玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士ガンダムUC読了

月刊ガンダムエースにしては物量が多く、切り抜いた末にやっと読み終わったぜ!
毎月感想を書きたかったんだけど、なんか時期を逸した感じなので、とりあえず読み終わってから感想ってことよ。

  • 総評

「筋は良い。だが、速さと重さが足りねえな。リズムを忘れるな」
と、言う事です。
以下、蛇足。
[rakuten:amiami:10223474:detail]
面白い所と生理的に受け付けない所があった。
福井晴敏先生は肉眼で2,3回見た事が有るし、基本的に悪い人じゃないとは思う。だけど、なんだろうな、この違和感…。
福井先生は大富野教信者だから本来は仲間のはずなのだが……。
 
 
泣かせに来てるシーンが幾つかあったんだけどね。最後のアンジェロとフル・フロンタルとか。だけどね、「あ、今度こそ感動できるかも」って思ったらオチまでが冗長だったり、富野コピペが有って急速に冷めたり…。惜しい!感動したかったんだよ!俺は!
富野コピペ、何で駄目なんだろうな…。富野由悠季小説好きなんだけどね…。俺も富野コピペネタを小説に入れたりしてるからあんまり正面切って怒れないんだけどね。
なんか、冷める…。
富野小説を読めば読むほど、詳しければ詳しいほど、冷める…。俺の小説のガンダムネタも他人から見たらこのようにお寒いものなのだろうか…。引き出しが少ないと露呈するような物だからな…。


やっぱり、こりゃあ、「入り口用コンテンツ」なのかなあ。ガンダムSEEDとか。∀ガンダムと同じように、いろんなガンダムのネタを入れて、昔のガンダムにも興味を持ってもらおうっていうアレかなー。うーん。
ターンエーガンダムは冷めなかったんだけど…。むしろ、ネタかと思っていた黒歴史がガチに∀ガンダム固有のものとして煮込まれてオーガニック的に融合していた味がすごくおいしかった。
ガンダムワールドの入り口コンテンツとしては、むしろ僕は機動戦士ガンダムSEEDよりオーバーマン キングゲイナーだったけど。
[rakuten:surugaya-a-too:10644852:detail]
[asin:B003OUVOVM:detail]
ガンダムはそれまでもリアルタイムでボチボチ見てたけど、本格的に見ようと思ったのはオーバーマンキングゲイナーインパクトあるオープニングで、「こんなアレなものを作ったのが富野由悠季という老人で、それが∀ガンダムも作ったのだと?」→「ターンAガンダムは全てのガンダムを∀しているのか!ならば、全てのガンダムを見る!ディアナ様の悲しみを知るために!」ってなって、とりあえず映像ソフトは全部見た。漫画も大体読んだ。小説は、まあ、富野関係を中心に…。
シリーズの入り口として興味を引くなら、リメイクや真似より、やっぱり面白い新作の方が偉いと思うんですよ。僕だけかな?


機動戦士ガンダムユニコーンの富野コピペは、なんかね、味がね、浮いてる…。なんか、ユニコーンガンダムデストロイモードに残っている足だけの青色みたいな、おいしいショートケーキの苺だと思ったら大トロが乗っていたような、味が浮いている感じで、パッと味が醒めちゃった感じ…。

HGUC 1/144 RX-0 ユニコーンガンダム デストロイモード (機動戦士ガンダムUC)

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うううう。福井さんさああ、映画にもなるくらいのオリジナリティが有るんだからさあ、福井さんの世界で統一してくれた方がおいしかったと思うよ。出崎統理論によると、やっぱり作品は固有の意思で統一されるべきだよ…。なんかね、ごめん、disりたくないんだ。でも、うううう。
でもさー、器になってしまった大人を否定するっていう話っぽいのに、コピペを地の文で使ったら、作者自身が器で、作者自身がフロンタルよりもさらに冷笑的に感じた。その地の文での条件付けの上で行動するキャラクターにも熱量が足りないように感じたのだ。いや、私の主観なんですけど。小説って主観だから。
ガンダムビジネスワールドを破壊しないようにという事なんだろうけど…。だったら、連邦の秘密とかそういう屋台崩しネタを中途半端に出さなくても…。


福井さんはサンライズフェスティバルのみんなの宇宙世紀ナイト!で「小説家としてキャリアを積んだから、だからこそガンダムをやれる箔が付いた」って言ってたし、まあ、戦略論としては正しいし、ビジネスはそういう物だと了解もするが、作品は箔じゃねえんだよ!
他人の評判なんか関係ねえ!お前の魂を、ただ一つの俺の魂に打ち込んでこい!俺は俺の感覚しか感知せんぞ!


福井さん、「ガンダムUCは俺たち大人世代が『見てもいいガンダム』を作りたい」って言ってたよな…。許可を貰って見るもんじゃねえだろ!アニメはさ!
なんだよ!それ!
大衆とはそういう物なのか?オタクって元々、野生動物の群れに眼と鼻だけで飛びこんで行って、狩りとって、自分で貪り食うものだと思う俺が間違っているのか?「柴犬7歳以上のドッグフード」じゃねえんだよ!ガンダムは!
[rakuten:pettonya:10003853:detail]
オタクは、狼だ!ほえろ! ほえろ! ほえろ!おいらにゃ荒野が欲しいんだ!だけど ルルルル・・・・・・ 明日二人は血みどろで風に舞う!

あしたのジョー ソングファイル ( サウンド・トラック ) TKCA-72506-K

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バナージ・リンクスが世界を見る所は良かった。
でも、そのパンチの後にもう二三発リズムよくたたみかけてほしかったのに…。なんか説明文が間に入っちゃって…。モナハン・バハロとか要らないから。辻褄を合わせるよりパンチを撃て!
俺、大体、作品を見る時は殴られに行くつもりだから。富野作品はそこら辺の、生理的リズムが合うんだよねー。やっぱり、体の相性かしら…。
セックスだからね。
いや、世界を見るっつったら、アベニールをさがしてな訳ですが、アベニールをさがしてのラスト2章を10分くらいで一気に読み返したら、案の定泣けた。
なんでだ?この違いは!
うーん。
アベニールも電波だし、世界を見るし、意味不明な幽霊でGN粒子フィールドなんですけど…。なんか粋なんだよ。
勢いが有るしさ。アベニールをさがしてのラスボスをやっつけた時、やっつけたと読者が気付くのはすべてが終わった後って言う、ものすごい疾走感がある。
富野語は小説であっても、ガンガン鋏を入れて編集して折りたたんで削ぎ落としまくってるからなあ。それが読みにくいって言う人もいるけど、僕はせっかちだから、ドーーーッとした勢いとか疾風怒濤が好きなんだよなあ。
なんか、敵も味方もみんなぐちゃぐちゃになって何かを求めてるんだよ。
それが星の渦の一つ一つの羅漢になって、さ、きれいなんだよ……。


ユニコーンはそこら辺がちょっと、キチンとしててカオスがなかったな。
破壊描写はあるんだけど、それも破壊描写が小説のクライマックスで必要だからおぜん立てされた感じで、いまいち乗れないんだよなあ。っていうか、サイアム・ビストが一世一代の封印解除の所で丸投げして死ぬせいでピンチになるのがアホ臭すぎて…。エコーズが頑張っててもいまいち乗れないんだよな。箱の開放と同時にビスト財団親衛隊が冷凍睡眠から目覚めたらいいのに…。巨大戦艦が覚醒したのに、クルーがいないまま起動させるって、何なの、バカなの。
ジンネマンに見せ場を用意したかったんだろうけど、そういう作者の都合よりも、作中の人物に最善を尽くしてほしいなあ。おれ、現実の人は嫌いなんだよ。
サイアム・ビストが死んだ後にメガラニカのメインコンピューターに人格を移植してトチローっぽくなって「姫の演説の間、ワシが守りきってみせるわあああああっ!これが百年生きたワシの贖罪よ!」って言って、メガラニカが全部サイコフレームでできてて、超巨大サイコガンダムに変形して、超巨大爺になってミサイルを全部体で受け止めたら兆萌えたのに…なんか死んだ。
それやったら主人公の見せ方が難しくなるけど。


ていうか、おれ、あれだ。「真実を報道で知らしめる」っていう展開が、どの映画にも限らず、大嫌い。ヒーローマンとか、エンドレスワルツとかなんか多いんで最近10年のトレンドなのかなーって思うんだけど。
すごく、大衆が安全に真実で遊ぶのを許す感じで不愉快なんですよ。
ラプラスの箱の秘密も、普通に失笑ものだし。善意とは思えないなあ。だって、「将来、IT革命に適応した多指症のプログラマーが発生した場合、優先的に雇用する」みたいな電波文だし。なんだかなー。

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ユニコーンガンダムが覚醒したのはとても良かった。黄金の秋やムシャジェネレーションで∀ガンダムが自我に目覚めたような興奮が有った。イデオンコピペ好きなんだろうなーって思ったけど、まあ、イデが主人公になってイデ視点は斬新だから、もっと見たいと思った。
でも、なんかイデあきらめた。おいおい。
せめて、ゴッドジンライくらいの男気を見せてほしかった。

というか、総体に進化したユニコーンガンダムが孤独だったんだよな。それが、銀河菩薩が遊ぶアベニールをさがしてとかフェラリオやガロウランが跋扈するバイストン・ウェルとは違って寂しげで不完全燃焼だったか。仲間がいればなあ…。
というわけで、つまり、バンシィがすごく情けないのがダメ。

対になる獅子なら、ユニコーンをどうにかしろ。いや、バンシィやリディ・マーセナスが普通の人間代表っていう構図の意図はわかるんですが。いまいち熱さが足りないんだよなー。「それじゃ女は抱けないぜ!」は良かったけど。追うだけかよ。
つまり、バンシィに一発殴らせてやりたかった。お前も大量破壊兵器をはじくサイコフィールドの中心にいたんなら、バロンズゥにリバイバルしろよ!
逆襲のシャアは「ニュータイプになっても分かり合えない」っていう理屈じゃなくて「シャアと分かり合えないなら分かるまでアムロが殴るし、後ろから蹴ってサザビーの中身が出ても逃がさない」っていう、そういう熱血ボクシングが良かったんだよ!
リディの失恋とか復帰も、ちょっと構造主義的すぎたかなあ。フラグが判る話より、何考えてるかわからん人が勝手な都合で暴れまわる話の方が好き。


あと、フル・フロンタルも情けなかったなー。
いや、彼のバレバレな設定の秘密はともかく、彼の悲哀は良かった。良かったんだけど、そのネクストがなくて微妙だったなあ。
まあ、ネクストがないのが彼の持ち味なんだけど…。でも、ちょっとイライラしてたじゃん。そこを、バナージの熱血パンチでどうこうすればホモ的に燃えたのに…。シルバーキャッスル魂に火を付けたらなあ…。

耽美アンジェロに丸投げか。しかも偶然…。作者の采配か…。

だいたい、バナージごときに地の文で「こいつは狂っている」とか言わせるのがムカつく。狂って何が悪いか!これも天然自然より生れしもの!(天然自然から生まれない物は物理的に存在しない)
地の文で悪役について「こいつは悪い奴」みたいにレッテルを張る態度が気に食わない。いや、地の文が1.5人称小説だから、それは登場人物の主観なんだろうけど。でも、レッテルを張る人物も主観的なバカって言う客観性がちょっと少なかったなあ。
っていうか、シナンジュユニコーンガンダムのお兄さんなのに、デストロイモードとかトランザムがなくて可哀そうだった。福井版∀ガンダムの月に繭地には果実はホワイトドールが霧亥みたいに強かったけど、ターンXの扱いが少なかったな…。

月に繭地には果実―From called “∀”Gundam

月に繭地には果実―From called “∀”Gundam

しかも、マリーダ・クルスごとき強化人間の小娘とか愚民どもにシナンジュが少しずつ壊されて行って、満身創痍になって、そのうえ幽霊やバンシィに味方された五体満足のユニコーンに殺されるシナンジュが本当にかわいそうだった。
MG 1/100 MSN-06S シナンジュVer.Ka (機動戦士ガンダムUC)

MG 1/100 MSN-06S シナンジュVer.Ka (機動戦士ガンダムUC)

もっと万全なコンディションでのガンダムファイトが見たかった…。Gガンダムは「俺たちの世代が見てもいいガンダム」じゃないかもしれないけど、正々堂々としていて、出崎統分もたっぷりで男らしくてよかったな。
超級!機動武闘伝Gガンダムは作者が「ハーモニー演出でZガンダムを降板した」今川泰宏監督と「あしたのガンダム」の島本和彦先生だからとても出崎でいいな。
[rakuten:arcam:10211478:detail]
zenryokutei.com


壊れたシナンジュの代わりに、ネオジオンでコピーした高機動型シナンジュ2号機がいきなり現れたら燃えたのに…。ユニコーンも遠くからリモコンで飛んできたわけだし。リモコンで飛んでくるガンダムは燃えるな。うん。燃えた。
で、肩にバナージとフロンタルを乗せてGロボみたく殴り合うの。
いや、強大な敵を「みんなの協力」でやっつけるっていう、普通の人の好みそうな戦隊ガンダムっていう構図や、そういう売り方も判るんだよ。でもね、でも、それは一気呵成にやるべきで、やっぱりシナンジュが少しずつ弱っていくのは燃えない。
THE-Oが最後まで凶悪で、それをいきなりぶち殺すのが燃える。
少しずつ壊れるのは主人公の方が燃えるんだよなー。ガンダムとか。少しずつ壊れるけど、乾坤一擲!っていう。ガンダム様は胴体だけになってもアムロを救うから格好良すぎる。
あ、でも、シロッコやZZのハマーンが政治的には少しずつ足場を無くして行くのは、良かった。殴り合いと政治の駆け引きは燃えポイントが違うのかな。


あ、そうそう基本的に僕が「みんなの善意」が嫌いっていう、個人的な性格障害もあるんだわ。
ルルーシュが「可能性を臨むみんなの集合無意識の多数決」で父を殺すのがすごく嫌い。なんだよ!それ!
そんなにみんなが善いものかよ!だったら、おれはみんな以外のアレだよ!すげこまだよ!
みんなが良いものだってうかつに書くと、現状の糞のような世界を作っている読者を甘やかして迎合した感じになるから、僕は嫌いだな。
富野の言うように「世間に怨みを抱いて『お前ら、全員死ね!』っていう作品」と同時に「そこから永遠に再生する物語」が好きです。
福井さんは「ガンダムファンのみんなが見たいと思う物を盛り込みました」って言うんだけど、それは一つ落とし穴が有るわけです。それはどういう事かというと、「みんながみたいって言ったんだから僕の作品ではありません」というエクスキューズが筆を鈍らせるという事が有るわけ。
これは福井ガンダムだけの問題ではなくて、安彦良和先生の機動戦士ガンダム THE ORIGINで読者と安彦先生が討論会をして、読者の意見を作品に盛り込んでから明らかに作品が迷走したという事にも表れているんですよ。
安彦先生はインタビューでは結構「富野さんのガンダムを糾したい」という発言をしてるんで、そっちで突き進めばいいんだけど、結局ララァが死ぬシーンをアニメ版と同じような絵でやっちゃって、なんかどっちつかずな印象を受けちゃったんだよなあ。ていうかさ、スタッフとかプロ同士のスタジオワークはともかく、ファン程度の大衆の意見を迂闊に取り入れてしまうと、それは無責任な物にしかならないでしょうってこと。
初音ミクについて富野が「みんなの総意で作ってるから足の引っ張り合いになってる」と評したのは身近にこういう例が有るからかも知れんね。
アイドルマスター2も設定発表を見た程度のファンの意見なんか知った事ではなく、作品の力でねじ伏せて見せよ!



というか、まあ、出崎統が足りないっていう事なんだけど。
福井さんは富野に憧れてるし、富野コピペを使うんだけど、富野は出崎に憧れてるから、どうも孫引きになっちゃうんだよなー。
富野以外のものももっともっとパクリまくって、もっともっと意味不明なものを作れば燃えたのに。
富野はムーに書いてあるような事とか最新科学論文(仮説段階の与太話)とか世間の事とか古典までパクリまくりですよ。
福井晴敏先生は高村薫の影響もうけているので、資料を集めて構築するタイプなのだが、今作ではほとんどの元ネタがガンダムで、ちょっぴり時事ネタを入れた程度。富野由悠季の一番弟子を自称し、それを富野監督のリーンの翼の帯に書く人であるから、「僕がガンダム小説を一番うまく描けるんだ」という意識が有り、ガンダム以外の資料集めを怠ったのかしらん?それは慢心と見えるな!

李歐 (講談社文庫)

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リーンの翼 2

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ユニコーンと貴夫人のタペストリーというアイディアは古典的で良かったんだけど、あんまり膨らまなかったかなあ。


まあ、小説版機動戦士ガンダムは所詮、プラモデルも含めたユニコーンプロジェクトの歯車の一つに過ぎないので、アニメ版は余計なものをそぎ落として、古橋一浩監督に原作クラッシュしてもらいたいですね。小説のラストもいい感じにあいまいだし。
もう、るろうに剣心 追憶編くらい映像的趣味に走って下さい。
そちらのほうが速力が出る。

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でも、読み終わってハッピーエンドで安心した。
どういう意味かというと、僕が書きたい本質を先に書かれるかと冷や冷やしたが、寸前で引き返したので安心した。
そういう意味でのハッピーエンド。