玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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バトルスピリッツブレイヴ最終回「黎明」 泣けた

泣けた。
実は、バトルスピリッツバトルスピリッツ 少年突破バシンがすごい可愛くて好きだったんですけど。そして、バトルスピリッツ 少年激覇ダンは鬱が酷過ぎる時期に放送してたので、あまりちゃんと見てなかったし、キャラも1期のバシントッパやマイサンシャインたちより大人びて、悪く言えば地味だと思ってたんですけど。
でも、なんかバトルスピリッツ ブレイヴになってから、なんか大人びた所があしたのジョー2みたいな拳闘キチガイでバトルジャンキーで男同士のホモソーシャルっぽい友情っぽい熱さを感じるようになって、再評価した。
あ、1期の終盤の百瀬勇貴と百瀬華実の婚約者が生まれ変わった兄妹とか言う話はすごい好きでした。シスコンだし。
あと、異界王やコアやグラン・ロロが、リーンの翼のサコミズ・シンジロウとかダンバインバイストン・ウェルみたいな感じで、環境問題などもガンダムみたいな感じで、富野ファンとしても興味深かったサンライズ作品でした。
そして、実はこの最終回を見る前にバトルスピリッツ少年激覇ダンの終盤から最終回を見返したんです。今日。
で、二つとも及川光博の「君がまってる」がエンディングですよ。泣けた!
ブレイヴのラストにズングリーやマギサが登場しそうだなーって思ったけど、しなかったのがビターだな・・・。ダンはダメかもしれない。ダメじゃないかもしれない。星になったんや…。


ヴィオレ魔ゐ様も女として成長したな・・・。クラッキー・レイも男として成長したな・・・。
ううう。ツッコミどころも多いアニメだったけど、2年間は長かったし、作画もなかなかよかったし、キャラにもそれなりに思い入れが出てきたので、泣けたよ。
なんか、ぐっときた。


馬神弾さんもただのカードバトル好きの男の子だったのに、バトルの深みを経験して、その上で地球全体を受け止める男に、少年から男に変わった・・・。地味に作画も演技も1期の1話からすこーしずつ大人に変わって行った気がする。それこそ、矢吹丈みたいに。

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ダンと月光のバローネのラストバトルはお互いが敵味方という闘争ではなく、負けた方が生贄になるっていう契約で、しかも勝ち負けよりもバトルの内容が大事と言う、非常に儀式的で神秘的なものであり、同時に男同士の絆が表現されるものだった。それが、すごい。勝ち負けよりも過程が大事、と言う事を最終回に持ってきたのがすごい。バトル上級者の強さの深みの底まで、強さの多神の頂上まで行った者同士が、勝ち負けよりも互いの技量を真剣に見せ合うという儀式が、達人同士の格闘技の演武のようで、神に捧げる相撲のようでもあった。すばらしい・・・。
神への祈りと言う抽象的な漠然としたものをカードバトル販促アニメで表現しようとするとは・・・。
やはり、祈りがテーマだったから、魔法というわかりやすい形ではマギサや異界グランロロは出さなかったのだろうか。祈りは漠然としているものなのだ。
カード召喚って言うのも、神秘的な物を連想させたなあ。カードバトルと言うと肉体的バトルアクションの伴わない大人しいものと印象を持つが、ダンはバトルの痛みや魂の対話という形で熱さが表現されていた。そして、神秘の領域へ。


そして、弾が命を捧げて祈った後に、星になった後に、地上に残った人たちはその言葉を胸に、それぞれの生活で世界を再建していく。戦いでは無く再建こそがテーマって言うのは、東日本大震災以後のアニメっぽいし、リーンの翼以降のサンライズのアニメーションって言う感じだった。漠然とした祈りの後は、それでエネルギーを得た人々が一人一人で頑張るという現実的な政治と生活があるのだ。
政治劇も1期から少しずつ深まって、2期は外交交渉や内部分裂や武装蜂起や世代交代という要素を取り入れていって面白かった。
まあ、現実の今の日本を見ると、東日本大震災という災害の後に祈りはあったと思うが、やはりなかなか政治的に成熟していないし、成熟して実務に当たろうという志もみんなに足りなさそうだ。まあ、アニメは理想的だからな・・・。アニメの理想を現実化したいけど、実際の人間はアニメよりも凡庸だし茫漠としているからなあ。



同じようなテーマのリーンの翼のアニメだと、異界王の声と同じ小山力也が演じた迫水真次郎に対して若者のエイサップの深みが足りなかったと思うが、バトルスピリッツのダン編は2年間かけて弾が深まっていく様子を描いていって良かった。エイサップは混血と言う以外はとても特徴のない若者だったが、ダンはバトルスピリッツに対する熱さや人に対する深い利他の心という持ち味があって、それが最後まで貫かれたのがよかった。弾のキャラクターの深さ、と言うか、弾のキャラクター性が深まっていく過程と物語の深まりが並行していって、2年間のアニメーションの物語を牽引できていたと思う。
今回の最終回のダンのカードバトルを進める時の口調の大浦冬華さんの演技も、すごい淡々とした大人の喋り方と言う感じで、カードバトルアニメとしてはとても意外性があり、かつ物語の内容にマッチした演技だった。


また、作画も良かった。バトスピダンのキャラクター作画はバトルスピリッツ少年突破バシンのしもがさ美穂さんの可愛い感じのバトスピ第1シリーズから連結して、最初はポップ感じで異世界の人たちも記号が分かりやすいデザインと作画だったが、少年激覇の2クール目で異界王やパンテーラが出てきて平均年齢が上がったあたりから、作画が最初のキャラ設定よりもだんだん濃くなっていって、演出的にも大張正己みたいな影とかハーモニー作画で迫力を出してて良かった。
カード召喚ゲームバトルという主人公の動きの少ないアニメだったが、心理描写シーンとか、CGの召喚獣バトルとキャラの台詞を上手く合わせて被せて繋げたアニメーションのカット割りや絵コンテ演出もリズミカルでとてもよかったと思う。


そういう意味で、とてもよかったので、泣けました。
ありがとうございました。いいバトルでした。いいアニメでした。
声優とか前期をトレースしたような所があったバトルスピリッツ ブレイヴだったが、最後にパンテーラの名台詞でバトスピバトラー全員を代表したようなダンさんのラストセリフがとても泣けた。
でも、それは男の論理で、女としての紫乃宮まゐの感情は悲しかったんだ。それをどっちも描いてるのがよかったな。
自己犠牲的な祈りは感動するけど、それだけじゃダメなんだ。ダンはユースに「俺みたいにバトスピしかない生き方はダメだ」って言って、残された者たちはそれぞれの日常で頑張っていくんだ。それは両方とも大事なんだ。泣ける。


あと、暗闇のザジの鈴村健一さんだけでなく弾の大浦冬華さんも今年の7月に結婚したんですね。
いやー色々とめでたい。
大浦さんのダンの最終回に関するブログ↓
https://blog.excite.co.jp/fuyuka-ooura/16835500/



うおおおお!
ターンエンド!


前作での百瀬兄妹が今作ではゾルダーとフローラに生まれ変わって、因縁を無くして普通に幸せになったように次作のバトルスピリッツ 覇王ではダンさんが普通に幸せになれるといいな・・・。
しかし、ダンさんは最初から最後まで人間世界にいた時の生活感が薄い、無私の人だったな・・・。カレーを作ってくれてた親はどうなったんだ・・・。