玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

∀ ガンダム第19話「ソシエの戦争」

http://www.turn-a-gundam.net/story/19.html
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words19_TurnA.html
脚本・星山博之 絵コンテ・斧谷稔/川瀬敏文 演出・北川正人 作画監督・杉光登
脚本・星山博之 絵コンテ・斧谷稔/川瀬敏文って言うことで、メインライター星山さんが方向付けです。
ギャロップとホレス技師官が出たり、ターンエーガンダムのナノ工学が説明されたり、と言ったメカニカルな部分の動きも在る。だが、むしろディアナ様が地球人の女性として掃除や洗濯をしたり、ロランの初めての部下が戦死して、ソシエが戦争の怖さを思い知るっていう気持ちの部分での雰囲気を方向付けてるのかな。
というか、星山さんらしさか。生活感とかねえ。
ヒゲが物干し台にされたり。あれ、ディアナ様が勝手に洗濯をした感じだけど、物干し台はロランがセッティングしたのかな。掘り返した人足の汗ばんだ下着の洗濯だよなあ。
発掘兵器のギャロップでも、中に金だらいが入っていたり、展望台にはテントが必要って言うアナログっぽさ、アナクロっぽさも生活感。
ロランが転んでソシエにバックドロップをかます、っていう重力感覚は斧谷コンテだね。ポゥの舌なめずりや睫毛の強調もコンテかな。ポゥのウォドムが拳骨で部下のウォドムを叱り付けるのも笑える。もちろん、頭を取外して頭をお手玉にして取り付けるホワイトドールとかもギャグだ。
で、全体的にユーモラスだから牧歌的な世界名作劇場ガンダムと言われるんだけど。僕はこの言い方には違和感がある。
戦争の怖さが上手いよなあ。
ソシエが「小さい機械人形を破壊した」って言うところで、ロランがすごく嫌そうな顔をするし、ギャロップの機関砲が暴発する、って言う地味な事故で人が二人も死ぬ。フィル少佐も「先頭はいけないが、後方を爆撃するのは良い」なんて言う。
実際に、死んだ人の死体が出てくるわけじゃないのがターンエーガンダムの上品な部分。かつ、戦争のドライな恐ろしさを伝えてくる部分。
そこら辺を認識できない視聴者は「ターンエーガンダムは優しいアニメだよねー。リアルなガンダムとは違って牧歌的世界名作劇場」ってレッテルを貼るわけだが。いや、わざわざ死を強調してないだけで、殺す事は殺してる。
ソシエがコクピットって言う密室で「死んだお父様の所に行けるから怖くない」って、死人に引かれたようなセリフを吐いてしまうのも、恐ろしいよな。
ソシエは優しい女の子で、ロラン達と一緒にムーンレィスの親子のために牛を運んだりしたのに、モビルスーツって言う密室に閉じこもって戦争ばかりしてると、平気で人を殺したり死んでもいいって言う女の子になっちゃう。怖いね。
ただし、ロランのホワイトドールカプルを子供のように抱き上げて助ける事で、ソシエは死んだディランに引かれた子供から、ロランに守られるお嬢さまに生き返ったとも見える。ある意味、「再会、母よ」のアムロの母離れの男女逆転バージョンかも?「ソシエの戦争」だし。


そこら辺の死や戦争を通じたドラマが、すごくさり気ない。説明少ない。カットの秒数短い。だから、視聴者はあまり気づきにくい。
同時に、ソシエ自身もそういう戦争の怖さには気づいていなかった。
でも、ロランは

ロラン 「機械人形ってパイロットとか人が見えないから戦えるって言いますけど」
ソシエ 「えっ?」
ロラン 「僕、今日はあの機械人形にはどういう人が乗っているんだろうって想像しちゃったんですよね」
ソシエ 「それでも戦えるんだ。すごいんだね、ロランは」
ロラン 「違いますよ。こいつ、ホワイトドールがすごいんですよ」

と、分かっている。分かりながら、戦えるのがロラン・セアック。これ、ファーストガンダムアムロが「相手がザクなら人間じゃないんだ」と対になるセリフだよな。ロランはアムロ・レイ(ファースト第2話の段階)よりも人間的な部分での洞察力は深いのかもしれない?
∀ガンダムには超能力者としてのニュータイプは出てこないけど、戦争をせんですむ人類としてのニュータイプはロランやディアナとして出てるんだな。
そう言う風に人の存在を分かりながらも戦えるのは、ホワイトドールがすごいから。アムロRX-78-2ガンダムは、ニュータイプアムロの戦闘能力を引き伸ばすための道具なんだけど、ホワイトドールのすごいところはそうじゃなくって、むしろ「人を殺したくないロランの気持ちを分かって、殺し過ぎない兵器」というすごさだ。と、今の時点のロランは評価しているんだな。
本当は地球を滅ぼす性能があるんだけど、こういうロランと付き合っていったから、ホワイトドールは最後に世界を滅ぼさないで自分を封印したのかなあ。って思います。ヒゲは明らかに人工知能がついてるし。
んで、前回も書いたことだけど、超能力や戦果って言う分かりやすいニュータイプ能力ではなく、むしろ戦果を出し過ぎないように人のことを思いやれるニュータイプ能力である、って言う事に気付けるかどうかで視聴者がオールドタイプかニュータイプかって言う洞察力を試されているようだ。
で、オールドタイプの視聴者は「∀はぬるい!リアルな戦場の重力戦線を見るぜ!」ってなるんだろうけど、まあ、それは好みの問題で(笑)。


ハリーがキエルの正体に気付いているのも、さり気ないよなあ。本放送ではそこらへんが疑問だったけど、再見の今だったら「今までどうりでいいではありませんか」って言うのは、確実に気づいてる、って視聴者に気づかせるセリフだ。
でも、俺はオールドタイプだからリアルタイムの一回目では理解できんかった。何度も言うが、∀ガンダムってニュータイプは出ないけど視聴者がニュータイプかどうかを試すガンダムだ・・・。
もう、メタ過ぎる。


あと、何気に「ガンダム」って言う単語を一番持ち出してくるのは星山回だよな。「コレン、ガンダムと叫ぶ」とか。
黒歴史を知るディアナ様がギャロップの名付け親と言うのも意味深長。
ここら編は、メインライターとして企画の根幹である黒歴史を強調している部分か。それとも、機動戦士ガンダムのライターのこだわりか?
ガンダムが「宇宙移民者いじめの敵」って言う神話だと評されるのも作品の神話性の根幹部分だな。


ところで、
ディアナ様って美人だなー。金髪はプラチナブロンドだけど、睫毛は黒い。マスカラつけてんのかなー?
あと、ディアナ様が洗濯する時、髪の毛がちょっと短くなって動きやすくなってるんだけど。縦ロールの巻き加減を調節したの?こんな野外で。良いワックスを使ってるのかねえ?
っていうか、ディアナ様がかわいい。
ソシエちゃんの顔の表情もコロコロ変わって可愛いなあ。「ここがわたしのいるところ!」かわいい。
あと、「お姉さまのお尻を追っかけてる」
「…、ロランのお尻にくっついて、ロランのホワイトドールの扱い方をきちんと見ましたからね」
っていうやり取りも粋で楽しいね。