玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士ガンダム #水星の魔女 第三話 コミュニケーションツールアニメ


 というわけで、厄介な富野ファンとして、先週に飛ばし記事を書いたのだが。飛ばし記事の方が真面目に書いた記事よりもアクセスが多いというところに僕のダメさがあるのだが。
 はてなブックマークの性質上、ブックマークコメント欄が賛否両論になったり、ポルノサイトの宣伝URLを貼りに来るbot(一応通報はする)が来た方がアクセスが増えるので、あえて賛否が分かれたり、論理の穴の突っ込みどころを残して雑に書いた方が売れる。


 で、飛ばし記事を書いて広告収入を得るということを覚えてしまうと、「別に真面目にアニメを見なくてもそれっぽいことを書いていたらいいのでは?」「雑に早く書いた方が時間給換算で広告収入のパフォーマンスが向上するのでは?」などとアニメファンらしからぬ気持になってしまった。
 そういうわけもあるし、ダラダラしていただけというのもあるが、水星の魔女をリアルタイムで見ずにスマホのTwitterのタイムラインを見ながらお散歩に出かけた。最近は秋分の日を過ぎて暗くなるのが早くなったので。
 アイドルマスターサイドMにあこがれてジョギングをしたら細菌性肺炎になったので、ダイエットとしてはダラダラ散歩して食事を減らすという地味な…。

  • ネタにしやすさ

 というわけで、リアルタイムではテレビではなくTwitterのハッシュタグとかアニメファンのツイートを見ていたけど、やっぱり機動戦士ガンダム 水星の魔女はコミュニケーションツールとしてのアニメだなって感じですね。
 別にそれは目新しいわけではなく、大河内一楼さんの脚本のコードギアス反逆のルルーシュや革命機ヴァルヴレイヴもツイッターでネタにするのが楽しい実況アニメだったので。日5の種や00の時点からそうなので。いや、種の時点ではツイッターはなかったけど。2ちゃんねるはあった。


nuryouguda.hatenablog.com

 そう考えるとなんでGのレコンギスタがガンダムじゃないのかっていう疑問もクリアになるわけで、Gのレコンギスタの主人公のアイーダとベルリって「持てる者」じゃないですか。家柄もよく、宇宙からの遺産の無敵ロボを引き継ぎ、次世代の統治者としての自覚をもって成長していく。
 でも、そういう人の気持ちって一般の視聴者にはわからない。なぜならたいていの人は「持ってない」ので。
 「持ってない」人がガンダムの力で拡張身体とか武力増大とかで下剋上するのがガンダムのカタルシスなのかもしれないのだが。


 しかし、実は富野由悠季監督は「高貴なる者」への憧れがとても強い。単に「持ってる人」になりたいとか出世したいというだけでなく、持っているものの義務とか責任とかそういうことを結構考えている。
 逆襲のシャアもF91もVガンダムも「家柄として持っている人」と「戦士として能力を持っている人」の戦いだったので。
 「持ってないけどロボットで少年少女が底上げされてる」というガンダムシリーズとは、富野作品は、もしかしたら相性が悪いのかもしれない。
 ロンド・ベルのアムロ大尉も滅茶苦茶責任感を持っているし。閃光のハサウェイも軍事組織のトップ同士の話なので。


 でも、視聴者が閃光のハサウェイの映画を見てたくさんネタにしたのは偽マフティーという持ってないテロリストのネタだったり、自分の数日間の生活のことしか考えていないタクシーの運転手がハサウェイの理想にスカっと言い返すようなところだったじゃないですか。




 そして、同時にアニメキャラクターは鑑賞される存在だし、かつての映画俳優やアイドルがたどったのと同様、憧れの対象というより親近感が重視される流れはある。そして親近感を越えて、「ネタにしてもいいネットのおもちゃ」としてアニメキャラクターが使われるし、制作サイドもそれが広報戦略になるので、昔はやった名台詞のセルフパロディとかネットミームを水星の魔女は取り込んでいるようだ。
 まあ、ガンダム自体がネットミームになっているみたいなところはあるけど。


 なので、スレッタ・マーキュリーちゃんはたぬきなのである。まあ、アニメキャラクターは二次元なので三次元人からしたら次元が低いんですけど。アニメオタクというのが非常に一般化した昨今では、アニメキャラや漫画のキャラクターに憧れを見出す鬱屈したマイノリティとしてのオタクというより、アニメやファンアートやら二次創作やゲーム実況を通じてネットのコミュニケーションのネタにするマジョリティのオタク(にも理解がある一般人)の方が増えてる気がするなあ。

 なので、Twitterでグエル君やらスレッタ・マーキュリー氏の唐突な行動がネタにされてコミュニケーションツールになって、うまいネタを言えたらRTやいいねが稼げて承認欲求が満たされる。
 富野由悠季監督はちょっと地球文明や社会問題を解決することを若い人に考えてほしいとか真面目に思い詰めてGのレコンギスタとかを作ってしまうけど、水星の魔女はネタにしやすいアニメを作っているんだな、という感じだ。
 アイーダ・スルガンさんとか割とド直球で見た目が高貴な美女で高身長ナイスバディ女性なんだけど、そういうあこがれの対象としてのアニメキャラクターよりネタにしやすいちょっと抜けててカワイイキャラクターの方が受けがよさそうだ。
 これは肌感覚で実測ではないんですけど、やっぱりGレコ放送当時より水星の魔女のリアルタイムの方がファンアートというかネタ絵がTwitterで多いですね。まあGレコも劇場版の期間で多少増えてきたんですが。リアルタイムのGレコはアイーダとベルリよりもクリム・ニックのジャベリンありがとうねとかマスクのここで死ねやとかの方がネタになってましたね。


 あと、富野監督のネタはSF的にも物語的にもお笑い的にもシュールというか尖っている、というか発明的なので視聴者がネタにするために咀嚼するまでに時間がかかる。


 逆襲のシャアのアムロのヤバさがツイッターの定番のネタになりだしたのって意外とGレコ以降な気がする。個人的にはアムロのことを「天パ」と呼ぶのは呪術的に本物ではなく一般名詞に置き換えることで呪力を減らす感じでカイジ読者としては好きではないのだが。

  • 存在級位

 なので、やっぱり厄介な富野ファンから見ると水星の魔女のかわいいキャラクターデザインはかわいい動物のような感じで、少し下に見れるように設計されているように見えるな。
 あと、今回のグエルの決闘で「AIを使わない方が強いところが偉い」という風に評価するのも、なんか野球選手やボクサーや棋士の評価するようにツイッターで言われていて、「娯楽アニメなんだから現実より下に見れる」という感じだ。
 野球選手や格闘家は一般の人に比べると圧倒的に努力をして才能を持っているけど、スポーツ新聞を読んでる阪神ファンのオッサンとか、選手や監督のことを下に見て悪口を言ったりいじるのがおもろい、みたいな感じで見てますよね。


HG 機動戦士ガンダム 水星の魔女 ディランザ (グエル専用機) 1/144スケール 色分け済みプラモデル


 どういう感じの試合運びとか視聴者もわかりやすいし、評価しやすいし話題にしやすい。


 富野ファンではあるけどやっぱりGのレコンギスタの戦闘は視聴者が理解するよりも高速すぎた。

デレンセンも武人として瞬発力がある!モンテーロに襲われた一呼吸後に、

 同時に、
 Gセルフから距離を取る、
 モンテーロに狙いをつけ直す、
 ビームジャベリンを回避する、
 破損したシールドをパージする、
 翼をたたんで空気抵抗を減らして後ろに下がる、
 ライフルでモンテーロを威嚇する、
 左足から左手にビームサーベルを持ち替える、
 体勢を整える、
 この8動作をやる!
そして突き!


 同じカットシーでもパイロットが違ったらクリムに「遅いなあ!」と「速い!」と両極端の評価をされる。パイロットの技量で量産型MSも段違いの性能を出すっていう富野ガンダムのMS運用、カッコよすぎる…。


nuryouguda.hatenablog.com

 高速戦闘は富野アニメの魅力ではあるんですが、じつは視聴者から見ると速すぎて何をやってるのかわからない、という問題もある。富野アニメに慣れたら、それは魅力なんですけど、とにかく「相手の動作速度より早く自機に入力して手数を増やせるほうが勝つ」という富野アニメの戦闘はちょっとわかりにくい。(そもそもファーストガンダムの時点でパイロットの入力速度が機体の反応速度を超えたので駆動系の摩擦を減らすとかそういう地味なことをやっているので。強い武器とか出力ではなくて動作の数なので)
 必殺技システムをダイターン3が終わったあとはやらなくなったけど、なんで勝つのかが明示されにくい点もある。
 それに比べると水星の魔女で「AIを使わない方がいい動きをできるので強い」という試合運びや強さの評価が分かりやすく示されている。
 どういう感想を持ってほしいのか、どういう感想を視聴者が持つのかを作り手側が自覚している感じだ。


  • コミュニケーションツールとしてのリアリティライン

 今回のグエル君の「家柄ではなく自分自身を認めてくれた」っていうの、すごい普通だよな。わかりやすい。
 これは昔から若者も共感しやすい話題だ。
 同時に唐突な求婚などの現実とは違うアニメキャラらしいネタの提供があり、Twitterでわいわいしやすい。


 また、乙女ゲーっぽいとか少女マンガっぽいとか、そういう「どこかで見た要素」を置くことで視聴者同士が共通言語として水星の魔女について語るときに「あんな感じだった」とツイッターで言い合って盛り上がれる。


 キーワードとしての「逃げたら一つ、進んだら二つ手に入る」というセリフも、少なくともGレコ序盤のスコード教のタブーがどうのこうのよりは現代人に近い価値観だ。(まあ、実際はあんまり「逃げたら一つ、進んだら二つ」とか明示的に言う人は少ないんですけど、そこはやっぱりアニメキャラクターの名セリフという記号化がなされているし、リアリティラインを少し下げている)


 まあ、Gレコも劇場版ではわかりやすさを重視する地味なセリフの変更などがあったりしていたわけだが。


 劇中の行動についてどういう風に評価していいのか、わかりやすいし他の視聴者とも共通しているとコミュニケーションツールにはなりやすい。


 んで、ガンダムシリーズ自体のとっつきにくさをクリアして若い新しい視聴者を獲得するのか?というのも本プロジェクトの目的の一つであるので、ガンダムではあるし過去のガンダムのネタのセルフパロディもするけど、新規視聴者もわかりやすい共感性はかなり水星の魔女では意識して作ってあるように思える。

  • あとがき

 そういうわけで非常に日5らしい、みんなで実況わいわいアニメとして適応しているなあという感じでした。


 ところで、この記事は実はTwitterのタイムラインを見てただけで、アニメ本編の第三話は見ないで書いた。


 飛ばし記事は放送から速い方がいいってね!


  • ほしい物リスト。

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↑グダちん用


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