玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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∀ガンダム第47話「ギンガナム襲来」

脚本・高橋哲子 絵コンテ・西森章/斧谷稔 演出・西森章 作画監督佐久間信一
http://www.turn-a-gundam.net/story/47.html
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words47_TurnA.html

ついに月世界の御大将、超未来の織田信長第六天魔王ことギム・ギンガナムが地球征服に乗り出した!
うわーっ!
宇宙戦争だ!クラゲ頭のロボットがアメリカの各都市を襲撃しています!
ぎゃーっ!
でも、今回ギンガナム先生は出ません。
ずこーっ!
コミケで新刊がないから欠席したブースみたいな感じですね!ぎょふん。
「使徒、襲来」で使徒がこなくて自衛隊が責めてきた感じ。それはちがうか。


むしろ、今回はまたしてもパン屋のキースと政治屋のグエンの戦いといったほうがわかりやすいんじゃないでしょうか。
「キースとグエンの長い夜と夜明けの闘い」って感じ。
この二人の因縁も長いですね。


コレン部隊にノックスが襲撃された時、グエン・サード・ラインフォードは自分の首都と自治権と財産を失い、キース・レジェも同時に自分のパン屋と財産を失った。
疎開中のキースが過労で病に伏せったグエンの車を助けたこともあったし。
実業家になって中立緩衝地帯でディアナ・カウンターにも地球のミリシャにも商売をするようになったとき、キースはグエンを「戦争を面白がっている男」と言ったこともあった。
王子と乞食、というわけでもないが、この二人もキエル・ハイムとディアナ・ソレルのような寓話的対比になっていて面白い。貴族のグエンと、プロレタリアートあがりのブルジョアジーのキース。
地球国家のため技術革新を目指すグエン、家族を養うためにモビルスーツを売り払ったり敵の技術者を雇用したりするキース。
こういう視点はとても良い。


それにしても、今回のキースはすごくコードギアス 反逆のルルーシュ福山潤ですね。

「ギンガナム隊のマヒローが、なんでベルレーヌを傷つけるんだ」
「ちきしょう、お前達が地球にまで来ることはないだろう。ムーンレィスに地球人を傷つける権利なんてない。こんな事をしたギンガナム隊を許しはしない!」
「どうすりゃいいんだ。戦いが生き甲斐の奴らに対して、俺はなんの力も持っちゃいない」

テラギアスwww
ムーンレィスをブリタニアに置き換えたらそのままコードギアス
あと、キースはキレたり心配したり議論してるのに、寝込んだベルレーヌには超優しい。
キースがすげえイケメンなんですけど。


で、力を求めているジュンジュンことルルーシュランペルージことパン屋のキースの前に、枢木スザクとC.C.ならぬ、3組の力を持った来訪者が一晩にいっぺんに現れます。
キースはどの力を得るのか?

  • まず一組目は、グエン・サード・ラインフォードの飛行船

ギンガナムのパートナー?のメリーベルもいるよ。
彼らはキース・レジェがパン職人や工員として雇用している訳ありのムーンレィスの技術者の力を借りにきた。代わりに、中立地帯の身の安全を保障するという。「北風と太陽」の話を引用するグエンだが、空爆しておいてから「協力すれば安全を保障する」という。グエン・ラインフォードはアメリアのお殿様である。


マニューピチに残ったホレス技師も、いつの間にかキースのパン工場に身を寄せていた。
ターンエーガンダム全記録集1巻での星山博之さんたち脚本家や河口佳高プロデューサーの座談会インタビューで、
星山さんが「富野さんは別々の場所や陣営にいる筈の人を一箇所に勢ぞろいさせちゃうんですよ。ドラマを作るんだと言って。
でも、それで人の顔が見えてくる。あと、不自然さをねじ伏せる力押しの演出で面白い」という。
まあ、グランドホテル形式といってしまえばそうなんだよね。今回はキースのパン工場がグランドホテルです。
グランドホテルは日芸の後輩でもある三谷幸喜が得意とする手法。富野監督も「僕に才能があれば三谷幸喜には好きにさせないのにっ」って言う。
それにして、新三銃士のミレディがすごく・・・テテス・ハレさんです・・・。
アニメ三銃士のミレディはこんなの↓
http://kurukuru170.blog78.fc2.com/blog-entry-99.html
閑話休題
ホレス・ニーベンたち技術者にとって、地球でパンを作るというのは、月のメカニカルな世界では味わえなかった生の仕事のやりがいなのか、イースト菌や焼き上げ釜を研究するのは逆に技術者冥利に尽きるのか。まあ、働いてて偉い。
ホレス役の掛川裕彦さんは0083のコッセル、Vガンダムのオイ・ニュング伯爵、ガンダムXのグラント議長やちびまる子ちゃんの先生など、ガンダムシリーズには地味にたくさん出ている。
閑話休題


で、なんかグエンとの提携については、時間を置いて返答するということで、グエンは帰った。
キース 「いきなり月まで行って帰ってくれば、ギンガナムもあやつれると思っちゃうんでしょうね」
ホレス 「ああ。御曹司が覇権主義にとらわれましたか。それも悲しいな」

  • 2組目、地球に残ったルジャーナ・ミリシャとジャラピー部隊のモビルスーツ

ギンガナム隊とディアナカウンターの攻撃でモビルスーツの生産工場を失ったルジャーナミリシャのマリガン中佐とジャラピィ部隊を率いているジョゼフ・ヨットがキースの工場を来訪。
マリガンに対して、ジョゼフがキースは恋人と同郷のムーンレイスだという事を密告した形。ジョゼフもマリガンも追い詰められているということ。彼らはギンガナム隊の情報提供を求め、拒否したら暴力を振るうという構え。
そこへ

ああ、すごい。
グエンは交渉のため、一応飛行船で乗りつけた。兵隊付で
マリガンたちはモビルスーツ部隊。
ディアナ様はモビルスーツを満載した大型宇宙戦艦です。一番重装備ですね。
でも、ディアナ様の船にはかわいい鯨さんが描いてあります。かわいいですね!
でも、超大型メガ粒子砲を積んでいます。キースは警戒します。
でも、キースの友達とジョゼフの恋人と綺麗なお姫様も積んでいます。リリ・ボルジャーノ様がいればマリガン達は一瞬で恭順する。
もうね。
地球に戻ってきて満面の笑みのお嬢さんたちには敵いませんよ。

それにしても、このソシエちゃんの満面の笑みは良いなあ。ロング作画だけど。リリ様まではカメラがパッと横に振れて、リリ様がしゃべりながらゆっくりソシエちゃんが見えるカメラワークがすごくいい。
富野コンテだから?
最近他の戦闘アニメとかが怖くて見れなくて、ターンエーのこの回と充電ちゃんの水着回ばっかり10回くらい見てたんですけど、見飽きないんですよね…。
ちょうど生理的に動きが欲しいな、と思ったときに動いてくれるし、カットが変わるし、メインキャラの台詞が4秒くらいと長くても、後ろのキャラの芝居が入る。視線が退屈しない。絵画的な楽しみ方がありますね。充電ちゃんは絵画的に主題が明確で良いですね。
リーベルがアクロバットをする後ろで鳥が飛んでいたりねえ。
さきまくらへの憧れかもしれませんが、富野監督も萬画家志望だったんだよね。
あきまんさんもターンA画集で「ターンエーガンダムのDVDジャケットの富野監督による構図案は見ても意味がわからないが、描いたら分かる富野構図」と書いてた。富野構図良いね。

>アニメ感想・評論系ブログの執筆者の方々で、大袈裟にキャプチャー画像を使い、

>「上手=心理的に上、下手=心理的に下、俯瞰=抑圧、仰角=威圧」

>みたいなことをやって喜んている人は、滅んでも構わないんじゃないかな。

>というのも、そんな原始時代の単純な論理で現代アニメのカットは割れないからです


>あるアニメ作品のあるカットのキャプチャー画像を貼って、

>「これは〜という技法です・歴史的には〜などが使用しています、

>もしかしたら〜の象徴かもしれません、いやあそれにしても××さんは凄いですね」

>というフォーマットにのっとってブログを書けば、誰でも人気アニメブロガーになれます。

                             ――   無名の天才演出家 K
http://d.hatena.ne.jp/mattune/20091213/1260664420
http://d.hatena.ne.jp/mattune/20091213/1260664421

という話もありますが、まあ、えっと、単に僕がトミノちょうおもしれーって思っただけですから。
映像の原則も、自己矛盾の塊(だからこそ応用が利く原則)ですし。
あと、僕はぼんくらなので富野由悠季の名前を覚えたのもキンゲからのヌルオタ。若手演出家が覚えられないのも仕方ない。名前は覚えてなくてもクソおもしろかったアニメはなんとなく覚えてたりもするわけだから、若手は子供のトラウマになるアニメを作って10年後に評価されれば良いよ。
Vガンとか。



閑話休題


えっと、ディアナ様がすごくかわいいという話だったな。
ディアナ様はキースの名前を覚えていて、親しく話してくれる。キース感激。
あと、リリ様もかわいい。
リリ様はキースの恋人を心配してくれる。キース感激。
ディアナ様も装甲車から顔を出し、キースのパン工場を守るための闘いの陣頭指揮を執る。ディアナ様が陣頭指揮を執るなど、もはや政治としてはグダグダで元首の権威もへったくれもない状況かもしれない。
闘いの結果として、キースのパン工場は全焼するが、そんな風に体を張って守ってくれたお姫様たちにキースは「工場もなくなったし、こうなったら俺だって戦います」と協力を申し出ます。
北風と太陽ですね。まさに!
しかし、自分も戦うというキースに、お姫様たちは「中立を守るために、これからもパンを焼きなさい」と言う。
力を欲しがっていたキースは結局、何度店を壊されてもパンを焼くしかないのです。
手に余る力を持ったら、キースはウィル・ゲイムIII世の二の舞になるしかなかったでしょう。


ルルーシュもC.C.から「うまいピザを焼くギアス*1」をもらえばよかったのにね、結局「手に職、足にも職」というはれときどきぶたのおはなしだったのさ・・・。

  • 職はないけど知恵のあるグエン

はい、キースと対になるグエンです。
グエンはお殿様です。経営者です。彼本人にはあんまり技術はありません。
「何をするか」ではなく「誰をどう使うか」と言うのがお仕事です。それは上手い。
リリ様はそれについて「良いも悪いもないのでしょう」と言う。
ただ、グエンはホント、最近人望がない。経営者に人望がなかったら駄目だろ。
ディアナ様と敵対するのは、元々敵だったのだからいいが、自分の側近以外には通知せずにギンガナムと手を組んで、勝手にウィルゲムの乗員を二分してしまう。
「一緒に来るかどうかは、くじ運のようなものにかけてみた」とグエンは言ったが、それは通知しなくても、いつも自分の近くにいたものしか信用しないと言うことだ。
ロラン・セアックだけは自ら呼んだが、ロランはそういう情のない人が一番嫌いな子です。嫌われた。
地球に下りてから、グエンが一時は指揮をしていたミリシャを、グエンと同盟したギンガナム軍が潰していく。
グエンは、もう、わざと嫌われたいと思ってやってると思われるような所業だ。
そして、グエンも何事も裏目に出て、げんなりしている。
それだけ、ギンガナムがヒドいということだ。
だが、グエンも急ぎすぎた。根回しが得意な人が、根回しをやらずに、持っている人望を捨ててギンガナム軍と同盟。だめだなー。
ただ、あのタイミングでなければ、ギンガナムはクーデターを起こせずにターンXを女王に献上してしまった。
ターンAも平和利用の名の下に解体され、なあなあのうちに黒歴史はまた封印され、グエンはディアナ女王とルジャーナ公の平和条約の仲介役をやっただけで終わる。
それが一番平和で良いのだろう。だが、そんな中途半端な終わり方ではグエンは納得できず、話数は残っているw
ターンエーガンダムの構成はリレー小説みたいな所があるしなあ・・・)
ま、それは楽屋落ちとして、グエンはアビエイターレオナルド・ディカプリオが演じたハワード・ヒューズがモデルなので山師としては賭けたら止まらなくなる瞬間があるって事だろう。
ギンガナムとターンXというヤマに賭けるにはあの瞬間しかない。女王の宮殿から退席するギンガナムをスポーツカーで誘いに来た時のグエンは輝いていた。その賭けで彼は頭がいっぱい。
ああ、なんと愚かで面白い男か。


あと、彼はアメリア合衆国の大統領になりたがっていたから、ルジャーナ公を排斥したかったと言うのもあるのだろーか。
グエンはイングレッサをフィルに抑えられ、アメリア諸侯の合衆はルジャーナ公を中心になってしまった。ウィルゲムの渡航で、グエンはルジャーナ公の名代のリリ・ボルジャーノの補佐と言うのが公的な位置。実質的にはグエンがZガンダムのパプティマス・シロッコのように女を立てつつ指揮をしていたから、それでよかったのだが、宇宙に出てニュータイプ的な感性を得たリリ嬢がいつの間にか政治力を発揮してアグリッパと交渉したり対決し、ディアナとも友情を育んだ。
これではグエンは本当にただの補佐役で終わる。
それがいやなグエンはお殿様だねえ。


結局、エゴを出したと言うこと。
グエンはミリシャの戦闘意欲や技術者の意欲といった、個人のエゴを操縦するのが上手い人だった。
それが、最後に自分のためだけに、賭けをした。


ディアナ様が前回にムーンレィスの協力を得て、今回も味方を得たのは、誰よりも自分を捨てて損をしに行く、死に行く王であったからだろう。
ノブレスオブリージュ、本当の月のお姫様!
東のエデンだなあ。


あと、ディアナ様が単にすごく美人と言うだけでもあるね。
戦艦の上のグエンに高いところから「協力しろ」と演説されるより、お姫様に駆け寄られたほうがうれしいもん。グエンは駄目だなあ。

  • 副官萌え

親衛隊のコンドラフト萌えーっ!
これだよ!ガンダムは!
ハリー・オードはシャア・アズナブルの位置の仮面キャラで、親衛隊隊長という華々しい役職だったのだが、むしろ彼自身が女王の副官だったので、今まで親衛隊の隊員が出てこなかった。
だが、ファーストガンダムを見れば、シャアにはドレンやマリガン、ランバ・ラルにはハモン、マ・クベにはウラガンっていう副官がいた。
∀でもフィルにポゥ、ミハエルにヤーニがいたり、けっこうコンビを組むキャラがいたんですけどね。
やっと終盤になって、ハリーが隊長さんらしく部下を使いながら戦っている・・・。コンドラフトとの連携でマヒローを撃墜するとか、いい。
これが見たかったんだよな。
コンドラフト自身も生真面目でいいキャラだ。

前回、人殺しを覚えたロランが、今回は∀ガンダムの機体を奪うため、被害を最小限にするためにメリーベルの乗ったコックピットだけを狙ってミサイルを撃った。
リーベルは前回殺された、初陣のズサンパイロットよりは修羅場に慣れている。
ロランのミサイルを迎撃するためにビームライフルを撃つ。
それがホエールズに当たりそうになり、ハリーとホエールズがバリヤーを張った。
飛び散ったビームでキースのパン工場全焼。
ロランのせいじゃん。
だが、それは誰も意図できないし、なぜそうなったかをロランも良く分かっていない。
おもしろいなあ。
アニメって、意図で作るもので、たいていストーリーを構成してつくるんだけど、ターンエーガンダムってこういう偶然をやっちゃうんだな。
キースがとばっちりを食うのは重要なオチの構成なんだけど。
イデオンとかはイデって言う運命をつかさどる神様がいた。そこで高千穂遥が批判したり。
高橋哲子さんは「ブレンパワードはブレンが正しいって思えたら楽だったけど、ターンエーは善悪がないから難しい」と言う。
でも、イデは成仏に失敗した烏合の衆でもあるし、ブレンもオルファンに恨みをぶつけるところはあったしなあ。
富野作品には絶対者はいないと思う。
で、ブレン以降、構成に偶然の事故が介入する割合が増えてる気はする。
いや、人生なんてそんなものだよ。そうだよねえ・・・

  • 最後に今回のディアナ様最萌えシーン

グエンとの演説、論争シーンが今回の山場のひとつだ。
ディアナ様が「ディアナ・ソレルです。ウィルゲムが、そのウィル・ゲイムが猛々しい姿を見せれば、人はささくれだつものです」と、わざわざウィル・ゲイムと言い直す。
そこでロランが引き継いでグエンに「その船はウィル・ゲイムさんが掘り出したものじゃないですか!」と吼えた時、ディアナ様はかつての恋人を思い出してショックで息が止まる。そして、後ろにいたキエルに無意識に手を伸ばし、バトンタッチする。
その手を取るキエル。
ディアナ様・・・!

  • 次回は

お題を3台に絞ろう。
今回もグエンとキース、ディアナ様についてしか書かないつもりだったのに。。。

*1:食べた人のリアクションが味皇になるギアス