玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

超電磁マシーン ボルテスV第4〜9話富野中心に

6話と9話が富野回


超電磁マシーン ボルテスV BOX (初回限定生産) [DVD]

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4話 魔のシャドウ必殺剣 脚本:五武冬史 絵コンテ、演出:寺田和男 作画監督:佐々門信芳
5話 戦艦三笠が危機を呼ぶ 脚本:田口章一 絵コンテ:高橋資祐 演出:横山裕一作画監督高橋資祐
6話 いななけ!愛馬アイフル 脚本:桜井正明 絵コンテ、演出:とみの喜幸 作画監督:金山明博
7話 新隊員タッコちゃん 脚本:田口章一 絵コンテ:樋口雅一 演出:横山裕一作画監督塩山紀生
8話 地底城の陰謀 脚本五武冬史 絵コンテ、演出:寺田和男 作画監督:金山明博
9話 夢が招いた大ピンチ! 脚本:桜井正明 絵コンテ、演出:とみの喜幸 作画監督:佐々門信芳


各話の解説は、ロボットアニメ全般に詳しいこちらのホームページさんのほうが詳しいので↓
http://higecom.web.fc2.com/bigfalcon/top.html
私は富野分中心に語りたいと思う。

  • 4話魔のシャドウ必殺剣

剣を使った必殺技を持つヒーローロボットという設定なので、序盤の4話から剣の達人の敵が出て、チャンバラアニメということを印象付けます。
1年シリーズのロボットアニメシリーズの序盤のフォーマットといえば、1話で敵が攻めてきて主人公ロボットが登場してスタートし、、2話で世界観全体やチームメンバーの個性や敵の雰囲気などを視聴者に印象づけ、3話で敵味方が対策を取るなどしてドラマをもう一段進めて、4話から単発エピソードが続いて、という様式がある。

というわけで、4話から続くエピソードが作品全体のスタンダードの雰囲気を決めるので、4話は重要。
例えば、新世紀エヴァンゲリオンの第4話は、「雨、逃げ出した後」。第3話で2回目の使徒との戦いでドラマが進んで、単発エピソードのスタートする4話でシンジの内面描写や人との精神的つながりを重視するエピソードを描くことで、エヴァンゲリオンっていう作品の方向性を示したと言える。
機動戦士ガンダムだと第4話は「ルナツー脱出作戦」。ホワイトベースルナツーに到着してひと段落した後、アムロたちはシャアの猛攻や連邦軍の冷たさに攻められる、という作品全体の方向性が示される。
プリキュアとかだと、プリキュアが全員揃った次の回が重要)
そういうわけで、ボルテス4話は「剣」と主人公、健一の「命懸け特訓」がキーワードであり、作品全体の雰囲気を方向づけるものといえよう。ボルテスはチャンバラ!
チャンバラロボットアニメと言えば機動戦士ガンダムが有名であるが、ボルテスもやってたわけで、ライディーンからして時代劇風の演出はあったわけで、グレートマジンガーも剣を持ってたしねー。っていう。グレートマジンガーはギリシア風の剣だが。ミケーネ文明だし。
そういうわけで、ガンダムにつながる系譜を感じながら見るといい。あとVの字斬りなどは勇者シリーズにもつながっている。サンライズ系譜だなー。
コンVは第4話 特訓!超電磁ヨーヨーなので、コン・バトラーVの特徴はヨーヨーですね。つまり、ボルテスの超電磁コマは影が薄いという・・・。超電磁ストリングの縦横無尽な動きは面白いんだけどねー。やっぱりムチは主人公の武器としては弱いなあ。剣の方がわかりやすい。
勇者ライディーンだと、第4話 大マドン東京全滅で、ゴッドバード習得特訓と明日香麗登場。ライディーンの象徴はゴッドバードです。

ゴッドバード? (CR COMICS)

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  • 5話 戦艦三笠が危機を呼ぶ

まあ、子供向けエピソードだよね。ボルテスVが全身を発熱させるウルトラスパークという技で敵の拘束を解くのはウルトラマンタロウからの系譜を感じるなー。あ、勇者ライディーンも念動光線ゴッドアルファとかしてましたね。

富野回。アイフルというのは、ボルテスチーム2号機パイロットの一平の愛馬の名前。彼はロデオのアメリカチャンピオンなのだ。金融ではないのだ。

再び一平回。話を見ると仲間割れの原因が第3話に似ています。不仲の相手が自分の大切なものを攻撃→相手にそのつもりがないのに一方的な誤解で険悪のシチュエーションは第3話で一平が光代母さんの墓標を攻撃してしまった事、そして今回の健一が一平の愛馬アイフルに攻撃してしまった事と似ています。その後真実を知って和解する展開も似ています
http://higecom.web.fc2.com/bigfalcon/story/story06.html

というわけで、3話も富野喜幸の絵コンテ、演出回だったし、富野はこう言う話の担当なのか?
パイロット同士、チームメイトのギスギスした人間関係が戦闘行動に影響を与えてピンチになったり、っていうのが後の富野作品に似ています。あと、戦闘で地球を守ること以上に自分の意地や自分の愛する者への気持ちを優先させちゃうセンチメンタルなところが、富野っぽいです。
ギスギス感がおもしろさになるというのは、伝説巨神イデオンなどに通じますねー。イデオンは人類がわかりあえば平和になるけど、全宇宙がギスギスしたので滅ぶ話。
それで、今回の「愛馬アイフル」のギスギス感も、イデオンも、本当に互いに悪意を持っている相手同士がギスギスするっていうよりは、仲間同士のちょっとしたコミュニケーション不全や価値観の相違や情報解釈の違い、不幸なすれ違いが原因、という感じで、富野っぽいです。
一平は強制的にボルテス訓練所に入れられたせいで、愛馬アイフルと生き別れになってしまっていて、ボルテスチームの指揮官である浜口博士を恨んでいて、今回すごいキレた。でも、実は浜口博士は既にアイフルをアメリカから日本に呼ぶ手続きをしていて、言い出そうとしたところで一平にキレられたので大人のメンツとが立たないというわけで「地球より馬を優先させるとは何事か」みたいに説教してさらに一平をキレさせてしまった。ここら辺のメンツを優先させて、お互いがイライラしていくとかディスコミュニケーションとか、富野らしいです。


で、一平はベルファストの時のカイ・シデンみたいな感じでボルテスチームを抜けて、ボルトボンバー(2号機)を捨てて除隊する。このニヒル担当の脱走の仕方はガンダムに通じるなー。
ボルテスチームの中で、剛三兄弟は両親がボルテスチームを組織した科学者であるし、岡めぐみは父親が地球防衛軍長官である。だから峰一平は他の隊員に比べるとチームへの血の縁が薄い。(実は母親が浜口博士の娘である為、一平は浜口の孫にあたるのだが)
ボルテスVは敵味方とも、血縁に振り回される話ですね。


そういう人間関係のすれ違いとか血縁のやるせなさを感じる長浜ロマンや富野ドラマである。
ただ、ボルテスVの第6話ではアイフルがなんとか助かって、敵を倒して、剛健一が実力を峰一平に見せつけて、鉄拳でコミュニケーションをとって、健一と一平は仲直りして、殴り合いで男同士の友情を深めた。
前作超電磁ロボ コン・バトラーVの葵豹馬と浪速十三も同じようなチームの立ち位置で、よく喧嘩をしていたが、豹馬と十三はあまり和解する場面が描かれていなかったように思える。健一と一平は序盤で和解して友情を得たので、コン・バトラーよりは主人公とクール担当のドラマは先に進んだと言えるんじゃないかなー。
アムロとカイの「これを持ってってください、売ればいくらかになります」→「アムロのこの工具、一銭にもならねえってよ」は主人公とニヒル担当の別れと和解のセリフとして、さりげ無さ過ぎて侘び寂の領域である。富野はこう言うセリフになってない部分での心のコミュニケーションが渋いよなあ。長浜さんもかなりのロマンチストですけどー。
一平はキャラクターデザインが超人ロック聖悠紀さんということで、コンVの浪花十三よりもやや美形になってる。安彦良和さんも美形描ける人なんだけどね・・・。安彦さんはスマートな美形よりはちょっと童顔だよね。

  • 第7話 新隊員タッコちゃん

うん。子供向けエピソードだよね。
コンVのロペットとケロットをたして二で割って中途半端に小型になった感じのペットロボットがタッコちゃん。このマスコットロボットのコメディー要素はボルテスの大河ロマンとしてのストーリーにはあってなかったし、そもそも俺はケロットもロペットも好きじゃなかった。宇宙戦艦ヤマトのアナライザーも大して好きじゃないし、勇者ライディーンのボインダーも好きじゃない。俺は間抜けなロボットが嫌いなんだよ!ロボットはもっとしっかりしろ!2001年のHALくらいはしっかりして人間以上になってもらわんと。
禁断の惑星のロビーとか宇宙家族ロビンソンのフライデーとかが系譜なんだろうけどね。マスコットロボット。あと、三枚目ロボットとしては、ボスボロットか。最近のアニメには、いませんよね。三枚目ロボット。
ただ、ガンダムのある種の象徴としてガンダム以上にガンダムシリーズにそのまま登場する「ハロ」の系譜としてタッコちゃんとかロペットがあるのかなー。
ガンダム00ガンダムAGEのハロは三枚目とかマスコットというよりはすごい役に立つロボでしたね。Vのハロもすごかったですけど。Vガンダムのハロはすごい武闘派だった。

元気なハロ(ハロ音声目覚まし時計)

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  • 第8話 地底城の陰謀

これ、今回の主人公はボルテスチームじゃなくてボアザン帝国侵略軍の前線司令官のプリンス・ハイネルだよね。

ハイネルの前線基地に皇帝の懐刀と呼ばれたザキ公爵が視察として現れた。
実際ザキは皇帝の言葉と偽ってハイネルが無能であることを言いふらし、ハイネルは裏切り者ラ・ゴールの息子として同じ末路をたどると言った時にハイネルの怒りは頂点に達した。
ハイネルは父のせいで幼少時から裏切り者の子として迫害を受けていた。更にラ・ゴールは本来なら皇帝の座に着くはずだった人物だったのだ。


ハイネルの皇帝への期待はひそかに裏切られていた。ズールはザキから真相を聞く事を許されたが、それは彼が皇帝から招かれたハイネルの監視役。いわばスパイだったからだ。そして皇帝はラ・ゴールを蹴落として即位した人物であり、正統な血を引くハイネルに皇帝の座を奪われる恐れがあると警戒している。だから前線へ送り込んで勝手に殺そうと考えていたのだ。ハイネルが戦死してくれれば何も不自然がないからだ。


ハイネルへ更に催促させてガルゴーの操縦にあたらせ、次に脇腹の装甲が脆いガルゴーの設計図をボルテスチームに送り込む。


ボルテスⅤに合体してガルゴーの脇腹を狙うが……全くガルゴーには通用しない。予想外の結果に戸惑うボルテスチームとザキ公爵。ズール曰くハイネルから弱点の補強が命じられており逆らう事が出来ずそれをやってしまったのだ。カザリーンの行動によってハイネルは謀殺の危機を免れ、ガルゴーでボルテスⅤに挑む。
http://higecom.web.fc2.com/bigfalcon/story/story08.html

このあらすじだけで見ると、主人公のボルテスチームは完全にプリンス・ハイネルの帰属宮廷因縁ドラマを盛り上げるための敵役じゃないですかー!


しかし、プリンス・ハイネルは勇者ライディーンのプリンス・シャーキン、コンバトラーVのガルーダから発展しての美形敵役だが、スッゲーカッコいいな!血の因縁(シャーキン)を持ち、主人公の敵の組織の内部でも危うい捨て駒のような立場(ガルーダ)でありながら、正々堂々と騎士道精神と貴族の誇りを持って主人公たちに戦いを挑む美形。かっこいい・・・。
このアニメは敵側のボアザン星に革命が起こるということも大河ドラマの一つの筋なのだが、これは当時大人気だったベルサイユのばらフランス革命を参考にしたらしい。
「フィリピンでボルテスVを放映させるために革命が起き、マルコス政権が倒れた。」というジョークもあるね。
ウィキペディアによると「サンライズも1975年に『ラ・セーヌの星』でフランス革命を扱い、本作のフランス革命モチーフはそこから来ている。長浜は後にアニメ版の『ベルサイユのばら』の監督も務めた。」とのこと。
ラ・セーヌの星富野喜幸が後半のリリーフ監督(総監督はおおすみ正秋)を務めた。ということで、ボルテスの革命っぽさは富野に通じるし、また、プリンス・ハイネルからシャア・アズナブルに通じるサンライズ美形敵役としても感じ入るものがあるので、ボルテスVは富野ファンとしても、富野回じゃなくても楽しめますね。

ラ・セーヌの星 DVD BOX 上巻

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また、プリンス・ハイネルは敵の中間管理職なんだけど、その彼の下に、彼を慕う女性科学者のカザリーン、忠臣武人ジャンギャル、皇帝のスパイで密かに彼を狙うズール参謀、っていう立場や能力や性格の違う部下がいるっていうのが面白い。
ボルテス以前のストーリーでは主人公に直接やられるロボットや雑魚兵士とラスボスの間にプリンス・シャーキンや巨烈兄弟や、ガルーダやワルキメデスやダンゲルしかいなかった。それで、いつもいつも同じ中間管理職がいつも負けていつも叱責されることで、立場もへったくれもなかった。だが、ボルテスでは中間管理職が2段階になることでよりドラマ性が深くなってるし、作戦にもバラエティが生まれて面白くなっている。
ボルテスに負けても、ハイネルがジャンギャルを叱責する、っていう場面があったりハイネルがもっと上の帰属に叱責されたり、っていう風に敵側が主人公に負けることで受ける影響にもいろいろな深みが生まれている。


ちなみに機動戦士ガンダムでは中間管理職のシャアやランバ・ラルの下にいるパイロットがやられメカであるザクに乗っていて、ガンダムに負けると同時に叱責=戦死を受けるということで敵側の痛みを重層的に描いている。ミハルやララァはシャアの下で不幸を受けたキャラですね。
マ・クベとシャアの関係とか、ギレンとキシリアとシャリア・ブルの関係性の貴族的な派閥争いもボルテスVからつながっている部分を感じる。富野は「ギレンのようなキャラクターを描けたのは学生運動に参加したから」と言っていて、それは演説部分などの説得力に関してはそうなのかもしれない。だが、敵側の重層的な人間関係という点では、ラ・セーヌの星ベルサイユのばら勇者ライディーン、長浜ロマンシリーズからの系譜を感じる。富野の学生運動だけの手柄でもない気がするし、ガンダムは脚本家の個性も結構強いよね。
まあ、富野の初監督作品である海のトリトンの時点から、ポセイドン族のポセイドンと幹部たちの関係性も重層的な片鱗があった。
それもあるし、今回、ザキ公爵がプリンス・ハイネルの血縁のコンプレックスを刺激して怒らせたり忙殺しようとしたのは、日本の時代劇、講談、それにデュマの三銃士や仮面の男みたいな古典的なものからの系譜も感じますね。すごくスタンダードな話でもある。


あ、今回、ハイネルは自分が乗ったロボットを撃破されますが、ロボットアニメ特有の無敵脱出装置で助かります。ここらへんはロボットアニメだよなー。

  • 第9話 夢が招いた大ピンチ!

めぐみ回。そして富野回である。そして、パンチラ回でもある。
ヒロインであり甲賀流十八代目の忍者めぐみがくの一の特性を生かして、敵に占拠された地球防衛軍基地に忍び込み、捕らわれていた父の地球防衛軍長官(17代目当主ニンジャ)と協力する、という見所。
富野は忍者が好きだし、SMが好きなので、ミニスカートに絶対領域ロングブーツというけしからんコスチュームをした岡めぐみが敵兵に太ももを斬られて怪我をする、というリョナ萌え、ヒロインピンチ萌えを描いていて、実に富野です。ラ・セーヌの星も実にけしからんヒロピン萌えでした。SMです。

ラ・セーヌの星 DVD BOX 下巻

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コンVでも富野回のパンチラ率は高かった。ここ20年の富野は萌えアニメを批判しているジジイということで発言しているが、70年代の富野はアニメ界におけるパンチラの第一人者だったのかもしれない。漫画界では永井豪手塚治虫のどちらのエロ度が高いか、議論が分かれます。技の手塚、力の永井。


ガンダム的な見所で言うと、選挙された基地で抵抗をする岡長官のオッサン白兵戦がランバ・ラルに通じるおっさんアクションでかっこいい!また、キングゲイナーに通じるヤーパンニンポーカラテでもある。
岡長官と岡めぐみのダブルニンジャに敗れて窓から逃走するジャンギャル将軍もランバ・ラルの最期に通じる。
もちろん忍者は富野の90年代短編OVA闇夜の時代劇「正体を見る」に通じる。


ミリタリーな見所としては、ボルテスチームの基地であるビッグファルコンとは別にある地球防衛軍本部が敵に占拠されて防衛軍本部にたんまりとあるミサイルによってビッグファルコン基地が雨あられとミサイルを受ける、という拠点防衛作戦、城取り合戦からのアウトレンジ戦争に発展するところがすごい。陣取り合戦はWWIIまでの戦争で、アウトレンジは第二次世界大戦後の戦争って感じ。
アウトレンジミサイルの物量によって主人公たちのロボットの身動きが取れなくなる、という近代戦のえげつない所が描かれている。ミサイルは怖い。だが、そのミサイル攻撃をやめさせるのは、超スゴイ索敵レーダーを持った5号機と、それに乗っているニンジャ岡めぐみということ。つまり、遠距離ミサイルの戦力とレーダーの重要性をわかった上で、レーダーを無効化させるミノフスキー粒子で戦闘ロボットが白兵戦をするっていう機動戦士ガンダムに通じますね。
陣取り合戦で大砲を奪い合って戦略が変わるっていうのは小説版リーンの翼(前半)にも通じる。

リーンの翼 1

リーンの翼 1

うむ。やはり70年代アニメはガンダムを一つの要として系譜を感じながら見ると実に良い・・・。