玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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∀ ガンダム第24話「ローラの遠吠え」

脚・高橋哲子 コンテ・金剛寺弾/斧谷稔 演出・南康弘 作監・しんぼたくろう/中田栄治
うむ。面白いな。
超面白い。やっぱり富野ガンダムは最高。
ちょっと聞いてくれよ>>1よ。24話とはあまり関係ないんだけどさ、この間ガンプラが置いてあるバーに飲みに行ったわけよ。ガンダムバーじゃないんだけど。マスターがガンダムファン。
せやけど、ファースト〜逆シャアと0083好きだから、「∀なんかどうでもいい。アムロとシャアの確執だけがガンダム」って仰る。それってもったいなくね?って思うんだけど、マスターの世代にはそう言う感慨もあるんかなあ?
↓参照

やはりファーストが好きだからこそ、そんなものは見たくなかったのである。

一応嫌ってばかりじゃいけないかなとΖだけは15年ほど前にビデオを借りて来て見てはみたが、そんなにおもしろいとは思わなかった。ΖΖも見ようとは思わなかった。俺はカミーユが見たいんじゃなく、アムロとシャアが見たいんだと、強く思った。WやXはちょうど暇な時期だったのでちらちらとは見てたけど、やっぱり紛い物という印象しかなかった。


そういう思いが変わったのは、ふと∀ガンダムを見てからである。

∀ガンダムはおもしろかった。素直におもしろいと思えた。そして終盤で明かされる「黒歴史」の正体。

ああ、富野はすべてのガンダムの名を冠する作品群に、これで完全に決着を付けたんだな、と思った。富野自身の失態もあったろう、手が離れて意味不明のものになっていったものもあったろう。だがそんなものはすべて黒歴史のうちの事なんだ。


そう思ったら、もう気軽にガンダムモドキたちを見ることができるようになった。0080も見た、0083も見た、ΖΖも見た、08小隊も見た。新訳Ζは映画館で見た。SEEDだって、黒歴史のうちのことと思えばどうということもない。そのうち時間を作って、VやWやGやXも見ようと思ってるし、秋から始まる00もたぶん見るだろう。

狐の王国 ガンダム好きにボトムズとイデオンが必須なのか?

やっぱ、黒歴史って言うのはすごいよなあ。ターンエーガンダムって初代機動戦士ガンダムファン世代からは見られ難い作品だったらしいけど、ファーストガンダム世代こそ見るべき作品だと思うのだ。
っていうか、若造の僕も黒歴史を知るために今までのガンダムを全部見たわけだし。
せやけど、ターンAガンダムって素直に面白いアニメでもあるんだよなあ。ガンダムって言う固定概念に囚われていたら、そりゃあヒゲだし、ほとんど地上だし、昔っぽいし、違うんだけど。でも、トミノっぽさはすごくあって面白いわけだ。
で、それはどういうことかというと、富野の演出が行き渡っているようだからだ。



http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words24_TurnA.html
http://www.turn-a-gundam.net/story/24.html
公式サイトのあらすじを読んだ所、かなり話が違うような・・・?と、毎回思うのだ。
ソシエとギャバンの結婚をグエンが「アメリア合衆国」建国に利用しようとしている、っていうのが変わっている。
アニメでは

ギャバン「我が主ボルジャーノ公はミリシャの分裂は望んでおられん。ルジャーナ、イングレッサのみならず、大陸のミリシャ全てを結集して戦うおつもりである」
エイムズ 「それで、ハイムのお嬢さんをお嫁さんにしたいんですね」
ギャバン 「バカめ、それとこれとは話が別だ」

ヤーニ 「ルジャーナの奴と結婚するなんてけしからんじゃないか」
ジョゼフ 「人の好き好きって他人にわかるもんですか?」
ヤーニ 「くうっ、くっ、イングレッサの若い連中は何をしておったのだ?」
ジョゼフ 「ヤーニ軍曹は何をなさっていたので?」
ヤーニ 「じ、自分は戦争の事しか考えておらん」

リリ 「いいじゃないの、機械人形の乗り手同士馬が合ったんでしょ」
  「ね、グエン様」
グエン 「はい。幸せになりたい者の恋路を邪魔するのは、無粋というものです」
リリ 「父だって、私がグエン様のお手伝いをするのを大目に見てくださっています」
マリガン 「いや、その件に付きましてはお父上は」
リリ 「おだまり」

っていう点描になっていて、グエン・サード・ラインフォードは合衆国の意図は持っていだろうけど、そういう政治的なことやストーリーの流れを説明するセリフは口に出さないね。むしろ、ソシエとギャバンの恋に関して反応する人々の感情に重点を置いて描いている。
おそらく、公式サイトのあらすじは脚本で、絵コンテや演出段階で富野由悠季監督がストーリーよりドラマ優先に修正しているのだろう。
∀ガンダム - Wikipedia
絵コンテは連名を含めて23回。半分近くに富野コンテが。
単独では5回。
ちなみに、機動戦士ガンダムZZでは、富野コンテは22回で、全て連名。
∀での富野はZZと同じく修正役として雰囲気つくりを統一していたのだろう。ここらへんはkaito2198さんの記事に詳しい。

ガンダム:脚本1本、コンテ26本(43話
イデオン:コンテ14本(39話
ザブングル:コンテ5本(50話
ダンバイン:脚本1本、コンテ5本(49話
エルガイム:コンテ5本(54本
Zガンダム:脚本22本、コンテ7本(50話
ガンダムZZ:脚本2本、コンテ22本(47話
ガンダム:脚本2本、コンテ5本(51話
ブレンパワード:脚本10本、コンテ5本(26話
∀ガンダム:脚本1本、コンテ23本(50話
TOMINOSUKI / 富野愛好病 富野のZとZZでの役割(下)

まあ、ガンダムイデオンも多かったので、むしろ∀はそちらの方に戻ったのだろう。
∀では、原作のコンセプトや大まかなラインを提示して、脚本ではライターのチームでブレインストーミング(小説版も2本出て、解釈が細かく違っているので、細部の物語には富野はあまり触れていない様子)、で、絵コンテでそれを統一するって言う流れなのだなー。
そこら辺の雰囲気のよさが∀のよさなのだろう。
反面、公式サイトの脚本段階のあらすじを読んだほうが、俯瞰としては状況が把握しやすいって言う面もある・・・。だから毎回あらすじを読んでるのだ。
本放送時も、俯瞰の状況がよくわからなくて混乱していたからなあ。しかし、妙な力強さは感じていた。それに、∀の人々の勝手な言動を繋ぎ合わせていくと、結構俯瞰が見えてきたりするんですよね。
グエン卿ははっきりと「連合のためにソシエとギャバンを結婚させよう」とは言わないけど、反対しているマリガンに「幸せになりたいものの恋路は邪魔するな」と、遠まわしな賛意を言い、次にリリ様がイングレッサのグエンに協力していると言い、シーンが変わってハリーが「ミラン執政官が個人的にグエン卿に接触して聞いたところでは、ルジャーナの領主を立てて、アメリア大陸を合衆させようとしているのです」と、ディアナに扮したキエルに伝える、という芝居を見せている。
グエン本人の言質は取れていないが、点描を繋ぎ合わせると、ぼんやりとグエンの思惑が見え、俯瞰風景に繋がるのだ。ここらへんのサブリミナル効果のように視聴者の無意識を操作してくる技法はすごいなあ。
機動戦士ガンダム00は俯瞰の政治情勢と個人の因縁がブロック的になっていて、オーガニック的に繋がっていないように思う。やっぱり、富野だなあ。


それと、映像面でも面白い。
CGの使い方が地味に面白い。基本的にアナログのセル画なんだけど、モビルスーツに沿ってカメラが奥から手前にズームアウトしたり舐めたりする場合、モビルスーツの部品ごとに大きさがモーフィングで変化して、3Dとはいかないまでも2.5次元ぽい効果を生み出していて、おもしろい。
こういうのが、アクションシーンや日常シーンで少しずつ、効果的に使われている。

これがまた、モビルスーツの巨大感を表現していて、とてもガンダムらしい。
まあ、巨大感をアピールしているガンダムはファーストと∀くらいだったりするんだけど。
(あとはGの市街戦くらい?)
そこらへんの雰囲気は好きだけど、その分モビルスーツの破滅的な暴力性破壊力も雰囲気として常に脳裏に刷り込まれるわけ。ソシエとギャバンが和やかに会話しつつ、寝そべって待機しているボルジャーノンの脇を歩いているところで、ザクの異常な巨大感を主張していて、恋人たちの末路を暗示させる。(これは26話だったか)

演出と作画とテーマが一体に成っていて、それこそがディレクションの妙だよなー。
ま、前世紀末のアニメと言う事で、まだフルデジタルではないので、CGを使っているシーンはあからさまに質感が異なっているんだけど。
でも、CGのシーンの方がテクスチャでザラッとした感覚に変えていて、CGのノッペリとした感じを消している。こういう感性は数年後のZガンダムのエイジングに繋がってるんだなあ。と。


演出の話ばかりで、24話について書いてなかった。
えっと、レット隊がニセ∀で暴れる話です。もう、ロボットアニメとしてベタ過ぎる。ヒゲがブーメランになるところとか、皆が冗談で言ってる事を本家がマジでやるんだもんナー。
で、そう言う冗談もありつつ、なんで暴れているかと言うと、補給線が延びきって食料不安になったディアナカウンターの雰囲気が悪くなって、レット隊を差別してMSの整備をしてやらなかったり差別的発言をしたりして追い込んで、レット隊は名誉を回復するために食料強奪と言う汚れ仕事をする。というイヤーな話。
レット隊が明るくて粗暴でオバカな集団で無ければ、本当にイヤーな雰囲気になっていたんだろうな。
レット隊が月を見て踊り狂うのは、隠れキリシタンが隠れすぎて明治時代にキリスト教が解禁された時にもはや別物になっていたような感じだ。


それから、レット隊がフラットを使うのは、先行地球帰還者としてのロランの鏡像でもあるという事。だから、今回は「ローラの遠吠え」なのだ。
ニセ∀に乗ったキャンサーがローラを騙って遠吠えをするって言うことも同じ。ロランはムーンレイスとしての自分の闇の部分と戦っているという要素もある。(レット隊は闇だけでもないんだが)
では、ロランがなぜ、レット隊のように暴虐を働かないのか?レット隊との違いは?というと、やっぱりお嬢さまの存在だよな。
ロランもレット隊もディアナ様を崇めている。でも、ロランはディアナ様にそっくりなキエルさんに地球でであって懸想したり、ソシエに構われたりビシニティの地域に溶け込んでいって地球人としても安定したんだよな。
レット隊は地球にいても月しか見てないから。
あと、レット隊は地球から遠くの月を見ていたから、今のムーンレィスとも異なっている。
それはロラン・セアックとの関係でも同じで、ロランは今は世を忍んでいるディアナ・ソレル様と親しく会話をする立場にある。それで、地球に同じ面しか向けない月のようなディアナ様の偶像ではなく、ディアナ様の可愛い部分も見て、萌えてる。うん。やっぱり美女萌えは大事。
あ、あと、萌えだけじゃなくてディアナ様の悲しみとかもロランは受け止めてるっぽい。えらいな。
結局、人とのつきあいが大事という話なのだが。


だけど、どこだったか忘れたけど、あきまん氏が視聴者の「ロランいい子。みんなロランみたいになれば平和になるのに」っていう発言に答えて
「ロランが10人いたとして、全員にはディアナ様は与えられないから、平和にはならんかもしれない」とおっしゃってた。
それを見た時はよく意味がわからんかったけど、今回のレット隊はディアナ様を与えられなかったロランだったのかもしれんのだ。それは荒れるよなあ。
まー、ロランはもともと優しい子でもあるんだけども。


で、そこら辺のことをご覧になられたディアナ様は「わたくしの罪なのです」と仰る。自分が大衆のアイドルになっているから、自分を慕うレット隊が暴れたり、一緒に地球に降りたディアナカウンターが暴走したり、ロランが苦労したりするんだと思し召す。
だから最後に「わたくしは一度月に戻らねばなりません」とだけ言い残して、ロランの前から勝手に姿を消してしまうのだ。ディアナ様は。自分がいないほうがいいと思って。


でも、別れ際にロランの手を取って、秋風の中でワルツを踊ってやる。このシーン、すごくゾクゾクした。美しい。っていうか、ロラン的にはディアナさまの腰に手を回して踊るなんて幸せの絶頂に違いない。
でも、次の週にはディアナ様はどっか行ってます。
別れ際に餌を撒いてから出奔して、ロランを心配させる。当然、ロランはディアナ様を探して単独行動。
ディアナ様の愛されぶりはものすごいな!メチャクチャです。
しかも、当人はいたって真面目に「わたくし一人の罪だから、私が自分で何とかしなければ」と考えて極端な行動に出るお姫様なのだ。だから周りの人がついつい助けてしまう。
もう、どうしようもないな。
でも、にくめないんだよなー!だって、ディアナ様だから!


そんな天然愛され姫のディアナ様は、ギャバンと付き合ってるソシエさんにビンタ。ひでえ。

ソシエ 「なにさ、使用人のくせして」
ディアナ 「ソシエさん」
ソシエ 「なんですか、お姉さま?」
ディアナ 「いつまでも、そういう言い方は失礼でしょ」
ソシエ 「わかっているから私だってがんばって…」
ミリシャ士官A 「高射砲隊を布陣させる」 (群集でソシエの声が聞き取れない)
ビンタ
ソシエ 「…ぶったのね」
ディアナ 「はい。そんな不純な動機でギャバンさんと結婚するというなら、今度はお父様のお叱りだと思いなさい」
ソシエ 「いじわるっ!」

ソシエが頑張ってギャバンと結婚する理由って言うのは、イマイチわからんというか隠されているが、ロランの気を引く当て馬にしてる?ロランが成長したから、自分も背伸びして大人の男と付き合いたいと思っている?バージンを捨てたい?
ま、どっちにしろ恋の駆け引きみたいな所があるっぽい。で、ディアナ様は天然だからそれが不純だとお考えになってビンタ。
1000年生きてるくせになあ。
富野監督も「ディアナは100回初恋をしている女かもしれない」って言ってる。100回恋をとっかえひっかえしてるんじゃなくて、初恋をしてるんです。いつでも本気。いつでもバージン。
どんだけー。


っていうか、ソシエちゃんがかわいそうすぎる。
あと、ハリーがディアナ様と久しぶりに会った後、ハリーのことが好きなキエルさんが自分に距離を置くようになったんじゃないかって心配したりするのもかわいそう。
ディアナ様は愛されすぎて周りを引っかきまわす(笑)
やっぱ、富野ガンダムはメカとか政治とかも面白いんだけど、こういう恋バナが面白いと思う。


最初に書いたガンダムバーでは、僕とマスターの他に女子大生も居たんだけど、女子大生的にはメカの話よりも恋バナの方が盛り上がったし。イセリナはバカな女らしい。そうだね。
あと、シャアザクはピンクで可愛くてシャア専用ズゴックはピンクでずんぐりむっくりで可愛いらしい。そうかなあ。