玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年7月 第7話 第4節

サブタイトル:[そらの愛は地球を救う]
  
ロロール「よーし!(レイ、バンドの制圧はOK?)」
 天宮ロロールは胸に下げたクロムのロザリオを通じ、別行動をしていた奴隷のレイと通話して状態を確認。
レイ『はい。そら様。一曲目の間に、裏手にいた方たちにはしばらく停止していただき、演奏や照明も我々が借り受けました。そら様のダンスのサポートには慣れておりますので、お任せ下さい』
 バックバンドのいるオケピに潜入したレイは宇宙的技術によって、バックバンドだけでなくステージの機材を全てコントロール化に置いていた。
 レーザービームの華が咲き、レイからロロールにゴーサインがきた。
ロロール「ではっ!2曲めっ!

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1483330
♪」

  
  
 日本一武術館に万雷の拍手が鳴り響き、天宮ロロールは絶頂を感じた。お気に入りの歌に、兄に対するありったけの思慕をこめて、その欲求を体全体で声に変えて、歌ったのだ。少女のエクスタシーと強制服従催眠がないまぜになった声が、聴衆の脳を脳内麻薬の渦に叩き込んだ。
 しかし、ロロールの尻の下で、兄は一向に目ざめようとしない。豪華な演奏、巨大なホールで最高の歌を聞かせれば、兄が目覚めるかと思ったのだが・・・。これでもダメなの?一瞬、ロロールは涙した。
  
  
徳光「ほうんとうに・・・っすばらしいうたごえですねぇっグズッ。ありがとうございまじだ」徳光も感涙。
女子アナ「そうですね、、、では、少し、ロロール様にお話をしていただきましょう」
 マラソンランナーは車に乗って移動中である。テレビカメラはロロールを大写しに見つめている。小松チーフチャリティーディレクターは全てのリモコン制御を受け付けなくなったステージ演出機材や連絡の取れなくなったスタッフの問題も忘れ、天宮ロロールという初めて見るアイドルに圧倒されていた。
  
  
ロロール「みなさんっ!24時間テレビジョンは何のために存在するのでしょうか!」
 突然、正面のカメラを睨みつけてロロールが演説を始めた。
ロロール「不幸に見舞われた美しい人々を救うためではないのですか。それが、一人のお兄ちゃんすら目覚めさせることができず、何が愛は地球を救うですかっ!お兄ちゃんが目覚めない地球を救って、何の意味があるのでしょう!私はいやだ!」
 轟然と欲求不満を全国放送に叩きつけるロロール。テレビの電波に乗って、数千万の強制服従演説が視聴者の脳を揺さぶっている。
ロロール「それすらも適わない貴様たち愚民にできる事といえば、今すぐ愛のために財産を寄付する事ではないでしょうか。それこそが24時間テレビジョンの存在意義であったはずです!」
視聴者「そうだっ!そうだ!」
ロロール「それを忘れて、何が愛が地球を救うですか!目先の娯楽、お仕着せの感動、それを長時間に渡り漫然と見て自らの人生を食いつぶし、目の前のお兄ちゃんを救おうとしない!その態度こそが罪だと知って下さい!」
 超絶魔道美少女アイドルがカメラに向って涙ながらに訴える声は、強制服従だけで無く、自分の言葉に酔う少女のトランスをも視聴者に共有させている。テレビを通じて日本中に集団催眠ヒステリーが広がり始めた。
視聴者「うっうわああああっ!!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
「お、お金ッ!寄付ッ!寄付しなきゃーッ!」
ロロール「では、みなさん、天宮ロロール、歌います!
わたしの歌に少しでも感じ入る所が在れば、今すぐ全国の会場、もしくはATMで寄付をして下さい!貴方の収入で可能な範囲で構いません。可能なだけ私にお金を集めて下さい!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2232684

  
  
 ロロールみたび熱唱。兄と妹の夢、愛、欲望!
 それに合わせ、電波で寄付のフィールドが拡大していく。
  
  

  • 調整室

AD「小松さんっ!たたたた、大変な事になっています!」
小松「もう見れば分かっている!」
AD「いえッここに来て寄付金が急激に増えているんです!」
小松「なんだとっ」
AD「新宿のチャリティーステーションで、一億円置いていった人がいます。見るからにヤクザだったそうです!」
スタッフ「口座振込みも、数百、数千万単位の振込みが何件も!」
   
  
駆け込んできた編成部長「大変だ!24時間テレビジョン史上、最高額を一気に更新し、まだ増えつづける!」
 ティアララルンッ!編成部長の胸のケータイ電話が鳴り出した。
編成部長「もしもし、兵藤会長ですか!」
兵藤「ううううううう。ワシは今までなんてひどいことをしてきたんじゃあああああああ。死ぬッ!」
編成部長「何が起きたんですかっ」
兵藤「ワシは今まで、人は人を救わない・・・
なぜなら人は人を救わなくても
その心が痛まないから・・・っ!
そう信じて生きていたんじゃああ。じゃが、うううう。この歌を聞くと、全身が痛いッ!
体全体に宿るわしの心が痛むのじゃあああああっ!
人を救わず生きてきたワシの細胞がニクイッ!苦しいっ!死ぬしかない!死ね死ね死んでしまえ!」
編成部長「落ち着いて下さい、貴方がいなくなったらおしうりテレビだけで無く、グループ全体が!」
兵藤「既にワシの持つ株券は全て売却したっ!もちろん即寄付した。ワシはもう無一文じゃあ。
ヒヒヒ。べべべべ、弁護士にっ!ワシが死んだら保険金は全て寄付させるように書置きをしておいた」
編成部長「会長!会長!」
兵藤「ささらささらさらばじゃああああああああああああああああああああああああっおぶぅえっ
ゴシャッバギッゴッ
ザザッブギンッ!つーつーつー」
 編成部長の耳を、会長の投身自殺を実況中継する携帯電話スピーカーが射抜いた。
  
  
小松「部長!会長は何と!」
編成部長「終わりだよ!こんな会社はもう終わりだよ!
そうだ!寄付だ!もう私が財産をもっていても仕方がないんだ!
寄付だ寄付だ。ウヒ。寄付をするんだ!」
 50代とは思えない軽やかなスキップで編成部長は去っていった。
小松「な、なんだこれは。あの、アイドルか!あのアイドルが現れてから、全てが動き出した!
何という魔道!あれこそが真のアイドル!崇拝の中心!」
スタッフ「マラソンランナーの配置、完了したそうです。後5分でゴールできます」
小松「だまれっ!
 ゴールなどさせん!番組が終わったら、この奇蹟も終わってしまうだろうがっ!」
 寄付をしたいという衝動と闘いながら、必死に職務を遂行しようとするスタッフを小松ディレクターは一喝した。
小松「私が、日本中、いや、世界中のものに寄付をさせるのだっ!
ふふふ。そうだ。延長だ!どうせ下らんマラソン用に作っておいた枠だ。全部使えッ!深夜枠も潰せッ!
終わる頃には百億、いや、千億円の寄付金も夢ではない!」
 ただでさえ大きな24時間テレビジョンという企画だったのに、いきなり国家事業並みの金額を一晩で動かすという状況になったうえに洗脳され、小松ディレクターは恍惚と、涎をたらしながら命令した。