玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ヱヴァンゲリヲン 破 ネタバレ感想1 雑感×シンジ×レイ

エヴァンゲリオン 公式サイト
日曜日に、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破を見に行った。2回とも拍手をした。
上に書いてあるが、いつものように、あらすじは書かないが、ネタばれはする。
まずは、ネタばれ以前の所感。というか、劇場の雰囲気。
 
 
 
劇場は超満員。
俺は昨日、氷川竜介先生の講義を聞いた帰りに座席を予約したから余裕で座れた。
1回目は2階席からスクリーン全体を見て、2回目は最前列で映像の迫力を独り占めした。(こうすると映画の中に入った気がするので、映画はこうするのが趣味)
池袋サンシャインの最前列は他の映画館よりもスクリーンに近かったので首が疲れた。次からは3列目くらいにしよう。
若い子が多かった。
僕は生まれた時にめぐりあい宇宙、ウルトラ再放送やSDを経て小学6年でVガンダム、14歳で新世紀エヴァンゲリオン、17歳で∀ガンダムというジャストフィット世代なんですが。
だから、前のエヴァンゲリオンはまさに自分と超シンクロする映画だったんだけど、今回の映画は自分のための映画と言っていいのかどうか、結構悩んだ。
以前はシンジ君たちと同じくらいの身長だったのに、今は彼らが小さく見えるんだ。
新訳機動戦士Zガンダムの時は、もともと自分の世代のための映画って言う感じよりは、同じような病気の人が立ち直る映画って思っていたので、それはフィットしたんだけど。
ウエダハジメとかの世代は新訳Zガンダムに対して、僕が感じたような寂しさを感じたのだろうか?
いや、碇シンジ君や惣流・アスカ・ラングレー改め、式波・アスカ・ラングレーの心が前向きになるのはいいことだし、人間として頑張るのは人間らしくていい傾向だと思う。
だけど、当時の俺は「シンジ君は『習っていたチェロだって何にもならなかったんだ!』と自分の個性を自分から捨てることで、世の中の何にもできないぼんくらな視聴者の少年にシンクロする普遍性を手に入れたんだ!」とか語るイタイおたくだったのさ…。
でも、富野由悠季監督が「アニメばっかり見てたら馬鹿になるぞ!と現実の視聴者に言うためにキャラクターを狂わせるのは物語として片輪だった」が言うような感覚を、庵野秀明監督も持っていたんだろうなあ。

 
 
その結果、むしろ、今の中高生のためのアニメになっているようで、それは良かった。うん。いいんじゃないかなー。僕と同じくらいの年のオタクもいたけど、中高生のおしゃれ系なボーイズアンドガールズもいた。20代の普通っぽい人もいた。
生まれた時にエヴァって言う中学生もいるんだよな!
貞本義行マンガエヴァンゲリオンのおかげか、14年前からの本編を踏みにじるようなデザインのおしゃれフィギュアとかグッズのおかげかもしれないし、ゲームやDVDのおかげかもしれない。
パチンコから入った人も多かったんだろうなー。
つーか、見終わった後に「エヴァ初号機マジで確変しすぎ」とか言ってるファンがいて吹いたwww
いや、これ、アニメだから!
パチンコじゃない!パチンコじゃない!アニメのことさー♪
でも、実際、初号機はいろんな確立を変動させてたよね。
あと、「分かりにくい」「2回見ないとわからない」って言う声をたくさん聞いたけど、前のテレビシリーズに比べたら全然分かりやすいですよー。説明も多かったし。ネタに走った捨て伏線もあんまりなかったし。
まー、僕が富野信者になるまではエヴァ厨で、フィルムブックとかアニメージュとかを思春期の記憶力マックスの脳みそに叩き込んでいた男だからかも知れんが…。
でも、「エヴァってなんか謎がちりばめられてるっぽいから、『わからない』って言うのが作法かなー?」と思ってる人がいたら、ちょっと待ってほしい。
「シンジ君の成長物語だと、なぜ素直に言えない!素直に面白いと言え!」
by、あさりよしとおin 1995

 
 
以下、ネタばれ
まあ、普通に面白かったから、あんまり書くことない。

  • 全体として

思いっきり後出しじゃんけんだよねw
まあ、それは事実だからそれでいい。
パンフレットで、「庵野監督は帰納法でラストから作るんじゃなくて、演繹法でその場の判断で作っていく」って書いてあったのだけど。
その場のノリのライブ感で作っていたテレビシリーズを「新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に」の映画版で帰結した所に行くような帰納法で一旦まとめた感じ。
キャラクターの性格設定とか、使徒やエヴァンゲリオンの特性とか、世界観とか。
あと、僕は散々、「最初は各国の代表を描いた割に、結局EOEでは全人類が全滅してるのに、第三新東京市以外の惨状が悲鳴くらいでしか表されてないし、もっと世界中の人類が頑張れよ!」って書いてきてたけど、今回はそういう問題点を結構回収して反省して作りなおしてるよなー。
綾波レイとアスカが特に理由もなく接点もなく、いつの間にか犬猿の仲になってイライラしまくりなところとかも、それなりのドラマを入れることで回収してる。
14年前は「レイを差し置いてアスカとラブラブしているシンジ君はダミーだ」って女性ファンに言われるくらい、グダグダだったもんなー。
 
  
 
あと、結構前のフィルムからのサービスというかセルフオマージュが多かったよね。
ほら、アスカがミサトの家に始めてきたときのギャグ顔は8話での加持リョウジが「葛城の寝相〜」と言った時のギャグ顔だし。
あと、ドラマCDプラグギャルネタをアスカのテストスーツでやるなんてね!
時限爆弾みたいにチクタクする使徒は、企画書のボツ案みたいだし。
ただ、なんか、思い出のフィルムをモンタージュで見せられたような気分も一瞬したけどね…。
 
 
  

前回ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序ではスーパーヒーローでしたけど、今回のもスーパーヒーローロボットをやってくれましたね。
しかも、シンジ君が駄々をこねたり悩んだりと言うところは割とそのまま。
というか、むしろ、シンジ君って言うよりは周りが変わったよーな?前は周りにひどい目にあわされまくる主人公だったけど、というか、成長しようとすると母親の碇ユイさんがエヴァのコントロールを先回りして握って、シンジ君を成長させないようにしてたけど、今回はゼルエルに似た第10の使徒との戦いで、シンジ君が自らエヴァ初号機を覚醒させた。
前回のラミエルとの砲撃戦では、初号機が全身火傷で動けないという条件がテレビより強調されていて、それをパイロットのシンジ君が根性で動かして精密射撃を決めると言うヒーロー性を見せてくれたわけだが。
今回の初号機はテレビシリーズと特に条件が違うことはないのに、ユイがコントロールを握らないで、シンジが自分の力で初号機を自分の意思で、自分の願いのために、人を超えた天使にした。
前は、エヴァにお願いして、お母さんにお願いして、戦ってもらって自分はお母さんと同化しちゃったのにね。
今回の碇ユイは前の碇ユイよりは、一歩引いている母親のようで????
むしろ、そのように見守って、力は貸すけど、子供に主導権を与えるという良い母親になってないか?
ヱヴァンゲリヲン新劇場版でのエヴァ初号機って。
あるいは、「エヴァンゲリオンは実戦兵器」という赤木リツコ博士の言葉のように、エヴァの「道具」としての側面が強調されているのかも。
富野ガンダム好きの僕としては、「少年の願いをかなえる母親」というよりは「少年を神にも悪魔にもすることのできる道具」という方が好きです。
 
 
 
あと、シンジ君が日常でも自然に主人公っぽいのが良かった。
特にエヴァのパイロットだから人気と言うんじゃなくって、料理と言う特技で二人のヒロインに影響を与えたり、鈴原トウジ相田ケンスケとも社会見学に行ったり買い食いしたり、真希波・マリ・イラストリアスとも運命的に出会ったりして、いろんなものの中心にいる感じがして、それはとても良いよな。
 
 
 
シンジがマリと会った後、加持と自販機の前で会う直前、SDATが27トラックに一瞬切り替わって、また26にバグって戻って、シンジが「あれ?変だな」って言う。マリとぶつかったせいでいかれたのかも?
27話という、新しいところへの一歩は、三歩進んで二歩下がる。


*追記
 綾波に「来い!」と言いに行くところって、ブレンパワードの伊佐未勇っぽかった。なんか顔も重田敦司作画っぽい来い感じになってたしw
 
*追記7/1
今思いついたんだけど、シンジ君は成長したヒーローになって綾波を取り戻したんじゃなくて、アスカを失ったという「嫌なこと」を体験して、その「嫌なこと」をまた体験することから逃げるために戦ったのでは?
やっぱりシンジ君はシンジ君。逃げることのプロ。
逃げるために戦うというのも、本気でやればかっこいい。

綾波は6話で笑顔を見せた後、いつの間にかライブ感覚(笑)で感情にリセットがかかってしまった綾波だが、シンジ君の料理に触発されたのか、食事会というイベントを。
映画の生活感と言えば料理と言う宮崎駿富野由悠季の鉄則かもしれないけど(笑)。
(ちなみに、両監督の食事で表現するものは違うよな。宮崎駿は生物的に食う喜び、トミノは食わなければいけないという生物的な限定。こんかいのヱヴァは人とのコミュニケーション手段とか、人と動物のつながりとかを書こうとしたのかなー。)
と言うか、お父さんと息子を食事会で仲良くさせようって、母親の発想だね。
テレビ版の綾波も母親っぽいって言われてたけど、それ以上。露骨にユイが被ってるし。
で、前の映画のTHE END OF EVANGELION綾波リリスという神と同化してシンジを取り込むというメンヘルと言うか機能不全家族の母親みたいになってたけど、お父さんと息子を陰ながら仲良くさせると言うのは、割と古典的と言うか、昭和的な良くできた母親じゃないですか。
「碇君がもうエヴァに乗らなくてもいいようにする」とか「2号機の人は逃げて」とかもそんな感じ。
 
 
 
ただ、それだとヒロインとしては弱い。母親を強調し過ぎると…。まあ、母親に似た女性を好きになるって言うのも基本だけど。
で、シンジは最後に、「食事会と言う、母親としての行動ができなかった綾波」を「小さな女」「俺の好きな女」として迎えに行く。
それで、エヴァ零号機というリリス=母親の分身と同化したメンヘル鬼女である第10使徒、つまり「母親の暗黒面」から、「好きな女の子としての綾波」を切り離し、自分と合体=セックスさせるというすごく男らしい展開に。
エヴァ初号機もユイの癖に、ヱヴァンゲリヲン 新劇場版ではかなり父性的な雰囲気に見えてるし。
 
 
 
余談ですが、
侵食タイプ、拒絶タイプ、という分析からわかるように、新劇場版の使徒は精神的なものの象徴だという設定のようだ。
というか、使徒って結局、ゼーレと同じでお母さんに認めて欲しくて会いに来たメンヘルの女の子っぽい。で、母親に近い人類と愛情を奪い合う兄弟げんか。というと、ブレンパワードとグランチャーみたいだ。まあ、エヴァとブレンも兄弟みたいな作品だし
 
 
 
ま、そこに新たなメンヘルである同性愛者の渚カヲルがレイとシンジの合体をチンチンみたいな槍で初号機を犯して邪魔するわけですが。w
 
 
 
続きはまた今度。
 
 
 
次は、アスカとマリについて書きたいけど!
 
 
 
しごと^^;
 
 

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