玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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シドニアの騎士アニメ第3話「栄光」原作ファンにも安心の重厚展開

先を知っている原作ファンだからこそ安心できる、3話になっても主人公が敵を倒さないという斬新なロボットアニメ、シドニアの騎士
さすがに3話では敵の撃破までやるかと思ったら、まさかまだまだ主人公サイドが負け続けるという衝撃の展開に。これは進撃の巨人のアニメで常に主人公サイドが負け続ける展開でも評判がよかったという前例があってのことかなあ。そこら辺はオリジナルロボットアニメではなかなかできない原作の人気の裏打ち感ですね。(連載開始は進撃の巨人よりシドニアの騎士の方が4か月早い)
でも、ジャンプ萬画だと1話は大体読みきりだし敵をとりあえず倒すところまでは初回で進めるんですけど、アフタヌーン萬画はそこら辺がゆっくりと言うのはある。あと、弐瓶勉萬画はその中でも展開が読みにくい所がある。
実際、弐瓶勉萬画は原作ファンでもいつも予想の斜め上の想像力に驚かされる。そう言う点では、原作ファンが安心してアニメ化を見れるという事態にも驚くべきである。
しかし、まあ、重力祭に作画(というかモデリング)と時間を割いた分、CGで描画が難しいビーチや水泳のシーンはなかったけど、その分、海中浮遊槽と緑川の前倒しなど、サービス精神が旺盛だった。定番の「お兄ちゃんのバカ!」も聞けたので妹萌えとしてはうれしい。赤井班の会話の要旨はきちんと汲み取られていたし。むしろ原作よりもキャラクターを見やすいレイアウトになってた。(原作は都市の方がキャラよりも優先だったりする)
赤井班は原作に有った各部カスタム衛人こそなかったものの、かなりアニメオリジナルの激闘が見られた。(001〜004番のカスタム衛人がなかったのは、一八式は量産型、という印象をアニメでは強くしたいという移行だろうか?緑川纈の解説もそんな感じだったし)


弐瓶勉先生はバンデシネの影響を受けたシュール寄りの作風で一コマでいきなり話を進めたり虐殺したりするところがあるのだが、アニメはそう言う突拍子もない弐瓶勉文法を、きちんとフラグを立ててキャラ立てして交流させてアクションさせて、っていうアニメの文法に置き換え直しているのが印象的。
だから、不穏な印象の多い弐瓶勉作品のアニメ化だが、それを一般客にも見せる媒体にするという事で、安心感の持てる構成にする、と言う作り手の意識はすごくあると思いますね。ゆっくりじっくり、原作のエッセンスを膨らませて、アニメ用に省力化する部分もありつつもきちんと再構成して芯の部分を分かりやすく初見のテレビ視聴者にも伝えている。SF設定云々ではなく、かなりキャラクタードラマが重厚で群像劇の厚みもある。3話ですでにサマリと弦打も前倒しで登場したし。
キャラクターの性格も萬画よりだいぶ表情豊かだし。(マンガ版も後半から表情豊かになるんだが)
あと、海苔夫は原作ではセックスキチガイなんだが、アニメではそこが減って、むしろメカオタ継衛フェチと自信が折られる自信家って言うライトノベルのライバルキャラみたいな分かりやすい部分が強調されてるアニメ版になってますね。あと、海苔夫のせいでのイザナと谷風の怪我が原作よりもかなり軽くてよかった。


しかし、奇居子、一匹も倒せないのに3話使っちゃったぞ…。さすがに来週はやっつけると思うけど。これ、何クールなんだ?かなりじっくり腰を据えて展開を進めているけど。でも、後半はもっとバトルがインフレするし、衆合船には五千体の奇居子が内包されているのに…。どうするんだよ・・・。


ただ、主人公が今回は戦ってないし、3話になっても1話に出た量産型の敵をやっつけられていないというスローペースなのだが、赤井持国が谷風長道と話をして戦法や勇気をもらって戦ってるので赤井を代理的に使って主人公の谷風が戦った、という暗示的な演出構成になってるんですねー。そう言うわけで、敵の脅威もそうだし、主人公の存在感も薄まらないで存在感がある凄い奴なんだ、とアニメでは気を付けて再構成されていたと思います。そのすごい谷風の戦法を学んだトップ実力者の赤井でも勝てなかったガウナに谷風と継衛はどう戦うのか?という事で番組への興味やサスペンスのテンションを維持してるんですねー。そう言う風に主人公の存在感の要素を上手く流れの中に取り組む工夫は上手いなーって思う。
赤井班は単なるやられやくではなく、纈の戦術とかを駆使して健闘したと思う。だけど情に流された部分と実践慣れの少なさで残念だった。

あと、科戸瀬イザナの男の娘も強調されましたね。傷の手当シーンでの着物の裾の意識とか。
流行である。
しかし、男でも女でもないイザナはある人物を思い起こさせる。
また、シドニアの中は何故かだいたい夕暮れのような色合いである。これは、巨大宇宙船の中の照明は太陽ではなくヘイグス灯だからである。


あるいは、白めの照明でも影とのコントラストが強く、闇の雰囲気がある。白い靄にかすむ巨大宇宙密閉都市の背景美術には独特の閉塞感と混沌感がある。

そして、建物の中は人工的な暗めの部屋や教室が多く、シドニアの外は真っ暗の宇宙である。


この、男と女、学校の日常と年の暗がり、黄昏と闇の間に立つ人物の名を、我々はあの口笛と共に知っている。
シリーズ構成:村井さだゆき
つまり
ブギーポップファントム

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奇居子は自動的なんだよ。泡状だし。

シドニアの騎士は21世紀初頭にオタクの心をわしづかみにした名作ライトノベルのように、学園生活とそこに侵入する世界の敵との戦いを描くのか?どうか?


前シーズンには炎の魔女のアニメもありましたねー。

  • 小ネタ

重力祭の提灯に「岡里奈」というのが書いてあったが、それは不謹慎なネタバレでは?
まあ、纈の勝手な命名なんだけども。