玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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日めくりシャア専用その3「アルテイシアにしては」

 前回に引き続いて第二話「ガンダム破壊命令」から。


 サイド7に取り残された生存者を探していたセイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)は壊れたガンキャノンの頭部の部品を撮影したり回収していたシャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)と出会う。(スーパーナパームを使う前に、ガンダリウム合金でできているガンキャノンの装甲が凹んでいるのはおかしいのだが。第一話の絵コンテでも、ガンタンクの部品を運ぶトレーラーが破壊されてもガンタンクの部品自体は凹みもしないという指定があったのだが。まあ、ガンダムもセイラさんが乗った時にグフのヒートロッドで足とかを破壊されていたけど)
 セイラさんはシャアに向かって「お捨てなさい!」「ヘルメットを取ってください」と銃口を向けて丁寧に命令するのだが。

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  • しかし、アルテイシアにしては、強すぎる。

 シャアはひと目見て「に、似ている…」とセイラさんが妹であると直感する。ホワイトベースを見ただけでV作戦を連想するくらいのニュータイプだしな。
 セイラさんの方はシャアが兄だとは気づかない。まあ、サイド7がハチャメチャに攻撃されてなんとか生き残って余裕がないし、そこでいつの間にか潜入してガンキャノンの部品を調べていたジオン公国の変な赤色のノーマルスーツを着ている上に仮面をしている兵士(情報量が多すぎる)が兄とは気づかなくても仕方がない。


 シャアはセイラさんが妹だと直感したけど、それはそれとして銃で撃たれたくないし撮影したデータも持ち帰りたいので、数メートル離れているけど、一足飛びにセイラさんの銃を蹴って落とさせる。酷い。


 そして「しかし、アルテイシアにしては、強すぎる」と勝手なことをいって逃げる。逃げるけど、こっそり隠れていて、ガンダムがセイラさんを助けてホワイトベースのある港湾ブロックまでのハッチを開くと、宇宙服に付けていたロケットをふかして飛ぶ。港湾ブロックまで、数百メートルくらいありそうだけど、ガンダムより先にハッチの中に飛びこむ。まあ、このロケット、フラウ・ボゥみたいな素人でも地球で空を飛んだりできるほどの推力があるので。


 それはそれとして、「アルテイシアにしては強すぎる」である。


 シャアはキャスバル兄さんからシャアになる過程でジオン士官学校とか実戦で、ジオン随一の戦士として恐れられるくらい、めちゃくちゃ強くなった。でも、妹が自分と同じ様に離れている間に成長しているということは認めたくない。


 やっぱり、兄としては妹はいつまでも守るべき弱い存在でいて欲しい、妹を守るため、というのが自分の強さの言い訳になるから、というのがあるようだ。妹が勝手に強くなって自分の庇護を必要としなくなると、兄としては行動理由がなくなってバグる。(それを強調したのがORIGINの最終局面のシャアの発狂)


 最新作のGのレコンギスタでも仮面の男のマスク大尉はマニィ・アンバサダは純真で弱い女子でいてほしいと思っている面があり、マニィには自分の汚い部分を見せたくないのでバララみたいな女戦士と付き合ってしまう。でも、マニィは勝手に金星に行って巨大モビルアーマーを持ってきてクッソ強くなってしまう、というのがGレコ。


 男は女(、とくに妹)を守るという理由をつけて自分の強さや暴力を正当化したがるけど、そんな男の気持ちとは関係なく女は強くなる。というのが42年前の機動戦士ガンダムでジェンダーとかが流行語になる前からやっている。


 あと、シャアとしてはサイド7にガンガンミサイルを撃ち込んだので、そこに妹がいたら罪悪感を感じてしまうので「この女はアルテイシアではない」と、自分に言い訳をしているのかもしれない。逆襲のシャアでもアルテイシアがいるかも知れない地球に隕石を落とそうとして、失敗したら「まあ、妹がいたかもしれないし」とか勝手に言い訳したりする。


 シャア、他人も簡単に欺くやつだけど、自分にも結構嘘をついているよね。仮面の男だし。

  • くっそ強いセイラさん

 セイラさんは医者の卵なのでサイド7の膨大なけが人の治療に当たっていた。フラウ・ボゥにも初対面で「包帯くらい巻けるわよね?」と言って手伝わせる。女の子だったら包帯くらい巻けるっていう決めつけもどうかと思うけど、一応戦時中だし?
 行動力がある。(第二話ではミライ・ヤシマさんがクルーザーで大気圏突入したことがあるからって操舵士に立候補するなど、強い女が出てくる)


 んで、セイラさんとフラウ・ボゥはサイド7の中の生存者を車で探しに行くんだけども。
 フラウ・ボゥは爆撃された街の中を通りながら自分の家を見て、平和だった頃を思い出して泣いちゃうんだけど、セイラさんは「生存者は、ナシ…」と超クール。


 その探索に行く前に、セイラさんはエレベーターを出たところでカイ・シデンと出会って、有名な「それでも男ですか!?軟弱者!」ビンタを食らわす。
 カイ・シデンも爆撃の後を避けて必死こいて港のエレベーターまで辿り着いたので、余裕がないし、疲れているのだが。カイ・シデンが怪我人を助け起こしているリュウ・ホセイを手伝わない(でもエレベーターが勝手に下にいかないように操作はしている)ので、セイラさんはカイをひっぱたく。
 その上、「あなたのような人、サイド7に一人で残っていればいいんです(死ね)」って言っている。鬼か。


 結局、セイラさんが行った後にカイ・シデンはリュウ・ホセイに肩を貸すのだが。カイは親切さを表に出すのが下手なだけで、本質は善人なのだが。


 セイラさんもなんだかんだ言ってシャアの妹なのでひどい部分がある。命からがらやっと安全圏に辿り着いたカイに対して、いきなりビンタ。人の心を思いやるというのがない。
 シャアも怪我してるスレンダーに命令してサイド7に再潜入させるし。


(セイラさんが強くなった理由付けはORIGINで描かれているけど、なんかそれをシャアがザクから見守ってるふうなのがちょっと変ではある)


 優しい金髪美女ではなくビンタする女。しかもジェンダーレスというわけでなく、むしろカイが男らしくないことを叱責してくる。
 やっぱり通常の三倍ヤバいやつの妹だから、セイラさんもヤバいやつだな…。本放送の時はかなり謎というか、ヒロインの定形を崩しているキャラクターに見えただろうなあ。


 シャアにも勇敢に拳銃を向けるし。

  • 妹にはピュアでいて欲しいが

 でも、シャアはそんなの認めたくないので。美形悪役の仮面を第二話にして速攻外して素顔を見せるけど、「アルテイシアがこんなに強いわけ無い」と否認してしまう。設定年齢19才の頃のシャアの素顔は割と三白眼ですけど、まつげが長いので美形なのかなー?軍人にしては金髪を長髪にしているし。クワトロ大尉になってからはさらに後ろ髪が伸びる。


 シャアはザビ家に復讐する汚れ役は自分だけでいいと思っていたけど、それとは特に関係なく、妹も同じくらい時間が経つと勝手に強くなっている。
 でも、シャアの中では妹は別れたときのままの無力な少女で庇護対象という印象のまま変わってないので困惑する。
 そんな兄の願望とは関係なく勝手に女は強くなる。という、残酷な現実を描いているのかも。


 セイラさんがホワイトベースに乗っていることを知った後もシャアは再三、木馬を降りるようにいうし、木馬を攻撃する時に「いや、アルテイシアは乗ってない!」と言い訳する。


 でも、セイラさんはアムロほどではないけど、やっぱりシャアの妹なのでパイロット適性があってGアーマーやコアブースターを乗り回すようになる。そして、そのセイラさんが突っ込んでいるせいでララァは…。ってなる。

  • 賢いけどわかりたくない

 シャアは前回、「戦いとは、いつも二手三手先を考えて行うものだ」と言うし、時期は不明だけどニュータイプ研究機関のフラナガン機関と接触しており、キシリア・ザビに「先読みのシャア」と褒められている。
 なので、シャアは賢いし色々と頭が回って、他のジオン軍人には思いもよらない電撃速攻作戦を連発してくるし、アムロに出会うまでは出世コースを邁進していた。


 でも、「妹が勝手に強くなる上に、自分の敵になっている」というのは自分自身の若さ故の過ち以上に認めたくないし考えたくもない。
 なので、シャアは戦士として有能だけど自分自身や自分の好きな女や自分が執着しているアムロのことになると途端に判断力がガバガバになる。ミネバ・ラオ・ザビに、ジンバ・ラルに復讐のことを吹き込まれてそだった自分の面影を見出して、会談の場所でハマーンにキレてしまって投獄されるし。(しかも協力者のカミーユのことは本気で殴る)


 シャア、有能な部分と、自分の理想が崩れるのを恐れて思考するのを避けてガバガバになっている部分があって、不安定なやつだ。

  • アニメの構成として

 当時も、アニメ雑誌とかではシャアとセイラが兄妹ということは放送中に明かされていたようだが、第二話の段階で「似ている…」「しかしアルテイシアにしては強すぎる」というシャアのセリフ、めちゃくちゃ謎なんだが。「そもそもアルテイシアってなんだよ。人名?誰?」と思われそう。


 でも、70年代後半はドラマ「赤いシリーズ」など血縁を巡るドラマが人気だったので、その流れで「赤い彗星」に妹がいるかも?という匂わせも効果的だったのかなあ?
(そうかんがえるとあざといな)


 Gのレコンギスタではアニメ雑誌や週刊誌や事前上映などでアイーダとベルリが姉弟ということは割と放送前に富野監督がばらしていたのだが。特に初代ガンダムの時代と違ってインターネットがあるので雑誌を読まない人でもすぐにネットニュースで読む。


 まあ、放送の本編中ではジオン・ズム・ダイクンの思想とかジオン建国の流れとかはあまりはっきりと描かれていないで、雰囲気優先なところもある。ファーストガンダムはなんだかんだと言ってガンプラとかでヒットしたので許されているかもしれないけど、ファーストもZやG-レコと同じくらい謎が多い作品だなあ。


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↑グダちん用


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