玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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オーバーマンキングゲイナー10over「アスハムの執念」

どうにも調子が最近悪かった。
そういう場合、音楽を聴き忘れているか、トミノ分が不足しているか、だ。
そーいえば、4週間も富野アニメを見ていなかったという。イデオン感想が長引いたしねー。Gガンダムも面白いし、井上草ニ=トミノ説はあるのだが、本筋ではない。
順番的には勇者ライディーンを見るべきなんだが、家に置いてあるDVDを倍速にして聞いている関係で見たくなったんですね。音だけ4回聴いた。ウェルニッケ中枢が発達してるかは謎です。
そういうわけで、金曜に本を返しに行った図書館のモニターで見たのだった。
感想は昨日の夕方か今日の午前中に書くつもりが、動作が遅いね。
というわけで、微妙に富野アニメにしては元気が・・・?
ふつー、富野アニメを見た場合、経時劣化して断線した神経がつながってチャクラが開く感覚があるのですが、今回はやや不発という印象は否めない。
俺は、体でアニメを見ているのか。そうだよ!60兆の細胞がトミノ分で動いているの。脳は電話交換局に過ぎない。
なんつってな。


いやなんというか、面白いことをやっているということは分かるんですが。
作画が残念です。

脚本 野村祐一


絵コンテ 斧谷稔
北村真咲


作画監督 大森英敏
演出 五十嵐達也
原画 大森英敏
松井章
清水博幸
平沢祐子
林直孝
木口英理子
工藤玲子
田澤潮
鶴田仁美
荻尾圭太
大梶博之
大下知之
本秀康
松川哲也
有澤寛
山本善哉
さのえり
ヒノタかふみ
高井浩一
植田二三子


スタジオダブ
スタジオ九魔


動画 鈴木まり子
スタジオたくらんけ
スタジオ九魔
アド・コスモ
アニメアール
アニメTOROTORO
M.S.J.武蔵野制作所
ハヤシ株式会社

このメンバーが悪いメンバーとは思えないんだが。(あんまり知らんし)大森英敏さんは好きな部類に入るベテランさんです。ファウ・ファウがかわいいんだ。
やっぱり、若手育成のために敢えて修正しなかったという感じ?
コンテが連名だし。
一枚絵としては、すごくカッコよく光沢と影のついたゴレームの座ってる絵とか、すごく線にメリハリがあってカッコいいアスハムやゲイナーの顔のアップがあるのですが。
あと、爆炎が何気に細かくて上手い。
しかしどうも、動画としてギクシャクしてるよーな。
デッサン的にも微妙に着膨れしたジャボリとか。
うーん?
スライド移動やフレーム振動で虫プロ的リミテッドな動きをつけても、同じ絵を長く見せられる不快感って言うのがある。
イデオンの時に、「この作画レベルの絵をあと2秒見せられたら粗が気になる、という直前でカットが切り替わるのが心地いいテンポだ」と書いたが、今回はその逆だったのかも。構図も若干堅い気がした。
ブレンパワードも作画的にはそんな感じがあったんですが、セリフの濃さや出崎よりもしつこい連続PANの迫力で、あまり気にならなかったような気がする。
まあ、作画的にはブレンの評価もあまり高くないので好みの問題かなあ?
キンゲもすごいときはすごすぎるし。


スタジオジブリが、もっと本腰を入れて作ってくれたら分かりやすい動画の快感が得られたのかもしれない?
うーん。でも、マトリエルの回ってそんなに作画アニメじゃなかったよなあ。やっぱり、宮崎駿キングゲイナーをバイトで作ってくれたらよかったのに。ものすごく文句を言いながら。
でも、北村真咲氏はガンダム00ケロロ軍曹をやるようになったので、出世したとも思える。


しかし、単純に若手の能力不足や作画リソース不足だけとも言いにくい気配がある。
動画が少ないのなら、紙芝居でも局所的に可愛い絵を繋いだり、派手な効果をつけたりということで楽しませるって言うのは出来ると思うんだよー。萌えアニメのように。2002年はまだそーいう文法が確立してなかったのだろーか?
いやー、萌えアニメはあったよねえ。
キングゲイナーのキャラクターデザインはリアルっぽく解釈されるので書きにくいのだろうか?
しかし、パンダコパンダに出てきそうな顔立ちのコナ・マダヤとかのよーなキャラもいるんだからもっとディフォルメしてガチャガチャ動かしてもいいのではないかと思うんだが。
うーん。

作画はあまり詳しくないんですが、気持ちよくなりそうなネタがあるのに、テンポが悪くていまいち乗れない、という新人芸人のようなもどかしい感覚でした。
背景は綺麗でした。



簡単に言ってしまえば不親切なんです。
「ここが面白いんですヨ!」っていう風に見せれば良いのに、ストイックなんです。
ツッコミがない漫才のような。さりげないユーモアを目指したんでしょうか?
うーん。
アンダースティックが伸びたのを金太郎飴のように斬ったり、審判がアスハムに殴られたり、ジャボリが「メガネメガネ」って言ったり、あと、ヤーパン忍法や女装。
面白いことをやってるのは分かるのに、面白いと感じ得なかった。もっと強調しても良いのに。やっぱり、富野監督はギャグが苦手なのでしょうか?
アクションアニメとしても、サラの協力でキングゲイナーがオーバーパワーを出して、ゴレームの輪っかをぶっ飛ばしてチェンガンが伸びるところとか、もっと派手にしてもいいと思うんですが、割とあっさりした印象でした。
むしろ、音のせいかもしれません。効果音でもっと、でっかい音を鳴らせば良いのに、地味。
グラゴラガキーン!
みたいな音が欲しかった。


キングゲイナーが一度雲海の上まで上昇してから、アンダーゴレームのフォトンマットの光をめがけて急降下攻撃をする所とか、もっとケレン味があってもいいとおもう。やっていることはすごすぎるのに、すごく見えないんです。(高度演出ではZガンダムIIのサイコガンダムとの成層圏〜海の広がりがすごかった。それをやってくれれば!)
リアルな設定でも演出はスーパーロボット風でもいいと思うんです。その点で、キングゲイナーは派手な時は派手だけど、地味な時は地味で印象が定まらないんですよねえ。
ツッコミがいないんなら、もっとメチャクチャにしてほしい。
ボクシングとか女装とかキレてるお兄さんとか忍者とかロボットとかあからさまにエンターテインメントな内容なので、もっとはっきりとして見せて欲しいって言う思いが、ちょっと肩透かしなんです。
が、
僕はシャルル・アズナブール(シャア・アズナブルの元ネタの俳優歌手)主演、フランソワ・トリュフォー監督のピアニストを撃ての面白さ、ばかりか話の筋(あと、登場人物の見分け)さえもあまりよく分からない人だったりするので、やっぱり、僕もハリウッド的分かりやすさを求めてる単純さが在るのかもしれない。

http://homepage3.nifty.com/mylittlevillage/ftheater3.htm

富野監督は若い頃にヌーヴェルヴァーグを見ていた世代らしいですから。(表現主義に陥り過ぎないかと反面教師にもしているらしいが?)
そういう「オフビートの魅力」も加えているのかしらん?



ただ、ガウリ隊長は動きだけだと大して動いてないんですが、山田まりや氏の旦那さんの草野徹氏の「やあぱんにんぽおーかえんぐるまあ!」が派手だったので、この回はガウリ回という印象になってるんですね。
子安武人の怪演はもっと後半です。
アスハムの執念なのに。
ゲインをいじめる笑い声は子安だ。
絵があっさりしてても声優さんで濃くなります。


あ、でも、

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1052245
こういう風に編集して笑うモードだよーって言う感じで視聴者がツッコミながら見たら面白く思えてしまったのだ。
うーん。
面白さとは・・・奥が深い。やっぱり、僕の体調が悪かったのかなあ?
精華大学で使ったモニターが縦長(4:3)に引き伸ばす旧式のタイプだったのせいか?家のモニターで
16:9で見直したら、そんなに酷くなかった。


散々ボロクソに言った後で、「でもおもしろいかもなー」とか言う俺。


しかし、富野的な面白さはありました。
説明してないけど意味のある描写といいますか。何度も見て理解できるようなさりげなさが。
いや、見るのが3回目で聴くのは8回目ぐらいですが、今ごろ気づいた事がある。僕の目が節穴なだけ?

  • 内陸部なのに朽ち果てた漁船のようなものが捨てられていることで大変動を暗示させているっぽい。(バイカル湖越えの直前なのでウスチイリムスクダム湖が干上がったのだろーか?大津波?竜巻?)
  • ゴレームが邪魔で砲撃が出来ないというのが一瞬だけ示されたり。
  • 「セントレーガンって言うのは・・・」とゲインに聞く鉄道警備員の一言、「エクソダスの正式な中止命令はロンドンIMAからないんですよ!」「私は元セントレーガンのアスハム・ブーンである!」で、セントレーガンのアスハムの微妙に不安定な立場っていうか私怨をかもし出したり。
  • うしろの爆発がそろそろ来るぞ!」とガウリが言った後にゴレームによって列車が脱線したせいで爆発によって列車を加速しようとした(のかなあ?)というガウリの戦略が頓挫したする。その後にさりげなく、意味を失った爆発がある。列車を加速させるにしては小さくて方向性のない爆発なので、よく分からない。火薬の位置が脱線で崩れた?
  • ザッキのゴレームを倒したキングゲイナーが虚空に投げたと思ったゴレームの武器が、遠く離れたアスハム機の腕を断ってゲインを救った。(距離がわからん!)
  • ガウリがゲインに鍵を渡さなかったのは銃撃戦のことを考えると仮面があった方がいいとの判断か?(その後は素で忘れたっぽいが)。その判断が分かったから、ゲインも怒らないで笑う。

そんな感じ。
富野アニメは謎解きアニメか。


あと、今回のヒューズ・ガウリはキングゲイナーには珍しく、直接的に人を殺している。
が、忍者というギャグによって、あと死体を描かない事で直接的なストレスを感じさせない。感じさせないが、ガウリの殺人者としての側面をしっかりと見せている。
「八方手裏剣の怖さだ!」って言って、死んでると思う。大怪我?
「すり足の術を使ってみたんだ」で後から近づいて殺したんじゃないかなー?
「おれ、十手返しが使えたんだ」で十方手裏剣を受けた警備員とガウリに列車からたたき出された警備員は死んだと思う。
ゲイン・ビジョウも「これ以上の人殺しはさせないでくれ」っていうし。死んでる。
キングゲイナーっておバカなアニメだけど、殺し合いで生存競争の話なんだよな。
あとから怖くなってきました。僕は平和ボケです。


テーマ的には、やっぱり、キングゲイナー的というか、富野的なものが今回も一貫して在りますね。
僕にとって、それは「道具」「能力」「立場」によって「規定」され、人の行動さえも「制限」する「思い込み」が、「エクソダス」によって「脱出」されたり、「失敗」や「偶然」や「(人間関係等の)不確定さ」を通じて「相克」されたり、というような感じかなーって思います。
そいうのは、ブレンパワードイデオンでも描かれてたので、ライフワークかも。


今回の話で言えば、妹の話を聞かずに「妹を寝取られた兄」という立場から自己規定して行動をどこまでも暴走させるアスハム兄さん。
エクソダスのため、と言いつつも自分の趣味で身につけたとしか思えないヤーパン忍法を使いすぎるガウリ。「身につけた力は使わなければならない」という思い込み?
あ、ガウリが忍者になったのは、ウルグスクの中でのヤーパン民族としての民族的アイデンティティーの発露だったのかも?他のキャラクターに比べて日本人的な顔立ちだし。
で、それが本当の忍術とはかけ離れている、って言う所からはなんか「センソーマニア」っていう感じも受けました。もちろん、ギャグでも在るんですが、同時に毒も在るという。
ヴァーチャルな戦争に対する憧れ、「戦いとは厳しいものだ」「犠牲はつきものだ」という観念をドームポリスで生きてきたガウリがエクソダスを通じて鬱憤晴らしをしているようにも見えて、ちょっと怖い。
そういう世代が、少年ではなくガウリのような大人世代になっている、という現状認識が富野監督には在るんでしょう。(まー、同世代の宮崎駿が既にマニアなんですが!)
しかし、それを批判するだけではなく、そういう人も存在している社会だと、受け入れるような広がりがキンゲにはあるんですよねー。


それから、今回の話の一番の見所は、(今ごろ書く!)ゲインを既に越えている事に一人だけ気付いていないゲイナー君です。
ガウリに「請負人よりも君の方が大切だ」って言われてる。
また、ゲイン自身も今回はかなりあきらめムードです。
というか、ゲインがかなりアスハムに対して負い目を感じているっぽい。
殴られてやるし「お前の気晴らしに付き合うのは、痛いことは痛いんだぞ」「まだ、気がすまないのか・・・」とつぶやいたのは、アスハムをすっきりさせてやろうという気持ちがあったのかも知れん。
「生きている限り希望を捨てないつもりだったが」「カリンの所に連れて行け」と、アスハムが喜ぶような敗北宣言を言って聞かせたりもする。
アスハムが仮面を被せたのは、カリンの事を思えば凍傷にするわけがないので、ゲインの敗北宣言を聞きたかったんだろーな。
ゲインがこういう気持ちになったのは、前回クラスメイトに認められたゲイナーの戦いに自分の出番があまり必要なかったということが効いているっぽい。
6話でカリンとの間の子のことを聞かされたゲインは、請負人の仕事をやり終えるまではアスハムには従わない、というビジネスマンの哀愁があった。
が、今回はロンドンに行っても良いか、となってしまっている。
ボクシングの試合の時に、「僕のパワーの源は、今朝君がくれた熱い口づけ」って女装のゲイナーに言ったのは、あながち冗談だけ、と言う訳でもない?ウホッ
かなりゲイナーを認めているようになっているな。ゲイナーもジャボリから独力で逃げ出せたし。実際に強くなっている。
つまりまー、ゲイン自身も「父親としての役割」というレールに乗っても良いかな、と思うようになっていると。請負人としての役割はもういいかな、と。


だが、ゲイナー・サンガ君だけはそれを良しとしないのだ。
ここがいい!
バディものって言うだけではなくて。
ゲイナーは既にゲインを凌駕しているし、他人の承認も手に入れた。
ゲインに対する借り、と言うのはもう意味を失っている。
が、ゲイナーは「自分が強くなって一人で生きていけるから、それでいい」って、そんな子じゃないのが良いね!若いね!すっごくいい子!
「自分が強くなったのは自分だけの強さじゃない」「一人で強くなっていってもつまらない」っていうのが、本能的にわかってるんだよな。強いからこそ。
共感能力が個人的な力を凌駕するって言うのは富野作品によく登場する強さの形なのですが。
そーいうのをハッキリしたセリフや超能力を使わずに描いたのが、キングゲイナーかもしれない。
だから、ゲイナー君は主人公だと言える。




と、まあ、これだけの感想を書くのにゴールデンウィークの4時間くらいを費やしたのですが。
あれえええええ?
喋ったら15分位の内容なんですけどネー!
まあ、僕は話が下手なので、話したら言い忘れたりするんで、こうしてブログになるんですけど。
いやー、
富野作品の事になると我を失っている。事実として。
おかしいぞ、俺!
だって、「今回はあんまり面白くなかったです」っていう事なのになー!
「面白くなかったのはどういうことかと言うと、」「それは僕がこういう背景を持っているからで」「面白くなりそうな部分は、」「面白かった部分もありました」
ということを、なぜか根掘り葉掘り書いてしまう。
もっと、ブロガーらしく読みやすく「これはこういうものだから、こういう評価だ!」とスパっと書いてしまえばいいのに、「とっ散らかった世界を真摯に描いた作品に対しては、とっ散らかったブログを書く事が真摯な態度なのではないか」とか思う。
一番言いたい事だけを書けば良いのに、「全部一番言いたい!」っていう。
久々に富野作品を見たら、この有り様です。
そりゃー、kaito2198さんにも

はじめての相互リンク!!
2008/05/03 20:58|未分類|TRACKBACK:0|COMMENT:0|▲
我常常叨擾的富野系網站
「玖足手帖」(呶呶日日),
從今天開始,加入網站連結了。

管理人的グタ氏是個擁有十足熱情,
在更新的內容以及分量都讓人十分佩服的富野迷。
之前我丟在2ch富野台湾講演,
也蒙グタ氏刊載在網站上,
實在是非常感謝。

私のいつもお邪魔している富野ウェブサイト「9充分に1枚の書き付け」(毎日をくどくど言います)にリンクをして、今日から、ウェブサイトに参加して連結しました。


管理人のグダ氏は個が十分な情熱を持つので、
更新の内容と重さのすべてに、人に非常に感心させる富野の謎にあります。
前に私が2ちゃんねるで書いた富野台湾講演レポートを、グダ氏はウェブサイトの上で掲載して、くれました。
本当にたいへん感謝するのです。


グタさん、ありがとうございます!!

http://kaito2198.blog43.fc2.com/blog-entry-14.html

っていわれちゃいますね。正確な、評論です。個が十分な情熱を持っちゃいます。


明日こそは課題と掃除と謎の彼女Xの3巻をするぞ!
既に早寝は出来ませんが・・・。
twitterでもそんなに大した事を書いてないはずだが。
意識とキーボードの性能にズレがあって時間感覚がおかしい?
うーん。
僕も道具に使われているのか?
うーん。道具を使いこなすスキル!