玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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無敵鋼人ダイターン3 11話伝説のニーベルゲン 戦車道と未来

脚本:吉川惣司 絵コンテ・演出:藤原良二 作画監督:富沢雄三


今回の敵はナチスドイツのロンメル将軍の部下で戦車技術者だった男が90年間冷凍睡眠して復活し、メガノイドになったというヘスラー氏。冷凍睡眠から覚めた彼は第二次世界大戦究極の巨大戦車(長さがダイターンより長い150mくらいある)の二―ベルゲンを開発したものの、目覚めた世界は戦争が無く平和で、戦車を作っても使うあてが無く、しかたなくメガノイドの手先になったという話。
ダイターン3は敵が変なこだわりを持ったオタクっぽいオッサンであることが多く、今回も戦車オタクが理想の戦車を自作して守るという話だし、あと、博士の異常な愛情のストレンジラヴ博士の口癖をパロディにした「ハイルヘッケラー」ネタもあり、コメディー調であるが、SFとして見た場合の本作の世界観をさりげなく解説している回でもある。


第二次世界大戦から約90年後という事で、2030年くらい、本作の放映から50年後くらいの未来が舞台のようだ。次回で人類の火星進出が示唆されるのだが。
次回が2001年宇宙の旅をモチーフにしているため、今回の博士の異常な愛情ネタもスタンリー・キューブリックに影響を受けた富野喜幸監督やスタッフ陣の時代性を感じさせる。


今回はガールズ&パンツァーのように戦車形態のダイタンクに変形したダイターン3が巨大戦車ニーベルゲンの上に飛び乗って戦うという所で戦車道の面白さを打ち出した。もちろん、70年代の作画がへっぽこなのでCGで描写されたガルパンの戦車描写に比べるべくもないのだが。
面白いのは、ダイターン3の世界は平和で、戦車は戦争博物館だけに展示されるだけのもので、もはや実戦に使えるものではない、とされている世界観が示されるところ。本作の未来っぽさや世界的に国家間戦争が無くなり(メガボーグの事件を除いては)恒久的な平和が実現されているとのこと。また、戦争もない割に世界は好景気でみんなが楽しく暮らしている様子。
ダイターン3も戦車に変形してガールズ&パンツァーのように戦車戦をするが、戦車形態は戦闘能力が低く、ダイターン3に変形すると戦車のニーベルゲンを瞬殺した。
本作の世界観では、ロボットや巨大サイボーグや巨大戦闘機が戦闘の主役であり、戦車は時代遅れの技術レベルだと示される。(じゃあ、なんでダイターン3はダイタンクに変形するのかって言うと、それはコン・バトラーV3号機やザンブルやGブルのような玩具の事情なんだろうと思うけど。)
また、戦争博物館というモチーフは富野監督の後年のZガンダムガンダムF91でも使われる。


何故世界は平和になったのか?なぜその地球を捨てて火星に渡ったメガボーグたちは地球に攻撃を仕掛けるのか?
コメディー調の中にそのような疑問が生まれ、第一クールは終盤に差し掛かるのだ。