玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

シドニアの騎士アニメーション第2話「星空」原作ファンに言わせればSFバンデシネではなくテレビアニメ

というわけで、原作全部読んでるけど面白いテレビアニメ版シドニアの騎士ですが。
やっぱり、メディアの違いを意識してるなー。

  • 動画として

というわけで、紙媒体の萬画原作では描けなかった透過光がカッコよかったです。ヘイグス粒子砲のマズルフラッシュとか、ロケットノズルとか、あとコンソールパネル周りの仄明るいリアルタイムモニターディスプレーとかな。
ていうか、やっぱり白眉だったのがメカニックの描写ですね。具体的には衛人の背部ロケットがリアルタイムで宇宙空間の高速立体機動軌道に沿って変形していて、ロボットの全体的な移動の動きの向きとロボットのパーツの変形する形の向きがきちんと全部合致していて、航空機っぽいデザインなのにノズルの向きと機動の向きが一致していなかったバディ・コンプレックスとは全然違うちゃんとした機動兵器としての雰囲気があってすごく良かった。

シドニアの騎士はキャラも含めたフル3DCG でのアニメなんだが、ロボットだけが3DCGってアニメは結構10年くらい前からリーンの翼とかゼーガペインとかあったんだけど、シドニアの騎士の動きはそれらを上回っていたと思う。ベクトルの向きの合わせと言う点においては。
ゼーガペインは良いアニメだったんだけど、メカデザインが戦闘機的なのに、動きがロボットアニメって感じなのが良くなかった。


こういう風にゼーガペインは進行方向に対して機首が下向きになっていたのが全編を通じて惜しかった。コックピット内の主観では機種の方向に進行してるようなレイアウトだったんだが。
(ゲーム版との兼ね合いもあり)

実際のゼーガはこういう無機質な形で飛ぶものだと思うんだよ。でもなー、アニメのゼーガはまあ、主人公のソゴル・キョウの性格を強調するための描写だと思うんだけど、無機質なメカニックにスーパーロボット的な動きをさせて、人間の生命力を表現したかったんだろうけど、そこは舞浜シャイニングオーシャンパンチくらいの要所要所だけで良くて、普段はもうちょっと向きを考えて飛んでほしかったなー。



ゼーガの話じゃなくてシドニアだが。
衛人もガンダムもヴァルヴレイヴもゼーガも謎粒子で動くロボットなんだが、今回のアニメ版の衛人はちゃんと粒子ノズルの噴射の向きがアニメーションの移動と可動の両面で揃えられていて、非常にグッド!
マクロスFも戦闘機アニメだった割に、バトロイドになってからの動きは結構雑だった印象があるしなー。
こういう細かい所が出来てるアニメが少なくて、僕はとてもいいと思いました。
まあ、原作自体、かなり噴射とか加速とか慣性にはこだわってるし、そう言うデザインや兵器体系(今回アニメにも出た重質量砲とか)なんだけども、それを動画のアクションできちんと見せてくれたのは本当に良い。
進行方向の変化に合わせて背面ロケット機構が立体的にリアルタイムで変形するのがすごいカッコよかった。
あと、原作では止め絵だから実感しにくかったし、作画の手間を減らすためと宇宙の光源のコントラストのきつさを表現するために、大体いつも黒塗りされてた衛人の脚部関節機構も接地アクションに合わせてうねうねと動いてくれてて、原作ファンでも今まで見れなかった正しい衛人のディテールを見せられたようで感動的だ。
オスプレイの翼面の変形とかフォッケウルフの引き込み脚みたいでミリタリー心が刺激されるアニメーションですごくグッドだ!
腕部も折り畳みナイフ、内蔵実弾砲、作業用マニピュレーターと掌位用ドッキングとして使用される手首など、機能的に分かりやすくスムーズに動画にされていてナイス。単に無意味に人型ロボットをしてるんじゃないってのがいいよな!
脚は接地とAMBACで、腕は機能用道具、頭部は大砲、ロケットはロケット、コックピットは多分中で球形で動きに合わせて稼働してると思う。
衛人がエンターテインメント作品用のスーパーロボットではなく宇宙汎用機械でありソリッドな兵器だと実感を持って見せてくれるいい戦闘描写だった。
(まあ、原作も後半の改修や新型でスーパー化するし、アレとか出るんだけども。そもそも動力源が謎粒子で必殺兵器カビザシも謎素材だしな…、まあ、そこはスーパーロボットなんだが)


逆に奇居子の変形は無機質な感じで、硬そうだったので、山野栄子を模写してもそんなに粘着質な感じはしなかった。もっとガウナは常に変形して出血し続けてるような液状なイメージがあったんだけどー。巨女エログロ度も原作より減ってたし。
まあ、グロさを2話から強調し過ぎたら視聴者が離れるからな…。そこはアフタヌーンで固定客を持ってる弐瓶勉先生の萬画と、多くの人が無料で見るアニメーションとのメディアの違いの意識ですね。
後半もっと変な奇居子が登場するし、それに期待。
山野ガウナの張り込みテクスチャの質感自体は良かったけど自分としてはガウナはボコボコ沸騰して流動してるイメージがあったので。そこは原作のイメージの解釈の個人差かなー。


あと、キャラクターの塗りがペタッとしてるのは単行本3巻までの表紙の塗りつぶしカラーと一致してるからいいんだけど、いつもは清潔な服を着てるのに、何故か衛人操縦士のパイロットスーツ(スキンスーツ)の表面の張り込みテクスチャがボロボロで傷だらけなのが原作と違っていて謎です。いや、実戦は百年ぶりだし、新品の長道用スキンスーツはそんなに錆びてたりしないだろ…。
展示されてた継衛の表面に汚れがあるのは原作と同じだからいいんだけど。
一八式の表面が汚れてるのは、訓練に使っていたからか?
スキンスーツの汚れは謎。普段着や爺の肌はつるつるなのにな。むしろ、原作設定なら普段着の方がつぎはぎでぼろっぽかったような…。なぜ普段着はきれいなのだ・・・。
メカニック佐々木の作業着がつぎはぎだらけで汚れているのは原作にもあるし、職業柄納得いくんだけど。パイロットスーツはあんまり汚れる機会がそれまで無かったと思うんだが。
他の部分が良かっただけになー。
あ、巨大建築物の背景も質感が良かったと思います。

  • シナリオ面の変更

ストーリー的には一話の流れと同じで、テレビアニメとして分かりやすい流れに直してくれてる。
まあ、弐瓶勉先生の萬画は1コマだけで変なことをしていたり、ドーンと表示される漢字文字書きで、作中時間が停止したり加速したり、っていうテンポ感が魅力なんだけど、シドニアの騎士のアニメ版は割と時間の流れが一定で、書き文字とか一コマ絵のインパクトはオミットして、声優による音声セリフで時間の流れを一定にしている。
(逆に、その時間の流れの変質さを表現したのがOVABLAME!だったんだけど、あれは今思うとソウルテイカーっぽくて、シャフト演出の先駆けだったのかもしれない。グループ・タック制作だけど、キャラクターデザインが化物語渡辺明夫さんだし)
具体的には、バトルシーンでストップモーションやスローモーションがあんまり挟まれず、ロボットの高速機動が一定だった。
原作だと、継衛の再起動シーンはもうちょっとスローでドーンっていう印象だったけど。
むしろ、山野死亡時のホラー描写や学園描写が増えてて、人間っぽくなってる。人間のリアクションが薄い弐瓶勉原作のSFバンデシネなシュールな部分をテレビアニメ用にリメイクしてるなー。
まあ、キャラクターが3DCGって時点でシュールな印象なので、行動までシュールになったらウゴウゴルーガになってしまうという演出判断ですかね。声優の肉声が付くことでまた印象が変わってるなあ。
谷風長道役の逢坂良太さんの主人公ヒーローっぽい声とかねー。
あと、歌もいいよね。ウチクダケー シドニッア!とか口づさみ易いアンジェラなー。

シドニア

シドニア

一コマインパクトだと、原作の胞手射出器形成警告とか海苔夫の「無理です(ファック)」がオミットされてて、代わりに重質量砲のスピード感とか、学園描写とか保険医小林艦長の会話が追加されて補完されてる。
単純に萬画の放送できない部分やアニメーションの流れに合わないものを切り捨てるだけでなく、アニメならではの動画によるスピード感とか運動性みたいな代わりの面白要素を追加してくれているのはうれしい。
学園描写が増えているのは、シュールなリアクションが特徴なマイナーメジャーアフタヌーン掲載萬画弐瓶勉原作を、テレビアニメという色んな人も見るメディアに置き換える場合に、分かりやすさを増やすためですね。原作だといきなり赤井が衛人に乗って重力祭り決勝戦で登場するけど、アニメは萬画と違ってページめくりで時間省略しにくいんで、段取りを踏んで赤井さんが学校に出てきてすごい奴アピールしてます。岐神海苔夫も原作のト書きのモノローグを使えない分、表情や行動で感情を表す表現に代えてる。やっぱメディアの違いを意識してるアニメは良いなあ。
原作でもいじめ描写はあったけど。ていうか、村井さだゆきさんが原作物で学園描写を追加すると、なんかブギーポップっぽいですね。


原作では月刊漫画雑誌で月一で進行するけど、アニメは週一なのでそこら辺の進行スピードの印象も変えてますね。


具体的には、追加ヒロインとして登場する緑川纈(ユハタ)が序盤の今回からすでに登場してレギュラーキャラクターヒロインとしてアピールしてます。第四次ガウナ防衛戦の顛末や光合成の設定も原作より早く開示してる。
あと、ゆはたの情報処理力や谷風長道に対する興味はもっと後半で描かれる(多分テコ入れのための?)要素だったけど、登場シーンからやっていて、情報の出し方が分かりやすくアレンジされてる。
まあ、原作はゼロから考えながら同時進行で描かないといけないし、アニメは後だしジャンケンだから構成のアレンジでアピールせんとねー。
まー、原作で数コマだけあったロングヘアゆはたが見れないのは残念だが、3Dモデルを省略したのかな。
ゆはたが学校で兄にあまり関心を払わないのはちょっとシスコンの私としては微妙だったけど、連載5年目のゆはたはもう兄の話は全然しないしなー。って言うか兄はなー。


しかし、原作通りとはいえ、この時期の放送だと、赤井持国、青木、緑川兄、百瀬のサムライフラメンコのフラメンジャーっぽさがやばいなー。
次回、専用レンジャーロボは出るんですかね。
重力祭とバカンスはやるんですかね。


そう言うわけで、原作のバンデシネよりの雰囲気優先SF萬画を、すごい分かりやすくテレビアニメに落とし込んでいる。
ロボットアニメの文法とか、学園アニメの文法とか、そういうジャンルもののインターフェースデザインの既成概念を上手く利用して、変態マニアック萬画の原作を分かりやすくしてますね。
匠の技って感じでいいと思います。


  • 声豚

あと、オペレーターとか看護師とか脇役で声優の佐倉綾音さんが登場してるんですけど、プリティーリズムレインボーライブでもわかるようにモブのあやねるは目立つ。
あやねるは追加ヒロインの海蘊役かー。ラジオもやってるのか―そうかー。
ラジオ シドニアの騎士~綾と綾音の秘密の光合成~ | インターネットラジオステーション<音泉>
ラジオであやねるがすごい兄をdisってるんでヤバい…。あやねるとあやっぺの原作ファントークがヤバいな…。


ていうか、夢喰いメリーとかりんねちゃんとか、あやねるは人外の役が多いよね…。
彼女の役は誰がやるんですかね?

シドニアの騎士(11) (アフタヌーンKC)

シドニアの騎士(11) (アフタヌーンKC)