玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズ全12話+劇場版(ボトムズ鑑賞2作目)

  • 総評

お、おもしろかった・・・。映画っぽい上手い話だった。
ガノタで、アニメになったガンダムは全部見てるんです。が、装甲騎兵ボトムズは先日見た「装甲騎兵ボトムズ 野望のルーツ」で初めてちゃんと見たっていうくらいの処女体験なんです。あ、年は29歳です。処女です。装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端のOVAが出た頃に中学生でした。
ボトムズのロボットのATについてだけはホビージャパン経由の模型知識で知ってます。だいたいの基本設定や大まかな主要人物のネタバレもアニメ雑誌やインターネットの聞きかじりで知っていました。でも、やっぱり体験しないと分からない感覚ってありますね。よかったです。
以下、要素を取り出して書く。

OVA『レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』とテレビ本編第1話との間のエピソード。と言うわけの2作目で、実際は2007年〜2009年制作の物であり、ボトムズシリーズのOVAとしては新しい部類である。古いものはメロウリンク、赫奕たる異端。小説が青の騎士ベルゼルガ物語、萬画装甲騎兵ボトムズ CRIMSON EYES等、らしい。最新作が孤影再び 幻影篇 ケース;アービン、ボトムズファインダー等。「孤影再び」は発表年が2011年だが、2010年の「幻影篇」が「孤影再び」の後日談らしい。

装甲騎兵ボトムズ 孤影再び  [DVD]

装甲騎兵ボトムズ 孤影再び  [DVD]

装甲騎兵ボトムズ 幻影篇 1 [DVD]

装甲騎兵ボトムズ 幻影篇 1 [DVD]

制作年と、作中の時間軸が一致しませんね!ややこしい・・・。装甲猟兵メロウリンクはテレビシリーズのフィアナが登場する前あたりで見ると良いらしい・・・。どこだ?
とりあえず、僕は作中の時間の流れに沿って見ようと思うのですが。
同じような歴史と経緯を持つサンライズのロボットアニメのガンダムシリーズと比べると、ボトムズキリコ・キュービィーという男がキーになっているのが多いなー。ガンダムだと基本的にアムロとシャアが出てくるのは1st、Z、逆襲のシャアだけだからねえ。その間に何をしていたのか、と言う事は「外伝」や「スピンオフ」や「パロディ」で描かれる事はあっても、公式正式作品では無い。
ボトムズは1作だけのテレビシリーズが物量的にメインだと思うけど、その主人公のキリコ自身のドラマが後付けで制作されることがガンダムとの違いだなあ。ガンダムアムロとシャアがいなくなっても、宇宙世紀と言う世界観の歴史が続いたし、宇宙世紀でなくなっても違うパラレルワールド、と言う風に色んなテレビシリーズが作られているし、その歴史の時間軸の空白期間を産めるようなOVAやコミック作品が入っている。そして、∀ガンダムで全ての数万年分の黒歴史パラレルワールドを大らかに(曖昧に)全肯定している。
ボトムズ百年戦争とか銀河戦争を描いているが、作中は基本的にキリコが存命中の数十年らしい。いや、ボトムズファインダーとかequal ガネシスは数百年後の話だったりするらしいのか?しかし、とりあえずガンダムアムロに比べるとキリコが主人公として大きく取り扱われているという印象は受ける。後付けのOVAでもキリコの前日譚や後日談が多く描かれると、キリコの特別性を感じる。
ボトムズは基本的に高橋良輔監督がほぼ、監督している。そこも色んな監督が手掛けたガンダムとは違う。ボトムズの漫画や小説は高橋良輔以外の人が書いているものもある。ボトムズで高橋監督以外が監督を手掛けた映像作品は2010年のボトムズファインダーとケースアービンだけではないだろうか?(総集編は除く)
小説は高橋良輔監督が書いたものもあるし、アニメのボトムズに脚本家として参加した吉川惣司氏やはままさのり氏によるものもあるようだ。
装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ小説版

装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ小説版

で、まだテレビのボトムズの前日譚しか見ていないが、やはり、ボトムズ=キリコ=高橋良輔という印象を持った。
しかし、高橋良輔氏はガンダム富野由悠季氏ほどアクの強い作家ではない(ようにみえる)。高橋監督はどちらかと言うと、作家型と言うより、スタッフの調整型、プロデューサー能力が上手い監督のように感じる。キリコもアムロのように専用のロボットを持っているヒーローと言うよりは、多くの兵士の中の一人、という印象が強い。だが、キリコはアムロ以上に特別な超能力者でもある。
高橋良輔監督やキリコは、それほどいつも前に出ていたりせず、言葉が多い人ではないが、全体的に見るとやはり最重要人物である、という風な雰囲気が醸し出される、という所が面白いバランスだなあ、と思う。ここら辺の特別さと凡庸さのバランス、キャラクター(人物、特別さ)と作品世界のバランスの引っ張り合いが面白いなあ。


  • キリコの特別なキャラクター性

キリコは野望のルーツとペールゼンファイルズではBLAME!の霧亥なみに喋らない(頑丈人間だ)し、自分からは能動的に動かないので、特別な存在なのに目立たない、という物凄く変なキャラだ。
ペールゼンファイルズは、アストラギウス銀河100年戦争終結の直前を描いた作品である。そこでキリコは戦争終結という大きな歴史の流れに埋もれた一兵士として存在する。と、同時に異能生存体という超能力者でもある。そして、そのキリコの超能力を観察するために、野望のルーツから続けて軍人で科学者のヨハン・ペールゼンや諜報部のトップのメルキア情報省次官ウォッカムが暗躍し、さまざまな作戦にキリコを投入する。戦争全体はキリコとは関係なく外交で進むが、作品としての雰囲気、カメラが向けられているドラマの部分はキリコを中心として、キリコの異能をめぐる人々のドラマとして描かれる。そこら辺のマクロとミクロの極端な所のバランスがすごくギリギリで面白かった。



ペールゼンもウォッカムも、キリコの強さを確認するがためだけに、大勢の兵士や基地を実験材料として使ってキリコにぶつけてきている。キリコは死なない兵士である異能生存体ということらしい。が、死なない兵士だと言ってもキリコはガンダムニュータイプのようにレーダーを無効化するモビルスーツを無効化するサイコミュが使えると言うほど強くない。死なないだけ。特に超兵器が使えるというわけではない。
だから、戦略的な存在というよりは戦術的な存在に見えるのだが、そのキリコの力を観察するためにウォッカムは戦略的な謀略を行って幾つかの基地や部隊を犠牲にしているので、アンバランスだなーと思う。
しかし、終盤の惑星モナドの核で、謎の超常現象が起こったのは、キリコ以上の超存在を予感させる感じだなあ。(たぶん、ワイズマンとか言うらしいが、よく知らん)
ペールゼンはどこまでキリコの超存在ぶりを知っているのだろうか?野望のルーツで、キリコを撃ったりした過去があるのでキリコが死なないと確かめようとはしているが、ワープをしたりするほどではないと思っているのかな???よくわからん・・・。
しかし、アンバランスすぎるほどキリコを中心にした作戦を立てるペールゼンはやはりキリコに恋をしているのではないか?というような、ホモ・セクシュアリティーを感じる。回想シーンのショタキリコは萌えるし。ヒロインのキリコにちょっかいを出すジジイ、って言う感じで爺ホモ!って感じで萌える。っていうか、野望のルーツとペールゼンファイルズには女が出ないから、すごくゲイっぽい・・・。

  • ホモ臭さ

ボトムズの野望のルーツとペールゼンファイルズは福本萬画以上に女が出ないし、戦場だし、普通にホモに芽生えると思う。トルーパー塩山絵だし。キリコの流し眼がエロイ。
ボトムズペールゼンファイルズは普通にキリコとかザキが萌えキャラだし、下手すると34歳の色白デブのコチャックが実にネコっぽく感じるし。ゲイくさい。ザキは女という説も小説版ではあるのか・・・。
野望のルーツとペールゼンファイルズはえらい爺が隠された才能を持つ主人公を見出してちょっかいを出していびりまくるっていう話だし、少女漫画だと思う。エースをねらえ!みたいな。
それから、キリコの所属する分隊と情報局のウォッカムがペールゼンを尋問する所の二つの視点でほとんどすべてのドラマが進行するのが、また密着感を高めている。
やっぱり分隊っていう密室感がホモイですよね。「分隊は家族!分隊は兄弟!笑わせるな!オレのために死ね!」って、こじれた恋愛みたいです。老人のペールゼンを裸にして薬物や電撃で拷問するウォッカムも老人中年ホモSMって感じの特殊な性癖へのサービスシーンでした。
また、男ばかりの戦場で、死と隣り合わせで、互いに頼り合ったり心配したり、反対に疑ったり怒ったりと、狭い距離で感情が大きく動くので、吊り橋効果的な恋愛感情のような感じで、ホモっぽい感覚があるよね。
しかし、凡百の女性用BLに対して、装甲騎兵ボトムズが決定的に違う所がある。それは、「美形が出ない」という事である。むしろ、むさくるしく、色んな骨格の男が美醜を問わずたくさん出てくる。戦場では容姿は関係ないのだ。だとすると、逆に容姿による価値から人間関係が純粋に自由になっているという面もあるのではないだろうか?!つまり男女の愛や恋愛よりも純粋な人間の精神が描かれているのだよ!
色恋というよりは命を預け合う、というのがボトムズの関係。環境によって利己的な行動と利他的な行動が変転するのが、実に恋愛的だ。恋愛ドラマでは無いのだが、恋愛にも似た感情の激しい浮き沈みを見ることができる。
ていうか、エンディングとか、ザキがヒロインっぽいのだが。


  • 脚本 映画性

野望のルーツを見た時も感じたのだが、やはりペールゼンファイルズも映画的、特に洋画的だ。「コンバット!」を意識しているようなミリタリードラマという事もある。が、同時にミリタリーだけでは無い多様なドラマを感じる。
ペールゼン・ファイルズでは様々な地形に沿った戦闘や苦難が描かれる。それは洋画の「ポセイドン・アドベンチャー」や「アビス」のように、場所で起こる事件によって変わる人間関係ドラマを感じる。ペールゼンファイルズでは渡河作戦、断崖絶壁、砂漠の峡谷、平原の狙撃、雪原、宇宙戦争、など、色々なシチュエーションでの戦いが描かれる。また、キリコに関する実験を中心として、ガレアデの司令官殺しの犯人探し、軍内部の秘密結社のスパイ、前線基地の人事異動、極低温に対抗するためのポリマーリンゲル液の開発など、サスペンスやミステリ的な脚本の面白さを感じさせるシチュエーションも次々に出てくる。
そして、分隊の5人の過去や性格が、彼らの結束と仲間割れと言ったドラマに沿って、徐々に語られて行くのも映画的だ。このように、物語に沿って少しずつ登場人物の性格や過去が明らかになっていくのは、七人の侍十二人の怒れる男のような映画的な面白さのある構成である。シリーズ構成の吉川惣司と五武冬史の脚本力を感じる。
事件が解決したと思わせておいて、逆転するような伏線の使い方、受け手のリードの仕方も非常にうまい。


語り口がギルガメス軍だけに限定されているのも、映画的だ。「ルール」によって映像の切り取り方を制御して構成しているというのが映画的なのだ。
このペールゼンファイルズと野望のルーツでは、敵のバララント軍のロボットのATは出るけど、バララント軍人は映らない。だから、敵のドラマが全く無く、それが逆にギルガメス軍のキリコの周辺の人々のドラマだけを浮き出させる効果になっていて、それはホモっぽさも含む人間ドラマ性を高めている。映画的だ。
多分、敵の姿が出ない事はテレビシリーズでバララント軍のネタバレをするから、その前日譚のOVAでは敵の姿を描かないという理由があるのだと思う。そこら辺は今放送中の機動戦士ガンダムAGEのUEの処理の仕方に近い。が、ボトムズにおいてはバララント軍は「謎の敵」ではなく、普通に外交交渉が可能な人間同士だ。それでも全く敵を映さないのは、「敵の謎」よりは「敵の事を構ってはいられない戦場」という感覚を強く演出する意図があるのだろう。

  • 野望のルーツからの連続性

野望のルーツの終盤にレッドショルダー部隊の基地で、キリコがバージル・カースンに言われた「自分の過去を他人に握られたままで良いのか?」「他人に操られたままで良いのか?」との言葉を、キリコがバーコフ分隊の仲間に言うのが、繋がっている感じだ。そして、ペールゼンファイルズが終わった後、この「自分を操る者へのキリコの怒り」というテーマがさらに強化されて、テレビ版に続くように終わる。上手いなあ。
過去を消されたキリコはテレビ版よりも全然喋らないのだが、そのキリコが人間性を回復するのがテレビ版らしい。そして、「人間らしさ」へのキリコの感情がこのOVAのラストで強化されてテレビに繋がっているようだ。上手い。
ネハルコ参謀総長とペールゼンとの確執など、野望のルーツから続いている事件もある。
こういう人間ドラマが良い。

  • 作画面・キャラ

11話、12話での塩山紀生の描いたとおぼしき絵は人間の表情の凄みを感じさせる。ゴダンの裸の所かな?色気すら感じる。勢いがある。
あと、11話での最終決戦を前にしたバーコフ分隊の面々の言い争いのシーンでの表情の付け方、リップシンクロしているようなリズムが非常に良い。極限状態での人間の生の感情って感じだ。5話、8話11話の作画監督の鈴木竜也さんの芝居の付け方が良い気がするのだ。


  • 映像面・メカ

ロボットや戦艦や飛行機など、乗り物がほぼCGで描かれている。が、ロボットの周りの爆発や煙などのエフェクトとキャラクターがセル絵風二次元絵で、背景が水彩風絵(デジタルかな)、という風にCGと手書きを混ぜて使っていて、なじませているのが上手い。
3DCGのATとか、最初はゲームみたいでペラペラっぽいと思ったのだが、終盤は質感などが非常によく描かれていたと思う。全体的な光源処理と手書きとの混在で3DCGを魅力的にしている。3DCGは手描きと違って決まった形を描くのが上手いが、ATが破壊された時に装甲板が変形したり焼けただれたり割れたりしていて、手書きのように上手く描いていた。豪華だなあ。3DCGだが、大量にメカを描くための省力化ではなく、上手く描いていたと思う。
まー、ちょっとコピペが過ぎて薄っぺらい所も無きにしもあらずだったのだが・・・。

  • 絵コンテ

3DCGの質感が嘘っぽい所などもあったが、そういう「長く見ていると荒が見つかる絵」を短いカット割りで制御して繋げることで「絵ではない、対象が実在する感覚」を醸し出してて上手い。
まあ、3Dでなくてもアニメ自体、元々「簡単な絵を大量に描く事で動いてるように錯覚させる」っていうものだし。実にアニメーションらしいとも言える。
こういう短いカット割りで逆に実体感を持たせる虫プロ系の作品は好きです。東映系はもっと動画自体を見せて行くよね。まあ、それはそれで良い作品もあるが、高橋良輔さんもやっぱり虫プロ的だなーと。サンライズだしね。
いや、絵コンテを高橋良輔監督が書いた回は無いのだが。でも、重田敦司さんの回とか、良いよね。
富野監督の「映像の原則」によると「アニメの止め絵で見せられる絵は基本的に3秒まで」らしい。そんな感じのカット割りと動きの付け方が上手く、作画自体があまり精緻ではない所でもストレスなく見ることができた。

  • SF性

ポリマーリンゲル液という物によってアーマード・トルーパーATが動いているというのが分かった。
んで、それは劣化したり交換したり配合したり爆発するものらしい。そういう部分が描かれているので、OVAだが、テレビ版への導入として設定が分かりやすかった。
その設定の紹介も、事件やドラマやアクシデントに沿って自然に説明されているので、上手い。
ただ、銀河全体を巻き込んだ戦争なのに、ちまちまと陸戦兵器の歩兵的なATで戦うのが主体になっているのが良くわからん。銀河全体なら、もっと艦砲射撃とかワープとか銀河英雄伝説みたいになりそうだが。まあ、銀河英雄伝説も斧で戦う歩兵とかが出てたけども。ワープとか宇宙戦争をしてるのに、第二次世界大戦のように歩兵で陣取り合戦をしているのがいまいちどういう理由かわからんかった。
ワープが出てないので、どういう感じで銀河が繋がっているのかはわからんかった。テレビ版で分かるのかな。
あと、宇宙戦争で敵と陣地が入り組んでいるのに、簡単にキリコが色んな惑星に配属されて移動できているのが不思議だった。異能生存体の実験に関して、キリコが簡単に動かされているので、BLOOD-Cのような茶番劇っぽさも感じた。

  • 劇場版とOVA

劇場版だけでも話のテーマが分かるように上手く構成されている。
でも、OVA版は広瀬正志さん(ランバ・ラルやカン・ユーの人)が演じるワップ上級曹長のドラマとか、味方の中のスパイ探しとか、キリコの内面のリアクションのナレーションが有って、ドラマが豪華である。
かなりOVA版全12話からカットして2時間の劇場版にしているが、それでもスッキリと見れるのが上手い。

  • 歌も良いよね

鉄のララバイ

鉄のララバイ



次はテレビ版かなー。これはバンダイチャンネルの月額千円見放題だから、良いよね。