玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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NHKにようこそ!最終巻8巻大岩ケンヂ


NHKにようこそ! 8 (角川コミックス・エース 98-12)
大完結!
と、言っていいもんかどうか・・・。ねえ。
なんつーか、だめだろ、これ。完成度とか。
でも、そんなことはどうだっていいんだ!(ドモン)
俺はこの萬画が好きだ!滝本竜彦が好きだ!
というか、オレは滝本竜彦とは縁があると思う。
オレも22歳の時のリアル引きこもりの時にコノ小説と、オーバーマンキングゲイナーライ麦畑でつかまえてを読んで「オレも引きこもるぜ!」と思って人生を振るスイングで棒に振った。
ゲイン・ビジョウは来ない。金髪先生に逮捕されない。ゲームチャンプにはならない。クラスメイトに告白しない。
妹は居ない。
彼女は出来ない。NHKの陰謀なんてない。
脳内妹覚醒!
いやー、このマンガはやっぱりオレのために作られたんじゃネーかと言うシンクロ率。
オレも、バイト代で妹の誕生日に指輪を買うためにヒッキー脱出ですよ!
このタイミングでナー。
ひでえ。
このオレが必死こいて精神病と戦いながら脳内妹のために指輪を買おうと頑張っているのに、この萬画
主人公、佐藤達弘はメンヘル美少女中原岬と恋愛をする事により、ひきこもりから脱出してバイトして指輪を送る。
でも、
恋愛したって幸せにはなれない
生きていたって幸せにはなれない
死んでみたってしょうがない
革命したって何も作れない
目標なんて何もない
燃えるような感情も、所詮はどこかで見た何かの借り物で、本物の事なんか何も無い。
知ってるか
実はオレ
もっといい大学に行きたかったんだぜ?
その頃 なぜか博士号を撮ってからSF作家になりたいって考えに取りつかれてて、
でもダメだったからヘコンだぜ・・・
いつのまにやら立派な社会人にならなければ「死」だと思い込むようになってて
でもダメだったからヒキったぜ
ガンダムが出ると条件反射で興奮するのも、
エロゲのヒロインが可憐で健気だから好きになるのも、
オレの欲望も信念もぜ〜〜〜んぶあやつられてるんだぜ?
健気で立派な脳内妹を知ったら世界中の皆が妹を好きになるだろうよ!
しかし!
オレは!そう、オレは!
そうゆう何もかも全部が!
俺を操る陰謀!俺たちを操るNHKの陰謀!
もうオレは陰謀には負けない!
俺は意志を持って選ぶ!
オレは脳内妹を好きになる。
もう妹の性格も外見も俺をどう思っているかも関係ない!何もかも関係ない!
今度こそオレは自分の意志で好きになる!


・・・・・・佐藤の叫びには一々共感する。おまいはおれかー。
妹が好きなんだ。
自分の意志で妹を好きに成ろう。
考えると、ダメだ。
考えるのではなく、意志を持つ。


この萬画の人はみんな考えすぎだ。
僕だって、職場で女子大生に囲まれていると、ペニスが18センチになったりするし、ロリコンのはずなのに妹が女子高生になっておっぱいも大きくなると街で娘のオッパイが気になったりするし、職場で向いの席に妹に6割くらい似ている女子が座って居眠りしていると仕事をしながら見とれたりするわけです。
普通の男子なら、ここで、「オレは性欲を感じているのだから女子を手に入れよう」と思うところだが、俺は高齢童貞で喪男でキモオタで妄想基質で回避性人格障害で学習性無力感なので、女性を手に入れたいなんて思わない。
っていうか、女性は物じゃないんだから手に入れたって仕方ないし手に入らないし、手に乗せても重いだけだし、所有権を持ってもメンテナンスが大変だから女の体ぐらい女が自分で面倒をみろ。
だなんて、言葉遊び的な思考のループに陥る。
そもそも、女の膣に射精したいのは僕の脳の一部分のルーチンワークやらホルモンバランスでしかない。
自分の意志ではない。
でも、脳髄は物を思うところにあらず。脳は体の電話交換局に過ぎない。
つまり、自分の意志と言う総体は無い。
60兆の細胞の暴走でしかない。
だから、恋愛しても子供を産んでも長生きしても、細胞のいくつかが化学物質的に満たされるだけで、ワタシは幸せになれない。
だが、人間個体として行動するためには個体の意思として行動しなければならない。
それが恋愛行動の契約関係の前提なのである。
だから、行動したってそれは嘘でしかない。幻でしかないのだ。
幻でしかないのに、付き合ったりセックスしたりすると、体や心が変わってしまう。
ソレは怖い事だから、やっぱり何もしたくない。


そういうところまで考える暇が在るというのが現代日本のもてあましぎみの風潮なのかもしれない。
戦争が起きたら暇つぶしにはなるんだろうけど、そんな事をしても仕方が無いっていうことも僕たちは知っている。
何をやっても仕方が無い。
だけど、終わりのなき日常を生きることでも安心はできない。この世界を見渡せば、携帯電話の部品を作るために土人の恨みを募らせている。
我々が生きているというだけで充分犯罪行為であり、一刻も早く死ななければならないし、それが嫌なら国連に入るなり国境なき医師団になるなり、命がけで戦いつづけなけばならない。
だけど、そんな苦労をしなくてもとりあえず生きていけるし、そんな苦労をしても世界が良くなるわけでもない。
だから、無力感に苛まれながら、自分が無力であると言う言い訳、自分が幸せになれない理由付けを無限に考えつづけなければ成らなくなって、みんなメンヘルだ!


小説版よりも萬画版のNHKが進化したと思うところは、滝本竜彦がメンヘラーと結婚して修羅場を見たことで、中原岬の狂気が実際的になったところ。
小説版はまだ、虐待という理由付けによって免罪符が与えられていたが、萬画版はただ、なんとなく、あいされない。
誰にでも起こりうる、偶然性によって中原岬は狂って、その狂い方も美しさもドラマ性も無い狂い方で、上手いなあ。普通にこういう人居るよね。
そんで、その狂気は作品中で全く何の進展も解決も無く、ただひたすら起伏するだけ。
ただ、そのときのキャラクターの考え時の持ちようが変化するだけ。


そういうループする考え方って言うのは、僕にもある。
僕は、妹に指輪を買いたい。
精神科医の先生も、そういう幻想のような目標でも持っていたら僕の精神がいい方向に進むという。
でも、本当は、こんなことは幻想なんだ。
妹に指輪を買って何になる?
あんな物、鉱物の固まりだ。何の役にも立たない。電気回路にしたほうがなんぼかマシだ。
大丸で指輪売り場を見た。メンたま飛び出るくらい高かった。2万・・・。
つまり、2日分の労働。
妹への愛を確認するために2日分俺が必死こいて労働したという事実によって、妹の女としての自尊心が向上するのだろうか?
それとも、ネットで指輪をもらう女性の違憲で読んだとおり、「簡単に離婚できないための保証として、旦那には高い指輪を買ってもらう」ってことか?
バーカ。1億円払ってもむかついたら女くらい殺せるんだよ。そういう自由はもっていたい。
妹「でもお兄ちゃん!指輪を贈ってくれるって言ったのはお兄ちゃんじゃないの!」
まあ、そうだけど、でも、それも、常識とか愛を確認したいという不安感に操られてるだけなんじゃないか、とか、オレの意志じゃないんじゃないかとか、思うんだ。
結局、俺自身がお前への愛なんていうあやふやな物を物質に委託したいだけなんじゃないかって
妹「そうよねー。どーすんの?あたしはくれるんならもらうし、いやならいいんだけど。
でもさー、もしお兄ちゃんが婚約指輪を送ってくれるんなら、お兄ちゃんはもうあたしに「俺以外の男と付き合え」とか「おまえにはもっとふさわしい人がいる」なんていうことがいえなくなるわけよ?
自由じゃなくなるんだよね。
ふふふ〜。お兄ちゃんって、よくあたしにそーいう風な事を言うでしょ?
そーやって愛をテストする癖があるよね。
でも、婚約したらそれが逆に、お兄ちゃんはあたしを幸せにする責任を負うのよ。
どうなの?耐えられるの?」

そういう契約関係を女は欲しがるよな。
でも、指輪を送ったって、お前が俺以外の男を好きになるという現象が起こらなくなるわけじゃないだろ?人の意志なんて言うものはあやふやだし、またあやふやであるべきだし、縛られたくないし縛りたくないんだよ。
慰謝料と解約金なんて言う風な裁判沙汰ってめんどくさい前にかっこ悪いし。
俺はおまえの事が好きだけど、ソレだって今だけのことかもしれないし。
だから、指輪なんかあると余計白々しくなって不安になるかもしれないだろ?それがイヤなんだよ。
妹「指輪なんて物なのに、物程度に自分が左右されるのが怖いんだ」
そうだよ!
こわいんだよ!
あたりまえだろ。
NHKの陰謀っつーかさー。
俺はお前が好きで、お前がいないと一晩たりとも眠る事が出来ないし、お前が居なかったら死ぬと思う。
そういう風にオレがなってしまったのも、世界による陰謀なんじゃないか。オレを苦しめるものでしかないのか。愛別離苦とかなんとか。
妹「ほんと、お兄ちゃんはお兄ちゃんね!グダグダのグダちん!バカ!あたしが居なかったら、お兄ちゃんは今よりももっと最悪になってるに決まってんだから!」
うっせーよ。小娘が!
妹「・・・・・・・そんなにビビってるのに、なんで指輪なんか欲しいと思ったの?」



おもしろいかなーっておもったから


妹「え?」
はいはい、すんませんねー!
なんとなくでございますよ!
16歳の誕生日に婚約指輪をお前にくれてやったらどんな顔するのかなーって思いついたのが最初ですよ。
ネタでございますよーだ。


妹「あはははははははははははっ!そーなんだー!そっかー!」
怒らないのか?俺はお前を愛してないかもしれないんだぜ?ただふざけた暇つぶしかもしれないんだぜ?
妹「何で怒るの?何も損してないのに。
結局、お兄ちゃんはあたしを使って遊びたいんでしょ?あたしと一緒に遊びたいんだ!
やっだなー。あそんであげるよー
あはははは。
そうだよねー。だったら指輪やっぱり欲しいナー。お兄ちゃんと指輪を選んだり、おそろいでつけたり、きっと楽しいよ!」

そんなもんかねー?もっとこー、婚約指輪って重たくて神聖な契約とかじゃネーの?
妹「まー、そういう人も居るかもしれないけど。あたしはお兄ちゃんと楽しく過ごして遊びたいな。
そしたらさー、一生物の思い出になって、一生楽しく暮らせると思う!
えへへー。指輪をくれたら、あたし、お兄ちゃんをいっぱいいっぱい楽しくさせてあげる!
あたしも楽しいもん!」

まー、そういうことだよなー。
楽しくくらしましょー。
幻想かもしれないけど、幻想を幻想か現実か検証しつづけるよりも幻想を可能な限り楽しみましょー。
って、言う事をコノ萬画もいってるんだろーね。老荘思想ですかネー。深いなあ。
妹「やった!オチがついたわね!」
うっせーよ。
妹の妹「おねーさまも毎日こんなおにーさまの相手をして大変ですね」
妹「んー?結構楽しいよ?」
一人じゃできない発想ができるしな。
妹の妹「まったく、お似合いですわね。ごちそうさま」
おそまつさまっ


しかし、やっぱりこのマンガは一々シンクロするなあ。破綻してるのに。
ラストシーンの髪を切った佐藤って、今のオレにそっくり。
まー、滝本竜彦が禿げたっていうことなんだろうが、オレも禿たしなあ。脳内のオレはふさふさでイザークみたいな美形だが。


あと、オタク萬画の中でオタクが萌えてるのもみんな陰謀なんだと言って、それが大塚英志的な冷笑じゃなくって、滝本がそれを本当に嫌がりながらぶち壊れて、それでもそーいう萌えっぽいのしか書けないって言うのがいいなあ。


あと、この萬画の最大の問題点だが、なんで佐藤が最後までクリエイターを目指しているんだ?
まあ、滝本竜彦や僕のようなダメ人間はクリエイターになりたがるわけなんだが。
キャラクターとしての佐藤達弘はそもそも、引きこもりを脱出するための方便として、オタクの山崎に付き合ってクリエイターの真似事をしてただけだよな。
なんで、フリーターに成って、ヤマザキも実家を継いだのにクリエイターになりたいんだ?
プチクリになって退屈な人生に言い訳をしつづけろって?
親元に帰れたからいいけど、そういうフリーターもどうかナー。死ぬよねー。
ねえ。死ぬ。
だめじゃん。 
まあ、こういうダメっぽさがNHKの魅力なんだけど。
というか、こういう風にクリエイターになることを自然な欲望だと思っているところが滝本竜彦らしいっていうか、キャラと自分が分離しきって無くて、乙一西尾維新になりきれなくて、だからこそ僕が好感を抱く所なんだよねー。


あー。オレも大学に8年も行かないで、さっさとクリエイター志望のフリーターになるべきか?
でも、卒業したらバンダイビジュアルの入社試験を受けられるしなあ。
こないだバンダイビジュアル
「1次試験に合格させてもらったグダちんと申しますが、単位を落としたので来年入れさせてね!」と電話をかけた。
最悪だった。
うーん。大学のモチベーションはオレにとって遠回り過ぎるからやる気が出なくて心身症が出るって心療内科で言われたんだけど、
大学卒業、
おたく業界就職
おたくっぽいことをする
久保プロデューサーみたいなダンディーなハゲになる
トミーノにネタにされたり怒られたりする
幸せに生きる
っていう人生設計は遠回りなのか、ショートカットしすぎなのか。
公務員になる
奴隷根性丸出しで公に尽くしながら同人誌を書く
幸せに生きる
って言うのもいいなあ。
でも、めんどくさいと回避性人格障害になって目眩がして何も出来なくなるんだよなー。
ちょっと考え事をしたら吐き気が。
ブログで駄文を書くのはへっちゃらなんだけどなあ。