玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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Gのレコンギスタ第4話「カットシー乱舞」お子たち向けに包まれた深いディスコミュニケーション

絵コンテ: 斧谷稔 演出: 吉沢俊一 作画監督: [キャラ]可児里未 [メカ]高瀬健一

  • 人は分かってくれない

結論から言うと、「人は分かり合えない」って言うディスコミュニケーションの話なんだが、「人が分かり合えない」ということを「辛いねえ」って言う風に見せる点から「分かり合いたい」という富野監督の願望が透けて見えて、「まだ監督は人類に絶望してないんですか???」って思う。
まあ、70代の年金生活者の分際でアニメ業界というブラック業種に時間を割いて金をせしめている程度には希望を持ってるんでしょうねえ。
4話は先行上映されていた3話からやっと話が進む未開の土地です。
そして、先行ビジュアルやエンディングの絵から、主人公のベルリ・ゼナム君は海賊の宇宙服を貰って海賊の一味に加わることがかなり前から明かされていたんですが。なので、海賊の基地に合流したベルリ君がどういうきっかけで海賊の仲間になるのか?という理由が非常に興味深い所でしたが。
ONEPEACEを富野監督が参考にしていたという本人の証言もあるので、海賊たちと「分かり合って」仲間になるのかな?ダンバインのように反乱軍の方の正義に気づくのかな?
とか思ったら、全然そんなことはなく、疑問は何にも解消されず、特にモチベーションや目標も正しさもなく、むしろ重いしがらみが雪だるま式に膨らんで行って、気づいたら泥沼と言う所にどんどんベルリ君が落ちて行っている感じがして、このアニメどうするんだ?
というわけだが、まあ、無敵超人ザンボット3も子供向けアニメだったけど落ちるところまで堕ちたし、まあ、仕方ないんだ!
現実はゲームとは違ってリアルは地獄なんだぞ、勝平!
わかってるよ!だから嫌なんだろ!!!

  • 拡大作画禁止政策とは

僕の大好きな重田敦司さんが原画だ!わーい!
でも、重田さんパートかは分からんけど、Gのレコンギスタって「拡大作画禁止」と言う方針なのに、冒頭でアイーダ・スルガンがG-セルフから降りてくるときに画面奥から手前に移動するけど、キャラとメカが別紙に描いてあって別に作画監督修正をしてデジタルデータで合成してあるので、線質が微妙にずれて実質的に拡大作画のように見える…。

↑ツイートによると吉田健一さんが書いたんです!地味だけど奥から手前の移動は手描きでは難しいんですよ!
まあ、アニメは元々錯覚芸術ですから!


  • 二枚舌を使いまくるキャラクターたち

前回さんざん、ほぼ初対面のベルリ、ノレド、ラライヤに対してクリム・ニックを「私を利用しようとしている青年です!」「モビルスーツ大好き男で!」とかボロクソに言って説明セリフで紹介したアイーダさんがクリム・ニック君に向かって「命拾いしました!」とかお礼を言うの、どうなんでしょうね!こう、相手に向かって態度をくるくる。
で、一週間ぶりにメガファウナの艦長に迎えられると「私のせいでカーヒル大尉が」と、泣くアイーダさん。まあ、僕も親類が死んでから2年くらいたちますが未だにシクシク泣いているし、僕と違ってアイーダさんは泣いても美人だからいいんじゃないですかね。
で、アイーダさんに「お辛いでしょうな」と言う艦長も本当に「辛い…」と思っているのか、「この姫様めんどくせえな」と思っているのか、どっちとも取れる微妙な表情で泣いてる姫様を受け止めているので、セリフと感情が一致しているのかどうか不安定と言う感じが4話の冒頭から示されます。
キャピタルアーミー設立記念式典の盛り上がりも、黒幕のクンパ大佐がベッカー大尉に言わせて、一般兵士を駆り立てている嘘くささが漂っていて、ずぶずぶ感が酷い。∀ガンダムのミリシャ設立式典よりも盛り上がりに欠けている。列席者も軍隊の身内だけだし、キャピタルガード養成学校の生徒たちが呼ばれたのもにぎやかしだけって言う感じで非常にやる気が無かったので、どこまで本気でやってんのかわからん。
黒幕は本気の殺し合いをさせても自分の手は汚さないし現場には出ないし。でも、人はコロコロ死にます。
富野監督はガンダムシリーズでも演説シーンをどこか芝居がかった印象で描いたし、ザブングルのカタカムはギャグだったしエルガイムの反乱軍のダバも微妙にやる気が無かった。

ただ、Gレコはそういう式典の祭り騒ぎの茶番感覚を割と隠さなくなっている感じがする。ただ、茶番のあおりを食って人がコロコロ死ぬのでシュールな脅迫感もするのです。それに耐えなくては。遊びでやってんじゃないんだよ!
カットシーの掌の上から黒人の諏訪部順一指揮官(ダンディー)がデレンセン大尉に出撃の指令を出すが、デレンセン大尉は後半で「俺の頭でっかちな作戦」と言っているので、指揮出しがどこから出たのやら…。モチベーションがなあ。
クンパ・ルシータ大佐は自分で海賊に送り出したような拉致被害者救出を武力行使の口実にして、しかもそれをウィルミット・ゼナム運行長官に「そう言うことで法皇に許可をとった”ようですな”」と二枚舌を使っているので、ずぶずぶの真っ黒。きたないなさすが調査部汚い。
「科学技術を発達させてはいけないというアブテックのタブー」は、アブノーマルテクノロジーとかアブソリュートテクニックとかそんな感じの略語っぽい。初代ガンダムのミノフスキー(登場しない架空の人名)とかルゥム戦役(描かれない地名)などよりはマシですね。

  • ブーメランを受けるベルリ

メガファウナ艦長のドニエル・トスから訊問を受けるベルリ。どうも、3話でアイーダがクンパ・ルシータ大佐に尋問を受けた事をベルリも繰り返しているようだ。で、ベルリは「アイーダさんと違って、僕はかんたんに口を割らないぞ!」と言う感じで言葉に気を付けて、母親の名前を出す見え見えの誘導尋問は回避しようとする。で、海賊からも情報を引きだそうとするんだが、うっかり「母は仕事のことしか考えていませんから」と言っちゃって「それは子供の発言だな」と艦長にたしなめられる。
艦長にも子供がいるのだろうか?ここらへんはガンダムユニコーンのガランシェール隊のジンネマンを意識しているっぽいキャラクター設定だなあ。ただ、ドニエル・トスはジンネマンほどしっとりとは描写されないで、サラッと一言で家族描写をすます。ドライトミノ
で、アイーダが尋問を受けた事のブーメランをベルリが受けたようなんだが、どうも1話でベルリがアイーダに「そう言う気分でいるから人殺しをするようなことになるんですよ」と上からポエム説教をした後、うっかりカーヒル大尉を2話でブチ殺してしまったのもブーメランだし、どうもベルリはアイーダに向けて投げたブーメランに当てられる係のようだ。割とかわいそうだな!
ベルリは飛び級生で優秀で性格も明るいし、利他的で優しい少年で強い信仰と理想を持っているが、その少年の理想が現実に向かって投げられて、ブーメランとして自分に直撃するような作劇のようだ。「黄金の長方形」の「回転」に失敗して自分にダメージが来るような…。無限の世界に飛び出せるのか、あるいはカミーユのように無限に自家撞着をして内向していくのか・・・?不穏だ…。


ちなみに、ノレドに「そんなに出された飯を食うな」と言っているが、ベルリの給食の皿も空になっている…。ノレドは揚げ物を食べて「ここの油、いいのを使ってるよ!」と野生のグルメの味覚だが。ノレドがベルリの分も食べたという説もあるか?クロスアンジュでも見たなあ。給食を食べながらの口論。

同じサンライズアニメでもアイカツ!やファイ・ブレインは給食タイムはディスカッションタイムだったが。


「キャピタルタワーの姿勢が地球の再生を遅らせ、アメリアとゴンドワンは大陸間戦争をすることに成ってしまって、地球は西洋世紀の時代に戻ってしまったんですよ!」
というアイーダさんのベルリへの発言は、ベルリが前回アイーダに「技術を正しく使うことができなかったから、人類は宇宙世紀に全滅しそうになったんでしょ!」という歴史的認識に基づく説教のセリフと対になっているようなブーメランだ。
優等生のベルリは教えられた「歴史」に基づいて発言していて、アイーダは自分の目で見て海賊の仲間に聞かされた「地理」の現実に基づいて反論している。歴史と地理の対立は寺山修司っぽいなあ。


噂の「ヘルメスの薔薇の設計図」とは。というか、噂の宇宙海賊とか、ベルリはうわさを聞きまくりだな。

  • 今回のクリム・ニックショー

パチンコを避けてからの差別発言、

壁ドンからの天才発言、

ラライヤからお菓子(芋?)を貰ってからの暴力からのダンス、

目がきれいと褒められてからの「いつも言われている」という超モテ天才発言。


いやー。今回もクリム・ニック君はおもしろいなあ。癒し。(殺人はする)


ちなみに、クリム・ニック君がモンテーロの掌からベルリだけ落とそうとして失敗する意地悪がばれるところとか、ウテナ七実さまのような高貴な間抜けさを感じる。

まあ、間抜け貴族はもともとが重戦機エルガイムのギャブレット・ギャブレー君だし、幾原邦彦監督と永野護さんは仲良しだし。(マスクは黒騎士なのだろうか…?強さと狡猾さなのだろうか?)


で、アイーダとG-セルフを取り戻して海賊部隊の整備班が忙しいのに、クリム・ニック君は「天才の私が動かせなかったモビルスーツを動かせるなら動かして見せろ!」と、むちゃくちゃ言う。急ぎ過ぎだし周りを見よう!クリム・ニック君!
どうも、クリム・ニック君は「このタイミングで第二次攻撃があるとは考えてはいまい。それが付け目よ!」と前回言った事を自分でブーメランを受けているようだ。そう言うわけで、海賊たちが荷物をガチャガチャやったりG-セルフで遊んでいる間にキャピタルタワーからエフラグ4機に乗ったカットシー8機が来る。ミノフスキー粒子を散布されたらレーダーが死ぬけど、斥候とかいないんですかねえ!!!
キャピタルアーミーのレーダーのミノフスキー粒子散布からの逆算でメガファウナのデレンセン大尉の部隊に位置がばれたようだが。ミノフスキー粒子をまかれたらレーダーなんて意味がなくなると1話で言っておいてレーダーで位置がバレるのかよ!!!
海賊たちもミノフスキー粒子下での戦闘に慣れてないんですかね?宇宙世紀よりも戦術論が衰退している?アーミーの方が性能が良い計器を使っているのか?


そう言う戦術的に見たら明らかに間抜けで監視を怠って整備と運搬と捕虜の監視を同時にやって手が足りていないクソ行動をしているクリム・ニック君と海賊たちだが、それをごまかすようにカーヒル大尉のやG-アルケインや天才・クリム・ニック君の回想シーンを入れてアイキャッチからのCMで時間を飛ばして、戦術的な大穴をカメラマンの演出と編集でごまかしている。ずるいなさすが富野絵コンテズルい。




さりげなく、アイーダもベルリと同じように指を怪我していたという偶然とか。
そう言うわけで、ディスコミュニケーションがテーマの作品で、キャラクターたちの会話も噛み合っていない富野節と言われるGレコだが、編集の段階で演出が視聴者に向けてディスコミュニケーションのためのジャミングをかけている面もある。そう言う迷彩地雷原のようなアニメを探り探り見ていくのが富野アニメの新作を見る時の楽しみ方の一つです。前回の感想でも書いたが、動画でも演出レベルでの叙述トリックを使ってるよな。
そして、富野監督とスタッフの間も完璧にコミュニケーションが取れているのかと言うと、人間はそんなに便利にはなれないわけで、そこら辺のじわじわとした感じも味わい深い。


索敵を怠りながら、G-セルフを見て異常に興奮する患者のラライヤ・マンディに金魚を渡して癒してやるドニエル・トス艦長は優しいし、宇宙船乗りとしての熟練を感じる。艦長の座席に女性のセクシーグラビアが書いてある痛艦長隻なのも、宇宙で戦うための癒しなんでしょうかね。スペースダンディですね。

  • 突発戦と少年の理想

私服だから戦闘モードじゃないって言う体裁でベルリ君がミノフスキーフライトで遊んでいると、カットシー部隊が到着!ミノフスキー粒子散布!
で、ベルリが人質の癖にクリム・ニック中尉からの命令を聞いてヘラヘラモビルスーツで遊んでいると、ミノフスキー粒子で近距離無線も断線!!!ベルリは何が起こっているのかわからないまま戦闘に突入!リアルは地獄!!!


クリム・ニックとアイーダ・スルガンはパイロットスーツに着替えているが…。ミノフスキー粒子散布前に人質を解放しろってデレンセン大尉から電子メールが届いているが…。海賊は応戦体制が整わないまま戦闘に。


ただ、近距離無線も通じないけど、というビックリを与えておいて、とりあえずG-セルフは一回はメガファウナの甲板に降りてアイーダから「キャピタルアーミーが攻めてきている」とモビルスーツのハッチを開けた肉声で聞かされるベルリ。ここら辺の「どの程度なら声が通じるか」というコミュニケーションレベルの障壁の高さをじわじわ絵面で説明している親切演出でもあるが、絵だけで視聴者にどの程度伝わるのか?


で、ベルリは「キャピタルアーミーなんて母も僕も知らなかったんですよ!」とか言ってキャピタルアーミーの攻撃を止めさせようって説得しに行く不殺の理想的な主人公を演じようとする。また、カーヒル大尉を殺害したことを「返せる借りじゃないけど、返す努力をします」と言っている。少年らしい理想と正義感を持った善人。
しかし、リアルは地獄!
あと、ジョバンニはどうなったんだろうか?アーミー設立記念式典にいた「トリーティのような男子生徒」はトリーティなのか、作画の適当なモブなのか?トリーティは顔に個性が無いからなあ…。


ゴンドワンとの闘いで空戦に慣れていて、顔が出ていないパイロットには異様に強いモンテーロのクリム・ニックが虐殺をする!正に猛禽!シャア・アズナブルやプリンス・シャーキン!(なお名前が出ているパイロットには)


エフラグの戦い方を知っているベルリ、味方を次々と撃墜されながら勇猛に戦うデレンセン。
G-セルフに対して「そのモビルスーツは俺が見つけた物なんだぞ!」と親近感と支配意識を持つデレンセン。彼に対して、ベルリは万歳して投降するサインを見せる。ジェスチャーでコミュニケーションを取れるか?


「僕はベルリ・ゼナムです!攻撃しないでください!船にはノレドとラライヤもいるんです!」と、長文で訴えるベルリ。しかし、ミノフスキー粒子によりその電話音声は通じない。(ちなみに、スピーカー発振での音声も通じない。前のシーンでメカニックマンのアダム・スミスアイーダモビルスーツ越しに会話しているが、アダム・スミスは耳に接触回線を受信するためのヘッドホンを付けていた。(飛行音で滅茶苦茶うるさい)なので、離れて飛行しているカットシーにはG-セルフの声は聞こえない)
富野アニメではニュータイプとかイデとかオーラ力とかの便利機能でメカの内部からでも通じ合う時もあるし、編集で独り言をまとめて会話をでっち上げることもします。
しかし、今回は伝わりません!ディスコミュニケーション
だが、デレンセン大尉、熟練!シールドをG-セルフに接触させて「接触回線(お肌の触れ合い回線)」でベルリとコンタクトを取ります。で、もう一度ベルリは教官殿に状況を説明しようとするんだが。「接触回線で聞こえる!」というコミュニケーション成立の期待感を上げておいて、「僕はベルリ・ゼナムです!」って言った所でクリム・ニックが割り込む!攻撃!
あー。
これではベルリ君が名乗っておいて敵対行為をしたようになっている。
アイーダに対するカーヒル大尉の「敵対行為!」という誤解展開のブーメランがベルリにも跳ね返ってリフレインしている。カーヒル大尉の「敵対行為!」はかなり唐突だったんだけど、今回ベルリの視点でリフレインされることでジワジワと再説明して戦場が酷いという実感を強固にしていく。



戦場ではまともなコンタクトなんか取れないし、武器を持った時点で全員殺されても文句が言えないんだ!という戦場のグダグダでグズグズな地獄観。

チェストーーーーッ!
というリギルド示現流モンテーロの指を切断してジャベリンを吹き飛ばすサムライ・デレンセン大尉。未来の南米に示現流???まあ、中国語も残っている設定らしいし…。




戦わないポーズをとっていたベルリだが、何となくマシンのオート機能で落ちたジャベリンを拾ってしまう。敵対行為!
「戦うだけか―ッ!」
しかし、ここでビームワイヤーを振るわなければ、デレンセン以外のカットシーの散弾爆撃でG-セルフのベルリは死んでたかもしれない。デレンセン部隊の連携コミュニケーションも取れていない。戦闘機乗りは出撃してからは基本的に孤独で、帰投してから誰が死んだか判る、みたいなドライ感覚。ニュータイプとかの便利な道具で「ロボットに乗ってもコミュニケーションできるよ!」という作劇法を発明した富野監督本人が「そんなのできるわけねえだろ!死ね!」っていうアニメを作る。ひっでえ。まあ、∀のウィル・ゲイムさんとかもいたわけですが。
ウィル・ゲイムとか0080とかのディスコミュニケーションはまだクライマックス感があったけど、Gレコは26話だからか4話で速攻ディスコミュニケーションからの虐殺を描いてる。あーもう滅茶苦茶だよ。



三方同時の攻撃!
デレンセン大尉は警告のつもりだったようだが、残りの二人は殺意があったのか?


それに対して、ベルリが武器のビームライフルを捨てて「スコード!!!」と祈りをささげる。




G-セルフ、発動!



謎のパワーでカットシー隊の武器を破壊!
「好きで武器を持っているんじゃない!」
と、非戦を叫びながらも自動迎撃システムなのか?ビームサーベルを払ってカットシーが反射的に撃ったロケット弾を弾く。
主人公ですら、戦場でハイになると言ってることとやってることが一致しない!自分自身ですらディスコミュニケーションをしているし、場やマシーンに飲まれることもあるんだ!という非情。圧倒的なマシーンでの不殺なんかありえないし、自分も他人も戦場での命は綱渡り。で、たまたま良いマシーンで生き残った者が主人公として物語られるのだ。


そんな破壊行為をやってしまった事に、ベルリは震える。Zガンダムでヒルダ・ビダンを殺害した時のジェリドのように。
恩師を攻撃をした実感に生理的に震えるベルリだが、そのベルリに対して画面の右手の「映像の原則では”好意的な位置”から」虐殺をおこなった張本人であるクリム・ニックのモンテーロが接触する。
これで、画面的には安心感が得られる。で、「戦闘状態で誰とも話が出来なかった!コワイ!」という状態から「敵であっても話が通じて安心」と言う感じをベルリはクリム・ニックに感じてしまう。そして、ベルリは生理的にやっちゃったザラッとした感覚に震えて上着を脱いでしまうが、クリム・ニックが「実戦であのような撤退の決断ができる有能な軍人」と恩師を評して、ベルリは自分に対して「相手を攻撃した」のではなく「相手が引き返してくれた」という言い訳の記憶を自分に対して上書きしてしまう。生理的にはやった感覚を感じているが、理性で自分に嘘をつく。自分自身でもディスコミュニケーションが起こる。いわんや他者とをや。
その上で、クリム・ニックは「アイーダ姫様を守るためにG-セルフが必要だ」とベルリに吹き込む。クリム・ニック君って愉快なネタキャラかと思ったら、ガンダムSEEDディアッカよりも実は狡猾で残忍な性格なのかもしれない?どういう奴なんだ?
やばい。このアニメはヤバい方向に向かおうとしている!!!オープニングのラストカットやエンディングの連行シーンからもうすうす感づいてはいたが・・・。


Gのレコンギスタの歌とPVに潜む暴力と狂気 - 玖足手帖-アニメ&創作-


やっぱり「意図しないでやり過ぎてしまって取り返しがつかない暴力」を描こうとしている。
ガンダムファンだからってお子たちに見せていいのか?こんな外道を!
(しかし、私は独り身だ)

  • デレンセン男泣き


まともに我に変えれるのは戦場を離れたときで、気づいたときは7人戦死。
ベルリはデレンセンに対してクリム・ニックに言われたように「有能な指揮で引き返してくれた」と、まだ味方意識を持っているが、部下を死なせてしまった事を泣くデレンセン大尉にとってはベルリは部下を殺す手伝いをした奴と思うのかもしれない。ディスコミュニケーション。というか、富野監督は「君の名は」世代だからなあ…。

  • 雨で映像の気分をリセット

宇宙に出た時は水みたいなのが薬になるってメガファウナ艦長が言っていたが、映像を見る視聴者もラライヤと同じように戦闘の緊張感から解放される演出かもしれないね。デレンセンの涙もそれに流される。
ラライヤが大事に持つことになるこの金魚、「チュチュ」っていうのか?ウテナのアンシー?(なおテロップではチュチュミィらしい・・・)(一話の感想で僕は「黄金の長方形の演出」って書いたけど、ジョジョ7部の牙(タスク)は多分関係ない)

知的障碍者ディスコミュニケーションの象徴だしなあ・・・。クンタラだというだけで差別されるのもディスコミュニケーションだ。ディスコミュニケーションの空気が濃い作品だ。

  • コア・ファイターができる

明らかに3話のラストにはなかったスペースにコア・ファイターの部品が出来て脱出ポッドとして独立してるんですが!

生えたのか?整備班のハッパが回路を接続してドッキングさせたのか?
ベルリが戦闘中に発動させたことで機能が拡張されたんだろうか?レイハントンコードのカードがベルリとアイーダに痛みを感じさせるっぽい描写もあり。∀ガンダムの地下のガンダムハンマー発見みたいな機能拡張かもしれない。ここら辺は既視感があるなあ。ガンダムらしい既視感で視聴者へコミュニケーションを取りつつ、それを裏切るカードも出すのがガンダム Gのレコンギスタという作品らしい。実にズルいギミックを仕込んである。
それと、G-セルフもフォトンバッテリーの他にも推進剤は必要っぽい。
でも、コアファイターが腹にも背中にも生えて胴体に穴が開くって言うのは芝居の幅が広がりそうだが。


  • 空から来るもの

ベルリが戦ってしまった後のタイミングで、クリム・ニックがベルリに「宇宙から君の母上を脅かすものが来るから、キャピタルアーミーが新設されたのだろう」と、ベルリにさらに戦う理由を吹き込んでいく。
「昨日、本国でスルガン総督から聞いたのです」って、クリムは言う。アイーダも初耳で驚く。昨日聞いたのなら、G-セルフで遊んだり尋問室で遊んでる間にアイーダに報告しておいてもいいものを…。狡猾?
で、そんな風にクリムが口車を回しているけど、ベルリは「アイーダさんの本当の苗字を知ったぞ!アイーダ・スルガンさんっていうんですか!」と違う方に気を取られる。ディスコミュニケーション
ラライヤを連れたノレドは「ベル!キャピタルタワーに帰ろうよ」とベルリに言うんだが。
ベルリ「これ(G-セルフ)もラライヤもそらから来たものなんだ。中尉の話、聞きたくないか?」
ノレド「うん!ベルはこの船に貸し作ったんだから、帰れるよ!」
ベルリ「え?ああ・・・」

ミノフスキー粒子が無くても雨音で声がさえぎられたのか?この程度で若い二人の言ってる事は食い違う。「君の名は」だなー。でも、ベルリはめんどくさいのでノレドの意見を訂正しない。
なんか、ベルリって2話や3話もそうだったけど、気を張っていても戦いの後はなんかダレて行動がテキトーになっていく息切れっぽいパターンが無いか?


:追記
また、ノレドはベルリの言葉の内容を受けずに自分に都合よく「帰れるよ!」と言う。ノレドは「私の好きなベルリなら私の考えに従ってくれる」と脳内で仮想コミュニケーションをしているので、目の前のベルリがノレドの予想とは違う「中尉の話を聞きたい」という言葉を言っても理解できず、聞かなかったことにしてディスコミュニケーションする。コミュニケーションしているつもりでディスコミュニケーションが起こる。また、ベルリの言葉の内容は雨音で聞こえなかったかもしれないしクリムの言う「空から来るもの」の知識が無かったが、ベルリの顔や口調はノレドに好意的に見えたので、ノレドはベルリが自分に同意してくれたと錯覚する。つまり、「人は見た目が9割」というメラビアンの法則です。
ノレドはベルリに好意を抱いているが、その好意ゆえに「ベルは自分の好きなように動く」と間違ってしまう。好意がディスコミュニケーションを産む、という非情な皮肉です。


で、ベルリがアイーダと空から来るものに気を取られている間に、コアファイターとG-セルフが別々になっているのでノレドの言うようにみんなでキャピタルタワーに帰ることはできない。
そもそも、ほいほいこんなところまでアイーダと同行したのも、ベルリがアイーダに気を取られてアイーダを助ける王子様ごっこをやりたがったからだ。アイーダだけ返して途中の島かどこかで3人で降りても良かったのに、ベルリはそれをしなかった。海賊の本拠を探りたいという少年らしいヒロイズムもあっただろうが、そんなものは7人戦死でぶち壊しだ。
ベルリは格好つけようとしてどんどんブーメランが自分に帰ってきて、最終的には壊れるかもしれないが…どうなんだ?


そんな不安感を、アイーダさんのブラジャーと巨乳のお色気と、「同じカードを持ってる」というコミュニケーションの予感でごまかして、「元気でいられるなら!」「元気のGははじまりのG!」という能天気なエンディングテーマでごまかす。

Amazonデイリー1位「Gの閃光」富野福音書黙示録的作詞解説 - 玖足手帖-アニメ&創作-

Gの閃光(アニメ「ガンダムGのレコンギスタ」エンディグテーマ)

Gの閃光(アニメ「ガンダムGのレコンギスタ」エンディグテーマ)

  • この演出家は視聴者を騙そうとしている!

酷くないか?
「楽しいアニメだぞ!」「ロボットアニメで元気を目指すぞ!」と宣言喧伝しておいて、「そんなわけあるか、死ね!」「けど、やってしまった!」というリアルの地獄でディスコミュニケーションの連続連続で、演出のカット割りとかで騙そうとしている。
「見たくなくても見る!!!」「見たくなったでしょ???」


うわぁーーーーー
映像の楽しさと言う糖衣に残虐ファイトという本質をくるんでいる。良薬は口に苦いので飴でくるんでお子たちに見せてください。と、保護者のガンダムファンに富野監督は言っているが、これって劇薬じゃないですか!!!




まあ、僕が小学生の時にVガンダムに直撃を喰らった時も「中学1年生が主人公の正道ロボットアニメ!」「ガンプラも子供でも作りやすいVフレームを採用したよ!」というふれこみで、アレだったので。


今の若者たちもやられるといいよ!!!


と、僕がこんな風に4話の段階で演出を分析してこういう感想を書いているというのも、演出家と言う神の手の平の飢えかもしれん。
信じてはいない。騙されているか?


まあ、アニメなんか所詮だまし絵!


何がジャベリンよ!!!



僕と言う人間は本能が狂っているので騙し絵を見て慰みにする。
本当はエボラの対策とか科学技術の貢献のために尽力すべきなのだけれど…。
明日のことは明日案じよ。


つかめプライド つかめサクセス


か、私には耳が痛いな・・・


元気でいられるかな?

4年間のインタビューに見るGのレコンギスタの「夢とロマン」に関する富野監督発言の変遷分析 - 玖足手帖-アニメ&創作-


戦え!戦え!!!
どんなに世界が地獄でも!
(そして大抵の人間にはガンダムも巨人の力もなくアホみたいな理由で死ぬのだった)