玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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Gのレコンギスタ第17話「アイーダの決断」の作画的な見どころ

監督=富野由悠季/脚本=富野由悠季
絵コンテ=牧野吉高・斧谷稔/演出=居村健治
キャラ作画監督=黒崎知栄実(Aパート)・清水洋(Bパート)
メカ作画監督=伊藤一樹
戦艦作監=戸部敦夫

実は黒崎知栄実さんはTwitterで2年くらい前からフォローしているんですが。
黒崎さんはGレコに参加される前から富野由悠季監督が好きな人で、僕も「若手アニメーター目線での富野監督ファンってどういう感じなんだろう」って思ってフォローさせていただいていたんですが。そんな黒崎さんが満を持して作画監督ですよ!(原画はこれまでもいろいろ書いてらっしゃったけど)
黒崎知栄実さんはキンタロー。さんが主演声優だったハイセンスNHKアニメのナンダカベロニカの作画監督もされていた新進気鋭のアニメーターなんですねー。
そういう同じ富野ファン同士としてTwitterでクネクネしていた人があっという間に富野アニメの作画監督に出世するとか、わがみよにふるながめせしまにだが、富野アニメに参加する前から知ってる人が参加するというのは面白い体験ではある。(いや、本当に僕みたいなメンヘラキモヲタのフォローを許してくださってありがたいです)
で、黒崎さんは吉田健一さんや形部一平さんやあきまんこと安田朗さんほどTwitterでぐいぐい露出する方じゃないかもしれないので無断リンクはしないでおきますけど。
今回のAパートの作画良かったよなあ…。



アイドル声優アニメキャラ可愛い。


・黒崎さんが気を付けたMSの作画

作監作業中気をつけたのは、MSと操縦者のポーズをなるべくできる範囲でシンクロさせたいな、というところです。MSのカットからコクピット内に何度か移り変わるので、見た目で混乱しないよにするにはポーズを少し近づけ






こういうの。
描き手は一つ一つの所作を意識してアニメーションを作ってらっしゃるの、尊い。視聴者はそんなに気にしないで見ちゃうけど、ちゃんと考えて芝居を付けてらっしゃるの、尊い。味わって視聴しよう!


しかし

クリムがジャハナムのコクピットの蓋に腕をついて命令を取り消せと言っているシーンは、ジャハナムとポーズがシンクロしていますが、これはコンテ指示です。ちなみにどうやって操縦しているのか、は考えてはいけません。ロックのモランとミックのヘカテーも同様です。その場の雰囲気と勢い重視です。



コンテ指示なら仕方ないな…。まあ、ほら、リギルドセンチュリーのMSは宇宙世紀の成果とも言うので、多分バイオコンピューター内蔵で手足を使わずに一つ二つの操作も助けるし、牛を捕まえる以外のオート操作はコマンド設定されてるんだと思うし…。
どうでもいいけどモビルスーツのコックピットハッチにタラップが付いているのはリアルっぽくてかっこいいな。


・MS漫才


黒崎作画監督曰く、このサラマンドラの艦橋から見たジャハナム、ヘカテー、モランはMS漫才らしい。富野絵コンテは本当にアニメーターに労力を強いる。
3機のモビルスーツ
ハッチから顔を出しているパイロット
サラマンドラの艦橋の窓枠
サラマンドラの艦長
の4層でキャラとメカが混じり合って会話するとか。滅茶苦茶大変そうだし、実際tweetを見ていると数か月前の作画段階から大変そうだったんだが。
完成してよかったな――――!!!
と言うわけで、アニメーターさんをフォローすると同人誌や過去の裏話だけでなく、番組制作にかけるみんなの熱い想いが現在進行形で伝わってきて、オンエアの時の感慨も深くなるのだ。

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・黒崎さんが気を付けた芝居

メガファウナブリッジのシーンは大勢で会話するんですけど、よくある棒立ちで聴き入ってるだけにすると絶対ダメっぽかったので表情とか後ろにいる人の姿勢に苦心しました。

本当に、富野作品が好きな若手アニメーターとして、富野作品の胆を分かっている上での演技付けをしていて、すごく丁寧な描線でもあって非常に高く評価したい。



僕も棒立ちの会話のアニメは本当に嫌いなんだが、実際に描くとするとアニメはたくさんの枚数の絵を描かないといけないし、棒立ちになりがちなのも仕方ないと思う。だが、やっぱりそこを棒立ちにしないのが富野アニメの富野アニメらしさだと思う。
また、斜めになったりすることで無重力だという宇宙船SFっぽい雰囲気も作っていてガンダムらしい。
それにただ単に姿勢を斜めにしただけじゃなくて、みんな「なにかをしている」ことで、脇役でも常に自分の人生に取り組んでいるという富野アニメが大事にしてきた生命力みたいなのが表現されている。
それぞれのキャラクターの視線の流れにも意図やそれぞれの感情、それぞれのキャラクターの状況に対する考え方の差などが伺えて丁寧な芝居が出来ている。実写ドラマでもこのレベルの演出と演技ができる役者やスタッフは少ない。
それにカメラの枠の外の人物を見ているフラミニアなどのキャラクターの視線を入れることでメガファウナのブリッジの会話に場としての広がりを与えていて、そこも黒崎氏が気を付けた点。
もちろん、黒崎さんだけが頑張ったんじゃなくて沢山の原画マン、動画マン、仕上げマンがいるし、絵コンテもあるわけだが。
この視線の動き、流れの線の交錯を丁寧にすることで、

ベルリがドヤ顔で推理を披露する所もきちんと流れに合わせる。また、ロルッカとミラジとフラミニアが何かを隠しているようだし、メガファウナのクルーもそれを訝しんでいるというのが雰囲気としてわかる。

逆に話が分かってないマニィの「わかってない」表情も生き生きとしてわかる。


マニィの眉や視線の動きも3段階以上の芝居が付いていて、丁寧な表情。

また、感情表現だけでなく、このマッシュナー・ヒューム中佐の「隣に座るサラマンドラの艦長を見ている時の目」「電話を聞く時の目」「サラマンドラの外に居るクリムたちを見つける時の目」「サラマンドラの外のロックパイに言って聞かせる時の目」全て視点の距離感を変えて描いている。こうすることで二次元のアニメでも立体感が得られる。
僕はディズニーの3DCGアニメのアナと雪の女王で過剰にエルサが目をぎょろぎょろしたり寄り目に成ったりするのがとっても嫌いなんだけども、今回のマッシュナーのように繊細に視点距離の芝居を丁寧に繊細に描けるのが手描きアニメだと思ったし、やっぱり絵描きは芸術家なんだな、と。



サラマンドラの艦長がセクシーすぎるたかはし智秋さんの声のマッシュナー・ヒューム中佐に握手してタッチしたがるんだけど、マッシュナー中佐は軽く手を上げるだけで握手してあげない所の微妙な距離感がすごい、良い・・・。ああ、自分を安売りしない女性なんだ、でもロックには女性を武器にして手なずけてるんだ…。って言う感覚、富野アニメだなあ。


大げさに「こいつは嘘をついている!」「怒っている!」とか描くこともできるんだけど、この微妙なさじ加減での芝居付けが本当にいい。


ベルリが「クンパ大佐がトワサンガ人なのでは」と言ったのを受けてちょい厳しい顔をしたアイーダが、「掃除にかこつけてトワサンガを逃げ出す算段をしたいですね」と言いながら台詞の尻では艦長に向けてちょっと女性らしい笑顔(コミュニケーションのための笑み)を付ける眉の動きがすごくいい。
同カットのアイーダでも弟を見て指示をしている時と艦長に提案をする時の表情は変わる、って言うのが良い。絵コンテの指示かもしれないけど。
そういうことを、視聴者も丁寧に感じながら見るとより一層楽しいだろう。
絵柄が揃っているとかデッサンがどうとか、そういう作画監督比べじゃなくて、ちゃんと感情とか表現、キャラクターと絵描きが考えていることの双方をくみ取って楽しみたい。
Bパートもアイーダが発進する前にラライヤやリンゴに視線を振る所のちょっとした表情付けが良い。
アイーダの決断」の前段階の悩んでいる所の表情も「おバカなバカ姫」というセリフの面白さだけでなく、作画の表情にも説得力がある。


「おバカなバカ姫」は明らかにネタセリフなんだが、言ってる本人にしてはネタじゃなくて切実な悩みなんだ、というのが質感で見えてきてね。良いんだ。



進路に悩んでいるノレドに対して、温かい目線を送る看護師のキラン・キムさんの瞬きの鷹揚な感じも良い。今回初めて喋った軍医のメディー・ススン医師は実務的に見える男性だが、キランさんは9話の会話などを見ても医学者というよりはメンタルケアもするカウンセラー代わりの看護師という仕事をしているっぽい。なので、「あなたは歴史政治学をやりなさい」という一言は脇役の一言に過ぎないが作画でも人柄の感覚を表現しているので、キランさんは適当に言ってるんじゃなくて彼女なりに人を見て言っていることなんだな、と短いやり取りでも感じられて、良い・・・。


今回はモビルスーツが喧嘩をしながら瓦礫掃除をしていてかなり変だし面白いことをやっている回なんだが、アクションの派手さやシチュエーションの異質さだけでなく、それを支える表情芝居の丁寧さを味わいたい。
キャラクターの一人一人が生きていると思うし、それは脚本・絵コンテの富野監督の意識でもあると同時にアニメーターや演出家の意志の上乗せもあるだろう。そう言うキャラとスタッフの二重の意味で群像劇だと思えるし、人の命を感じて、良いと思えるんです。


ラストのロルッカとクンパ大佐のやり取りも熱い。
オッサンとオッサンが政治や暗躍活動についていきなり口論していきなり別れるという変なシーンなんだが。


ジジイとジジイの感情のぶつけ合いと言うあんまりカッコよくないシーンなのに、情感が伝わってくる。それがベルリとアイーダの宿命の重さと言う本筋のドラマにも感情的に合流する作りになっていて良い・・・。


ちなみに、Gのレコンラジオで明かされた富野監督の指示によると、ロルッカ・ビスケスはそもそもレイハントン家派閥の重鎮で、今はレジスタンスや農家をやっているけどレイハントン家が没落していなければ大臣クラスの幹部らしい。だが、そこをインテリっぽいミラジ・バルバロスと合わせるんじゃなくてごついオッサンにしたのは、小泉純一郎内閣の事の飯島勲秘書官を意識したということらしい。

ということは、トワサンガの現政権は政権交代をした民主党のメタファーなのか?(脚本作業をしていたのは安倍政権以前?)という感じ方もできる。いや、富野監督は割とガンダムのエルラン将軍とか逆襲のシャアネオジオン側の政治家とか、いろいろときな臭さを持った政治家を描き続けてきた面もあるので、近年の民主党だけを参照したのではなく政治家全般を色々と観察したのかもしれないとも思える。クンパ大佐は初期案ではシャア・アズナブルのような若い仮面の暗躍ヒーローだったらしいが、初老でもバリバリ政治家している。誰がモデルなのか?∀ガンダムのアデスカのクワウトル王のように富野監督の自己投影という面もあるかな?




そんなあくの強い大人に向って意見をして「アイーダの決断」をするシーンも美しいし、「決断」感がある。
Bパートはちょっと線が少ない所もあったんだが、決めるシーンは決めてきていてメリハリだなあ。

  • メカ作画

Bパートはメカの描写が多い。

マックナイフにプラズマクローという新武器があったのか!とか


激しい戦闘もやっている。
しかし、今回は

隕石よけのはたきで叩いちゃったり、



隕石掃除をしたりっていう戦闘だけでないワイワイ感があって楽しい。ガンダムなのに戦争をしないって言うのは珍しさでもあるんだが、モビルスーツは戦闘機と言うだけではなく汎用作業機械でもある、というのがガンダムらしさでもあるんですよ。洗濯出動とか。




ビフロンは顔もモニターになっていてキングゲイナーを猫っぽくしたみたいだし可愛いし中の人が中原麻衣さんだからかわいいんだけど。
ヨツデ・ユニフィケーション・アタックで肩の関節がどういう動きをしているのかは全く分からん。しかもどういう技だったのかもいまいち分からんけど、なんか高速でナイフを付くだけの百烈拳なのか。なぜ仏像っぽくしたのか。カッコいいのか?
という変さも笑えるし楽しいし面白い。


たぶん、普通のモビルスーツの操作としては両腕の操作がマニュアルで、四つ手は「ユニフィケーション・アタック」っていうマクロのオートコマンド入力なのかなー。とか。

耳に操作プログラムを入れたんですかねー。(取れたんだ)
マスクは「マスクで精神を強化した一種の強化人間のようなもの」って富野監督が言っていたけど、バララの耳も一つ二つの操作を助けるんですかね。
しかし、こいつらって生身なんだなあ。ガンダムF91の鉄仮面とかドゥガチはサイボーグになっていたし、攻殻機動隊とかは百年もたってない未来なのにサイボーグ技術が発達していたし、西暦2307年ガンダム00もサイボーグ手術してたんだが。
リギルドセンチュリーは宇宙世紀から2000年くらい後のわりに戦闘用サイボーグはいないのか。まあ、今回の作品のテーマではないだろうけど。
リギルドセンチュリーは割と貧乏臭いのでサイボーグみたいなメンテナンスが大変そうな民族は宇宙世紀とかが滅んだあたりで死滅したんだろうか。金星には居るのだろうか?サイボーグ技術はタブーになってそうだなー。
ターンエーガンダムナノマシンはサイボーグ技術の結晶でもあるアルティメットガンダム細胞を流用している(あきまん脳内設定)わけですが。
とか、いろいろと妄想の余地があるのもガンダムですね。

  • 追記 レクテンの謎


#Gレコ 冬期講座1クール目 7〜13話まで MS・戦艦・パイロットまとめ - 玖足手帖-アニメ&創作-
登場モビルスーツのまとめを書いたんだが。
第10話でケルベス中尉がメガファウナに合流した時に映っていたのは「レックスノー最低3機」だったんだが。
なぜ、レックスノーでは無くて白いレクテンが居るんだ?関節のフレームの色などを見てもレックスノーの装備をレクテンに換装できるとも思えないし…。レクテン用ブースターをしょってるシーンもあったし。
このレクテンはどこから出たんだ?
宇宙に上がった11話以降もレックスノーが映っていて、レクテンは無かった。どこで積み込んだのか?キャピタルアーミィはキャピタルタワーから補給を受けたし、サラマンドラもラトルパイソン艦隊から補給を受けたタイミングがあるんだが。
メガファウナがレクテンを積むタイミングって…?
10話でケルベス中尉が乗り込んだ時はすでに高トルクパックなどと一緒にレクテンも詰み込んでいた?
ケルベス中尉の段取り力は異常だからな…。(多分コンテの指示だと思うんだけど。設定制作何やってんの?)

  • お話についてはこれまた長くなるので記事を分けます。

「はじめたいキャピタルGの物語」・「ガンダム Gのレコンギスタ」感想目次 - 玖足手帖-アニメ&創作-