玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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#クラウズ論壇 インサイト第05話に見る戦後自民党

きっかけはこのツイート。



たしかに、今回のガッチャマンクラウズインサイトでは直接選挙で首相が選ばれるという離れ業をしているために、政党は出てこなかった。ギャラックスによる首相直接選挙制度を導入する際には政党政治があったと思うが、それは2期の前なので描かれていない。


でも、本当にそうだろうか?むしろ、政党と言う実在するものはアニメで描いたら角が立つが、それを上手く比喩として描いているんじゃないだろうか?

  • と言うわけで立川CAGE=自民党です

GATCHAMAN CROWDS insight第05話 halo effect には他の候補者の政党は出てこないが、ガッチャマンの立川チームを見ると、わりと政党っぽく描かれている。ガッチャマンを政党、特に自民党として見ることができないだろうか。
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菅山首相はガッチャマンとかかわりが深い前職の総理大臣。
なので、彼もガッチャマンのチームだと考えることができる。んで、初期状態では菅山の支持率が高く、与党としてのガッチャマンは当面、彼の再選を目指す。
特に、総裁Xの開発者でクラウズインフラの責任者である爾乃美家累は党内の実力派エリート。クラウズをある種のインフラと考えると道路族議員とかに例えられるかもしれない。
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そんな彼が、菅山首相の失言で支持率が低下することに悩むが、電通のようなメディアだし選挙管理委員も兼ねているので言論統制はしない。


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O・Dも与党の議員ではあるんだが、菅山首相の失言について「恥ずかしすぎ~~~」とメディアでコメントをしている。これは党の利益を考えるとマイナスなんだが、O・Dもガッチャマンと言う公職にいるので公正な立場をアピールするべきでもある。
また、O・Dは爾乃美家累の「自分が損をしても人民の内発性を信じる」という意見に賛同しているので、地球人に対して宇宙人の立場から意見を変えさせようとはしない。それで、菅山首相の失言は失言として素直に言う。「ちょっと言い過ぎ」だと思ったら、それはちゃんという。この公正さが地球人に伝わるのかと言うと、結果としては伝わらないわけだが。Dさんはミリオが自分を疎んでることも見抜いていると思うが、その上で公平なメディアでの立場を保とうとする。


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対して、公平な立場を見失っているのが、ガッチャマン党のでリーダーのパイマン。派閥の長老だ。
リーダーだから党を引っ張っていくのかと思ったら、「私はリーダーだから私が当選するべきでは?」と出馬してしまう。うつつは文字通りウグイス嬢。パイマンは前回、宇宙人が立候補するという選択肢を持っていなかったが、「宇宙人初の首相」という功名心に惑わされて急きょ出馬する。ガッチャマンのリーダーを党首だとしたら、与党の最年長の長老議員で自分が偉いと思っているが、単に年齢が上なだけで大した実力もないタイプの議員といえる。
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そして、福祉や賄賂をバラまいて逮捕される。間抜けな長老議員を風刺している。自民党にも党の政権維持を無視して功名心から離党して出馬した長老がいましたかね。
しかし、パイマンは元々宇宙人なので私利私欲に走らず宇宙評議会の意見を聞くというインターナショナルな行動をしても良かったんだが。ガッチャマンクラウズって宇宙人は出るけど外国人は出ない、日本限定な所もあるので、国連のメタファーである評議会は出ないんだろうか。


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そんな無能な長老を見限ったのが枇々木丈さん。官僚出身の若手議員。丈さんもガッチャマン党の中から分派した感じ。しかし彼は自分が表に出ることではなく、当選する力を持つゲルサドラとつばさをサポートするブレーンになる。
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清水市長とも反対勢力になることを内々で承諾させたりゲルサドラの自演を演出するなど、暗躍をする。
メディアでの空気で選挙に勝とうとするのは、J・F・ケネディの選挙戦なんですが。丈さんはインテリなのでそこら辺を利用して愚かな猿どもに対してメディア戦略を撃つ。

  • ゲルサドラ=アメリカ

じゃあ、なんで丈さんはメディア戦略をしてゲルサドラを当選させようとするのか。
それは「クラウズ否定」=「武装放棄」なんですね。丈さんは憲法9条護憲派で、かつアメリカの基地駐留を容認する安保体制派。
自民党護憲派と言うのはちょっと変かもしれないが、まあ、とりあえず「自国民に戦う武力を持たせないで、武力はヒーローや宇宙人(アメリカ)にアウトソーシングする」という考え。
実際丈さんはルイルイに反対しているというより、ルイルイが仲間だと思っているからこそ彼らに戦わせたくないと思っている。そんな風に国民を安全に暮らさせるために、国民に武力と考える内発性を持たせないのもやむなしと思って暗躍する。
ガッチャマンクラウズインサイトはヒーローが世間にバレた後の世界を描いたわけで、ある意味アベンジャーズとかアメコミヒーローとも言える。丈さんはヒーローである自分が国民を守るから国民はボンクラでも良い、と、そういうアメコミヒーローの思想を持っているようだ。
そしてそれは実際の自民党や官僚の、アメリカの傘に入る集団的自衛権を頼りにしたら国民が守られると思っているインテリの人に重なる。


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で、宇宙人と言う外国人であるゲルサドラは外国人だけど、国民の意志や空気をすごくよく聞いてくれる。
また、ディズニーキャラクターのようなポップな親しみやすさや外面の良さがある。
なので、戦後の日本から見た「公平で民主的なアメリカ様」の要素がある。
ガッチャマンクラウズ1期はある意味戦争で、2期は戦後なのだが。その戦後の日本における「公平で正しくて強いアメリカに従いたい」という空気、「日本は武力を持ったからたくさんの人が死んで敗戦した。だから武力を持たせた戦犯を否定したい」という感情とリンクしている。


だから、ガッチャマンクラウズインサイトの5話は麻生太郎総理の失言とか漢字誤読とか、安倍晋三総理の3500円のカツカレーなど、最近の自民党の事件を真似ているんだが、その根底にはもう一つレイヤーがあって、そこに戦後の敗戦国としての日本とそれを運営する自民党のメタファーがある。
なので、ゲルサドラはダグラス・マッカーサー元帥とも言える。
(「牛乳を飲んだから背が伸びた」って言うのも戦後のアメリカのメディア制作の一つだが、そこまで元ネタに見るのは穿ちすぎか?)


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三栖立つばさちゃんはそんな戦後で生まれて親米派の新人議員で、女性という事もあってすごい支持を喚起する。ただ、本人は頭が空っぽ。だが、彼女が支持するからこそゲルサドラも支持される。というわけで、自民党選挙対策の誰それチルドレンガールズなのだろう。
また、つばさちゃん自身もヒーローで武力を持っているし出動すると思ってるので、戦後自衛隊田母神俊雄さんやヒゲの隊長佐藤正久さんの要素もあるっぽい。


で、そんな二人を当選させようとする丈さんは「なんかこれは違う」と思いながら「自国の安全のためには、国民の自立心が無くなってもやむなし」と言う方向に頑張ってしまう。

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鈴木理詰夢は立川ガッチャマン党の外部の人だが。
赤いVAPEだからアカなのかもしれない。赤狩りに在ったのか投獄されている。
鈴木理詰夢はインテリをこじらせて革命家になったので共産主義過激派っぽい。また、民間人の癖に武力をアピールしたところがあるのも、社会主義過激派の思想家とも言える。ベルク・カッツェという外国人の思想にかぶれたという点でマルクス主義者っぽい。合理主義者だし。大衆を猿と呼ぶところはナチスかもしれん。
色んな要素がミックスされていると思うので中国共産党そのものだとか、ナチスそのものだとは言えないんだが。
また、「猿どもは流されるままにリンチをするだろう」と言うのは、「戦前」の日本大衆の愚かさをメタ視するインテリとも言える。しかし、戦前のヤバさを知っているからなのか鈴木理詰夢は投獄されている。
日本の共産党も戦中は日本政府の反体制派として戦争のヤバさをアピールしたから投獄されたりした。

  • はじめちゃん

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一ノ瀬はじめちゃんは弟が戦死しているゆる爺と同じ色で、戦後の日本の大衆とは違う色だ。
はじめちゃんも「戦中」を知っている性格設定だ。なぜ女子高生のはじめちゃんがそんな戦中派のような性格なのか?
それははじめちゃんが「侍」だからなんだろう。
はじめちゃんは女子高生に「だれに投票するの?」と聞かれても「選挙なので言わない」と固く秘密を守る。
大衆としてみんなと一緒に流されるのではなく、自分の一存をきちんと保持しようという点で、はじめちゃんは大衆と言うより「侍」っぽさがある。
葉隠っぽい。奥ゆかしい。
侍だし、あと科学忍者隊でもあるので、投票するより世間から隔絶された獄中の鈴木理詰夢のところに密会に行くという超越性がある。ある意味貴族なのかもしれない。


ここで、はじめちゃんが「高貴な侍の精神を持つヒーロー」だという点で、丈さんが陥っているアベンジャーズ的な「世間の愚民を代わりに守る抑止力としてのヒーロー」と対照的になる。
アベンジャーズもポリティカルコレクトレスを意識したアメリカのメディア戦略の一環でもあるんだが。
はじめちゃんは高貴な独立心を持って行動し、そしてガッチャマン党メディア委員のルイルイとリズムとベルク・カッツェに会談をさせて、意見を聞き自分の道筋を空気からではなく、自分の考えと識者との対話で導こうとしている。
はじめちゃんはもしかしたら将軍か、あるいはあの高貴なるお上に連なる血統の方なのかもしれない。

  • 侍ボーイ

橘清音は日本刀を帯刀している侍ボーイだ。
ガッチャマン クラウズ ノベライゼーション SUGANE NOTE 2015-2016
清音視点の小説版では、より一層日本男児っぽさや日本刀への美意識や生真面目さが描かれていた。また、ベルク・カッツェとの決戦の後に清音は8月15日の終戦記念日を日記に付けて決意を新たにするなど、日本男児として70年前の戦争を意識している。そういう若侍だ。


しかし、戦後である2期は一気にチャラチャラしてしまっている。

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丈さんが黙って暗躍しているからか、あんまり選挙にも関心が無いみたいで、自分が誰に投票するかよりも、むしろ清音ガールズに関心が行っている。


戻って来い!
ヒーローとして復活しろ!侍の心を取り戻せ!

  • まとめ 日本の独立について

というわけで、どうやら超越者としてのはじめちゃんは高貴なお方のようだ。
そして、彼女に憧れを持つ清音は日本男児として迷走している。しかし、多分また侍として復活するだろう。
1期のガッチャマンクラウズも、ダメダメでバラバラだったガッチャマン党がはじめとベルク・カッツェを契機にして復活して団結しなおす復活劇だった。
2期もおそらくそんな風にヒーローや侍としての復活がテーマになるんじゃないだろうか。
しかし、戦後70年の節目で戦後全体の日本の政治を、ここ最近の日本の政治のゴシップネタをスパイスにしメタファーとして描いて、アメリカと日本のヒーロー観の違いも題材にしつつ、訴えかけるというのは、かなりややこしいことをしているなあ。
かなりややこしい作品だし、メタファーや元ネタも錯綜しているし僕も政治学が専門ではないので間違えてる所はあるかと思うけど、ガッチャマンを政党として見るという事はちょっと面白いと思ったので書いてみました。


また、クラウズと言う武力を万民が持てばそれでいい、と言う世界同時革命的な闘争もさすがに21世紀には描かないでしょう。
なら、そういう政治理念がどこに決着するのか。万民が内発性を持てるのか?と言う愚民どもに英知を授けてみせるユートピアな可能性も2:6:2の法則で否定している。
うーん。どこへ向かうのか。


あと、赤青白のトリコロールのうさぎっぽいキャラクターがまだ出てないけど、あれは何なんですかね。
「GATCHAMAN CROWDS insight」Vol.1 Blu-ray