玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士ガンダムUC第3話ラプラスの亡霊

メカ戦闘が綺麗で、ビームのダメージ描写が上手いというのは、安定していて、見ていて楽しい。Zガンダム劇場版で得た技術が生かされている。まあ、それはいい。CGもいいけど、手書きのメカはCGには出せない表情や、部品同士の干渉を嘘でカッコよくディフォルメして、よかった。
でも、小惑星基地のパラオが占領されたのか、ネェル・アーガマの部隊がどのように混乱した戦場から離脱したのかという所が描かれていないので、戦場の後処理に疑問が残る。パラオネェル・アーガマは主砲のハイメガキャノンを撃ったし。それ自体はガンダムZZオマージュで良い見せ場だったけど、全体的な流れてとしてはどう戦ったのか、見えにくかった。戦い自体は面白かったシーンだったが、その後にどうなったのかという戦後のシーンがないので、期待感が宙ぶらりんになった視聴者状態で、パラオからラプラス跡に移される。
これは、まあ、尺の都合なのかな。
でも、原作を読んでしまえば箱はつまんない内容だから、こういうお使いRPGは減らして、映画用に目標は一つにして、って方が良いと思う。
「旅を通じての心こそがカギ」というには、バナージってそんなに理想的な人に成れた気がしないし。


メカ的には、NT-Dの解説を地の文に代わって延々とくりかえすフル・フロンタル総帥が実にトーク人形のようでクローンの面目躍如。
あと、他にもいろいろと地の文の説明を台詞でしなければいけない弊害で、なんとなーく台詞が情報であっても言の葉として心に残らない。
富野アニメも、質問に別の話題でこたえたりという抽象的な話があるが、それもまたなんとなくUCとは違うんだよなー。UCはファーストガンダムと比べて、引っかかりが少ない。もしくは、名言を作りだそうとして引っかかりが分かりやすい。
ファーストの音声だけを聞いてジョギングしてるんですけど、序盤のシャアって声優としてのキャリアも薄いからか、とても軽く発音してるんですよね。30年以上若い池田秀一さんが。そういう、さらっと流される明言ってのが好きなんだなー。
「ここから明言モード!泣きます!」
みたいな作りはやっぱり苦手だわ。名言って日常の中にオーガニック的にある物だし。分けて強調するとおかしい気が。
うーん。戦いの中での語りのテンポとかは、やっぱり富野の方が数倍上手いなあ。古橋監督には期待してますが。やはり、文学的なアニメよりもオペラ的なリズミカルなアニメの方が好きかもしれん・・・。
でも、これくらいわかりやすく泣けるシーンと説明セリフを分かりやすくしないと、若者受けが悪いのかなー???僕は30年前のザンボットをそろそろ見たい。


主人公のバナージが世話になった年上のチョーさんやダグサを亡くすことで、責任を感じるのだろうか?
しかし、若者に心を植え付けようとする男たちが、ちょっと饒舌で、男の喋りに一番重要な「哲学を語っている暇があったらやれ」という齟齬がそこかしこに合って、ちょっとリズムが崩れる個所があった。台詞削れよ。
バナージがリディを「男と見込んだ」という声をかけるきっかけが分からない。戦場の中でいくらでも混戦からピンチを二人で離脱しつつ交流を深めるとか、そう言うドラマ設定はやればできるもんだが?
ダグサも死ぬ前にバナージに敬礼しなかったらデブリにまぎれて逃げられたものを。いや、無理だとしても、死ぬ時くらいはカッコつけずにギリギリの混乱の中で死んでくれ。

フル・フロンタルをかばって?バナージに撃たれたギルボアも半分くらいはNTDで興奮したバナージがフロンタルの誘いに撃たされた形、だから殺意はない。アムロさんは15歳から意図的にコックピットを狙って最大生存権の確保という理論を確立していたが。
しかし、半分は外郭団体のガランシェールのギルボアにフル・フロンタルという人形をかばう義理立てはあったのかねえ。なんとなく、戦場での流れ弾だったのだろうか???ギルボアがこれでは最後まで哀れな戦争の犠牲者の一人のままであって、ギルボアはもっと戦士らしい死に方をしてほしかった。流れ弾なあ・・・。なんか流れたというよりは割りこんできたって感じで、不自然だったな。


もう一つの人間的な見せ場、バナージがマリーダがガンダムZZ時代の戦争の後、少女売春孤児で子宮を失ったという過去を現視したけど、あんまり小説版程露悪的な文章じゃなかった。小説で子供兵士が出てくるジェノサイドとか、流行ってるからなー。
でも、マリーダは人間として強くてアルベルトを守った。それはよかった。自分から生まれるべきものだったものを失った後、マリーダ・クルスを支える力が何なのかがカギ。やっぱ、スベロア・ジンネマンへの想いかね?


と、いうわけで、たくさんの不幸が出てきたけど、どうも、台詞がちょっとだけだけど長くて、少しだけだけど単語が硬くて、微妙に話がずれてて、かといって全体的な雰囲気も散漫な印象で、絵はスーっと綺麗だと見れるけと、あまりガツーンと来なかった。
僕の好きな死に方の演出は、もっと、「プロがプロの技量を出して、それでも死ぬ」っていう余裕の無さと圧倒的な死のショック。
UCはちょっとゆとりがあったかなー。
そもそも箱自体の中身がゆとりだしなー。


あ、ガンダムが敵のクシャトリアのファンネルを奪って自分の物にするアイディアはよかったし、手が連動するってのはアニメの絵として、とてもよく分かった。
タダもうちょっと派手でも、、動きや光以外の面での、パースとか線の部分でアクションが派手だと良いな。
なんか、もっとクシャトリアがもっとわかりやすく羽だったり、シナンジュの顔が割れたらわかりやすくゾンビ顔だったり、リアルとかを捨てて怪獣と戦うケレン味を増量したら、ヱヴァンゲリヲン程度にはなるんじゃないのか?あ、エヴァに追い付くにはあと、思春期のめんどくささがもっと必要か。
と、いうわけで怪獣MSと戦う機動戦士ガンダムAGEを応援しております。