玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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つながる映画! #キンプラ の原則!王権理論!

 公開初日にKING OF PRISM -PRIDE the HERO-を3回見た。

  • 映像の原則とキンプラ

 みんなに言いたいことがありま―――す!


 キング・オブ・プリズム-PRIDE the HERO-は熱い映画だけど、実は細部まで計算されつくしている!
 次々と奇跡が起こるけど、そのすべてに映画的な意味があるのだ!


 僕も映像の原則を広告欄の一番上に常備している富野由悠季監督のオタクだし、菱田正和監督も富野由悠季監督に影響を受けてサンライズに入ったり∀ガンダムGのレコンギスタの演出をしたりした。
 そういうわけでキンプリとガンダムの両方のオタクである僕は、両方のファンから期待を受けている。やれやれ人気者はつらいね(破嵐万丈の声で)。


 実際、私は前回のKING OF PRISM by PrettyRhythmの感想記事を菱田正和監督に読んでもらってRTしてもらったことがある男だ!
 その時に菱田監督(青葉譲さん)に「よく分からんけど熱い」って言われたけど、よく分からんけど熱い作品を作ってるのは貴方ですよ!!!!
 でも、菱田監督もファンの意見や時事ネタを取り入れてキンプラを作ったし、僕の記事を読んだうえでキンプラの話を書いたので、僕もキンプラの星座の一部だと思います。応援上映を盛り上げてきたプリズムエリートの皆さんもスタァです。もちろん、燦燦と輝くヒロ様達に比べたら僕の輝きは微々たるものですが、それでもファンが集まれば銀河にもなるでしょう…。


 キンプリはよく分からん…。しかし、熱い…。そして何回か見るうちに、数々のワイワイわくわくハチャメチャバトルメイキングドラマプリズムショーは決して単に激しかったりエモーショナルだったり過激でわけわからん情報の奔流と言うだけでなく、そのワンカットワンカットに非常に繊細な意味があると気付く…。
 僕も3回しか見てないので全部は分からんけど書いてみる。


 ところで、映像の原則という富野監督の本はあくまで富野監督の意見です。


 映像の原則と言えば、上手下手、左右の位置関係の演出について言及されることが多い。僕もそういう記事を書いてきた。しかし、上手下手の感覚は富野監督と菱田監督では違うはずだ。マリオカートばっかりやってる菱田監督とパズルボブルばかりやってる富野監督ではゲーム脳の位置感覚が違う。
 あと、最新の映画は録画やネット配信で見直してレイアウトについて語るということができない。だから、映像の原則を利用してキンプラを読み解く記事が期待されているかもしれないけど、画像解析はできません。
 キャシヰさんのような若いのに千のナイフ(僕も大好きなエッチ萬画家の一人だ)先生の影響を受けた絵が上手い女子に期待されると三十代独身男性としては気持ちいいのだが、実は僕は萬画家になるのは大学生の頃に挫折したしアニメのスタッフをやったこともないし、アニメーターになる経済力もなかったので、実はそんなに期待されるほど絵コンテが書けるわけじゃないんです。すまない…。


 しかし待ってほしい。映像の原則は絵コンテの教科書です。では、絵コンテとは台詞とざっくりした絵と秒数が書いてあるだけの物か?ちがうのだ!

『コンテ』とは、コンティニュティの略語が日本の映画用語になったものですが、アメリカではストーリー・ボードと呼ばれています。
 continuity=連続(状態)。(論理的に)密接な関連ー続き。(映画、ラジオ、テレビの)撮影[放送]用台本。(番組の間に入れる放送者)つなぎ[語り]の部分。
【研究社 NEW COLLEGIATE 英和辞典より】

 この言葉のとおり、コンテと言うのは”映像作品を作るために”どのように撮影するのかという計画を記したものなのですが、コマ・マンガに似ているためにコマ・マンガと勘違いしている人がほとんどです。
 -映像の原則by富野由悠季-15p
映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)


 キンプリについて語るなら、むしろ画像やプリズムショー演出よりも、ここです。
キンプラはつながりの映画です!


 ものすごくカット割りが多い映画だ。

菱田: 大変さで、3Dパートも含めれば1000カットを超えるような作品になったのが一番の原因ですね。


――「キンプリ」は約450カットだったので、倍以上ですか。


菱田:そうです。その大量に増えたカットを完成させる作業が最後の2週間に固まったので、それは大変でした。ただ「キンプリ」よりも間違いなく各カットの情報量もクオリティも2倍、3倍になっていますよ。
webnewtype.com

 カットが多いアニメは情報量が多いと思いがちだ。まあ、多いんですけど。しかし、シーンが長い映画と違って、カット割りが多い映画は「語られている情報も多いが、その情報と情報の間の余白の数が多い」と言うことです。(ワンカットが長い映画もいい作品はいいんですよ。ローマの休日とか夏エヴァとか)
 これがキンプリもキンプラも70分ちょいの短編映画なのに数時間もある大作を見たように体感時間が長く感じる理由です。カットとカットの間の一瞬よりも短い虚無に、これまでのプリティーリズムシリーズや井内秀治監督作品や歴史的偉業や宇宙との関連性で脳が直感的にスパーキングする”想像の余地”が詰まっていて、色んなことが煌く。
 僕も思ったね。「キンプラって実はプリティーリズムレディースパーキング後半2クールの総集編じゃないの?」って。エーデルローズ男子部新入生7人のドラマの掘り下げ方とか、普通の単発アニメ映画の作り方じゃなくてテレビシリーズがある前提のアレですもん。





 こういうタグが発生するのも非常に納得がいく現象だ。この描かれてないけど存在するように見える余白、ハンバーグみたいな、つなぎの部分の濃厚さが本筋の旨みを引き出している。神浜コウジくんは料理も天才だ。

 

 なので、映像の原則をもってキンプラを語るなら、イマジナリーラインとかワンカットの構図よりも、むしろ154pの「フォトジェニーとリズム論」だと僕は思います。

 ロシアでモンタージュ論が語られている頃、フランスでは、監督と言うより評論家であるルイ・デリュックが、映画の動く写真に魂の躍動を見て、フォトグラフ(写真)ではなくフォトジェニー(映像美といって良いでしょう)が大切と言いだしました。
 それを受けてジャン・エプスタンは、被写体の動性および個性のみがフォトジェニックであり、優れたカットは精神的価値(valeur morale)をも観客に喚起させると言いました。
(中略)
 岡田真吉はこれを要約して『映画で感動を与えるためには、映像的美しさだけではなく、シーンとシーンをつなぐリズムの正しさが必要』と規定しました。
【『映画講座第2巻』/三笠書房/昭和28年刊】


 新しい媒体に対する畏怖する心が、このように映像を過大評価するような理論をつくりだしたのでしょうが、映画の理論といってもこの程度のものとすませていいでしょう。
 しかし、映像に馴れすぎた我々は、少しはこういった「薬」を飲む必要があると思います。アニメから映像を実感するようになったぼくにしてみれば、映像にそのような力があろうと感得した先人のセンスは、自戒の言葉になっています。

キネマ旬報ムック/映像の原則by富野由悠季

 プリティーリズムが始まる2011年ころに、すでに富野監督がフォトジェニーなリズムにプリズムの煌きが詰まっていると映像の原則改訂版で述べています。プリズムジャンプは魂の躍動。プリズムショーは映画にも通じる原則!



 で、僕もキンプラは本当にすごく新しい媒体で畏怖すべきものだと思う。というか、従来のアニメ映画の文脈から飛躍している。
 そもそも、応援上映というのが女児アニメ映画の文化を成人にやらせるという新しい媒体だ。アニメ文化のカジュアル化と映画館のデジタル化、とかネット配信とか録画技術の進歩で3年前のテレビシリーズのスピンオフが受容されやすくなったとかインタラクティブとかそういう事情がキンプラにある。キンプラは監督のパンフレットのインタビューにあるように、応援上映の盛り上がりを受けてさらに尖ってエリート向けに作られている。なので、単品の映画としては観客が理解するためとかテンポを整えるための、一般映画やテレビドラマみたいな「間」がほとんどなく、クライマックスの連続だし、感想マンガで言われるように映画で示される情報が全体の一部というくらいカット割りが激しい。


 私も、キンプラはテレビシリーズがないのに総集編みたいなハイテンポな映画だと思った。
 で、これは映画の作法としてはたしかに逸脱的で外法なのだが、しかしだからといってダメとは感じられない。むしろ、こういう新しい媒体や文化をアニメファンとして受容できるかという器量を見せるところだと思った。僕の好きなガンダムは今でこそ日本を代表するコンテンツになっているけど、ロボットアニメは本当に40年前は最下等の俗悪趣味だったので。でも、俗悪な物でも文化になりうるということは歴史が証明している。


 まあ、キンプラはやっぱり変な映画なんですけど。


 しかし、私は自分ではアニメ制作をしないわりに、絵コンテ主導のアニメが好きです。トリガー系の作画アニメーションも技術的にはすごいとは思うけど、やはり感情的に盛り上がるのは絵コンテというさきまくら派閥です。キンプラはキンプリのヒットを受けた割に、意外と作画は低予算ですからね。同トレスとか同カットみたいな共通構図が結構多くて、最前列で見たら主線のドット荒れが目立つしょぼい部分もあった。
 もちろん、CGはすごいし、ルヰのプリズムショーはデレステでやったらスマホが爆発するくらい布が風と重力でなびいていてむちゃくちゃすごいと思った。でも、実は作画アニメとしてはそんなにヘンテコではない。カメラをあまり傾けないので、レイアウトもそんなに凝っている風ではない。菱田監督はそういう演出家ではないようだ。
 Gレコの感想でも、菱田正和さんの絵コンテは見やすいと書いた。
nuryouguda.hatenablog.com
 だから、構図やアニメーションの動きのレベルでは、それほど変なことをしていない。プリズムジャンプは壮大だけど、絵として複雑というわけではない。きらびやかだけど。


 でも、キンプラはすごい情報濃度が強い映画です。それはなぜかと問われたら、やはり「つなぎ」が強いからだと思います。
 絵コンテは構図だけでなくリズミカルなつながり、コンティニュイティなのです。
 そのカットとカットの間隙の「つなぎ」に画像以上の膨大な情報を連想させられるので、キンプラは視聴者の脳を活性化して行間からドラマを感じさせられて感動するのだと思う。

 繋がれた絆が今、動き出す。これがキンプラのキャッチコピーですし。絆の話なんだよ!


 以下はキンプラのストーリーに沿った行間の感動体験作文なので、箇条書きです。もちろんネタバレだ。2万8千文字ぃ!

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感動がしんどい…ひとりぼっちの地球侵略の感想を諦めた

 『ひとりぼっちの地球侵略』という萬画輪るピングドラム関係のオフ会で会った、さいむさんにオススメされたので6巻まで読んだ。それがもう2年以上前。非常にショックを受けた。やはり頑張ったけど感想を書くのが無理だと思いました。申し訳ない。
 

nuryouguda.hatenablog.com
 1巻の感想はこれ。


 事の発端は私のブログを褒めてくれているさいむ氏がひとりぼっちの地球侵略に非常に熱を上げているからおすすめされて読んだのだが。
 最近も、さいむさんに褒めていただいているので大変申し訳ない。


 どうしても感想を書けないし読むのもしんどい…。


 ここで声を大にして言っておきたいのは、さいむさんの感性とか小川麻衣子先生の才能を否定するとか、ぼっち侵略がつまらないというわけではないというのではない。むしろ逆で、感動しすぎてしんどい。
ひとりぼっちの地球侵略(12) (ゲッサン少年サンデーコミックス)


 前回のクロスボーン・ガンダムDUSTの感想でも書いたけど、最近、感動することがしんどいという自覚症状がある。感動したりするのがしんどいので、ブログの評論でも感動を表現するよりも技巧的な面を中心に言及することが多い。
 やはり、精神障碍者を10年以上、自死遺族を5年もやっているとトラウマが蓄積されてしんどい。脳の器質的な異常ではないのかもしれないが、精神的にはかなり参っている。参っているし間違った方向に行きやすく、非効率で苦痛を伴う精神を使って生きているので、傷が癒えることはなく、むしろ日を追うごとに傷が増えていっている。30代にもなると次々と知人が自殺したり親戚が死んだりしてつらいし。
 まあ、精神はダメだけど辛うじて肝臓の数値が良かったので酒におぼれてるんですが。昼から。
 最近、本当に親子関係が出てくるプリキュアの母の日エピソードですらつらくて見れないレベルになっていて、感動を誘うものがきつい。名探偵コナンの殺人事件とか、芸能界のスキャンダルとかを笑って見れる大衆的な感情娯楽を楽しめる図太さがなくなってしまった。
 

なので、ぼっち侵略の感想は さいむ ( id:thursdayman ) さんに任せます。
thursdayman.hatenablog.com


 ぼっち侵略は面白いし絵も上手だしバトル描写もかっこいいし世界観も凝っているしキャラクターもかわいいのでいい萬画だと思うし、さいむさんが入れ込むのも理解できる。ただ、さいむさんは僕を買ってくれているけど、実は僕はそんなに大した人間ではない。むしろ、僕は単なるメンヘラであり非常に精神的に弱い。むしろ僕は、さいむさんの健康さを羨ましく思う。


 ぼっち侵略はエモーショナルな萬画だ。僕も永野のりこ先生のすげこまくんとか好きですし。辛うじて母親が自殺する前にすげこまくんや電波オデッセイを読み終われてよかったと思うんですが。実は僕が出崎統監督の「おにいさまへ…」というキャラクターがたくさん自殺するアニメを見て全話感想を書いていた時期に母親が自殺したので、非常に大きなトラウマとなった。母親はベルサイユのばら世代で、池田理代子の原作のおにいさまへ…も読んでいたらしい。
 なので、自殺をテーマにした作品を見ているときに親が自殺するというのはなかなかフォロワーが体験したことがないことだと思う。
電波オデッセイ 全3巻 完結セット




 んで、ぼっち侵略はその名の通り「ひとりぼっち」がテーマだし、孤独感とか見捨てられた感じとか、そのなかで生き残った子供たちの不器用な関係性とかが描かれるわけですが。そういうのを読むのがつらい。あと、さいむさんや漫画のキャラクターは若いし青春真っただ中なので、物語の中を頑張って生きているといいことがあったり救いがあったり恋愛ができたりする。希望がある。うらやましい。嫉妬する。僕は終わった人間だからなあ。生物的な生殖としても社会的な出世としても。
 そういう若々しい感性で、割と幼い絵柄の高校生の主人公の幼児の頃に親と死別するあたりの回想シーンを星の王子様を触媒に描くとか、本当に読んでてつらい。家族関係は本当につらい。お正月とかゴールデンウィークとか、家族を連想させる社会的な雰囲気の時は如実に体調を崩して精神科の薬が増えるくらい家族にアレルギーがある。ブレンパワードのバッドエンドルートなんだ。
 富野由悠季監督とは、死なばもろともと言う感じだし、富野作品は我慢してみているけど、それ以外の新しいみずみずしい感動的で心を揺さぶる作品が読めない。つらい。


 っていうか、回想シーンの岬一、 幼児なのに難しい言葉遣いをし過ぎだし、そういう所の詩的なせりふ回しで感傷的に読者を揺さぶってくるのは本当にきつい。


 っていうか、僕も創作をしますけど、池田理代子とか萩尾望都とか竹宮惠子とか、心を揺さぶる残酷な人間関係の少女漫画を描く萬画家って本人はすごい図太いですからね。まあ、論理的に考えてみれば当たり前で、心を揺さぶられたぐらいで死ぬ人は心を揺さぶる作品を描いたり読んだりすると死ぬので、そういうのを描く人は心が揺さぶられたくらいではびくともしない強い人間なのだ。生存バイアス。



 というわけで、本当に人間に興味があって、人間の生き死にとか愛憎をネタにしたものを見聞きして喜んだり楽しんだりできる多くの人は強いなあーって思います。
nuryouguda.hatenablog.com

 うーん。


 すみませんね、さいむさん。せっかくオススメしていただいたのに2年もかけて感想を書けなくて、ご期待に沿えず、不快に思わせたら申し訳ない、という言い回しは僕が最も嫌う言葉の一つだ。(冥福を祈るのも嫌い)
 僕も割といろんな精神的地雷を抱えていて、人のちょっとした汚い食べ方とかを見るだけで不快になるので。精神的に不快になるかどうかなんか予測できないし、いちいち謝ってられるか!少なくとも俺は6巻まではぼっち侵略を買ったんですよ!(逆ギレ)
 (まあ、さすがにマゾヒストでも爆弾や致死性の毒を食らったら不快になるとは思うし、ある程度の普通の人は傷つきたくないだけなので、なるべく日常生活では電車の中で鉈を振り回したりはしないように気を付けているんですが)

買うには勝ったしまだ売ってないんですけど。



 さいむさん、どうしましょう。僕はぼっち侵略を読むべきか…。別に読んでも感想を書いてない萬画や見ても感想を書かないコンテンツはいくらでもあるんだが。


 好きなクリエイターの作品でもさめぱさんには気遣われるくらい弱い。


nuryouguda.hatenablog.com

 ほんと、プリキュアの映画プリキュアオールスターズNewStage3永遠のともだちとか、きつかったもんなあ…。シコアニメ美少女はオナホールだけの存在でいなさいよ!なんでシコ美少女に親がいるんだよ!進路とか過程で悩むな!ユーフォニアム!3Dプリンターから俺をしこらせるためだけに出て来いよ!


 まあ、読んでない本はいくらでもあるし、そっちを…。ジョジョリオンとかブギーポップも積んでるし。まあ、ジョジョブギーポップも家族がきつい奴なんだが。ファイブスター物語をちまちま読んでる。ファイブスターくらい暴力が突き抜けたらそんなにきつくないんですけど。日常的な物を題材にした少女漫画とかレディコミや祥子様が卒業した後のマリみては本当にきつい。



みんないろんな地雷があるんだよなあ…。(まあ、僕も割とシアーハートアタックみたいな自分が罪悪感を感じないし相手が傷つくところを見ないで済むような虐殺文法地雷を敷設してみんなの繁殖意欲や生存する力を減らして人口を削減するのは好きなんですけど、自分が傷つくのは嫌ですね)


 というわけで、さいむさんにはこれで一言言って義理を立てたんで、また自分の活動に戻ります。



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機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST第1~2巻のキャラ別感想

 長谷川裕一先生は富野フォロワーの中でもあきまんウエダハジメと同格だと思っている。その中でもコンスタントにガンダム作品を描いている長谷川裕一先生のクロスボーン・ガンダムシリーズはとても好きだ。人間味あふれる雰囲気も趣向に合っているので、クロスボーン・ガンダムシリーズはいつしかガンダムシリーズの一つというだけでなく、僕にとって富野作品の次くらいに大切なガンダムになった。
 しかし、大切にし過ぎたせいか、感想を書く前に新シリーズの2巻が発売されてしまったのだった。…。
これまでの感想
nuryouguda.hatenablog.com


 しかし、どうやらそこまで肩ひじばった感じの作品ではないようだ。
 機動戦士Vガンダム宇宙世紀153年から∀ガンダムの正暦2345年、もしくはガンダム GのレコンギスタのR.C.1014年までの数千数万年間にガンダムに何があったのか?この宇宙戦国時代からアーマーゲドンを経て再生に至るまでの大きな空白期間は、基底現実の20年以上の間、アナザーガンダムのアニメ作品などが作られても長い間手つかずだった。しかし、このクロスボーン・ガンダムDUSTの舞台は宇宙世紀0169年。そして、宇宙世紀は原作者・富野由悠季監督の∀ガンダムGのレコンギスタによって「滅亡が約束された時代」になってしまっている。そんな中で前作の主人公のフォント・ボーは宇宙世紀を終わらせないために戦い続けている…。
 非常にガンダムの設定年表的には難しい時代だと思うし、ガンダム業界でもまれに見る事業だが、まずはそれを描こうとしたことをほめたい。(長谷川裕一先生もクロスボーン・ガンダムは前々作の鋼鉄の七人で完結させるつもりだったらしいが、クロスボーン・ガンダム ゴーストを12巻各間に考えが変わったのだろうか)
 さりとて、そこまで肩ひじばった宇宙世紀歴史学と言う感じではなく、キャラクター優先の冒険劇、ということを長谷川裕一先生は冒頭で述べている。
 『これは塵どもの物語である。始まりでもなく 終わりでもない ただ宙を舞う 一片の欠片である』

 さて、今回は、今までとちょっと趣向を変えて、まずキャラを作って、世界へ放り込んでみる、という作劇で始めました。「キャラが勝手に何かし始めてから、手綱を取ろう」と思っていました。

 岩明均先生の寄生獣の逆ですね。
[まとめ買い] 機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST(角川コミックス・エース)


 なので、結構すごいことをしているんだけど、そんなに気負わずにエンターテインメントとして見ていきたい。
 ブログの感想も軽やかに行きたい。キャラごとに。1、2巻をざっくりまとめて。
 以下ネタバレ

 

  • アッシュ・キング

 主人公

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劇場版アニメBLAME!は原作厨から見てストレートな映画だった

 1995年に押井守版の攻殻機動隊を見た士郎正宗ファンはこんな気持ちだったのかね。謎音楽シーンがあったりサイバーパンクへの解釈違いがあったり。
 僕はBLAME!リアルタイムで弐瓶勉の本は全部持ってるんだけど。
 まあ、エンドロールが英語でスタイリッシュなのも含めて海外に日本の技術とコンテンツをアピールするコンペフィルムとしてはよくできていたよ。(まーテストフィルムなら半分の尺でよかった気もするけど)
 これ以上要らんことを書くとせっかくの弐瓶勉先生の印税とか声優さんのお賃金が減るかもしれねーし、せっかく一般向けっつーか海外のジャパニメーションとかが好きなアニメファンの人とか大友や押井映画やアメコミの実写映画でメッセージ性を感じるような人向けに作ってあるんだから、そういう人に売れたらいいよな。
 BLAME!の素材をマッドマックス怒りのデスロードとかターミネーターとかゾンビ映画とか海外で売れそうな映画の文脈に落とし込んでデビルマン実写劇場版のCG監督がプログラムピクチャーにした感じ。まあ、シドニアの騎士の2期の監督もしてた人だから、弐瓶勉先生のことを分かってる感じもあるんですが。


 でも、逆に弐瓶勉好きのあまり、電基漁師主体の話に1巻のテクノ遊牧民の要素や後半の東亜重工脱出ロケットや造換塔や並列蓄電槽群とかを混ぜちゃって煩雑になった気もしないでもないなー。駆除系はもっと理由なく出てきて良いよ。
新装版 BLAME!(1) (アフタヌーンコミックス)


 あと、櫻井孝宏さんやアフレコの監督とかは「霧亥が何百年ぶりに喋った」って解釈で芝居をつけてたけど、霧亥は第1話の感染前の少年とか珪素生物とか犬女とか運送業者とかと割と会話してるし、そんなに吃音障害はないと僕は思っているのだが。治療者の話とか泣けるじゃないですか。解釈違い…。うーん。まあ、霧亥は機嫌が悪くなるときは悪いんで、そういうバージョンの霧亥かなあ。電基漁師編がストーリーだけど、アニメの霧亥の性格は9巻あたりのやさぐれていたころか?でも口に傷はあるし、原作でも終盤もmoriと喋ってはいたんだよな…。あと、原作では重力子放射線射出装置は拳銃感覚でホイホイ珪素に撃ってたけど…。まあ、映画館の音響でのバックファイヤの音はあるけど。でも、重力子放射線射出装置で爆発するのは遠くの方だけで至近距離はそんなに赤熱しないで、消滅するだけって感じの断面だったけど。アニメだと分かりやすくビーム砲ってことなんかなー。


 シボさんも原作では内臓の無い体を恥じらったりしてるし結構かわいい所があるんですよね。スナック感覚で人体実験して塊都は滅ぼすけど(自分も死ぬ)。 シボさんが人命を尊重しているのは違和感。悪人じゃないけど基本、衝動で生きてる人なので。
 一時期高身長インテリ女性が好みだった時期にシボさん大好きだったんで、花澤香菜さんが演じるということで期待はしたし、実際いいシーンもあったし原作オマージュもあったんだけど、ギャグシーンが減ってたし霧亥に泣いたり一緒にキャンプするラブラブエピソードがなくて真面目サイエンティストって感じで、霧亥とのラブラブカップルぽさが少なくてラストシーンも悲しかったです。野望はどうした。あと、急いでるのにジャンプしないのか…。


 サナカンなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
 早見沙織さん、高垣楓さん、第六代シンデレラガール1位おめでとうございます。と言うことで期待してたんだけど口で説明するキャラじゃねーだろお前。わりと無許可で撃つよね。ていうかレズカップルで世界を救う糞めんどくさいヒロイン2号なのにイチャラブ展開が少なくて悪役になっててクシャナ様アニメ版くらい悲しい。電基漁師にボコボコにされて「キリイ」って呼びかけるところとか超かわいかったのに、霧亥との同族意識って言うか心理的な距離がアニメでは遠くて寂しかったなー。せめて微小構成体を打ち込んでおけば…。


 捨は情報の塊に成れ。ていうか字が読めたんかお前。


 技術的なことを言うと、音響は重力子放射線射出装置の低音とか素晴らしかったけど、BGMの付け方が分かりやすい洋画でしたね。まあ、ネットフリックスで全世界公開らしいのでわびさびが分からない外人にもわかりやすいだろって感じか。
 あと、CGの質はいいんですけど、情報量が多いせいかフレームレートを低くしてデータ容量を節約してるのか、若干動きがもっさりしてる感じがあって、そこがCGならではの良さでもあり限界かなー。手描きアニメだと3コマ打ちでもオバケとかで早く動いているように見せたりできるんですが。CGアニメは続いているので、セルアニメみたいに中間の動きを飛ばしてスピードアップとかがしにくいんだよなー。
 変形が不得意なフルCGは痛しかゆしかなあ。CGアニメはモデルの変形が苦手だけど、原作だと霧亥は割と普通にサナカンの足を手で折ってたし…。
 ゆっくり歩いてるシーンとかも、セルアニメだともうちょっと中割りを入れる気がしたけど…。予告編のバイオハザードもちょっとタメツメのメリハリが弱かった気がするし、CGで人を動かすのが難しいな。
 


 というか、声優の間の演技にこだわったとBLAME!の映画の公式サイトに書いてあるけど、むしろ原作はコマとコマの間の演技で、結構霧亥とか表情豊かなんですよね。後、1コマごとにアクションを変えられるから、アニメーションよりも漫画の方がバトルのスピード感がある。いや、アニメ版でもサナカンとの殴り合いは見栄えがあったけど、全体の尺に対して短くて食い足りないような。もっと視聴者が目で追えないくらいのスピードで殴り続ける感じが原作ファンとしては…。サナカンの格闘シーンもちょっと原作より体重移動が多かったし。サナカンは上位セーフガードなので構えずに腕一本で異次元のシボのヘルメットを割る。
 うーん。CGの映像の間の演技で見せるのはやっぱり最近はけものフレンズかなあ。けものフレンズはCGの質はガタガタだけど間の取り方はうまいんだよなあ。ガタガタだけど。
 というか、CGアニメを見て改めて原作を見ると、いちいちコンピューターでモデリングをしたりしなくても、ペン一つで、インクのちょっとしたニュアンスで表情をつけられるアナログ萬画ってとても表情豊かな表現ができるメディアだなーって感心しました。バトルやクエストも4P もあればガラッと変えられてスピーディ。密度が高くていいなー。漫画。


 そんな弐瓶勉先生の最新作がこの人形の国(APOSIMZ)!
人形の国(1) (シリウスコミックス)

 うーん。人命は軽いしバトルは片腕が飛んでからが本番だけど流浪人情ものっていう弐瓶勉萬画の安定感。これなんだよなあ…。ハードな世界観だけどユーモアと人情はサラッと混ぜてあるこのバランス。
 しかし、21世紀にもなって加速装置のタイミングを合わせて射撃勝負する仮面ライダーサイボーグの萬画が出るとは…。ビックリした。伝統…。



 まあ、原作ファンは萬画の方を読んでいればいいわけで、アニメは割とストレートな映画って感じで普通だったので、普通の人にヒットするといいですね!
 前のシボさんの首が飛ぶアニメは短かったけどフランス映画ぽいオサレ感はあったよな。雰囲気で良いんだよ雰囲気で。
CGWORLD (シージーワールド) 2017年 06月号 vol.226 (特集:劇場アニメ『BLAME!』、映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』)
BLAME ! [DVD]


 なんか怒りのデスロードとかシン・ゴジラとかの郷土愛みたいなのを前面に押し出した感じだけど、僕は基本的にシドニアでは科学者落合に感情移入してたし、人類とか地元がどうなろうが自分のエゴとか衝動で楽しくできたらそれでいいと思います。なので、ちょっと人を大事にする気持ちに賛同できなかったです。スナック感覚でいいのでは…。


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