玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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無敵超人ザンボット3 第18話 アキと勝平 悲痛

脚本:星山博之 絵コンテ・演出:山崎和男
あらすじ
http://higecom.web.fc2.com/kingbial/story/story18.html

  • 悲痛

ただただ悲痛。
それに尽きる。
私は鬱病で母親が自殺したし、母親が死んでいるたまこラブストーリーを見るのも辛く、映画には行かず、家でザンボット3を見ていた。
そして、やはり悲痛なアニメだった。比喩ではなく、パニック障害の身体化障害で胸が痛くなった。
悲痛。



  • 悲痛さを盛り上げる演出テクニック

悲痛なんだが、それを本当にきちんと描いていて、さらにどうしようもなさ、辛さを倍増させてくれています。
名無しA一郎さんのあらすじでも書いてありますが。

人間爆弾=ザンボット3の図式が成り立ったのはこのエピソードのおかげではないでしょうか。以前述べたガイスラッガーではゲストキャラが犠牲になるという普通にありうるエピソード、レッドバロンはレギュラーキャラの殉職ですが、同じ闘う仲間だったこともあり、隊員の殉職とかがこの手の作品にはよくあったのでまだ衝撃は少ないです。
 そしてザンボット3では幼馴染のヒロインが犠牲になってしまう点が前代未聞でした。今までは共に主人公と戦う仲間及びゲストキャラが犠牲になることが多いこの手の作戦で、戦う事とほぼ無縁なレギュラーキャラが犠牲になるシチュエーションがなかったのです。
 また勝平がアキにずっとここにいろよという一種の告白をした後にこのような事態が起こってしまう事も残酷です。


 そして必死に部屋へ向かう勝平。従来ならここで間に合うと思いますが、彼女の名前を叫んだときに爆発してしまうという残酷極まりない展開です。
前半でかなりの衝撃を与えた今回。後半はかたき討ちを期待させて潜水強度の都合でやむを得ず撤退する所もやりきれなさを感じます。

勝平の私室に居たアキの爆発による被害を最小限に食い止めるために母艦、キングビアルは防護シャッターを降ろす。爆死したアキが何度も何度も爆発を繰り返して防護シャッターは赤熱する。それで勝平は爆風を免れるが、シャッターの壁越しにアキの爆発を感じる。生々しい。アキはもう助からないのに、勝平はシャッターを殴りつけ、手袋が焼けただれる。
ここら辺は、富野ファンの庵野秀明監督のふしぎの海のナディアのフェイトさん回やエヴァ零号機のエントリープラグの熱などに引用されていますね。
アキは何も知らないまま死んだ。フェイトさんや、あと、勇者ライディーンの第36話 地獄の射手マダンガーの百合香は自分が死ぬことを知っていたという悲劇だった。
アキは自分が死ぬという事を知らないまま死んだ。
前回爆死したものは自分が死ぬと知って爆死した。
どっちが辛いのか、どっちが幸せなのか。
アキは自分が死ぬと知らなかったからせめてもの救いだったのか?そう考えてしまうこと自体が、すでに悲痛なのだ…。

  • 単発の悲劇ではなく全体のテーマへの接続

ザンボット3富野喜幸監督のライフワークのテーマに「人間は愚かで世界を良くできないけど、未来の子供には可能性があるからせめて、子供には託したい」と言うのがある。
で、です。
アキは中学生です。
避難生活のせいか、まだ子供だからなのか、背中を見せるシーンでもブラジャーはしていません。
勝平はアキが死んだ後、小学生時代(おそらく)にアキとミチと勝平の三人で砂浜を駆け回った幸福な子供時代を思い出します。
勝平はアキが死ぬ直前、ガイゾックの監禁から救出したアキに、「ずっと俺の部屋に居ろよ」とある意味プロポーズのようなことを言います。
そして、アキは濡れた服を着替えるよう勝平に言われた時に「私は女の子だから出ていって!」と言います。そして、勝平は秋を性的な目で見るようになって着替えを覗こうとして怒られます。
ほのぼのギャグシーンに見せていますが、これはアキと勝平が性別の差のない幸福な子供時代から、男女の営みが始まる思春期に差し掛かったということです。
子供の成長を描いているのです。
ですが、アキはその成長を強制的に遮断され、やっと勝平の部屋のベッドでくつろげるようになった時に、爆死します。
悲痛。
「子供に未来を託したい」という作品なのに、いや、だからこそ?「子供が未来を奪われる瞬間」の重さを痛烈に描いています。胸が痛くなる。
そして、勝平は言う。
「アキ、お前は何のために生まれてきたんだ。
ガイゾックに追いかけられ、殺されるために…」
何のために生きる?こんな世界で生きてなんになるんだ?
というのも富野アニメの一つの要素である。悲痛。
私も、私が生まれたせいで母親が離婚できず自殺したという面があり、自分の命を肯定できないので、そう言う富野アニメの部分に親近感を持つという、辛い所がある。


そして、アキが死んでいった勝平の部屋のユニットは戦艦には弱点になるので、取り外され、海に水葬される。焼けただれたプレハブが海に沈む。悲痛。
何も残らないのか…。

  • 裏主人公香月

以前、神ファミリーのキングビアルを猟銃で襲撃し、多大な損害を与えた香月だが、今度は反省して、ガイゾックに監禁されるも脱出し兵士の機関銃を奪い、ガイゾックの基地バンドックの中で一人だけでゲリラ戦をするという。
アキと勝平のために、借りを返すために。友情を取り戻すために。
しかし、少年一人が何をできるというのだろうか?
次回、香月は奮戦するらしい。どう戦い抜いてくれるのだろうか?
勝平はアキを失ったが、香月も仲間をほとんど全員死なせた。
この勝平と対になる香月は、やはり裏主人公と言える。

  • パンクロック、キラー・ザ・ブッチャー

毎回贅沢や遊びを楽しむブッチャーだが、今回はロックバンドごっこをして
「俺は田舎の人殺し!どこまでいっても人殺し!」と叫ぶ
微妙に70年代パンクロックみたいである。
アブドーラ・ザ・ブッチャーのテーマソングはプログレロックのピンクフロイドの曲だ。
富野監督もピンクフロイドの原子心母は好きとどこかで言っていた。
そう言う面もあるのか?


しかし、「俺は人殺しだ!」って喚きまくる発狂した宇宙人に殺される少女は、悲痛だ…。
今回はいつものブログよりも演出がどうこうという感想が長く書けないけど、とにかく悲痛で胸が痛むので、これくらいにして休みます。