玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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Gレコのためにその2ヒットするアニメのレイヤー構造 前編

 承前
nuryouguda.hatenablog.com


ワイドショーについて


野球中継について


バラエティー番組について

 と、図解した。テレビ番組の需要形態について要素を分析したのですが。


 もっとシンプルな図解ができることが判明した。

 前回はテレビ番組について分析したが、
 しかし、これはYouTubeニコニコ動画でも同様の構造だろう。


 説明は簡潔に。図も雑になるので申し訳ないがご容赦いただきたい。



 ヒカキンの動画はテレビのバラエティーと構造は似ている。登場人物が複数の芸能人からヒカキン(たまにアシスタント?)に単純化されているがやることは似ている。


 派手な見出しでフォントのサマリーでやること(メタ目標)を提示する。
 パフォーマンスをする。それをヒカキンは時に司会者として説明し、時に道化として顔芸やギャグで盛り上げ、アルミホイル玉やゲーム実況と言った課題に挑戦する。
 それで注目を集めて面白がらせる。それに対して、視聴者は安全なネットの向こうの場所からユーザーコメントやチャンネル登録で評価したり、テレビバラエティーの笑い声観客の役割を兼任して雰囲気を作ったりする。



 ニコニコ動画でも、同様の構図だ。(というかゲーム実況文化はこちらの方がユーチューバーよりも先なのだが)


 なお、最近流行の美少女バーチャルユーチューバーはよりテレビバラエティーに近づけるために、お飾りで画面を華やげる女性芸能人アシスタントの「美しさ」という要素を添付したものと思われる。ヒカキンは面白いのだが、やはりオッサンだけでは画面に花がない。で、行動やネタはオッサンがやるとしても、ガワを美少女にして華やげているのが現在のVRTUBERの流行の一因ではないかと思う。

 マジスカ学園などのアイドルバラエティー番組はあまり見てないのでよく分からんが、そういうノリでアイドルっぽく振る舞っているVTUBERもいますね。
 輝夜月は確実に振る舞いがオッサンなんだが、ガワは美少女。
改訂 YouTube 成功の実践法則60

  • アニメ・物語のテンプレート

 と、このようにテレビ番組やバラエティー、を分析してきたが、実際に大事なのはGのレコンギスタの異常性を伝えるために、他のアニメと比較することである。
 そのためにテレビ番組の一般的な構造を解析し、その上で、テレビ番組の一つであるアニメーションの構造も考えてみたい。

ダーリン・イン・ザ・フランキス ゼロツー 1/7スケール PVC製 塗装済み完成品 フィギュア

 で、現在ただ今放送中の話題作アニメ(執筆当時)、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」について、おはぎさんが図解をツイートしてくれた。



(ツイ消し対策の魚拓)


 これを並べ直してみよう。


 まず、こういう軸を用意する。


 そこに、ダリフラの登場人物を当てはめる。

 ちょっとごちゃごちゃしている?
 画像は適当にクリックしたらオリジナルサイズに大きくなります。
 
 要点を述べる。

・「争いは同じレベルでしか生じない」
 「存在身分レイヤー」と名付けた縦のパラメーターがある。上に行けば行くほど、世界の情報を知っているが、実社会とはなぜか壁があって主人公はなかなかアクセスできない。
 存在身分が低いのは、いわゆる一般人であり、俗っぽいが世界観のことをあまり気にしないで生活している。
 

 敵にも存在身分レイヤーがあり、主人公はまず低いレベルの敵を倒しつつ、自分の存在身分レイヤーを上げていく。
 (叫竜の方が存在のパワーが強いので、主人公のヒロたちはフランクスで存在力を強化して戦います)
 同時に、自分よりも存在身分レイヤーが低い、テレビバラエティーの場合だと見下される芸人やトリックスター(道化)のポジションにいる脇役と交流してなにか「気づき」を得る。
 例えば、ミツルとココロの妊娠事件を通じてヒロは気付きを得る。それに、グループ内で見下される立場のフトシなどが装飾をする。
 また、人間ではないナインズとの共闘も気づきになる。


・世界観のメタ情報にアクセスする
 そして、存在身分レイヤーの高い敵と戦う頃には、報酬対象でありヒロインとの中も縮まる。同時に、博士や賢人といった世界観の情報を知っているレイヤーの高いものにもアクセスできるようになり、メタ情報を手に入れる。


・高い目的の終局に向かう
 そのメタ情報を付与された状態で主人公はドラマの外に飛び出して、「物語の目的」つまり宇宙怪獣との決戦に臨み、報酬対象のヒロインのゼロツ―と合一する。それで勝つのだが、その後、主人公たちのメタ要素を持った子供が帰還する暗示がある。


 だいたい、SFアニメーションの流れとはこういうものである。
MODEROID ダーリン・イン・ザ・フランキス ストレリチア ノンスケール PS&ABS製 組み立て式プラスチックモデル

 
 で、ドラマは主人公と善悪の位置が近く、存在のメタ度が近いものとの交流と、存在レベルが同程度の敵との交戦で進行する。
 メタ情報を知っている存在身分の高いものは、存在係数のステータスが情報にパラメーターが振られているので、現実的な行為としての主人公への影響力は抑えられていることが多い。(革命機ヴァルヴレイヴの101人評議会とか)
 しかし、主人公はそのメタ情報にアクセスすることで特別な存在となり、物語のメタ目標に進行し、報酬を獲得できる。


 もっと単純化すると、こうなる。

 小さい目標をクリアしつつ、自分より下の身分の脇役と交流しつつ、モブの社会的評価を高め、身分をレベルアップさせていく。そうしてアクセス権を獲得して抽象的な世界のメタ情報を取り込み、強大な敵の試練を乗り越えて、報酬ヒロインを獲得しつつ、物語の目標をクリアする。さらに読者、視聴者にメッセージを放つというメタ目標をこなす。
神話の練習帳 物語作者になるためのドリル式ストーリー入門


 ほとんどの物語がこういう図式で整頓できるのではないだろうか?

 僕の思い込みに近い独自の論だけでは弱いので、大塚英志、著作の「キャラクター小説の作り方
キャラクター小説の作り方 (星海社新書)

」というラノベの書き方の本を引用する。15年前の2003年に出た新書なので、少し古い。

 ただ、この本もさらに古いニール・D・ヒックスの「ハリウッド脚本術」からの引用が多い。
 なので、「ハリウッド脚本術」の部分をまず引用していく。

(<あなたの脚本のための前提を、3つの文で書いてみましょう>
 詳しく書く必要があるのは、以下の3点です。
・他の登場人物と対立する、1人の主人公。
・特定の目的を達成するために、なぜそれらの登場人物は互いに争わなければならないのか。
・ドラマが原因で、主人公の人生はどのように変わるのか。

 それに対する大塚氏の注釈

 現実世界における「目的」とお話の中の目的は一点において異なります。
 なぜなら、お話の中の「目的」は基本的には達成されるためにあるからです。現実の世界では「目的」や「夢」は誰にでも達成できるわけではありません。
 (中略)
 だからこそお話の中のキャラクターぐらい「目的」を明確に持って、それを手に入れてくれよ、と読者は望むのだと思います。

 もう一か所、後半でも「ハリウッド脚本術」について言及がある。

 「ハリウッド脚本術」はストーリーの構成要素として以下の10の項目を上げています。
1、バックストーリー
2、内的な欲求
3、キッカケとなる事件
4、外的な目的
5、準備
6、対立(敵対者)
7、自分をハッキリさせること
8、オブセッション(自分の行動は「周りに波及する重要なプロットの変化を達成する」もの、つまり、「みんなのためになること」に取って代わる)
9、闘争
10、解決

 ページ数は前後するが、「欠落」もキーワードです。

 アメリカの民俗学者アラン・ダンデスはアメリカインディアンの民話は全て「欠落」と「欠落の回復」の対から成す、と考えました。何かがない状態からある状態ーー例えば雨が降らないので水がないから雨を降らす、という過程の中に「物語」が成立し、そして欠落したものを「回復」する人物が「主人公」になるわけです。

 僕は前回、テレビ番組の構造もアニメに近いものがある、と述べたが、大塚氏もそこに言及している。

1。何かが欠けている(お金がなかったり、救急医療制度がなかったりという状態)
2。課題が示される(新しいレシピを覚える、今の技術では治せない患者さんが出現する)
3。課題の解決(レシピや治療法を身につける)
4。欠けていたものがちゃんとある状態になる(お金が入ってくる、救急医療が確立する)

 目的を達成するために欠けたものを得る、というのは、テレビのドキュメンタリー番組でもクイズバラエティ番組でも、アニメやライトノベルでもほぼ共通する大きな物語のパターンです。
 ただ、僕は大塚氏の論に「レイヤー構造」「主人公と脇役の身分の違い」「情報のメタ度合いによる存在の影響力度合い」をトッピングしています。



 これはニュース番組にすら当てはまります。
(大塚氏は世界貿易センタービル崩壊で失われた秩序を回復するためにアフガニスタンで米国が戦争を起こした、と現実に当てはめています)

ワイドショーについて

 と、かなり以前に図解したのですが。大塚氏の物語理論を殺人事件に当てはめると、次の図になります。

 右の赤の殺人事件(或いは不正事件や戦争)の領域でかわいそうな被害者が「失われる」ことで公共の秩序が「失われる」。
 もちろん、ここで被害者が死んだところで、大衆にはほとんど何のダメージもないので、ほとんどが俗悪な興味を煽る程度の効果しかない。ただ、大衆は自分が秩序の社会の一部だと思いたがるので、一億総探偵として「事件の真相」を調べるニュースに興味を持つ。 
 (ただし、ここで僕が愚民に対して釘を刺しておきたいところは、愚民は馬鹿なので本当に事件を解決したり、社会構造を最適化することには興味も能力もない。ただ、ニュースを見ることで殺人事件などという非日常の祭りに参加した気分になって、それを夕飯時の娯楽にする程度である)
本当にあった笑える話 2018年 12月号 [雑誌]
ドキュメンタリーを作る 2.0: スマホ時代の映像制作

 で、失われた被害者は物語で言えばヒロインでもある。その欠陥について、社会派や元警察のコメンテーターが何某か言ったり、大衆に親近感を持たれる主婦タレントがかわいそうさを強調したりして、欠落、たとえば如何に殺された人がいい人だったのかを(筋肉少女帯の歌のように)強調する。
 で、ニューススタジオとは別のVTRや取材動画で、レイヤーが別の所から仲介者のナレーターが推理の道具や裁判の様子を提供してきて、それをニュースキャスターが整理して述べて、あたかも事件解決にニュース番組や視聴者も参加しているかのようなゲーム性を出して、視聴者を興奮させて視聴率を稼ぐ。
 で、「真相が明らかになるといいのですが」という決まり文句で被害者の名誉回復や社会秩序の回復を偽装して、欠けた者が回復するように見せかけて物語の構造を作る。
 
(再三、愚民にくぎを刺すが、だれがどんな理由で人を殺そうが、たいていの視聴者には本当の意味で興味はなく、現実の事件のニュースであっても警察24時番組だろうとテレビで見ている分には「物語」として娯楽にしているだけである。だから結局、本当に社会をいい方向に向けるために行動する人は少ない。みんな安全な場所で他人の不幸を面白がっているだけだ。かわいそうとか言っても、それもグリム童話を読むのと大して変わりがない。むしろ、被害者が残酷に殺された描写を聞いて正義感面しつつ野蛮な猟奇趣味を安全に消費しているのだ)


 ここで、僕が大塚氏の論に着け足したいことは、欠落を回復させるファクターとして「スタジオとは別の現実感が希薄なメタ情報のレイヤー領域から、顔の見えない声優ナレーターから、証拠や情報が与えられる」ということです。
 争いは同じレベルでしか発生しませんが、それを解決するためには、異質で高次元のレイヤーが重要になります。おそらくアメリカインディアンはそれを「神」とか「大自然」と呼んでいたのだろう。ニュース番組で事件を解説するナレーションやレイヤーが違うコメンテーターが紹介する証拠や経済評論も「世間」や「常識」や「社会秩序」といったメタ上位存在なのだろう。
 また、お笑い芸人の「ウェ~~~イ」みたいな声や、ワイプ顔や、ゴテゴテしたフォントのテロップもメタ情報としてテレビ番組の効果を作っている。
社会秩序の起源: 「なる」ことの論理


 話をダリフラに戻して、ざっくりまとめると、
 1。バックストーリーでは、世界は荒廃して叫竜に襲われるという「欠落」があった。
 2。ヒロとゼロツーは互いにパートナーを見つけにくいという「欠落」を抱えていた。そのため、パートナーを見つけたいという内的な欲求があった
 3。ゼロツーに強引にヒロがフランクスに乗せられて戦う、というきっかけとなる事件が起きた。
 4。外的な目的として、他のドームとのキッシングや人類の逆襲などがある。
 5。準備、(ナインズと共同戦線をしたり、一時、子供だけで過ごしたり)それを通じて成長する。
 6対立 叫竜やオトナやAPEという「敵対者」について徐々に謎が明かされて行く。道化というか、インターフェース(仲介者)である博士やハチを通じて、そういうメタ情報にヒロたちがアクセスする。
 7。ヒロとゼロツーは過去に出会って絵本を読んだという原体験を思い出し、自分をハッキリさせる。これもメタ情報。
 8。メタ情報を手に入れて進化したヒロとゼロツーがフランクスと叫竜の力を最大限に発揮することが人類全体のためになると示される。
 9。いつの間にか仲間になっていた叫竜と共に、オトナの正体だったAPEや宇宙怪獣との闘争が行われる。同時に、地上ではヒロとゼロツーを応援する仲間たちが農業などのそれぞれの戦いを行う。
 10。地上では新しい命を養える食糧自給が解決する。仲間たちは自然生殖で人類の問題を解決する。(自然生殖が自然だと思っている視聴者への配慮?)そして、ヒロとゼロツーに似た子供が帰還して大団円。


 と、テンプレート通りに進行していることがわかります。同じTRIGGERのリトルウィッチアカデミアも恐らく同様でしょう。
リトルウィッチアカデミア (1) (角川コミックス・エース)


 ▲注意▲
 こういう風にアニメを要素に分解して、頭の中で再配列して理解するのは、一見、理解力があるように思われるかもしれません。分かりにくいアニメも分かって楽しめると思われるかもしれません。
 ですが、こういう風にアニメを見てしまうと、「一歩引いてアニメを見る」という態度になってしまい、よっぽど面白くないと没入できないし、おもしろがりにくくなります。(個別のカット演出や作画は面白いと思うけど)
 まどか☆マギカくらいややこしい話でも、「魔法少女になりにくいという欠陥を持ったまどかが、数人の魔法少女と交流し、インキュベーターのメタ正体を理解して最終的にみんなのために変身して解決する話」と、3行でまとめてしまえるのだ。「ああ、これはこの要素だね」「ここはあれの変奏か」「まるで将棋だな」ってなる。
 なので諸刃の剣。素人にはお勧めできない。(まあ、好きな声優さんとかアニメーターさんで補正がかかることはある)
 まあ、考察予想は外れた時にカッコ悪いのでやりませんけど。


 あと、こういう風に物事や人物の要素の目的が整理できるのは、僕が共感覚の持ち主だからかもしれない。オーラの色や方向が見える。でも、単に機能不全家族で顔色を窺って育っただけかもしれん。ジョルノ・ジョヴァーナには夢がある!

 ダリフラのモチーフの元の一つにエヴァがある。グレンラガンは途中までしか見てない。なので、TV版と旧劇場版の人間関係を一枚にまとめてみた。

 うわっ。気持ち悪い。(画像は適当にクリックしたら大きくなります)
 ダリフラとだいたい似てるだろうから名前を入れ替えるだけでいいかと思ったら、そんなことなかった。だいたい碇ユイが悪い。
(新劇場版まで考えると頭がパンクするので20世紀エヴァンゲリオンで勘弁してください)
 (ロンギヌスの槍くんに自我があるのかとか、トウジの件とか、アスカと加持の関係とか、はしょった部分はあるけど、そうするともっとグチャグチャになるので)
NEON GENESIS EVANGELION [DECADE]


 ここで気付けることとしては、世界観の設定について、主人公の碇シンジ君が知ったりアクセスしたりする機会が少なく、天才の惣流・アスカ・ラングレーよりも存在身分が低いということ。一応、終盤にリツコからエヴァアヤナミボディーの墓場を見せられるが、シンジが母、碇ユイの10年越しの野望を知るのは人類補完計画が発動した後、なかば狂気の中においてだ。
 (世界観の謎を調べようとしたのは加持やミサトだったが、シンジに伝えきれないまま死ぬ)
 あと、シンジ君の人間関係が最初は異性への淡い恋心や好意だったのが、ほぼ、恐怖と死になってしまう。(ゼーレから「初号機パイロットの欠けた自我」と言われるので、シンジ君のメンタルがずたぼろにされることが補完計画に必要だったようだ。ひどい話だ。)
 あと、ドラマの進行において、ゲンドウはほとんど外にいる。ゲンドウはシンジ君との関係はミサトさんに仲介させていて、本当にひどい。(墓参りのエピソードはちょっと図に入れ損ねた。ここらへんもややこしいんだ。ゲンドウはユイの魂が初号機に入っていることを言わんし)


 ただ、大塚氏の「欠落の回復」理論において、その役割を担うのはシンジ君ではなく、むしろ「綾波レイの覚醒とリリスへの帰還」なんですね。
 アダムをも取り込み完全体になったリリスと、ロンギヌスの槍と融合した初号機によって欠落は回復されて、「人類補完計画」と「初号機と合体した碇ユイの宇宙進出」の「目的」が果たされる。その物語の目標とする計画進行において、碇シンジ君はほとんど傍観者だし、結局カヲルくんもアスカも絞め殺そうとするしかできないので。ほとんどホラー映画の文脈ですね。まあ、その徹底して逃げ続けたシンジ君の姿勢が滝本竜彦などの引きこもりからは尊敬を受けているのだが。
 (なんでこんな病んでるのが大ヒットしてしまったんだろう…。まあ、パチンコとかも社会から逃げ出した人たちの娯楽だから、そういう受容なのかなあ)

集結の園へ

集結の園へ



 人類補完計画の終盤で、「いや、これは間違った補完だ」と、シンジ君がミサトさんのネックレスを見て思うのは、スタンダードな「欠落の回復」に見えて、やっぱり現実に戻って他者が出てくると怖いし首を絞めるしかない。
 そういう点で、エヴァはおそらく大塚氏の物語の理論のスタンダードを分かった上で梯子を外していった作品なんでしょうね。
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 庵野秀明監督はオタクなので、物語のお約束は知り尽くしているだろう。放送当時、第弐拾話以降がああなっちゃったことについて、アニメ雑誌で「庵野秀明はわかりやすいロボットアニメにしようとしたらいくらでもできるけど、途中で飽きたようだ」と書かれたのを読んだ記憶もある。
 そういう点で図を見ると、シンジ君の存在身分レイヤーはせいぜい第拾四使徒ゼルエルのレベルのバトルと同じ程度。心理攻撃をしてくる使徒とか、神話の時代の遺産をいじくる親やセカンドインパクト世代よりも存在力が低い。
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 この点、伝説巨神イデオン発動篇のコスモが戦闘の業を一身に背負ってイデによる争いの本質を直感的に理解して死んで行った後に最後に蘇生したのとは対極的だ。シンジ君はコスモに比べると、ロボットに振り回されっぱなしだったからなあ。まあ、イデオンもあんまり言うことを聞かない(意思疎通しにくい)ロボ(というか滅亡した第六文明人の思念の集合体)だったけど。
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 ただ、エヴァンゲリオンの「欠落を補完する存在が主人公ではない」とか、「ヒロインや友人だと思っていた相手や、母親がラスボスだった」という構図は、現在ではほぼ古典と化した「デビルマン」の影響が強いだろう。庵野秀明自身がデビルマンの影響を強く受けたと言っている。

 ここでも欠落を回復する、記憶を回復するのは不動明”ではなく”、飛鳥了がサタンとしての記憶を回復する。その際の仲介役として、サイコジェニーという道化のようなデーモンがいることが、メタ情報レイヤーと存在レイヤーの橋渡し構造に叶っている。
 不動明はヒロインの牧村美樹などを次々と喪失していく。物語は目標を解決して報酬のヒロインなどを獲得するのが王道だが、マイナスをかけて「獲得」ではなく「喪失体験」で物語を進めることもある。これは、エヴァンゲリオンのシンジがヒロインや友人たちを次々と失って行った事に影響を与えているだろう。
 デビルマンの物語の目標としては地球の覇権を神とデーモンと人間が奪い合うことだが、人間はクズだったので絶滅する。
 クズ人間ではない、理性と正義の心を持ったデビルマン軍団がデーモンと最終戦争ハルマゲドンを起こすが……。
デビルマン-THE FIRST- (1) (復刻名作漫画シリーズ)
デビルマン (完全復刻版) 全5巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]


 また、デビルマンの構造として特徴的なのは、ヒロインです。一般的な意味でのヒロインは牧村美樹と見せかけて、不動明の相棒だった飛鳥了が実はラスボスのサタンだった。そして、サタンは両性具有の天使だったので不動明を愛していたヒロインだった。という痴話げんかで地球滅ぶ感じ。
 ラスボスや元相棒が実はヒロインだった、というのは意外とある。ベルセルクのヒロインがキャスカなのか、ガッツとグリフィスの同性愛的な執着なのか、ということとか。
ベルセルク 40 (ヤングアニマルコミックス)

 新世紀エヴァンゲリオンのヒロインと思われた綾波レイが実はマッドサイエンティスト碇ユイのクローンでしかも第弐使徒リリスの一部だったとか。ウテナの薔薇の花嫁のアンシーに後ろから刺されたりとか、Vガンダムカテジナさんとか。


 現在大人気のSSSS.グリッドマンはもっとわかりやすくヒーローをしているので、こちらを図示した方がよいかも。

 まだ物語の中盤なので、何が目標なのか、どういう謎が明かされるのかはわからないのだが。
 (デビルマンエヴァンゲリオンに比べて「実は人類が一番悪かった」という要素がなくて「怪獣が悪い」とするだけでかなり図がすっきりした。まあ、アカネちゃんが怪獣を作る動機は「嫌な人に腹が立つから」なので、やっぱり人類は悪いんですけど。今はグリッドマンを倒すことに興味がいっているが)
 SSSSS.GRIDMAN でも、「主人公響裕太は記憶喪失という欠落」を抱えている。「グリッドマンはジャンクを通して響裕太と合体しないと戦えない」という欠陥がある。
 あと、町がなぜ修復されるのか、何故ひとの記憶が改ざんされるのかも謎だ。(この原稿を書いてる途中でアノシラスちゃんの解説がありました。とりあえず、グリッドマンの戦いで吹っ飛ばされたビルや車の中の人も生き返れるようで良かったです)
 で、合体することで欠落を回復して、巨大グリッドマンになって、怪獣を倒し続けることで謎が解かれるだろうか?という流れ。
 アカネちゃんと六花と内海の関係は?(裕太はなんか恋愛には興味なさそうな雰囲気?)
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 それで、色んな世界のメタな謎を知っていそうなハイパーエージェントグリッドマンとの間にジャンクが入っていて、主人公と境界線があるのもこれまで見てきた作品に近い。そして、それの仲介役として道化役というか、明らかに普通の人ではない新世紀中学生が登場して、アシストする。これも、神託はそのまま与えられるのではなく、巫女や天使を介するという神話の類型に似ている。(サムライキャリバー(33)は猫飼ってるけど)
 あと、この原稿を書いてる途中の第6話でアノシラス2代目の怪獣少女が裕太に助言しに来たけど、これも露骨にデルファイの巫女の「神託」だなあ。しかもアノシラスちゃん、先代のグリッドマンからのデジタルワールドの秘密については中途半端にしか言わない…。まだ6話だからか。



 毒煙怪獣ベノラのような風景の怪獣によって記憶が操作されているのかもしれないけど、それもメタの領域。


 とりあえず、争いは同じレベルのレイヤー理論で見てみると、概念の存在であるハイパーエージェント・グリッドマンはジャンクを通してグリッドマン同盟の高校生の裕太と合体して存在レベルを怪獣に近く落とさないと戦えない、というルールがあるようだ。同じくアレクシスもアカネちゃんの作った怪獣の模型がないと攻撃できない。
 (ウルトラマンが人間の状態から変身しないと怪獣と関われない、直接銀河のウルトラ警備隊が介入することはできない、というウルトラシリーズのお約束かも知れない。まあ、直接宇宙人が介入するとデウス・エクス・マキナっぽくなる)


 ちなみに、地球人が頑張って抵抗している間に敵の組織が勝手に崩壊するのが、「超電磁ロボ コン・バトラーV」。地球人のコン・バトラーVが地球を侵略しに出張しているキャンベル星人と戦っていたら、最終回に正義のキャンベル星人の「デウス」が現れて「平和主義者がキャンベル星を制圧したから」って言って終わる。デウス・エクス・マキナ
 続く「超電磁マシーン ボルテスV」は多少反省したのか、ボルテスVが敵のボアザン星に侵入して、現地のレジスタンスと共にボアザンの悪い貴族政治を打倒する。
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 で、グリッドマンやTRIGGERはガイナックス系列なので、ロボットアニメのコンVやボルテスより古い宇宙戦艦ヤマトの影響もうけている。っていうか、庵野秀明が受けている。その庵野の孫らへんが今のTRIGGER。


 イスカンダルのスターシァは存在身分が高いというか、左側のメタ情報領域の人なので、自分ではあまりアクションせず、仲介者のサーシャに波動エンジンの設計図を届けさせ、ヤマトにはイスカンダル放射能除去装置のコスモクリーナーDを取りに来いという。いや、こすもクリーナーDの設計図も送れよ、とは考えてはいけない!
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 地球は放射能汚染されているので、その欠陥を回復させるために、放射能除去装置が必要。
 また、敵対者ガミラスの侵略や遊星爆弾を食い止めることも必要。
 あと、主人公の古代進は兄の古代守が死んだと思っていて、それが進の心の欠落でもある。
 これらの条件や目標がヤマトの旅路の途中で解決されて行く。そしてガミラスとの大決戦になるのだが、その上でメタ情報としてガミラスの正体はイスカンダルの連星という属性が明かされて、「愛し合うべきだった」というもう一段高いメタなテーマ性に接続されて、感動を呼んだわけです。

http://www.style.fm/as/05_column/animesama12.shtml
 『宇宙戦艦ヤマト』は戦闘もので始まり、クライマックスで〈愛〉がテーマになった。『機動戦士ガンダム』も、シリーズ終盤にSF的な〈ニュータイプ〉の物語になった。『新世紀エヴァンゲリオン』もシリーズ終盤に〈心〉の物語となる。3作品とも最初から〈愛〉や〈心〉をテーマとしてスタートしていたら、それほどの人気は得なかっただろう。
 戦争ものやロボットものという、刺激の強い、分かりやすい娯楽作品として始めて、途中で「愛が大事だ」「人類の革新」「自己と他者の関係」といった、ちょっと高級な(と思われる)テーマに切り替わる。そこに感動やショックが生まれる(『エヴァ』の場合は、当惑という言葉の方が相応しかったかもしれないが)。このテーマの切り替えが、この3作が人気作になった理由のひとつなのだろう。

 と、アニメスタイルの13年前の記事にもある。


 長くなったので記事を分けます。

つづき
nuryouguda.hatenablog.com


目次
nuryouguda.hatenablog.com

http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/6FXSDSAVKI1Zwww.amazon.co.jp

著者へのプレゼントはこちら
nuryouguda.hatenablog.com
 アニメ雑誌の編集者でも学生でもないのに無職の時間を全部投入してアニメの解析というよく分からないことをやっている僕に価値を感じるなら何かください。
 この記事を深夜まで書いてたら、歯を食いしばりすぎて奥歯から血が出ました。血を吐きながら続ける悲しいマラソンみたいなアニメ鑑賞。無職だからやれるんだろ!仕事を持っている人の代わりに俺みたいな無職がやらなきゃいけないんだ!


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