玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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#富野由悠季生誕祭 #富野由悠季生誕祭2020 長寿と繁栄を祈って

 富野由悠季監督が79歳の誕生日を迎えた。ハッピーバースデー!
 そういうわけで、朝にもお祝いの記事を書いたけど、あらためて今年のことを。


 2年前の喜寿の時は富野ファンの多くの人から寄付金を募って13万円もするデカいプリザーブドフラワーを送りつけたわけだが。


 まあ、主に金が無いということと、最近のアニメスタジオは京アニの事件以降プレゼントの受け取りに神経質になっているということでファンレターの絵葉書で済ませた。絵葉書は多分、サンライズに届いた頃だと思うのでブログにネタバレを書く。



 版画を買うと3万円くらいするのだが、絵葉書は100円なので安い。京都寺町三条で買ってきた。京都寺町三条の骨董品道楽に手を出すと、ソーシャルゲームでは済まない地獄に成るのでハガキだけ買ってさっさと退散してきた。


 ちょっと京都の嫌味な文化人ぶったことを言うと、これは神坂雪佳(かみさかせっか)という京都の画家の磯馴松(そなれまつ)という絵です。
磯馴松 神坂雪佳 木版画 No.4
神坂雪佳の世界―琳派からモダンデザインへの架け橋 (コロナ・ブックス)


 まあ、松自体も長寿をお祝いする題材なのですが。磯馴松というのは潮風に晒されたために傾いて生えた松のことらしい。

磯馴松(そなれまつ) - 和装組曲♪

「磯馴松」と書いて「そなれまつ」と読む。
かなり本を読む方でも、着物の知識が相当ある方でも案外この松は聞いたことがないのではないか、と思う。
名前は聞いたことがなくても見ると分かる。
「ああ・・・これか」と。
かたがって生える松の事である。


普通松に限らず樹木は剪定されない限り真っ直ぐに天上に伸びる。
狭くて何か障害物があれば別であるが。


さて・・・・海岸など砂浜で周りが広いのに垂直に伸びないで角度を付けて伸びる松がある。
潮風や吹き付ける寒風に耐えながらかたがって伸びるのである。
そういう松を「磯馴松」という。


着物の柄にまれにある。花嫁のれんにも時々見かける。
何故真っ直ぐな松を書かぬのか・・・


北国の海沿いの松林を思い出してもらえたら嬉しい。
かたがりながらも寒い潮風、北風、寒風に耐えそれでも一生懸命生えている松。
傾斜している方の枝が遥かに長く横に広がっている。
つまり広がっている枝の所まで地中に根があるのである。


植えられたその場所に耐え、必死にその環境に適そうとかたがりながらも成長していく。
枝を張り、根を張りかたがって生えている。そしてちょっとの風にもビクともしない強固な松になって行く。

 黎明期のアニメ業界のロボットアニメジャンルで世間の荒波、寒風に耐えて、根を張り、業界生活55年以上を生き抜いてきた富野監督に重なるじゃないですか。
(神坂雪佳がどこの松を描いたのかは、ちょっとわからないんですが、富野監督が育った小田原も松の名所があるところである)


 また、神坂雪佳というひとは薩長同盟ができた1866年に生まれ、富野監督が生まれた3ヶ月後の1942年1月4日に77歳で亡くなった。
 富野監督は79歳なのですが、富野監督が生まれた直後に同じような年齢でなくなった人が生まれた年はまだ江戸時代なのです。(150年くらい前だからな)


 そして、富野監督が79歳になったということは、ターンエーガンダムで描かれたような20世紀のはじめから、機動戦士ガンダムが放送された年までの年数です。宇宙世紀が始まって一年戦争が起きるまでの年です。
Turn a Gundam: Collection 1 [Blu-ray] [Import]
機動戦士ガンダム Blu-ray Box


 20世紀が始まってからガンダムが放送されるまでには、日露戦争とかゴールデンカムイとか鬼滅の刃とか関東大震災とか谷崎潤一郎とか第一次世界大戦とか江戸川乱歩とか東京オリンピック返上とか第二次世界大戦とか手塚治虫とかテレビ放送とかゴジラとかあしたのジョーとか巨人大鵬卵焼きとか東京オリンピック開催とかベトナム戦争とか仮面ライダーとか宇宙開発競争とか宇宙戦艦ヤマトとか色々あった。
 そしてガンダムが放送されてから40年経って、その間にも色々あってガンダムが増えたり僕の人生の半分が平成仮面ライダーになってしまったり東京オリンピックが延期になったり色々あった。
 

 そういう時の流れを富野由悠季の肉体と精神は過ごしてきたのだなあ、と思うと敬老の念というか、歴史じゃん、みたいな気持ちが湧く。
 富野監督がガンダムを作った当時はがむしゃらにやってたと思うけども、1900年から1979年までの重み(1941年から現在までの重み)を現在の富野監督は体感や記憶として持っているので、強いと思う。
 手塚治虫先生よりも19年も長く生きてるとかすごいね。79年も生きて偉いね。
 僕は精神年齢が低いので79年間を自分のものとして思考する感覚は想像もつかないなあ。


 いや、富野監督ご自身はもう機動戦士ガンダムとか過去の歴史にはあんまり興味なくて新作に意欲を持ってらっしゃるのかもしれんのだが。(そのくせ弥生時代の邪馬台国がマイブーム)
 それはそれで、そういう風に常に現在を切り開こうという気持ちが人の歴史を作ってきたのだなあ…。という感慨もある。


 まあ、クリント・イーストウッド監督や市川崑監督など90歳になっても映画を撮ってる人もいるので、富野監督もできる限り健康で、長寿と繁栄を享受して面白い作品をとって僕を面白がらせてくれたらいいなあって思う。


 コロナウィルスの流行で延期になったものの、富野由悠季の世界展は開催中です。(延期になったおかげで、まだ富野展とGのレコンギスタ劇場版の感想を全部書いてないのをごまかしている僕であった。まあ、ごまかしているだけで、結果的にはやるけど)





 富野監督も仕事を頑張りつつ、世間で評価されたり女の子にちやほやされたりしたらいいと思うなー。