玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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アキハバラ電脳組 2011年の夏休みは今日的なテーマ

12年前の1999年の映画なんだけど、面白かったです。作画が綺麗だし。
テレビ版よりも、秋葉原の街の風景が実際的に丁寧に描かれてるのがプロダクションI.G.バージョンって感じだけど、桜井弘明監督の楽しい小芝居とか、漫画っぽさを肯定的に描いた演出とかで、攻殻機動隊精霊の守り人ほどカッチリしてない、なんか柔らかな感じで見やすかった。
秋葉原の風景の実際っぽさや、市井の人たちの描き方はリアルだったけど、リアルな中にも温かみがあって、そこは桜井さんの色なのかなー。いや、I.G.も攻殻で元請けになるまではパトレイバーとかクレヨンしんちゃんとか日常ギャグパートもやってたか。色々やってたよね。
最近でもアザゼルさんとかは日常ギャグか。

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しかし、桜井さんの小芝居とか、全編巻きの入ったテンポの速い芝居は、楽しくて好きですねー。映画版だから立体音響が結構良くて、それがアクションシーンの迫力だけでなく、誰かがしゃべってるのと同時進行でネタをやってたりって言う使い方をしてて面白かった。
テレビ版のギャグ回の8話に出た突撃レズ娘の北浦和うずらちゃんが、変身して戦うヒロインのアキハバラ電脳組たちを見上げる待ちのヒロインの役になっていると言うドラマの作り方もなかなかうまい。ギャグかと思わせて、しんみりさせるって言う桜井監督は好きだなー。レ・ミゼラブル 少女コゼットとか、好きです。だから、アキハバラ電脳組も、美少女アニメって言うよりは子供アニメって感じなんだよなー。
子供が活躍するけど、親に心配をかけたり、親に気を使ったりする子供でいるのが第一、って言う雰囲気。それは楽しいし、逆に親に心配をかけちゃう事件の時にハラハラしたりもする。
劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕にもI.G.が参加してたけど、ルギアも子供が親に心配をかけて冒険する話だったなー)


子供って大人との相対関係でもあるんですよね。
桜井弘明さんはテレビ版でも、24話の、子供たちを操っていたローゼンクロイツの破滅回とかギャグではない大人たちのドラマを描いてて、それも上手かった。そこはウテナっぽかった。影絵が。ウテナっぽいと言うか、おにいさまへ・・・っぽいのかもしれんが。
劇場版では、大人達はテレビ版の超人とは違って、温かみを持ちながらも陰から子供たちを助けつつ、現実的な事もする、って言う人間的な側面に徹していた。それはいいですね。パトレイバーっぽくもあり、ダイ・ガードとかみたいでもある。90年代後半から21世紀初頭だなー。
(絵柄も


そういう、大人たちの思惑とか思想やら社会に対して、アキハバラ電脳組の子供たちが暴れる、っていうのが、この劇場版の2011年の夏休みだと思った。テレビ版でも「私の13年は貴方の100年に負けてない」って天才で100年生きてる白い王子に言うので、大人と子供の対比はやってた。
んで、今回、宇宙に居る白い王子様が眠った状態でインターネット的な物で地球のテレビ番組を見てると、地球のあまりのダメさに嫌な夢を見てしまい、そのせいで暴走して、事件を起こすって言う話だったのだが。
それに対して、アキハバラ電脳組太刀がやった事は、「こんなの見ない方が良いよ。ゆっくり眠れ」って言って、王子の城のテレビを全部ぶち壊した。
うわーひどい。
引きこもりの寝たきりの人からインターネットを奪うとか、酷いなー。
でも、アキハバラ電脳組の中学生たちは勢いだけで行動してるっぽいので、そんなのはあんまり深く考えてないっぽいし、そこら辺の爽快感は良かった。子供の勢いは面白い、とも思う。クレヨンしんちゃんとか。
でもなー。
「世界のニュースを見てたら嫌な気分になるから、世の中の事は見ないで、友達関係を見て、楽しく生きていく」っていう態度は子供としては良いけど、大人としてはどうなんだろうね・・・。
いや、この作品でも大人は子供を心配したり、災害が起きたら避難の準備をしたりって言う事はしてたんだけど。でも、最終的には子供に頼る話だったんだよねー。
そこら辺は、12年前の作品だけど、今日的だと思った。
秋葉原を謎の地盤隆起災害が襲って、人は死なないけどインフラがストップするっていうのは、よわめでゆっくりだけど被害が大きい地震災害って感じで、福島第一原子力発電所の事故の後、非難して良いのかどうか迷う人たちの姿と重なった。
あと、世界のニュースにどれだけ心を悩ませるのが良いのかどうかとかも。インターネットとの距離感のとり方とか。
ま、世界の真実を知って悪魔化するけど人間に戻るっていうのは、2002年のオーバーマン キングゲイナーでやってたから、そんな感じなのだろーか?
魔法少女まどか☆マギカも、これと同じような系譜だな。
「世界の闇を見て悩むけど、それはそれとして、最終的には少女の感情が理屈や理由を超越して勝利する」っていう、美少女礼賛がアニメの世界ではありますね。オタクアニメだけでなく、スタジオ・ジブリ系譜も大体そんな感じ。僕としては、ちょっとそう言うのは現実から目をそ向けてるなーって思う。まあ、アニメだから娯楽としてはそれで良いんだけどね。
キングゲイナーのオーバーデビルとミイヤとゲイナー君の関係は富野らしく、もうちょっとひねりがあったけど。
でも、実際の現実で、戦争とか災害に際して調査や対策よりも少女的な感傷を優先しようって言うのは、ちょっと難しいですね。今やってる放射性物質拡散事故に対する「子供を守りたい!!」っていう人が腐った米のとぎ汁をまいたりって言う感情的反応とか、ちょっと良くないと思います。現実ではアニメみたいに感情で奇跡は起こらないんだしさー。


いや、この映画版はそんなに思想的に凝った作品と言うよりも、アキハバラ電脳組の子供たちの夏休みの思い出を楽しく描くお祭り映画って言う方が正しいのかな。楽しかったし。町を守るために戦って宇宙に行くのも、思い出の一環、って言う潔さはいいと思う。


テレビ版はもったいぶった設定とか、文明とか科学の問題とか、ちょっと暗いエヴァンゲリオンっぽさがあったからなー。劇場版は裏設定や謎はテレビで全て明かされた後だし、SF設定の説明とかは、すっとばして楽しくやってるっていう印象でした。
うん。それはいいよねー。


SF設定と言えば、これはテレビ版でもあったけど、電球型携帯電話が未来っぽくて良かった。でも、普通の携帯電話やパソコンは分厚かった。
作中年代は2011年だから今年ですが。ここら辺の未来予測はおもしろいよね。
ただ、この作品は小麦ちゃんシリーズの前だし、秋葉原に萌えが溢れてなくて電気街の世界線なので、シュタインズ・ゲートを思い出したり(笑)。



そして、俺の好きな妹萌えエンドを迎えたシューティングスター様は劇場版では出ないのね・・・。妹とよろしくやってるのか。そうか。


シューティングスター様の元部下のブラッドファルコン・豪徳寺じゅんデスクロウ・祖師谷みやまダークピジョン・代官山はとこの三人は楽しく出てきて脇を固めていたけどねー。
シュー様・・・黒い王子とは何だったのか・・・


そして、白い王子は眠りについて行ったのだが、ひばりは王子様のお姫様ではなく一個人のひばりだと言う事を再確認して、王子様は卒業されてしまった・・・。そして王子様は追放。



やはり、王子様は黒い王子のように妹と結ばれるのが良いのか・・・。
いや、プリンセス・チュチュの白い王子にとっての、るぅは姫だったのか、妹的存在だったのか・・・。妹は大事…。キンゲの白い王子のアスハムも妹エンドだったし。
ウテナも見ないとなあ・・・。黒い王子と白い王子のアニメ。

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プリンセス・チュチュも鳥の名前のあひるがヒロインなのが似てますね

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