玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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怪人による 仮面ライダークウガ 感想 第9,10話

第九話「兄妹」第十話「熾烈」

 仮面ライダークウガのYou Tube配信の感想です。仮面ライダークウガは名作なので考察している人は僕よりたくさんいると思うけど。
 まず最初に言わせてほしいのは、僕の閲覧履歴が悪いせいかもしれないけど、「ヒーロー番組の配信の動画広告で”ホームレスですらハゲてないのでハゲをなおす薬を買え”というコンプレックス商法の広告は出さないでほしい」ということです。もっと、愛と正義の世界に浸らせてほしい。


 そういうわけで、タイタンフォームが登場する第9,10話の感想です。
仮面ライダークウガ タイタンソード


 僕の事情ですけど、ずっと寝てたせいで富野由悠季の世界の感想が進まなくて、でも読者からアイマスのCDが届いていい気になってオンラインサロンとかやろうかなーって調子に乗ったら、躁鬱の揺れ戻しですごいうつ状態になってしまったので、短く書きます。



  • 複数の概念の見立て

 仮面ライダークウガはヒーロー番組のお約束を破壊するという制作理念があり、今回は保育園の先生で五代雄介の妹である五代みのりが、自分の誕生日も忘れて仮面ライダークウガ活動をしている兄を心配する話。
 五代みのりは、五代雄介が戦うことが平気な人になってしまうんじゃないかと心配する。
 ドラゴンフォームの時の桜子さん、ペガサスフォームの時の実加など、「戦うことを自然なものだと考えるヒーロー物のバトル優先の価値観のお約束についていけない女性の視点」が今回も描かれる。


 かと言って女性は単に戦いが嫌いなのかと言うとそうでもなくて、科警研の榎田ひかりは離婚して、子供を母に預けていて、久しぶりに会うのだが、未確認生命体の事件の報告を聞くと、六歳の息子との時間を返上して事件現場に向かう。そして、彼女が怪人の体液の組成を分析したことがクウガの勝利に繋がる。(まあ、カラミティタイタンは強いし剣が背中まで貫通しているので、怪人の弱点が腹の穴だということはあんまり関係なかったかもしれないが…)
 古代文字を解読する沢渡桜子さんだけでなく、一条薫を慕う婦警(無線情報のスピーチとかをする)の笹山望見や、おやっさんの姪の朝比奈奈々など、クウガを支援する(間接的に戦う)女性キャラクターも増える。


 動物は基本的にグロンギを恐れているが、グロンギに立ち向かう警察犬ミカド号や、子供は純粋無垢だけど未確認生命体第四号(クウガ)に憧れて喧嘩をする保育園児など、戦士ではないキャラクターにも戦いという要素がある、みたいな複数の概念が見立てられている。


 きたろうさんが演じるおやっさんもふんわりとした人柄(五代雄介のバイトの勤務態度はガバガバ)だが、五代雄介がクウガということを(本人がアピールしても)知らないし、誰かにやれと言われたわけでもないのに、未確認生命体第4号(クウガ)の雑誌や新聞の記事をスクラップブックにしている。おやっさんは戦うキャラではないが、戦うクウガに魅力を感じている。それを見たみのりはちょっと嫌だなーってなる。
 ちなみに、おやっさんは当時44歳だったが、現在のオダギリジョーさんも44歳です。おやっさんになったクウガ。
 それにしても、クウガのマークはカッコいいけど、それをTシャツの刺繍やバイクのマーキングで主張するのは、五代雄介もグロンギのタトゥーと同じような自己顕示欲を持っているからなのか…?単に図案が気に入っただけ?


 ヒーロー番組なので、ヒーローが戦うことは普通に奨励されるべきことだし、大抵の特撮番組ではそれを中心に話が組まれるのだが、仮面ライダークウガでは「一般人も戦いや暴力を肯定するのはどうなのか?」みたいなテーマがある。でも、一般人は戦うべきではない、というわけでもなく、女性の警察官や考古学者のアシストがクウガを助ける面もある。
 それが、現代人は争いを嫌う古代人のリントとは違ってグロンギに近づいている、とかいう展開も終盤ではあるのだが。


 多面的な人物造形のパーツの一つとして「戦い」の要素がある。女性はヒーロー番組のバトル展開の価値観についていけない、という要素も出しつつ、かと言って女性が完璧に戦いと無関係というわけでもない、というような。その戦いはなにも暴力をふるうと言うだけでなく、遺物の解析や化学分析とか、日々の仕事だったり、という風に概念として昇華されている。

  • 怪人との戦いと生活の戦い

 兄が戦うことに慣れてしまうんじゃないかと心配している妹のみのりに対して、五代雄介は「お前はどうして先生やってるんだよ。誰かの笑顔のためだろ?」と、自分がクウガをやっていることもみのりが先生をやっているのと同じで、みんなそれぞれの場所で頑張っていて、自分はたまたまクウガという場所で頑張っているだけだという。


 で、イカ種怪人、メ・ギイガ・ギの爆発性体液の連打を受けながら、仮面ライダークウガタイタンフォームは一歩も引かずに接近し、カラミティタイタンで刺殺する。
 (この決戦の前の五代雄介と一条薫の剣道の特訓も面白い。警察官の一条薫のほうが剣道が強いかと思ったけど、五代雄介は2000の技を持っているから剣道もできるのか。また、一歩も引かずに相手を追いつめて刺殺するというタイタンフォームの戦い方について、五代雄介は変身する前からだいたいわかっている感じ。桜子さんから「剣を使う」というヒントを得たけど、霊石アマダムの人工知能が戦い方を五代雄介の無意識に教えている感じもする。アマダムは五代雄介が指示しなくても勝手にフォームチェンジする時があるし。変身者に対する教育型コンピューターなのかもしれない)
 今回は初めて、基本タイプのマイティーフォームを経ずに、直接応用型のタイタンフォームに変身するし。


 で、タイタンフォームがメ・ギイガ・ギを追い詰める一歩一歩の映像にオーバーラップするように、保育園で園児と歌うみのりが映る。
 みのりはクウガに憧れて喧嘩する園児から一旦逃げたのだが、兄と話して、自分も先生として逃げないようになった、ということかなあ。
 クウガの戦いも、子供を教育するということ(そして自分の職業の仕事をちゃんとすること)も、ヒーロー番組としては同じようなことだ、みたいな倫理観?
 園児もクウガに憧れて喧嘩する子供っぽい暴力だけでなく、冒険家としての五代雄介を応援するお守りを作るという優しい面もある。


 そういうわけで、多面的な人間を描きつつ、みのりの心配や幼児の凶暴性とか怪人との戦いなどの課題がクリアされる。
 幼児にとっても特撮ヒーローと保育園の先生は同じくらい偉大な存在なので。保育園の先生が笑顔を取り戻すエンドは視聴者の幼児も安心する?まあ、怪人は相変わらず怖いけど。


 で、保育園の先生のみのりの問題が解決するけど、次回は五代雄介の小学校の時の担任の先生の問題がある、というシリーズ構成のつなぎ方が上手い。

  • 人間社会を学習するグロンギ

 グロンギのアジトを警察が襲撃するのだが。マネキンを使って縊死や刺殺など殺人の真似事をアジトでしていた。あと、小銭を集めたり。
 五代雄介が、アジトの現場の写真を一条薫から見せられて、グロンギが殺人の数を数えているボードを見て「なにか数えているのかな?」と反応するのもアマダムとつながっている感じがする。現場写真で、このボードだけが現代のものではなく古代のグロンギが使っていた道具なので。


 グロンギも人間社会を学習していくし、来週からはリントの言葉で話すのを推奨するようになるが。今回のメ・ギイガ・ギはイカのくせに怪人態は結構ロボっぽくてカッコいいのだが、人間体は円錐形の帽子に白いブカブカの服を着ていて、気持ち悪い。水中から人間体のまま現れてから変身するのだが、スニーカーだけは割とカッコいい。でも水中から出てきているのにバッシュを履いているというのもアンバランス。なので、グロンギが人間社会を学習するのもあんまり手探りなのか、バランスが悪い。バランスが悪いが、人間が多面的なようにグロンギも戦うだけではなく、文化を学習する要素を持つようになる。(まあ、文化を学習した結果、劇場型犯罪のような見立て殺人をするようになるのだが)
 後半に出てくる、ほとんど一般人と変わりがないような服装のゴ集団もそれはそれで怖いのだが。ガドルの貴族っぽさは何かを間違えている気がするが、ゴ集団最強の自負なのかなあ。


  • ほしい物リスト。

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 おかゆとスープはるさめをさきほどいただきましたが、保存食などはほしいです。借金32万円を後11ヶ月で返済するので、本やグッズよりも節約できる食料が・・・。


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