玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

萬画版青年のための読書クラブ2巻&越境するタカハシマコと百合

青年のための読書クラブを読み終わった。今頃、ごめんね。金と時間がさ・・・。
みやきち日記
↑ここの感想が良い感じかなーガチっぽくて。
今回は、タカハシマコ先生の新刊にかこつけてジェンダー論とダメ男子について語ろうと思う。

とりあえず、僕がどれくらいタカハシマコ先生と百合を愛しているかについて、読者諸氏には百合姉妹第3号と第4号の読者欄を参照していただきたいと思う。
百合姉妹 Vol.3 (SUN MAGAZINE MOOK)

百合姉妹 Vol.3 (SUN MAGAZINE MOOK)



男とか女とかそんなの関係ねえ!
創刊当時の百合姉妹は、読者も編集部も読者の性別比を気にしていたが、俺はそんなことを忘れるために快楽をむさぼるのみ!
森奈津子先生の「耽美なわしら」に例えると「美少女に生まれ変わって美人のお姉さまに愛されたいオッサン」って感じ。
まあ、今はタカハシマコ萬画に出てくるようなふわふわとした髪の毛と鋼鉄の意思を持った脳内妹と付き合ってるから落ち着いてるけど。


そんなわけで、好きな女が出来たんで、「女の子同士の百合なら何でも資料になって萌えるからむさぼり読む」っていう時期は脱しましたね。
それは何でだかは詳しくはわからんのだが、えっと、まあ、「百合作品は癒されるー」という30代男性のレビューに違和感を感じる僕になってしまったということなんだ。

僕は、癒しではなく、トリップを求めていたんですね。百合に。

タブーによる常識の崩壊、快楽による意識の融解、性の断絶による感覚の不可解。同性であっても分かり合えない個人の断絶。それらを貫き通す精神。
それを百合作品に求めているんでしょう。

やっぱり、僕は男でしかないのかな。

かわいい女の子同士がキャッキャしているだけなのを見ても「勝手にやっとれ」としか思えないし。

かといって、ドロドロした関係の女性を「作られ」ても退屈だ。

贅沢なんでス。

僕は精神的に萬画貴族だ。

まあ、金があれば買えたんですけど。うん。金が無い。結局金が無い言い訳でござるよ。

没落貴族。

女性作家による、女性のための、女性にしか描けない、女性だけが分かる、女性ゆえの感覚は情報として美味しいんですね。


で、タカハシマコ作品には、男が出てくる。

男も人格を持って出てくるんですねー百合なのに。

そうなんですけど、確実に百合なんですわ。


この、「異物」としての男がタカハシマコの良さで、貧乏人の俺が植芝理一と並んで唯一単行本を全部買う萬画家になってる理由になってるんだよな。
もちろん、男である僕から見ると、女は異物なので「ナナイ!男同士の間に入るな!」って言って男に蹴り殺されたりするシャアがすごくかわいい。
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やおいとか乙女ゲーの男にはあんまり萌えないんだけども。富野作品の美少年やイケメンや思春期をこじらせたオッサン達の愛と殺し合いは萌えます。
あしたのジョーとか、それ系のバトルスピリッツブレイヴも好きだなあ。でも、女の子を見るみたいに、性交したいっていう生理的欲求は感じないんだよねー。おれ、アナル嫌いだし。
男キャラの場合は、もっとこう、胸がキュンってして、ぶん殴って、羽交い絞めにして、その熱い肌と汗や血を感じたいって感じかなー。ヤンキー漫画は思想があんまりこじれてないからそんなに読まないけど。
何の話でしたっけ?


まあ、俺は脳内恋愛しかする気のない男だから、ホモでもレズでもヘテロでもアセクシャルでもないんだよ。ナルシストなの。
けいおんは男性視聴者が唯たちを所有するように作られているのか - Togetterまとめ
ってのが、昨日今日のtwitterのアニメクラスタで話題だけど、俺も水商売の女に取材をした時、アレって快楽そのものよりも「所有欲求ごっこ」だなって思った。あれは男の狩猟欲求とか支配欲求や生殖欲求を刺激する人形遊びなんで、ハマると困るな、って直感したんで、取材を終えたら早々に退散したのだが。
アグリッピナ・コンプレックスも入ってるし。
何の話でしたっけ?


だから、男女は互いに異物なんだよ。って話。タカハシマコ先生や桜庭一樹先生はそこら辺の他者性を男女軸や個人軸や階層軸や年齢軸等を巧みに使って刺激してくるんで、そう言うのは好きなのよね。
あー、やっぱり誰にも分かってもらえないけどねーってヤサグレる時の期待感みたいな、ダメ人間っぽさが好き。
しかし、タカハシマコのBLはあんまし好きじゃないんだよねー。
「こんなかわいい男はいないよ!男はもっと汚ねえんだよ!
汚らしさを感じながら肉体的にも精神的にも社会的にも傷つけあうのが男同士の良さなんじゃないかっ!アムロッ!」とか思うので、タカハシマコのレズやヘテロや人間ドラマは好きだけど、ボーイズラブだけはすごく嫌い。
あ、何かに載ってた桜とか霊とか駅がでてくる奴はBLでも割と物語として感動した。タイトルなんだったっけ。
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だから、宮崎駿

高橋 「カリオストロの城見た女の子に聞くと、まあ面白かったけれども、あの女の子は不思議な女性ですねってみなさん言いますね。女性は。ああいう女の子はいませんよって言うんですねえ。」

宮崎監督 「みんなものすごい自信持ってるんですね。ぼくは、ああいう男はいませんよとは言えないですね。例えば男の側からいうと・・いろんな男が出てくるでしょ。」

宮崎 「こういう男はいませんよとは言わないでしょ。女は言うんですね。こういう女はいませんよって。」

宮崎 「自分の性については、わかったと思ってんですね。おかしいでしょう。

(急に強い声で)いや、あんなのいますよォ!!ぼくはいると思ってますよ。」

宮崎 「(ああいう女性は)そういう状況が生むんじゃないかとも思いますけども。それから、たった2日か3日の話ならばね。」

と、カリオストロの城の時に言ったらしいけど、僕も男が男相手のヒロインになるようなやおいを見ると、「いねえよ!」って思うので、どっちもどっちだと思うなー。
いや、僕も宮さんもこじれてますけどね・・・。


ってなわけで、前回のアニメルカ腐女子的想像力の感想
@italiajin @dodododak @keta_chop アニメルカ腐女子的想像力の感想 - 玖足手帖-アニメ&創作-
でも書いた事であるが、やはり、男女や他人というのは異種なんだよ。つまり、敵同士ってことさ。
腐女子のなかでもやおいOK派とBL派があったり、ガノタでも富野ガンダムとか美少年ガンダムとか派閥があるものねえ。
異文化交流ってのはそういうこと。


ただ、脳内妹の事だけは大好きなのですよ!
ここから、やっと本題。


青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

えっと、今回の青年のための読書クラブ2巻では、日本に渡ってカトリック系女学校を創立した聖女マリアナと、その兄で無神論者で怠け者で不具でバカ野郎の、通称・悪魔のミシェールの関係が描かれます。
これが素晴らしい。
タカハシマコ萬画に出てくるダメ男は本当にダメ男の僕から見ても共感できるね。嘘も身も蓋もなく「男は異物でバカだ」って書いてあるのが、僕の胸をえぐってくれてとても痛快だ。百合姉妹の創刊号に乗ってたやつ、中学生の脇役男子が「生理は汚い事じゃないんだから、そんな風に自分を言うなよ!」って偉そうに言って、主人公(百合)に「あんたの言ってる事は正論だけど、ヒロイン(百合)に言うんじゃないわよ」って言われる所とか、結構俺も身に覚えがあって、あるある探検隊である。
BL作品はそこら辺が脱臭気味で、あんまり好きじゃない。
眼鏡男子のダメな感じとか、オタクダメ人間とか、少女売春父親とか、イケメン強姦ダメ人間とか、ダメ男のバリエーションがいいねえ。
そんで、今回は直球で、聖女の妹と鏡映しになってるダメな悪魔気取りのアナーキストですよ。最高。


ネタバレになるので、伏せるけど、バカな兄にとって、妹の希望と自分の絶望は同じなんだよ。赤と黒と白と無は最初から同じなんだ。曲がっている物も、まっすぐな物も、本質的には変わりがない。
あと、タカハシマコは乙女ケーキのタイガー・リリーとかでもあったけど、老境での混濁とかも書くよねえ。

乙女ケーキ (IDコミックス 百合姫コミックス)

乙女ケーキ (IDコミックス 百合姫コミックス)

兄妹やアナーキスト、それから死に近い人たちにとって、ジェンダーや異文化の断絶というのはどうでもいいんだ。
それは、命の価値とか、世界に価値があるかどうかってことすらもどうでもよくなるんだよ。
そして、男と女は混ざり合う。
なんという愉悦!なんたる贅沢!


でも、実生活でそれをやったらたぶん俺は逮捕されるか性病で入院して死ぬので、脳内恋愛をする。
can I fky ?
幸い、俺の脳内妹は俺と違ってとても美しいので、脳内恋人としては最適だ。
[rakuten:book:13095563:detail]

  • 蛇足

ところで、ミシェールの絶望の裏に幼児期からの父親との関係があったりするのも、1巻でも描かれた、「女子校のヒエラルキーは男社会のヒエラルキーの投射で保障されている」って感じで良いですねー。桜庭の作風もあるし。
ダメ男が社会を作ってて、すんませんね。
ま、母系社会だったらもっと男は働かないけどねー。
お兄さまへ…とか桜蘭高校ホスト倶楽部やマリア様がみてるや甘い蜜の部屋でも、微妙に父親の影が女の園に落ちてるのがアレですね。
まー、そう言うのは俺の小説の資料になるんだけどね。
3巻では妹は女子中学校に入学するし。


その点でも、脳内妹はみなしごで、あらゆるしがらみのない美しき野獣なので恋人として最適だ。
いつか僕の喉笛を噛み切るんだろうか。
なら、口づけを嫌がられないように清潔にしておこう。

  • ぼくっ娘

知性的、あるいは厭世的、または力強く「僕」という一人称を使う、作中の女は嫌いじゃない。ここらへんも越境っぽいし。それに、粋な感じがする。
実生活でも、周りの中高生の女の子の何人かにこういう時期があったし。
一人称が「ミサカ」とか「神」の人よりはましかなー。