玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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怪人による仮面ライダークウガ 感想 第7,8話

 第七話「傷心」第八話「射手」


 仮面ライダークウガのYou Tube配信の感想です。仮面ライダークウガは名作なので考察している人は僕よりたくさんいると思うけど。
 まず最初に言わせてほしいのは、僕の閲覧履歴が悪いせいかもしれないけど、「ヒーロー番組の配信の動画広告で”陰毛脱毛をしたら女に困らなくなるし、セックスの感度がよくなる”というセックスコンプレックス商法の広告は出さないでほしい」ということです。もっと、愛と正義の世界に浸らせてほしい。


 というわけで、感度が数千倍になるペガサスフォーム初登場の回です。
S.H.フィギュアーツ 仮面ライダークウガ ペガサスフォーム



 昨日はノケモノと花嫁の完結の感想を書いた後に、鬼頭莫宏の ぼくらの完全版第4巻を読んで眠れなくなってしまって昼夜逆転したのだが。今回の怪人のメ・バヂス・バの噴射針の再生に15分かかるっていうのはぼくらのの徃住愛子戦の怪獣みたいですね。自らと同じ程度の能力の怪獣同士が戦うゼロ年代。



  • 被害者の話

 今回は第2話で登場して、その涙で五代雄介に戦う覚悟を決めさせた、グロンギを発掘して復活させて殺された夏目教授の遺族の夏目実加が再登場。実加は自分の父親を殺害した未確認生命体第0号の捜査が進んでいないことに不満を持って、自殺をほのめかして家出して一条さんを困らせる。
 ヒーロー物で被害者の遺族の一般人が何度も登場するというのは爽快バトル物にならないので、あんまりやらない展開だけど、クウガはそういう番組。 


 グロンギ怪人は長野県の九郎ヶ岳遺跡から200体くらい復活したのだが、現在は獲物の人間がたくさん住んでいる東京に犯行場所を移し、人間の捜査本部と一条薫刑事も長野から東京の警視庁に移管した。未確認生命体はテレビで放送されてないところでも何匹も犯行していて、正直警察は現在進行系の事件で手一杯だし行方不明の第0号の操作をする余裕はない。(まあ、序盤のクウガが中間体といえども強いダグバとぶつかったらそれはそれで詰みなのだが)


 なので実加は「人がひとり死ぬことなんか大したことじゃないのかなあ」と父親の死で頭が一杯になってしまって、父親との思い出の海岸でたそがれるのだが。それはそれで未熟な少女のわがままとも言えるのだが、でもそういう気持ちを無視するのもどうかみたいなところがクウガという番組にはある。


 夏目実加は母親と一緒に九郎ヶ岳遺跡の近くから出土した石(第15話あたりで登場するクウガのバイクに合体する古代クワガタ虫型ロボットのゴウラムの角の一部)を持って、一場の紹介で城南大学の沢渡桜子さんの考古学研究室を訪れる。そこで、発掘の専門家のジャン・ミッシェル・ソレルが夏目教授の遺族ということは知らずに発掘品を見てハシャイじゃって、実加がキレて飛び出す。


 ヒーロー番組なのでパワーアップアイテムは大事だけど、それはそれで遺族の感情を無視するのは良くないです、みたいな。前回の桜子さんの葛藤とも同じく男の子のロマンとしてのヒーローのパワーアップの文脈についていけない女子の気持ち、みたいな。それはそれでクウガという番組の「ヒーロー物を一度破壊して新しく作りたい」という高寺プロデューサーの哲学があるんだろう。


 で、今回は怪人もクウガも遠距離狙撃タイプなのでバトルシーンより実加捜索に時間が割かれているのだけど、演出や構成が丁寧ですね。(偉そう)
 実加のシーンでショパンかドビュッシー(だよね?)の曲がBGMにかかるのも中学生女子って感じ。後半でショパンの革命のエチュードの楽譜で見立て殺人をするウミヘビ怪人が出たり、実加がフルートコンクールに出て再登場するっていう話があるが。実加のイメージではロマン派とか象徴派のリリシズムっぽいのがあるのかなー。

  • 五代雄介の活躍

 で、緑のクウガはエネルギーを一気に消耗するので、監察医の椿医師からは「2時間は変身できないだろう」と言われる。古代の変身ベルトの中の石のエネルギーの回復時間を現代の医師の椿がなんで推定できるのか謎だが、テレビで放送されてないところでも何匹も怪人が出ていたので、椿医師も何回か五代雄介のCTスキャンとかバイタルチェックをしていたのかもしれない。しかし、CTスキャンの色でわかるんかなあ。


 緑のクウガのペガサスフォームは集中力や感覚が高まるので、それを使って家出した実加を探すーーーみたいなのがオールドスクールな特撮ヒーローの展開だったのかもしれないんだけど。
 五代雄介が実加のつけていた桜貝のネックレスを見て、「その貝はこの辺の海岸で取れるからさ」と推理して千葉県富津海岸に佇んでいた実加を見つける。
 一応五代雄介も城南大学の出身者なので(考古学専攻だったのかは謎だが)地学の知識がある。潮干狩りの名所だしね。
 実際、その海岸は幼少期の実加が父の夏目教授と潮干狩りして桜貝をもらったところ。
 実加のイラつきポイントは父の形見みたいな出土品を持っていったら考古学者のミッシェルがはしゃいだのと、発掘とかをしていたせいで父親が死んだことなので。
 五代雄介が桜貝の地学の知識をヒントにして、実加を見つけるので。「掘り出す」ことで傷ついた実加に対して「掘り出す」ことの美しい思い出を雄介が思い出させてケアする、みたいな構成になってるんじゃないかなー。上手いなー。(これはこれでオールドスクールなドラマかもしれんけど)


 変身して強いからヒーローっていうんじゃなくて、そういう細かい所から人の気持ちをすくいとっていく五代雄介がヒーローなんだろうなーっていう。


 でも、五代雄介も8歳の頃に戦場カメラマンだった父親に同行してミャンマーで遭難したり、父親が小学生の時に死んで、母も学生時代に死んでいるという体験をしている遺族なので。五代雄介も傷ついているから人の傷に敏感なんでしょうね。それで五代雄介も世界を旅行して戦争とかも見ているだろうし、戦争ではない海外の生活も体験していて、その上で人間に対して肯定的な気持ちをなくさないでいる。それで実加に「信じて!みんなやる時はやってくれるよ」というし、重ねて「そしてきみにもいつか、何かやる時が来ると思う」と言って、被害者で泣いているだけで留まらせないで、エンパワーメントする。五代雄介自身もそうやって親の死を乗り越えてきたのだろう。まあ、彼はその「何かやる時」が「クウガに変身してガチの殺し合いを一年やる」なので、きつすぎるのだが。
 五代雄介も自分に言い聞かせるみたいなところがあったんかなー。


 しかし、そういう「人間ドラマに時間を割く」というのが単に「人間ドラマの回」というご都合主義ではなく、「クウガに2時間変身できない」「怪人も針の再生に15分かかる」などの物理的な事情のルールで構成して、単純に五代雄介が怪人よりも実加を優先した、というわけでないのが上手い。
 人間ドラマで尺を使ったので、終盤で怪人の方から実加といる五代雄介に襲いかかったのも「一条刑事が怪人の殺人カウント腕輪を狙撃で奪ったことで、怪人はゲームの再スタートを余儀なくされ、ゲームのルールと達成殺害人数を変えて、クウガを一般人27人分として狙うことにした」という怪人なりの事情があるという。
仮面ライダークウガ 怪人シリーズ 06 ハチ種怪人メ・バヂス・バ

(クウガは一般人27人より明らかに強いと思うのだが、舐めプなのか。しかし、怪人はゲームをクリアしないで制限時間が来ると自爆するので(これもぼくらのっぽいな・・・)、再スタートの時にクウガで水増ししてスピードアップしようとしたんだろうけど。あんまりクウガを多く見積もっても、他の怪人から弱腰となめられるかも、みたいなところがメ集団最初のプレイヤーのバヂスのバランス感覚だったのかなあ)


  • やはり一条さんはヤバい

 一条刑事は怪人が殺人をカウントしていることを知らずに、普通に怪人に銃撃したら偶然落ちたカウント腕輪を取ったのだが、それが怪人にゲームを再スタートさせるというファインプレー。(でも、リアルタイムの時はグロンギ語もゲームのルールも、怪人が制限時間を迎えると自爆することも知らなかったので、非常に不親切な演出でもある)(あと、カウント腕輪も後半に登場する算盤も不安定だと思うんだけどグロンギの文化…)
 しかし、怪人に狙われている一般人の母娘を一条さんが間一髪助けるところはサスペンスアクションの定番という感じでハラハラした。というか、一条さんが優秀すぎる。(今回初登場の科警研の榎田さんが怪人の羽音の音波探知機を作るのも、2000年ころに流行った科学捜査って感じでいいですね)五代雄介が人間ドラマに集中しているので、一条さんがアクションする。やっぱり2号ライダーなのか。


 あと、最後のシーンだけど、夏目実加に対して五代雄介がクウガであることを特に隠しも誇りもせず、「くたびれたー」ってへたり込んで見せるのも、まあ、実際ペガサスフォームで疲れていたんだろうけど、五代雄介が完璧人間ではないって見せて説教臭さを薄くすると言うか、ヒーローだけど人間くささも中学生に見せていくという塩梅かなあと感じた。


 しかし、2時間以内に東京都内から千葉県の富津海岸まで人を探しながら行けるトライチェイサー2000はすごい速い。海ほたるを通ったんだろうか?東京湾アクアラインを通ったら一般車両でも1時間で移動できるらしいが。やっぱり五代雄介の勘が冴えているということか。


  • ほしい物リスト。

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