玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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夢喰いメリー第5話段取りなき仁義の反作用

第5話、夢に惑って


なんだこの強引なラスト引きのメリーの顔の荒々しい線画は!ゾクッとしちゃう!
そして山内重保監督のまたしても絵コンテ!またしてもお気に入りの秋谷智子


今回もいろんなキャラクターが自分の都合と信念だけで暴走してて、キャラが立ってて清々しいな!
メリー・ナイトメアとエンギ・スリーピースの戦いの時の悪口の言い合いが、ものすごく噛み合ってなくて、敵の事情を知らない者同士って感じで、最高に展開速い。段取りないな。
だが、段取りをすっとばしていきなり殺し合いに行くのが、逆に最後に敵味方の会話が噛み合って、メリーが夢魔の消滅を知る時の衝撃を倍増させる構成で素晴らしい。
段取りや世界観説明台詞を極力避けて、キャラクターに勝手な行動をさせて、ここぞという時に法則らしきリアルを叩きこむ。


しかも、長ったらしい説明台詞や内面台詞を省きまくって、勢いをつけておいて「考えるのは後だ!」「帰れないなんて信じない!」って言う夢路の説得力、主人公強度をあげてる。
で、引き。続きが気になるなあ!


だが、段取りは減らされているが、無いわけではないのがまた絶妙なバランス。
基本的には仁義、復讐、応酬。
物理的に言うと、作用反作用か。やった事のツケを払い、やられたらやり返す。助力も悪意も恩義も、同じように打ち返す。これが一貫しているから、段取り説明が少なくても説得力がある。あと、その打ち返しの法則が個人の欲望と性格で異なってるって要素も上手い味付けになってる。
夢路の場合は橘のオヤッサンに鍛えられた義侠心って裏付けがある。
アニメ第三話の「夢の向こうから」での「他人を利用するだけの(自分からはお返しをしない)奴は友達じゃない。そんなのはこっちから願い下げだ!」ってイチマちゃんに利用されたみなとちゃんに言い放った夢路の台詞は原作マンガにはなかったアニメ版オリジナルだが、夢路の作用反作用を重んじる精神を表現するのにナイス。(山内の趣味か、原作の後半での夢路から逆算して追加したのかは謎だが)。作用反作用対生成は、山内が参加したブレンパワードの重要理念でしたね!
原作の「夢のむこうから」での夢路は「あのお姉ちゃんが悪い夢を退治してくれるんだ」って言うだけで、バトルの説明役に過ぎなかったんで、アニメ版は主人公強度を補強してる。
こういう男らしいケジメは魅力的だが、男の藤原夢路だけでなく、エンギ・スリーピース遠藤綾が仁義を切るのも良い。
秋谷智子演じる光凪由衣を遠藤綾演じるエンギが器にして利用にしようと申し出る時、自分に自信のない感じの、魔法少女まどか☆マギカとか放課後のプレアデスのすばるみたいな由衣は、自分を変えたいからか、すぐに簡単に器をオッケーするんだが。
エンギはそれをスルーして、土下座で泣きながら改めてお願いして仁義を切って、それでようやく秋谷智子は「そんなに真剣にお願いされて断れるわけないじゃないですか」って再びオッケーする。
この、利用する異次元魔法怪人の方が仁義を通すってのは珍しいな。エンギはいい人だな。そして戦いや罪の重さも強まる。それが説明や段取りではなく美女の土下座という行動で説得力を補強とはビックリした。
夢の中で最初に理由無く泣いてた(多分失恋かなんか)のが由衣で、土下座でエンギが泣いて入れ代わり、由衣が笑顔で頼みを聞き入れるって作用反作用も上手い!
すごいなあ。



あと、メリーがやるべき事を求めて十年もさ迷ってたってのも、あしたのジョーみたいでカッコイイな。ヘソや腹筋もあしたのジョーみたいでカッコイイな。
かわいそうな女の子って言うより、自分の一念を通す女って感じでカッコイイ。
その一念が他の夢魔を殺したって気付くのがドラマチックだ。
来週、夢路がぶっ壊れてしまうのも、「メリーと夢路の一念の反作用のツケ」って感じでハガレンみたいだが良い。ジョン・ドゥ中田譲治がどうアドバイスするかも見所だな。


エンギの姉のパティ・スリーピースも、「夢の住人が現実に憧れるなんて、禁忌に憧れ一念で旅に出て、自分の夢に食われた」って感じで、出崎統的な憧れ人間の罪と反作用って感じで、寓意的で楽しい。キャシャーンSinsも永遠の命という禁忌に憧れた罪と罰と、反作用としての死だったしな。


あと、原作とアニメの差を言うと、原作は白い。背景とか。
その隙間にゆきゆきえやら松本健治やらSHINZOの美術が捩込まれてるのが良いね。すごい山内ニズム。
まあ、マンガ原作の牛木義隆先生もデザイン協力でアニメに関わってるから、意思疎通と世界観統一はあるみたい。マンガは一人で描ける量に限界があるし、アニメは分業制で人力上がってるな。
あと、ある意味少年バトル萬画の典型的な原作に「罪と罰」、因果応報、作用反作用ってのを加えて演出を盛り上げてるのがアニメ版かな。
大筋やだいたいの台詞は原作に忠実だけど、捩込まれた美学が濃いから、山内臭がプンプンするとか、こういうアニメ化シナジー効果あしたのジョーみたいで好きだわ