玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

シドニアの騎士アニメーション第1話「初陣」原作ファンからの感想

とりあえず結論としては、上手いアニメ化だと思いました。
弐瓶勉先生の作品はBLAME!連載中からアバラ、バイオメガ、画集、アンドソーオン、シドニアの騎士ととりあえず全部買ってるんでファンですけど、忙しかったし萬画は他にも読むし単行本組なのでリアルタイム感想は書いてなかったんですけど。
そしてアニメーションは結構原作から台詞とかシチュエーションとか時系列を改変してるんですけど、その改変の方向性に一本筋が通っていて、いいと思います。


あと、アニメーション技術としては人物もメカも背景もエフェクトも作画が3DCGという試みですけど、弐瓶勉先生のサイバーな作風に合ってると思います。

シドニアの騎士(1)

シドニアの騎士(1)

  • シリーズ構成 村井さだゆき の脚本のアニメーション表現過渡期の技

実は僕は不眠症で最近は社会復帰プログラムに参加しているせいでこのブログはあと5分で書き終わらないといけないんで、あんまりスタッフワークの系列や作画ウィキや演出Wikiを調べられてないんですけど、とりあえず公式サイトでスタッフをチェック。
(アニメを見てても公式サイトをチェックする確率と言うのは結構低いけど、シドニアの騎士の公式サイトは現在進行形で登場人物の現状(やっている任務)とかがリアルタイムに更新されててサイバーなアトモスフィアがオモシロいです)
「シドニアの騎士」公式サイト
やっぱり90年代からオタク界に参入した新参三十路アニメファンとしては、村井さだゆきさんの名前が目につきます。


んで、村井さだゆきさんって結構表現として尖ったアニメーションをやってる原作付作品の脚本をやってることが多いんですわ。
オリジナルの「スチームボーイ」「千年女優」も尖ってたんすけど、やっぱ僕らの世代だと「ブギーポップは笑わない(アニメ/実写)」「キノの旅」あたりが印象的なんですけど、これもゼロ年代前半のセル画からデジタル作画移行期の過渡期の作品なんですね。
あと、ゼロ年代中盤に村井さんが参加したのゼーガペイン魍魎の匣もCG技術やデジタル撮影特殊効果で尖ってた作品なんですけど。


その村井さだゆきさんは実写も映画もセルもCGもやってる人で、そう言う人が、思いっきり3DCG過渡期って感じの(海外でスター・ウォーズ:クローン・ウォーズを作ってたポリゴン・ピクチュアズの日本向け進出過渡期の(追記:今調べたらポリゴン・ピクチュアズは日本の会社で80年代からあってイノセンスにも参加してた。間違い…))
シドニアの騎士っていう作品の漫画からアニメーションへの再編集コードを書いてるってのは結構面白い人事だなーって思ってます。


アフタヌーン系触手宇宙怪獣漫画と言えば、エイリアン9村井さだゆきさんでしたね!

ほんで、脚本の改変なんですけど、原作萬画は月刊萬画で1月で割とこってり1話が構成されてて区切られてるんですが、それの1〜3話の途中までの作中エピソード時間に沿いつつ、原作が連載進行中に後付で語られた設定とか雰囲気とか情報をテレビアニメ1話の中にさりげなく挿入しつつ、月刊萬画を「ロボットアニメの1話」に上手くコンバートしてると思いました。


まー、アニメでどこまでやるか知らないけど。

あと、弐瓶勉先生の漫画の特徴として、酷いことが起きてるのになんとなく登場人物のリアクションが薄くて呑気っぽく見えるという独特の雰囲気があるんですけど、シドニアの騎士弐瓶勉先生の過去作よりもコメディー描写が増えてさらに呑気ぽいんですけど。
アニメ版は岐神海苔夫や仄姉妹の心情セリフや表情や説明セリフが増えてて、そういうキャラクターの性格的な異常性は減ってて結構普通のアニメっぽい、学園ものと言っても差し支えの内容な文法を使って、テレビアニメから入る視聴者にも受け入れられやすい雰囲気にしようという感じはあります。
放課後の教室の掃除のシーンは原作にも一コマだけあるけど、アレンジして星白と谷風の学園ロマンスっぽい会話がアニメでは挿入されてる。原作のエッセンスを拾ってふくらまそうというメディアの違いを意識した気概はナイスだと思う。
あと、シドニアが実は宇宙だった!って分かって読者を引き込むネタは原作1話のラストで、アニメだとAパートくらいにあたる時間事件なんだけど、そのエッセンスをちゃんと拾ってる。
宇宙バレシーンはアニメの後半ラスト前の出撃シーンで使われてて、動画のスピード感と3DCGの広がりの感覚で宇宙だって見せる事でアニメならではの見せ方であるし、同時にロボットアニメの1話の引きの定形にも沿ってるし、同時に原作の1話ラストの引きを違う場面で応用して出しているという原作の意図の尊重と言う、3点の工夫が感じられる。ナイス。
逆に、萬画ではコンソールパネルや掲示板やセリフやト書きの文字情報がじっくり読めるし、そう言う文字演出が弐瓶勉先生の作風なんだけど、アニメでは文字を止めてみるのは、まあ録画して一時停止したらできるけど流れが途切れるし、文字の説明が減っててセリフでの説明が増えてますね。だけど、アニメ1話ラストでは谷風長道は出血しただけでセリフが無くて「谷風心肺停止」っていうコンソールパネルのアラートも出てないんだけど、セリフで「ガウナ出現!」って叫ぶことで、萬画とは違った方向から危機感の演出をしてる。文字ではなく、オペレーターと艦長の「奇居子出現」「百年ぶりだな」ってエヴァみたいな音声のセリフで区切りに重みを持たせる演出はアニメならではで、ちゃんとメディアの違いに順じた最高性が行われていますね。まあ、プロの人に言わせりゃあ当たり前のことなんでしょうけど。
「原作そのままのアニメ化」って愚の骨頂なんですけど、こういう上手い換え方を見ると、原作で話を知ってても引き込まれますね。

RIOBOT 継衛

RIOBOT 継衛

  • CG画像面での感想

で、シナリオ面では呑気なギャグっぽさが減って、音楽もシリアスで、メカCGも硬質でハードでシリアスな印象を与えているんだが、逆にペン画がPhotoshop加工されてる原作の線画が3DCGアニメーションに置き換わることで生まれる「てさぐれ!部活もの」っぽい腑抜けた感じがあるので、表現方法は違うけど、積分して総体的に見ると「呑気でハードなSFラブコメバトル」っていう原作の雰囲気のパラメーターは満たしているんじゃないかなーって。


ガチロボットアニメファンの 名無し・A・一郎か小谷一郎さんもシドニアの騎士にアニメからはまって興味があるみたいで、
https://twitter.com/nanashiborger/status/456025555146506240
https://twitter.com/nanashiborger/status/456029228106932224
シドニアの騎士感想 - Togetterまとめ

とりあえず「変態SFばっかりアフタヌーンで書いてた弐瓶勉先生の萬画」が「ロボットアニメ」としてロボットアニメファンに認知されたようで、それは原作ファンとしても安心できるし、未読の人の新鮮な感想にも興味がある。


ただ、設定がアニメでちゃんとまとまるかって言うのは原作ファンとしても不安。
原作は12巻まで出てますし読んでますが、未だに世界観が広がり続けているので、原作ファンもシドニアの騎士の世界の全貌がわかってません。
しかし、広大な世界の一部しか描写しないのが弐瓶勉作品の特徴です。原作自体、風呂敷は畳めるのかなあ?(BLAME!は風呂敷からちょっと出た所で終わった。バイオメガは風呂敷を火星まで広げてぶっちぎった)
そう言う作風なので、原作を読んでて新展開とかアクションとか面白いし楽しんでるんだけど、あんまりSF設定を掘り下げて考察する気はないっつーか、メビウスエンキ・ビラル系バンデシネの作家の流れに位置する弐瓶勉先生のSF設定は「カッコイイと思ったからやった。検証はしてない」って態度のアトモスフィアがあるので。
あんまり真面目に考えたら負けな所がある。「おーすげー!でけえ!」「スゴイ!長い!」っていう面白みはある。
つーか、弐瓶勉先生のシドニアの騎士やブラム!とかバイオメガってアイディア的にはかなり先行SFのパッチワークみたいな所があって、割と見え透いた元ネタを作者も読者も分かって楽しむ感じで、それはアフタヌーンっぽいよなー。BLAME!の電機騎士の甲冑のデザインやシドニアの騎士の衛人のデザインには∀ガンダムのエッセンスが感じられます。
シドニアの騎士自体が自家パロディやってるし。ララァとかガンダムのパクりだし)

アイドルマスター XENOGLOSSIA インベル(ABSプラスチックキット)

アイドルマスター XENOGLOSSIA インベル(ABSプラスチックキット)

元ネタを分かって楽しむアフタヌーン漫画は植芝理一先生のディスコミュニケーションもなんだけど、謎の彼女Xはパロディ要素薄いけど、アニメ版は逆に大林宣彦映画の雰囲気を引用してまとめた所あるよね。いや、好きです。
寄生獣遊星よりの物体Xから膨らませてるし。


なので、そういう引用とかオタクっぽいネタが満載のアフタヌーン発の漫画がアニメになって「正道SF!」って言われてると、正直「盛ってきましたねえ」という感じもあるんだけど、クローン・ウォーズを作ってる会社だし、しゃーねーか。
スター・ウォーズ自体が古典神話や西部劇映画やスペースオペラの雑なパクりとさんざん言われながらもいつの間にかSF映画の一つのスタンダードになった作品なので、まあ、そう言うもんなのかなーって思う。


まー、ファンとしては色々ともっと語りたいだけど、やっぱ不眠症の治療モードに移行しなければいかんので、このくらいで止めます。
今期のアニメでブログで感想を書くのはこれくらいかなあー。
時間が無いんだよねー。幼年期の終わりの未来人みたいに動画を再生する時間の方が人生より長いんでねー。


あー、あと追記しておくと、弐瓶勉先生の作風で特徴的なものであげられる一つに、「イカシた架空のロゴやインターフェースデザイン」なんだけども、アニメオリジナルのフォントが指令室のコンソールや通信機に印刷漫画じゃなくて3DCGで出ててカッコよかったっす。


んで、そのデジタルデザインワークスに、弐瓶勉先生の昔からのサークル仲間でデザインとかしてる
http://m-hz.com/portfolio/
MHz inc.のメチクロさん(https://twitter.com/maticlog)が参加してて、原作とのデザインワークスの世界観の統一と言うか連結性が出てて、アニメオリジナルフォントも原作ファン納得のカッコよさで、独特の文化を持つシドニア世界をきちんと表現してて、10年前のテキストサイト時代から弐瓶勉先生周辺のファンをやってた私としては加点ポイントです。
東亜重工 - シドニアの騎士 | メガヘルツショップ
イケてる人類滅亡後数千年後のナウなヤングのファッションは東亜重工でキマり!あれは珪素生物だ。
2013-08-10 - Hz[ヘルツ] ブログ

  • CGアニメの動き

あと、ほんと基本的に僕は時間が無い上に演出がくどい富野アニメばっかり見てるので、普通のアニメはかったるくてしょうがないんで倍速で見てるんですけど、シドニアの騎士はキルラキル序盤以来の等速で一時停止しながらじっくり見たくなるアニメでしたね。
これは僕が原作ファンだからなのか、情報量の多いロボットアニメだからなのか、単に再生速度を変えたら3DCGのビットレートが狂って気持ち悪い動きに見えるだけなのか、まあ、それはおいおい考えよう。THE IDOLM@STERのゲームの3DCGは正直おっぱいを揉みたくなるかわいさだったから、CGアレルギーはないはず。アイカツ!アイカツ!プリズムラーイブ!
10年前のフルCGガンダムのSDGFみたいにしり上がりにCGが上手くなっていったらいいなー。つかSDガンダムフォースももう10年前とかね・・・。


あと、絵柄の話を最後にしておくと、原作萬画は最初はフォトショップの●ペンツールで白黒の区切りがはっきりした絵柄だったんだけど、最近ペン軸が細くなったっぽくて点描が増えて、アレが出たせいもあり、風の谷のナウシカ萬画版みたいなドロっとしてざらっとした質感になってるんだけど。
アニメ版のCGのベタ塗りの感じは原作初期のフォトショップの塗りつぶしツールで塗って焼き込ツールで影を付けたカラーページの質感や、機体の白と宇宙や影の黒をはっきりと塗り分けた絵柄にちょっと似てますね。
でも3DCGのボーン構造がかなり固めなので、手描きともちょっと違うんだけども。
そこら辺がどうこなれていくか、スタジオが温まる感じも見守りたいかなーと。


あとBDにヒロキの現役時代の活躍の描き下ろし萬画が付くってのは、けっこう原作ファンにもうわーって感じでござる。
でも、シドニアの騎士キャプテン・アースも所詮は秋のGのレコンギスタまでの前座なので…。でもヒロキな・・・。いいよな・・・。