辺の原作の絵柄のぶれもめんどくさいよなー。