玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ガンダムビルドファイターズ2話良かった点とダメだった点

前回は30代ガノタ老害っぽさを吐き出して感想を書いてみたが、今週からはガンダムと言うよりはケロロ軍曹を見てる程度の軽さで肩の力を抜いて気楽に見てみようと思う。

  • よかった点

オープニングのことぶきつかさ先生の描いたRX78ガンダム2号機が安彦良和リスペクトでかっこよかったです。立体の取り方は安彦さんと言うよりはカトキさんっぽい部分もあるんだけど、でもやっぱり僕にとってのガンダムはメカメカしいビーボォー系とか尖ってる勇者系と言うよりは安彦さんの優しさがある感じのガンダムなので、今回のオープニングのことぶきつかさ先生のガンダム父性的な懐の深さのあるガンダムの顔でよかったです。
カトキハジメさんっぽい立体感で安彦系のガンダムって言うとVガンダム逢坂浩司さんの顔付にも似てて、好みですねー。
また、お父さんのガンダムが温かい感じで、逆に主人公が使うビルドストライクガンダムの顔付や動きが勇者系で大張正巳系のバリバリした尖ってる感じなのが若々しくて、その対比もよかったかな。


あと、プラモデル戦闘において上手下手があったのが映像の原則勢として良かった。
また、単に上手下手がどうのこうの、っていうんじゃなくてコロニー風を使って風上風下という感覚を導入したのが面白かった。
詳しくはおはぎさんが書いてる↓
失われた何か ガンダムビルドファイターズ 2話のバトル演出の魅力-機体の位置関係からの考察
まあ、上手下手が目まぐるしく変わるって言うのが良いし見せ場の重点で見せたいという事はわかるんだが、逆に目まぐるしく変わるのが簡単すぎるとも思える所もある。
つまり抵抗感や達成感や乗り越えた感が無さすぎて「演出が軽すぎて緊迫感が無い」と感じる部分もある。だが、まあ、戦争アニメや殺し合いバトルじゃなくて人形使いの試合のホビーアニメなので、これくらいの軽さでもいいのかなー、と思える面もある。
ここら辺の配分は微妙だし、富野ガンダムでもうまく言ってる時といってない時があるし、作画の調子にも影響されるし、まあ、良し悪しです。
ガンダムの上を見たら戦闘演出的には逆襲のシャアのギュネイ線突破とかウィルゲム離陸とかボルトガンダム初戦とか天使たちの昇天とか、高度なものはたくさんあるし、作画的には劇場版とか0083もあるんで、それに比べると大したことないんですが。
でも、バトルアニメとして見たら悪い方じゃないと思います(ツンデレ)。


あと、スモーのホバーの動きが∀とハリーが谷で遭遇戦をした時の空間斥力処理装置機動をリスペクトしてる感じでよかった。久々に動いてるスモーの新作がが見れただけでもいいんだけど。いいホバーだった。
IFバンカーは∀ガンダムの作中独自のI Field Restriction理論を使ってる特殊兵器なので、演出しにくいんですけど、ビーム砲として割り切ってアレンジしてるのも、客演の演出としては私は良いと評価します。


しかし、スモーがコロニー風に逆行して後退してるのになぜか背中のバーニアを吹かしていたのは方向が逆だろうって思ってちょっとゴンダが負ける所の説得力が薄れていたって言うか感覚的によくわからなかった。
せっかく風の力っていうファクターで上手下手を強調してるのに、細かいところで描写が雑なので演出論として頭が足りてない感じがして少しがっかりです。
でも、まあ、バーニア噴射は記号的なもんだからなー。細かく考えたら、人工衛星のアポジモーターくらいややこしいし・・・。富野アニメでもZとかZZとか雑な飛行をしてた時も多いし…。めぐりあい宇宙のチベ撃破する時のガンダムのバーニアは最高でしたけど。


あと、ザクアメイジングは設定画を見るとザクと言う割には下膨れでドムっぽいし武装がごてごてしてて鈍重そうで、顔もかわいくないし(元ネタがザクじゃなくて高機動型ザクIIだからなんだが)、あんまり好みじゃないなーって思ってたんですが、アニメーションでは軽快に動いていて良かったです。
風上風下と言う所でガンダムの上手下手にうるさい映像の原則をにおわせておいて、風の動きとほとんど関係なく動き回る生徒会長の回り込みに勢いがあって演出的にも燃えました。まあ、理屈としては風を無視するよりは利用する知恵を見せてほしかったのだが、単純に回り込みとズームインアウトの激しさが面白かったので、それはまあいいかなー。
うん。このザクアメイジングの活躍は作画の密度とスピード感も高くて素直に面白かった。


あと、生徒会長はシャアと言うよりはミスターブシドーみたいなガンダムマニアだと思いましたけど、そこら辺は黒田洋介脚本なんだなあ。
脚本として面白かったのは、イオリ模型店は人通りが少ないけど、ネット通販で経営は成り立ってるっていう所が言葉ではなく行動で示されてるのが良かった。

  • 肌に合わなかった点

機動戦士ガンダムが出来てから10年で懐古的な0080や0083が富野以外の人の手とバンダイの都合で作られたんですが。
今回の主人公ロボはガンダムSEEDから10年目で機動戦士ガンダムSEEDを懐古してる感じです。
で、僕はもともとそんなにSEEDを評価してないし世代的にもSEED世代より上なので、あんまりSEEDをありがたがるセンスを持ってないのでビルドストライクがカッコよく見えない。と言うのが残念。でも、ストライク自体は素体としてはシンプルだし、悪いデザインではない。
腰からビームサーベルをZのウェイブライダーのビームガンみたいに発射する所は面白かった。


脚本の構造として回想が長すぎる。ってのもなー。
冒頭でセイが登校してから、レイジとセイの前夜の回想が何カットも続いて、回想シーンが長すぎてちょっとダレた。バランス悪いよなー。しかも、回想にすることによって別になんかの意味が発生してるわけでもないし。
ラストでもユウキ生徒会長が「その機体は未完成と見た」って言ったシーンはわざわざ回想にしなくてもスタンダードに時間を流して見せてほしかったなー。
「レイジをたきつけるために」ってのを説明したかったんだろうけど、それをわざわざ回想シーンで時間列入れ替えっていうテクニックを使うのはちょっとテクニカルすぎて説明くせえ構造だなーって思った。
まあ、その分、動画アクションの説明抜きの部分の良さが引き立つんですが。



動画アクションシーンはグリグリ動いていて面白かったが、学園シーンはカメラが平坦でつまななかった。真横の構図が多いし、学校の柱や梁や椅子や机で平行線を強調しててカチカチした構図で面白くないなーって。その割に床板とかでパース線の角度を強調してる背景がなんか日常シーンなのにメカっぽくてアイソメトリック図の設計図みたいな印象で、日常シーンなのに固い印象の背景で、なんだかなーって思った。
逆にプラモデルのアクションシーンの方がカメラワークが有機的なので、メカアクションと人間ドラマ部分の質感が逆転してる印象がやっぱりあって気持ち悪かった。まー、ロボットプラモデルアクションがメインで描こうとしてるアニメで、人間ドラマ部分は記号的に付随してるおまけみたいなもんなんだろうけど。
ロボットプラモデルの方がリアルな絵柄で、人間ドラマ部分に漫符やギャグ顔を多用してるのも、人間キャラの表情の豊かさって言うよりは人間キャラの記号っぽさを感じてしまった。同じギャグ顔でも少女漫画原作(基本的にリアルな生活が舞台)の作品でのギャグ顔と、メカアクションで非日常がメインの主題となる作品では与える印象が違うんだなと感じた。
しかも、レイジ消えるしな。人間の方がプラモよりも記号的なので、ドラマとしてそれはどうなのかって思うんだが。まあ、所詮アニメだしビルドファイターズのゲームの販売促進アニメだし、そんなに富野由悠季出崎統の描くような濃い人間ドラマを期待する方が間違いか…。


あと、やっぱりアクションシーンのイマジナリーライン超えが軽すぎて、一続きのアクションと言うよりはワンカットごとに浮いたカットインアクションを見せられてる感じで、ぶつ切り感がある。
特に今回顕著だったのは会長が「さすがイオリ君が作った新型」って言ってからラルさんが「優勢だな」って言うまでの数秒のスモーとビルドストライクの戦闘。
下手から右移動するスモーを2時の方向から撮影

ぶつかり合う2台をいきなり左右線対称で撮影(ここの中央アングルがちょっと浮いてる)

蹴られて下手に後退するスモーをまた2時の方向から撮影。スモーの右手のビームガンが破壊される

いきなりイマジナリーラインを特に意味もなく超えてスモーの左手のアップを11時の方向から映してスモーがいきなり上手に立つ(負けてるのにいきなり上手に立つとか…)

セイの中央顔アップ。操縦してないで傍観者の立場のセイの顔が中央ポジションで強調されるのはなんか浮いてる。

ラルさんが上手上方からとても偉そうに「優勢だな」って解説

レイジは勝ってるのになぜか下手(それを見てる会長が「優秀だな、しかし」って見下すための意図はあるが、やはりバトルの流れとしては浮いて見える)

さっきまで蹴られて下手に追いやられたスモーが特に葛藤も努力もなく上手上方に位置してIFバンカーを撃つのはいきなり強くなりすぎた印象で浮いて見える。ただし、IFバンカーの威力を見せるためにスモーが上手に行くのはアリ。

IFバンカーを避けたビルドストライクは強そうに描いてほしかったが、下手で俯瞰で見下ろされているので、弱く見えるのが残念。

ただし、スモーのジャンプアタックを避ける時にで上手下手が逆転するのは良い。ここで、ビルドストライクが優勢に見える。

が、ビルドストライクの後方、つまり上手側にコロニーの穴が開いてしまう。だから映像の原則的にはコロニーの穴の方が脅威に見える。ここで穴とスモーに挟み撃ちにされるビルドストライク、というアイディアは良い。しかし、下手側のスモーは「一度技を見切った相手」なので下手側の脅威としては役者不足。
だからハラハラ感が足りない。
まあ、ゴリラはザクアメイジングの前座の噛ませ犬だからこの程度で軽くやられてもいいのかもしれないけど。
そういうわけで、カメラワークっていうかカット割りでイマジナリーラインをホイホイ超えてきてるんですけど、そこにあんまり意味がないような気がしてアクションの流れがバラバラに見える。
まあ、僕みたいな素人がイマジナリーライン云々って言うのも恥ずかしい話なんですけど。
ザクアメイジングイマジナリーラインを超えるというよりはカメラごとグリグリ回り込んでる感じなので、一続きに見えてアクションがカッコよかったんだがなー。


また、逆風の中突進してくるビルドストライクは風の抵抗を受けているので無理をしている、という描写が欲しい所だが構図的には右上から下に移動しているので、スムーズな印象を受ける構図なんだよなー。だからいまいちサスペンス感に乏しい。
っていうか、コロニーの穴は狙撃されたビルドストライクの近くにあるはずで、だから一度スモーとビルドストライクの位置関係が逆転したのに、それでもなお穴がビルドストライクの近くにあるというのは位置関係が脳内で混乱する。


  • まとめ

と、割と良い部分と合わない部分があったけど、今後「MS戦闘ではなくプラモデル遠隔操作試合」という独自の演出に慣れて、その上でロボットのアクションを独創性のある形で描いてくれたら面白いものになるのかなーと思いました。

あと、EDなどでMSコスをしたり、色物ファイターの登場が予告されてたりして、楽しみ。パロディだけではない独自のバカバカしいカブトボーグ的なネタで楽しませてくれたらいいなーって思いました。