玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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ママは小学4年生 第7話 狂った家庭


 とりあえず、前菜の機動戦士Vガンダム第12話「ギロチンを粉砕せよ」
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 またシュラク隊が死ぬ話かと思ったら、今回はシュラク隊は死にませんでした!


 ただ、空爆で滅茶苦茶になっている町に残っている一般市民が軍隊に理不尽に銃殺されます。
 Vガンダムは30年以上前の作品なのに人類は全く進歩しておらんな!


 でも今回はガンダムが出ないので、逆に空戦描写がいい。あと、ファラ・グリフォン中佐とスージィの出会いとか、ママ4要素も。


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 というわけで、今回のママは小学4年生第7話ですが、サブタイトルが

「そっちが出ていけ!」です。完全に初手から拒絶です。


 タイムスリップしてきた赤ちゃんを育てることで、主人公の小学四年生や居候の20歳のおばさんが女性的に成長する話かなーって思ったら、ガチに身内同士で拒絶しあう話。えっ。これを子ども向けアニメとしてお出しするのか。
 井内秀治監督、ヤバいな。さすがプリティーリズム・レインボーライブのシリーズ構成だな。

  • 狂っているVガンダムとママ4

 どっちもおかしくなっている90年代前半の子ども向けサンライズアニメですが。


 今回のVガンダムはベスパのイエロージャケットが示威行動としてギロチンを設置した港町(かつてのサグラダファミリア周辺の空爆後の廃墟)で、主人公のウッソ・エヴィンを戦争に取られて死んだ息子のニコルと間違えるボケ老人が主人公と交流してギロチンを粉砕する話ですけど。
 あと、ファラ・グリフォン中佐(声は折笠愛さん)がギロチンの家系ということで悩んだり上官のタシロに処罰されることにビビったり、こおろぎさとみさんが演じる子供と交流したりする話ですが。


 ママ4も負けじと狂っている。


 まず、今回はタイトルから「そっちが出ていけ!」と罵倒しているけど、主人公のなつみちゃんが居候のいづみおばさんと最初から喧嘩しているわけではない。むしろいづみおばさんはいつもはぶっきらぼうで粗暴だけど、滅茶苦茶機嫌がよくて寿司をおごってくれたり家事を率先してやったり、異常にやさしい。異常にやさしいのでむしろなつみちゃんは警戒する。急に親切になる大人に警戒をすることを子供に教えるアニメは教育的。


 なんでいづみおばさんがこんなに上機嫌になっているのかと言うと、いづみおばさんは漫画家志望でおそらく高校時代から漫画家のアシスタントを数年間してきた人で、その日の夕方に新人賞の発表があり、自分は絶対にそれで大賞を取って漫画家デビューできると確信しているからです。
 いや、連絡もないのに大賞受賞とデビューを確信するとか完全に狂ってる。まあ、エナドリ飲みまくってマンガを書きすぎて疲労で頭がおかしくなっているのだろう。


 そんな頭がおかしくなっている状態で、自分の漫画家デビューパーティーを開くためになつみちゃんと赤ちゃんのみらいちゃんを連れて、ペーパードライバーなのに猛スピードでスーパーに豪華な料理と酒を買いに行く。糞雑運転する成人女性は基本。あずまんが大王にも出てくる。


 まあ、もちろん、新人漫画賞には落選するわけですが。それでいづみおばさんは頭がおかしくなっているので小学四年生の主人公と赤ちゃんに対して「お前たちがいるからわたしは芸術作品を生み出せないんだ!この家から出て行け!」とキレて、主人公のなつみちゃんもキレて「この家は私の親のものだ!おばさん(母親の妹)は居候だから、そっちが出ていけ!」と言って追い出す。


 子ども向けアニメなんだけどな…。ガチで家庭内不和だ…。赤ちゃんも投げられたり、割と雑に扱われがち。

  • ファラ・グリフォンといづみおばさん

 いづみおばさんの声は魔神英雄伝ワタルの虎王とか逆襲のシャアのレズン・シュナイダーなどの伊倉一恵さんですが。


 追い出されたいづみおばさんはおでん屋で飲んだくれます。
 今週のVガンダムのファラ・グリフォン中佐もパブで飲んだくれて軍票で支払ったら店主に嫌な顔をされたり、ビールを飲む暇もなく戦闘が始まってキレたりします。


 Vガンダムと同レベルの女の飲酒を描くママは小学4年生、ヤバいな。


 まあ、その、Vガンダムはヤバいアニメなんですけど、そのヤバいアニメを作る前の年にママ4のオープニング絵コンテを切った富野監督がママ4とかシティーハンターとかミスター味っ子とかサンライズの後輩が作ったヤバいアニメを見て「子ども向けアニメでもこれくらいヤバくしてもいいのかー」って思った可能性も無きにしも非ず。
(ヤバいVガンダムを作って富野監督が自らガンダムを破壊した後に、サンライズとバンダイがまだガンダムを作ると聞いて「今川泰宏くんが監督をしなければ認めない!」とゴネてヤバいGガンダムを作らせてガンダムが今日まで続く下地を作らせた。ヤバいな。)(なお、富野監督が原案を出したモビルファイターは忍者ガンダムです。シュバルツ・ブルーダーです)(ていうか、富野監督、忍者と海賊が好きすぎでは?)


 ただ、飲んだくれていたファラ・グリフォン中佐がパブでこおろぎさとみさんが演じるスージィにチョコレートを買ってあげたり、飲んでる成人女性と女児との交流は描かれている。
 ママ4でもいづみおばさんを追い出した後にいづみおばさんの使っていた部屋を整理しようとして、なつみちゃんはおばさんが描いていたマンガを初めて読んで、そのバトル漫画は本当につまらないと思うけど、赤ちゃんのみらいちゃんとなつみ自身をスケッチした一枚を見て、いづみおばさんを追い出したことを反省して迎えに行く。
 まあ、完全にやさしさだけではなく、いづみおばさんが調子こいて寿司を五人前も注文したのでその代金を支払わせるためっていうのもある。


 で、飼い犬のボビーを使っていづみおばさんのにおいを探してたらビールの自販機に到着する。アル中かよ。
 そこでなつみちゃんが酔っ払いのサラリーマンに絡まれていたところを、おでん屋で飲んだくれていたいづみおばさんが見つけて、酔っぱらっているので自分のバトル漫画と混同して蹴って撃退する。


 酔っ払いのおじさんを撃退する酔っ払いの成人女性……。うーん……。子ども向けアニメ……。


 まあ、その、一応ママは小学4年生は星雲賞を取った名作だし一年あるアニメなので、女性たちの成長を描くにしても最初から円満な家庭で赤ちゃんを育てる話ではなく、序盤は本当にダメな女性たちということを描くことで、後半のレベルアップの伸びしろを広くとっている、と、信じたい…。


 Vガンダムはダメな女性たちがもっとどうしようもなく宇宙レベルでダメになっていくしお爺さんたちもおじさんたちもダメになるアニメですけど。どうして差がついた。


 なんかVガンダムの毒をママは小学4年生の浄化された子供で洗い流すつもりが、テトロドトキシンをトリカブトで中和させるような、ゴールデンカムイみたいな感じになっているぞ!?やっぱり故・井内秀治監督も単なる富野監督の後輩ではなく、それなりにヤバい人ですね。

  • オープニングテーマの居直り

 僕は常々、Vガンダムの前期オープニングテーマの「Stand up to the Victory ~トゥ・ザ・ビクトリー~」について「終わりのないディフェンスでもいい、その向こう側に何もなくてもかまわない、という居直りこそが人生にとって必要な場面もある」と主張しているんだけど。



 伝説巨神イデオンテレビ版の終盤でイデのせいでソロシップが絶望的な状況になっているのに、乗組員が「いいときあるよ、ベス(ない)」と絶望しつつ最後まであがくと居直っているセリフが好きなんですけど。
 今後の人生にいいことがあると望めないけど、あることにして無理やりポジティブになって居直るという、井伏鱒二の山椒魚みたいな態度が人生に必要な時もある。
 僕も小学生のころから脱サラに失敗した親に一家心中を匂わされたり、陸軍中野学校から戦争犯罪を隠ぺいして戦後は公安幹部をしていた祖父が地域の名士として少年たちに剣道や武道精神を教えながら、僕の母親を虐待して自殺の遠因になるような最悪の家庭環境だったので、Vガンダムみたいな絶望的な状況だけど最期まであがく少年少女のアニメは救いだったんだよ!
 「親はいるけど親がいないことにする」「その向こう側に何もなくても、いくつもの朝を越えてつかんでみせる」という居直りは最悪な家庭環境で周りの人間はみな敵と感じるような性格になってしまった僕としては救いだったんです。


 僕も結局、「僕を愛してくれる人はいないけど、脳内妹は僕のことを愛していることにする」という信念を持つことで過労死から何回も蘇生した。何回かレテ川をわたりそうになってしまったりヨモツヘグリを食べてしまったりしたけど、そのたびに脳内妹が冥界まで来て僕を蘇らせてくれたり、黄泉の者を追い払ったりしてくれた。フェイトグランドオーダーの絶対魔獣戦線バビロニアじゃん。


 まあ、僕の愚痴はともかく。


 Vガンダムは自分が絶望的だけど、希望を持っていることにして居直るというアニメで。


 ママは小学4年生のオープニングテーマの歌詞としても「大事に生きるの!」とシャクティみたいなことを言って、「だからだからわたしも、いるのだね家族だから」と富野セリフみたいな倒置法で自分の存在を「タイムスリップしてきた赤ちゃんの家族だから」という矛盾した言い方で肯定して希望を持つという、居直りが共通している気がする。


 ママは小学4年生のオープニングテーマで「幸せの未来へ私たちは歩いてゆく」って言い切るのもスタンダットゥザビクトリー並みの「未来の希望は分からんけど、希望があることにして、居直る」という覚悟を感じる。


 まあ、言うてもママは小学4年生は90年代のバブル崩壊前の、親が海外赴任するエリートサラリーマンで広い持ち家に住んでるレベルの裕福な子どもの話なんですが。


 機動戦士Vガンダムはそのような絶望の中での無理やりな楽観主義を当時の東欧内戦を参考にして子供もバズーカを撃つような宇宙戦国時代の地獄でやってのけたので、本当にヤバい。
 ていうか、あんまり現実の戦争に言及したくないけど、リガ・ミリティアの子どもが使っているバズーカとかウクライナがロシアとの戦争に使っている(モビルスーツではない方の)対戦車バズーカのジャベリンみたいだし、空爆で破壊されたヨーロッパの町やその廃墟で暮らしている人たちって今現在、国際ニュースで流れている戦争被害者みたいで。
 本当にVガンダムのころから人間が進歩してなくてダメですね。


 っていうか、ママは小学4年生はいちおう女児向けの子育てファンタジーアニメなのに、なんで戦争の話になっているんだろう…。まあ、戦争のさなかでも子育てやおさんどんは人間の仕事なんだよね…。


 本当に人類は絶望的だけど、それでも居直るしかないんです。



  • ほしい物リスト。

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↑グダちん用


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