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↑見てる。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 登場怪獣 |
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9 | 憤怒のどれい獣キール | 藤川桂介 | 安彦良和 | 横山裕一郎 | 安彦良和 金山明博 |
どれい獣キール|
10 | ロペットが恋をした | 五武冬史 | 寺田和男 | 寺田和男 | 佐々門信芳 金山明博 |
どれい獣ゲルドン ロボ子|
11 | 豹馬よ痛みの炎を跳べ | 田口章一 | 高橋資祐 | 上原一夫 | 高橋資祐 金山明博 | どれい獣コングリラ |
12 | 決闘! 豹馬対ガルーダ | 辻真先 | 斧谷稔 | 斧谷稔 | 塩山紀生 金山明博 |
どれい獣ダイバ|
13 | 死をかけた友情 | 桜井正明 | 高橋資祐 | 高橋資祐 | 高橋資祐 金山明博 |
どれい獣スペクトルダー|
14 | コネクション大爆発! | 田口章一 | 出崎哲 | 出崎哲 | 坂本三郎 | |
金山明博 | どれい獣ファイダー | |||||
15 | 美しき戦闘員の涙 | 藤川桂介 | 高橋良輔 | 横山裕一郎 | 金山明博 | どれい獣バリバリ |
宇宙人(コスモバード)|
16 | 非常事態! 一号機墜落 | 五武冬史 | 寺田和男 | 寺田和男 | 安彦良和 |
金山明博 |
どれい獣ゲルゾ|
スタッフが豪華ですよねー。
富野喜幸中心にザンボット3とライディーンへのつなぎのつもりに見ているので、割と気を抜いて見てますけど。
今回の富野コンテは12話。
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2006/07/21
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- まず、富野以外の印象に残った所。
安彦良和コンテの9話。
どれい獣キールの子供が卵から生まれるが、浪花十三に殺されて、親のキールが人類を憎むって言う話。
んで、葵豹馬は親キールがかわいそうだなーって思ったり、両親が事故死してみなし子になった自分の境遇に重ね合わせて親キールとの戦闘に消極的になる。
で、どうやってその悩みを克服するのかなーって思ったら、敵の幹部の大将軍ガルーダがわざわざ出てきて「子供のキールを私が送りこんで、わざと殺させたのだ!葵豹馬、お前は戦えまい!」って解説した。んで、豹馬は「悪いのは人類じゃなくてガルーダだから、怒ったし、親キールは殺して、子供と一緒に埋葬したら気がすむ」っていう感じであっさり解決した。
ここらへんの割り切って怪獣を殺す感じが子供向けロボットアニメって感じですねー。娯楽優先。
直接キールを殺害した浪花十三と豹馬の和解が9話では描かれなかったので、ドラマとしては消化不良である。
「悪人が悪いから、悪人だけが悪い」って言う割り切り方はちょっと変だよなー。十三も悪いだろ。
・高橋資祐が上手い
超スーパーカー ガッタイガー(1977年、チーフディレクター)
超合体魔術ロボ ギンガイザー(1977年、キャラクターデザイン)
女王陛下のプティアンジェ(1977年、キャラクターデザイン)
宇宙魔神ダイケンゴー(1978年、キャラクター設定)
とかの人。
富野監督と同じ1941年生まれ。2007年死去。
80年代に脂が乗った人のようだ。
OVA『るーみっくわーるど』シリーズの『炎トリッパー』『ザ・超女』『笑う標的』の監督も務めた。ああ、るーみっくわーるどはおもしろかったねえ。
今回は11話の豹馬がサイボーグの義手の感覚を失いかけるが、過酷な特訓でサイボーグ部分にも自分の神経細胞を伸ばして回復する話、と、13話で豹馬の昔の暴走族時代の女友達が豹馬に告白するけど怪獣に邪魔される、って言う結構ドラマチックに重い話を担当している。
彼はコンVでは演出もやるし作画監督と原画も担当している、アニメーター系の演出で、絵コンテ中心のスタッフだった富野とはまた違う味わい。
安彦さんと似たような感じかなあ。安彦さんは萬画の方に行っちゃうけど。
11話で絵的に、豹馬が義手のサイボーグの腕の痛みを己の物にするための、長浜忠夫らしい巨人の星的な特訓のシーンや、豹馬の腕に血がにじむ所などが良かった。特に、豹馬の腕ににじむ血はセル画の上に水彩で描かれていて、演出意図が絡んでいるような血の出方だった。高橋さんの意向だろうか?
13話での女の告白シーンの鬼気迫る感じの絵もよかった。
絵が良い事で、アニメのドラマに説得力が生まれている。「痛み」とか「命がけの恋」とかの抽象的なものを絵のテンションで表現している。良し。
あとは、まあ、面白い所は面白いんだけど、だいたい大味。コンVに負け続けるガルーダが指揮官として失脚したり、次の週にはケロッと立ち直っていたり。特にガルーダの性格が娯楽優先のためにコロコロ変わってキモい。戦闘も特に理由もなくコンVが勝つし、あんまりドラマ性がない回もある。
- テーマ的な面白さ
まあ、スパロボをやってた人なら分かるだろうけど、「敵と味方の命の価値や境界線を考える」っていう所がテーマ的に面白いな、って気付いた。そこに注目したら、割と面白さを見いだせた感じです。
9話で豹馬が死んだ怪獣に自分の境遇を重ねたり、
腕だけのサイボーグになった豹馬が人間と機械の境界線上の人になってたり(押井守だ!)、
ロボットのロペットが敵の作ったロボットにハニートラップをかけられる、
キャンベル星人のガルーダと豹馬が12話でキャンベル星の文化に沿った決闘をして互いの出身を越えた戦士としての境界線が揺らぐ(富野回)
15話でキャンベル星人に洗脳された他の星の少女が地球人との境界線上をさまよう、
とか。
ガルーダの正体とミーアとの関係とかも、そういうテーマ性だと思うと分かりやすい。
まあ、娯楽優先だからそんなにテーマを中心にしてる感じではないんだけどね!
11話で豹馬が人工細胞の義手に自分の神経を特訓で無理やり通すところは、押井守のクールで哲学理論が先行しがちなサイボーグ物とは違った、熱血サイボーグって言う感じで面白かった。サイボーグって機械の部分にも自分の血液を流して行くんで、たしかに熱血の方がそうなのかなー。
鋼の錬金術師は熱血漢で痛みを伴うサイボーグだったけど、あのオートメイルはなんだかんだ言って血の通わない義手だからなあ。ちょっと人工部分にも血を通すサイボーグってのは逆に珍しいかもしれない。(免疫系やアレルギーの問題もあるしね)デビルガンダムとかゾンダー細胞に人間が浸食される鉄男系のサイボーグは割とあるんですけど。
この、「敵と味方の境界線のあいまいさ」「自分の立場をどこに置くか」「敵にも敵の立場がある」という命題を推し進めてい行くとガンダムになるので、やっぱりコン・バトラーVはリアルロボットの先駆者だったんだねえ。ロボットのデザインや設計や運用もコンVはリアルだし。
「ミケーネ文明の遺産(マジンガー)」「ゲッター線の意志(ゲッターロボ)」「ムー文明の遺産(ライディーン)」
↓
「地球人が開発した防衛用戦闘機械(コン・バトラーV)」
だしね。
いや、まあ、リアルロボットと言う点では「旧日本軍の人型戦車の鉄人28号」が最初っからリアルなんですがー。アトムは人工知能に魂が宿るとか微妙な事を言うのでオカルト系。
- 富野(斧谷稔)回の12話のガルーダの扱いが最低すぎて面白い。
互いの足を鎖でつないで、剣で一対一の決闘をするという、アナクロすぎるキャンベル星の伝統を豹馬に押し付けるガルーダの話。このガルーダがもうどうしようもなくて面白い。
失敗続きのガルーダ
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上司の母・オレアナに怒られる
↓
従軍慰安ロボットのミーアに慰められる
↓
ガルーダがミーアに「俺は命がけで豹馬と決闘するぞ!」って言い放つ。
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ガルーダは豹馬に殺されても刺し違えて殺す所をイメージする。「例え私を豹馬の剣が貫いても、私が豹馬を斬る!」って叫ぶ。ていうか、殺されるのが前提かよ。
↓
ガルーダ、勇ましく出撃する。
↓
が、ミーアに気を使われる。ミーアはガルーダに黙って兵器を持ちこむ。
↓
ガルーダの決闘の提案を豹馬が飲む(豹馬には特にメリットがない)。豹馬に甘える感じのガルーダ。
↓
ガルーダは決闘で豹馬と刺し違えるが、想像とは違って豹馬にトドメを刺す元気がなく、普通に負ける。想像通りに成果を出せないヘッポコさ。
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豹馬にトドメを刺してくれと頼むガルーダ。情けなさ過ぎる。
↓
そこへ、ミーアがどれい獣を差し向けて生身の豹馬を攻撃。
↓
ガルーダは豹馬にひきょう者呼ばわりされる。
↓
ガルーダは豹馬に「違うんだ・・・。私は知らないんだ・・・」って言う。ここで、ガルーダが画面の中ですごく小さく描かれている絵コンテレベルでの演出で、もうガルーダのカスっぷりがすごい強調されてる。
↓
ガルーダはミーアの乗ってる戦艦に助けてもらう。
↓
ミーアに向かって「決闘を汚したな!」って怒りながら鞭を振るうガルーダの器の小ささがすごい。あと、美少女ロボットを鞭で打つ富野のSM趣味が炸裂していて二重に香ばしい。
↓
ガルーダ、上司の母に「っていうか、キャンベル星人が虫けらの地球人と同レベルに決闘する方がおかしくないですかね」って説教されて、ガルーダは「それもそうだった。機械で殺そう」ってコロっと考えを買える。カス。
↓
でも戦闘シーンがあって、普通に怪獣がコンVに負ける。一応傷ついた怪獣がコンVの動きを封じる。
↓
んで、ガルーダがやけくそになって乗ってる戦艦をコンVにぶつけて特攻しようとする。同じ(似てる)声のガルマ・ザビみたいな。
↓
でも、当たる寸前でミーアがガルーダを後ろから麻酔銃で撃って、ガルーダの自殺攻撃を止める。特攻すらできないカス。
おわり。
っていう。
この回は人間サイズの決闘も、バトルマシンの戦闘機戦闘部分も、ロボット同士の戦闘も富野コンテらしく立体感があるし、何度もピンチと逆転を繰り返して面白かった。
どれい獣ダイバがレーザーサーベルを使うのがガンダムっぽくて面白い。しかも、エネルギーの刃をいくつも空間に固定して、ワイヤーカッターの網目のようにして戦うなど、Vガンダムのゾロアットのような面白い戦い方をしていた。戦闘場面が陸海空に変わって面白い。飽きさせない。
豹馬のバイクアクションもチェイスや大ジャンプなど、ハラハラ感があって面白かった。
やっぱり富野はロボット戦闘アクションのプロフェッショナルで、上手いなあ。って思う。
しかし、それ以上に、ダメな男を描くのがうますぎる。
母の意見に振り回され、女に助けられたり足を引っ張られたり、自分のメンツを他の男に証明しようとして、空回りするガルーダのカスっぷりがすごい香ばしい!
男同士のカッコイイ決闘をしようと思いながら、普通に決闘に負けるガルーダ!カッコ悪い!
それでもカッコつけて介錯を頼んだり、特攻をしようとしても、女に邪魔されてそういうカッコつけすらできないガルーダ!
ガルマとかシャアとかクロノクルとかも女性のために功を焦ったり、主人公を過剰にライバル視して力を発揮できなくなったりして、もうダメダメなんですけど。こういうダメダメな男を描くのは、富野はこの頃から上手かったんだねー。
シャーキンよりも12話のガルーダの方がダメっぷりに磨きがかかっていますね。ナルシストなのにカッコよくなれない、確実に主人公に負ける美形のダメなオーラがスゴイ!でも、母性本能をくすぐる!女性ファンゲット!
マーケティングが上手いなー。
ブレンパワードのジョナサン・グレーンは「戦闘では主人公に勝てないけど、主人公の母親とセックスして勝ったり、自分の親に戦ってもらう」という女性関係のクズさを武器にする人でしたねー。うん。
クズな富野ライバルキャラはカッコいい!
バーン・バニングスとかもな!
こういう、富野が少しずつ演出の引き出しを身につけて行く過程を追体験できるという点で、コンVは面白いですね。
玩具を売るために子供を引き付けるためのアクションシーン演出の知恵を絞ったり、長浜忠夫の巨人の星などの熱血な雰囲気を勉強しようとして豹馬の芝居を付けたり、って言う所が感じられる。敵のどれい獣のレーザーカッターのレーザーの熱で斬るっていうギミックはライディーンのエネルギーカッターから発展して、今のガンダムUCやスターウォーズファントムメナスまで受け継がれています。
富野ファン的にもガノタ的にも歴史が感じられて良いと思います。
あと、ロボットマスコットのロペットの動きがR2-D2っぽいんだけど、ルーカスはここら辺もぱくったのかな?いや、アナライザーとか宇宙家族ロビンソンのロビーとかフライデーが先か。うん。みんなパクりパクられだよね。
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