- 放送当時の感想
- 目次
「はじめたいキャピタルGの物語」・「ガンダム Gのレコンギスタ」感想目次 - 玖足手帖-アニメブログ-
Gレコ2周目の感想目次 殺人考察&劇場版(パリ) - 玖足手帖-アニメブログ-
- 前回の殺人考察
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Gのレコンギスタ第23話「ニュータイプの音」のBパートの殺人考察です。1万6千文字あります。
- ロックパイVSクリム
「ビームは破片に当たっても爆発したように見えるのよ」というラライヤさんの豆知識のあと、砲撃のビームではない、ロックパイが操縦するガイトラッシュのビームマントの元を狙撃する、クリム・ニックのジャハナム。MSの肩にマウントした狙いがつけにくそうなロケットランチャー二発で精密な狙撃をしてビームマントの基部を破壊するクリム、天才すぎる。
フォトンアイ付きのミサイルではなさそうだけど、クリム・ニック大尉は天才だ。
ロケットランチャーの直撃を食らったロックパイは、迎撃でガイトラッシュがふんだんに持っている小型ミサイルや脚部ビームで応戦するが…。
地球のアメリア製のジャハナムはトワサンガのMSよりエンジン出力も低いはずだが(ヘルメスの薔薇の設計図は宇宙世紀の成果でもあるが)、物量にまさるガイトラッシュの一斉射撃を回転回避しながらシールドで受け切るクリム・ニックは技量がすごい!天才だ…。
物量で劣っているのに正確な射撃で的確に敵に損害を与えるの、わかりやすく強くてかっこいい…。
7,80%の出力は出せるとは言え、ガイトラッシュの必殺のビームマントを破損させられたロックパイはクリムから距離を取る。技量のクリム・ニックに対して、ロックパイの戦い方は高出力と装弾量に依存しているようで、トワサンガ人の地球人に対する慢心が見える。まあ、クリム・ニックは天才すぎるのだが。
敵が距離を取ったと見るや、母艦のサラマンドラのことをちゃんと振り返るクリム。単なる戦闘狂のお坊ちゃんではないのだなあ。
サラマンドラはフルムーン・シップに向かうキャピタル・アーミィの戦艦ガランデンを追いかけつつ、後方からキャピタル・アーミィのウーシァ部隊の狙撃を受けて、上方(月の方角)から来たクノッソスのガイトラッシュを中心にしたロックパイの部隊に三方向の挟み撃ちで攻撃されたが。(文字にしても混戦だ)
それで、地球の静止衛星軌道上にいるらしいフルムーン・シップに向かうコースから、サラマンドラは攻撃を受けたせいで外れてしまうのだが。
クリム・ニックの眉毛の表情から、まあ、彼なりに作戦成功ではなくて不愉快ではあるのだろうけど、作戦目的を切り替えて、ラトルパイソンがカシーバ・ミコシに接触できれば自分の戦いは無駄ではなかったとする。
パートナーのミック・ジャックが戦争はまだ続いていると言うが、クリム・ニックは自分のMSも細かい傷を受けたしサラマンドラ部隊も損耗したと見て、ガランデン追撃も含めて戦闘行動を終了する。熱くならないクリム・ニック。前半のキャピタル・タワー襲撃のとっちらかった低軌道戦闘の時もそうだが、クリム・ニックは引き際が潔いので生き残りやすい。天才だし慢心キャラだけど無理な賭けに出て戦うことはしない。
そして、そのクリムがガイトラッシュに与えたダメージがベルリの価値に多少影響していて、構成の妙がある。
- ロックパイVSベッカー部隊
逆に、タワー(第3ナットのワンジラ)から出撃したキャピタル・アーミィの母艦、ブルジンは熱くなったのか、たまたま軌道の関係で接近したからか(低軌道宇宙空間の宇宙線は常に高速移動してないと地球に落下する)、クノッソスと船同士の砲撃戦となる。
恋人のマッシュナーの危機と見て、熱くなるロックパイ。
宇宙戦艦同士の撃ち合いは激しく、低軌道を高速でG-セルフを飛ばしてきたベルリですら近寄れないと思う。
あんまり関係ないけど第三ナットくらいの低軌道で急速ターンして上昇するG-セルフの動きがカッコイイというか速度とエンジンが強い。
艦隊戦が起きたのはブルジンがでしゃばったからだって観戦するベルリだが、そこに激突してくるポリジット。
宇宙では距離感がおかしくなる、ということを19話でアイーダたちは金星人のクレッセント・シップのクルーから教わったのだが。今度は金星人のポリジットが距離感を狂わせて激しく光って飛ぶG-セルフを追ってきてしまい、編隊を解いてしまう。量産機だがポリジットがビーナス・グロゥブでバッテリーリングとオーシャンリングを移動する性能を持っていて宇宙空間での加速力が強いので、G-セルフに追いつけてしまったのが不幸。ルアンのグリモアの加速性能は大したことないと思う。ケルベスとリンゴは金星のザンスガットやトワサンガのモランに乗っていてもメガファウナから離れないように速度は出さないようにしたと思う。このポリジットは遅い方についていけばよかったのだが。ポリジットの面倒を見るつもりのG-ルシファーも速いので追いついてしまう。なので、このポリジットは自分がメガファウナから出た編隊を外れて突出したことにあんまり気づけてない。金星近辺の環境と地球の低軌道の環境や距離感のスケールも違うだろうし。
遠因だがベルリが自分一人だけクノッソスの戦いに距離を詰めて観戦しようとした行動がポリジットの不幸の発端である。ベルリは孤高にG-セルフの義務を感じて戦争の根っこになるものを取り除きたいという高邁な気持ちで戦場に出ているので、自分一人が高性能MSで突出したり斥候に出たりすべきだと思っている。しかし、クリムほど艦隊全体を俯瞰して認識して指揮するような指揮官タイプでもないので自分の急速移動が編隊の新メンバーに与える影響などは考慮できていなかった。
終盤のベルリは強すぎるし罪を背負いすぎている自分が戦いの責任を負うべきと思っているが、その行動が味方に影響するとまでは判断できない少年。クリム・ニックがミック・ジャックに対して率先して自分から戦闘行動をやめてみせる指揮官的な行動に比べると、ベルリは戦闘能力は高いが、気負いすぎていると見える。
と、ベッカーは、ベルリたちが接近していることに気づいていないで、クノッソスに戻ろうとするロックパイのガイトラッシュの編隊にウーシァで攻撃を仕掛ける。
が、ビームマントに弾かれる。クリム・ニックのジャハナムが狙撃に成功したのはガイトラッシュが完全防備になる前に距離を取っていたからか?角度も良かった。また、ロックパイは地球のMSのジャハナムをナメていて戦力と見ず、戦艦のサラマンドラを落とす攻撃のためにビームマントを使っていたので、上方からクリム・ニックがロケットランチャーで狙撃してくるとは思っていなかったのだろう。クリム・ニックが天才すぎるので。
(ビーム・ライフルだと弾が光ってロックパイが気づくので、あえてロケットランチャーで狙撃したのか?クリム・ニックはそういうことをする。序盤のカットシーとの戦闘でもビームジャベリンで目眩ましして、ビームを避けたところをワイヤーハーケンで撃破したりしてた)
(天才は伊達ではない・・・。というか、8話の戦法が23話にも通じているというのがニクい)
クリム・ニックから敗走した悔しさがあるからか、ロックパイが慢心から来る怒りをウーシァにぶつけるようにして、ベッカーが戦死する。アニメにして3、4分の戦闘のBパートの冒頭だが、クリム・ニックの戦上手ぶりが際立つ。まあ、物語が始まる前から大陸間戦争しているクリム・ニックは天才の上に経験値も戦歴も他のキャラより多いわけで。(SAOのβテストに参加しているキリトさんみたいなものなので)しかし、宇宙空間の艦隊戦にも対応してくるとは。彼女もアスナよりスタイルがいい(聞いてない)。
逢坂良太さんが演じるクリム・ニック、天才すぎるのでアイドルマスターの我那覇響(中の人がガンダム好き)と結婚しても当然か。天才だから認めざるをえない。沼倉愛美さんのファンクラブに入ってるけど。マッシュナー・ヒュームは我那覇響と同じ765プロのアイドルの三浦あずさ役のたかはし智秋さんだが…。あずささんの彼氏をボコった相手と結婚する響か…。くさそう。
- アバババになるポリジット
アバババ言いながらベッカーが爆発した光に突撃していくポリジット(小さくガイトラッシュのビームの繭が描いてあるのがニクイ)。
ポリジットを止めに行こうとするG-ルシファーを制止するG-セルフ。彼女たちがG-ルシファーに乗っても、ベルリは序盤と同じくノレドとラライヤは守るべき弱者だと思っているのか。(ラライヤさんはトワサンガではちょっと名の知られた年少パイロットだったのに)
ベルリは自分がなんとかしなきゃーって気持ちが強すぎる。
(振り向く作画がいい)
(流線タッチと反射光)(指で操作しなくてもヘルメットのバイザーはサイコミュ的な気分で閉まるのか)
効かないけど一番光っているガイトラッシュのビームマントに撃ちまくるポリジット。ポリジットのライフル、警察用だからか、速射性はあるけど、そんなに出力がなさそう。面制圧用の銃っぽい。盾は硬いけど。
ビーナス・グロゥブの使者を殺害するとかすごい政治問題になりそうだけど、ロックパイからしたらポリジットなんか見たことないし、アメリア軍と戦ったあとキャピタル・アーミィと混戦になっている中に出てきた、謎の発狂した乱射MSなので、迷わず殺す。
それもこれも、一人で編隊から突出して戦争を観戦できると思っていたベルリくんの慢心から出たことなので。ベルリくんはビーナス・グロゥブの人に戦争を教えて正しく導こうという高邁な考えがあったけど、死なせちゃうので、また精神をやられる。
このGレコという物語、最初の方から理想が高い殺人が嫌いなベルリくんが毎回「こうした方がいいんじゃないかな」って思ってやったことがだいたい裏目に出て人がモリモリ死ぬアニメなので、元気のGとはジェノサイドのG…。
Gレコは、第1話のベルリがアイーダやデレンセンたちの殺人を諌める慢心したセリフのブーメランを半年がかりで食らいまくる話なので。本当によく精神崩壊しなかったな、ベルリ。
- ロックパイ殺すベルリ
ベルリにしてみれば一番キライだろう恩師殺しのリフレクターモードで数が多い敵のモラン部隊の攻撃を防いでエネルギーに変えながら、精密射撃で敵のビームライフルを撃ち落としていく。上手いのだが失策による戦闘なので。
18話でG-セルフと互いに撃破寸前まで行ったガイトラッシュなので。互いに手加減しないで全力で殺し合って、性能が高いG-セルフが数々の武器で瞬殺する。ガイトラッシュのマントの半分が破損していて空域ごと包む18話の戦法が使えなかったのが敗因か?マントがあろうがアサルトモードのビームはぶち抜くのか?
格闘ゲームモードのベルリはガイトラッシュがマントを張る前に本体にパンチとキック。反射神経の良さと入力の速さがベルリ。(デレンセンの教えかもしれん)
おもちゃを売るためのロボットアニメで修行した富野監督だからか、ライディーンやコン・バトラーVかマジンガーZインフィニティみたいにガンガン技を披露する。まあ、武器を使うとジュンコさんに説教されるしパワーアップ武器でお姉さんを殺害するVガンダムを経ている富野監督でもあるのでオーバーキルしても嬉しくないっていうかむしろ精神をやられるんだが。
しかしベルリの操作の速度は毎回早くて、チンパンジーと揶揄されるガンダム勢はG-セルフをゲームで使いこなせているのか?ベルリは速いけど全部正確だからな。こわいこわい。
トワサンガの象徴の月を一瞬PANで映して、クノッソス
離れていてもニュータイプの音を感じるマッシュナー。
全方位レーザーで中途半端に全身がズタズタになったガイトラッシュもエグいけど、肉片と返り血を浴びるようなG-セルフの描写もエグい。ロボットアニメじゃなかったら、もう寄生獣レベルだよ。
でもそういう物理的なエグさ以上に、マッシュナーに届くほどのニュータイプの断末魔の音を至近距離で浴びるベルリ君。ベルリくんはこれまでも人を殺すたびにストレス症状を発症していたのだが。その度に自分をごまかしてきたのだが。第4話でカットシー編隊を壊滅させた後はクリム・ニックに「デレンセンは優れた軍人だ」って褒められて、「カットシーを虐殺した」というより「デレンセン教官が引いてくれた」とベルリは考えた。
デレンセン大尉を殺害した後もメッチャ言い訳してからモンテーロを助けるという小手先の善行をしてごまかした。
今回はベルリの突出という失策から戦闘が始まって、金星からの客人を死なせて、自覚的にベルリが相手を認識した上でオーバーキルしたからな。ガイトラッシュのロックパイの事も知っている上で殺したので。ごまかしも言い訳も立たないので。それで、ベルリは23話で自覚的に殺人したことを骨身に沁みて感じて、最大級のストレス症状を訴える。
- ベルリとロックパイの距離感
全話考察で、シャーロック・ホームズみたいな粘着質でGのレコンギスタの主人公のベルリ・ゼナムくんの殺人を考察してきた。
なので、ちょっとストーカーっぽくて気持ち悪いのだが。これまでのベルリとロックパイのエピソードを振り返ってみる。
第13話で白旗のMS戦闘をした後にザンクト・ポルトでベルリはロックパイの顔を見た。
このときはロックパイに喧嘩して絡んだのはクリム・ニックだが、ベルリも一応顔と声は認識した。
で、トワサンガでもいろいろあって数回ロックパイのモランとかアリンカト相手にMS戦闘して、第17話ではロックパイの呼びかけに応じて土砂の掃除をした。
まあ、敵対勢力のパイロットだけど、利害が一致した時には協力もしたという関係。敵だけど知人っていう感じ。そして、トワサンガの軍人でもラライヤ・アクパールとか裏切り者でベルリが殺しかけたリンゴ・ロン・ジャマノッタがいるので、同じ人間同士仲間になることもあるという認識だし、トワサンガ人を差別できない。ベルリも出生はトワサンガだし。
じゃあ、ガイトラッシュにロックパイが乗っていることを知っているかという点だが。
第18話のMS戦闘ではミノフスキー粒子が薄く、ベルリは他のパイロットの無線を聞いている様子だ。(クレッセント・シップがあるせいでミノフスキー粒子を撒きにくかったのか)
その上で、ガイトラッシュでベルリを至近距離で追い詰めて「そこまでだ!111のパイロット!」と叫んだロックパイの声に答えて、ベルリは「G-セルフにもフォトン・シールドあります!」と言った。会話してるじゃん。
ビームサーベルを掴んでいる状態で接触回線が通じたかはわからないが。
ガイトラッシュのパイロットがロックパイで、その顔と声もベルリは知っている。その上で、デレンセン大尉のときのように勢いで殺したのではなくて、オーバーキルと認識した上で明確な殺意を持って被疑者は被害者を殺害したということがわかりますね?初歩的なことだ、友よ。
混戦状態の遭遇戦だし、メカ戦闘としても速い演出だからあんまり殺人のエグさは視聴者には伝わらないようにしているけど、ベルリにとっては明確に知人を認識して殺した体験なので。しかもベルリは殺人が好きなわけではなく、むしろ忌避して戦争も止めたいという崇高な理念を持った少年なので。なので精神がやられる。
まあ、Zガンダムでロザミアを殺したカミーユほど明確なトラウマではないのだが。カミーユは元々ちょっと好戦的だったけどベルリくんは優等生なので。
- これまでのベルリの殺人のごまかし
まあ、ベルリくんはこの殺人考察で戦歴を見てきたが、かなり殺しています。しかし、ここまで無自覚だったというのがベルリ君の防衛機制の強さです。第4話のカットシー部隊壊滅の時点で体感としては殺したストレス症状を表現していたが、理性のレベルでは自分は望んで武器を持っているわけではなく、望んで殺してないし、殺したとしても事故に近いと考えていた。敵であっても第9話でマスクを助けたり、敵のコックピットを外したり、ベルリは自分が善人だと思いこむために殺人を避けてきた。
ベルリが自覚的に殺したのは、第14話のモランの数え撃ち。しかし、この時はトワサンガに向かうメガファウナに傷一つ付けられないという条件だし、マスクたちもトワサンガ相手に戦争をしていたので、ベルリはアイーダのために好戦的になっていた。そして、トワサンガ人の敵を数として数えて防衛機制していた。
しかし、殺しそこなったリンゴが同じスコード教の信者で投降したので人間だと分かってベルリは傷ついた。リンゴはいつの間にか仲間になり、その存在がしんどい。
ベルリからリンゴに話しかけたことは一度もない。リンゴは脳天気に話しかけるが。
第14話の戦闘後に姉と知る前の大好きなアイーダさんに褒められても全然嬉しくなさそうにする。
第15話のトワサンガに向かう途中でも、アサルトパックを使いながら「誰も死ぬな」と身勝手なことを言いつつ、半壊したアサルトの主砲で、牽制だと思いこんでいたけど、見えないところで殺している。
第16話ではアイーダが姉だと知り、地球を離れたガランデンへの八つ当たり半分の怒りで警備していたザックスと遭遇戦をして、キレてるのに正確な射撃で1人は殺している。
それで、進撃の巨人みたいに顔に影を落としてストレス症状を表現するが、「殺しはしない!」と叫ぶ。殺したのに。
キレたベルリをなだめるためにケルベスも進撃の巨人みたいな額の影を出しつつ、その場ではとりあえず褒めてごまかす。
それで、アイーダさんに殺人してないって嘘つく。まあ、キレてたので半分無自覚だったのかもしれないけど。
ケルベスはなんとかこの回はなだめる。
で、武装を解いてシャワーを浴びたベルリを姉が叱責する。
人のせいにする。
掟に従っていると自分を正当化する。
キア・ムベッキとの戦いでは、部下が暴走気味だっただけで、実は本人は一人も殺していないキア・ムベッキ隊長にベルリは「あなたたちはお仲間を何人殺したんですか」と言ってキレさせる。んで熱くなったキア隊長が海の底に穴を開けて溺死実況中継を聞くハメになる。そして、宇宙にある海の夢に絶望する。
前回のフォトン・トルピードによる虐殺は、慣れていない武装が想定外の威力を出したと思う。
細かくは各回の殺人考察を読んでほしいのだが、そういうふうに、ベルリはこれまで殺しながらも殺意は否認していて「自分は悪くない」というセルフイメージを守ってきた。
こういう態度をもって、視聴者は「ベルリがサイコパス」という印象を持ったのかもしれない。ガンダムのパイロットとして武器を持って戦場に出ているのに殺意を持っていないというセルフイメージを守るベルリは身勝手かもしれない。
しかし、精神疾患と境界性人格障害と回避性人格障害(人格障害は数種類が複合することが多い)を持っている僕としてはベルリはサイコパスではないと思う。ベルリ君がこのように殺人を犯しながら、殺人自体を悪いものと認識して忌避していて、否認や正当化などの防衛機制をする心理はサイコパス、「反社会性パーソナリティ障害」の「自分の利益のためなら社会のルールも人間関係も無視する。」とか「自分の得になる人間以外に人権を感じない」という特性とは正反対だと診断する。
(部下をモノ扱いしていたクリム・ニックがそれに近いが、彼は彼なりに人を愛するようになっていくし、武人としては仕方ない面もある。戦場で敵の人権を無視できる判断の冷酷な速さが彼を天才にしたのだろうし。そして父のズッキーニ・ニッキーニ大統領がサイコパス的な演説でクリムを見捨てた最終回では、その価値観と決別する)(マスクも自分を仮面と愛でごまかさないと戦えない青年でもあった)
ベルリが強く何度も「殺人は悪い」「自分は悪くない」「だから自分は殺人をしていない」と思いたがるのは、誰よりも「相手は同じ人間だ」「すべての人には天の恩寵を受ける権利がある」というスコード教の価値観と、キャピタル・タワーで全世界にバッテリーを配給する博愛主義を内面化しているからだ。
それは誤魔化しではあるし、人を虫けらのように殺害するテロリストのヒイロ・ユイとか少年兵の刹那・F・セイエイとか三日月オーガスなどのガンダムパイロットに比べると戦士としては中途半端なのだが。(アナザーガンダムはそういうサイコパスの人間性の回復という面もあるのだが)
サイコパスなのかどうかという点でいえば、ベルリは人の人権をとても大事にしているので、人を人とも思わないサイコパスとは正反対といえる。非常に真っ当で上品に育った優しい学生だ。そういう少年が戦争の中で自分が悪い人間だと思いたくないと感じるのは、サイコパスなのか?違うだろう。
そもそも、ベルリは殺人を理性で否認しながら体は毎回ストレス症状を起こしていたので、そんな罪の感覚自体を覚えないサイコパスなワケがないのである。ベルリはちゃんと人を殺しながら痛みを感じて傷ついてきた。だからこそ、ラライヤが戦おうとしたのを止めたりもする。殺人の罪を女の子に背負わせたくないと思っている。殺人が罪だと認識している。
でも、これまではなんとかアイーダさんのためとか、船に傷をつけられないとか、不慮の事故だったとか、自分たちが生き延びるためには仕方がなかったとか、皇子としての責任感とか理屈を付けてきた。
が、今回はもう、明確に相手の顔と声を認識して、一度は共同作業をしたロックパイ・ゲティを明晰な意思のもと、殺害した。しかも、ベルリが金星の人に戦争の悪さを教えたいと思って善意で出撃したのが今回の殺害の発端である。なので、自分の善性自体が信じられなくなるレベルで罪を自覚するし、逃げ場がなく、過去最大級のストレス発作を起こす。
これまでのストレス症状では不快感からヘルメットや手袋を外すなどの行動をしていた。が、今回はデレンセン大尉を殺したときと同じくスーツを取る余裕もなく、戦場で硬直してラライヤに呼びかけられるまで寒さに震えて死に体だった。
そんな風に武器を持った敵の人間を殺した時に、ニュータイプ級の深い感覚のレベルで相手の死を感じて、心の底から罪の意識で嫌悪発作を起こすベルリはサイコパスではない!
このベルリの「罪の意識」はスコード教が万民を愛する宗教であることから来ているので、ある意味、「恥の文化」の日本人というよりキリスト教的であるのかもしれない。まあ、富野監督は八百万の神の日本人を自認している人だが。ベルリは多分白人だろうしなあ。
が、それでもベルリはまだG-セルフを降りることはできないのだ。そして、ベルリは殺人が大嫌いなのに、才能としては誰よりも殺人が上手いのだ。
自分をだましだまし第23話まで来たベルリくんだが、終盤になってついに自分が殺人の天才だったということを自覚して、自分の正体を知る。
殺人者であることをついに自覚したベルリは残り3話でどう戦うのか。
実はまだ第23話の途中なのだが、過去の殺人を振り返ったりしているとパソコンがテキストデータの重さに悲鳴を上げてモニターが死に始めているので、エピローグを分けます。
徹夜で書いたんだけどなあ。興奮して眠れないかもしれないが、寝ないと死ぬので夕方まで仮眠を取ります。
(睡眠障害なので起きることが苦手で、冬季うつ病や身内の不幸の影響で11月上旬は昼に寝てばかりいて書けなかったけど、劇場版が迫ったので僕もキレて、一定量書くまで、寝ないという方針に切り替えました。重度の入眠障害でもあるので、起き続けることは簡単ですが体には悪い。酒と薬で脳を落とさないと眠れないので)
https://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/6FXSDSAVKI1Z
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今までは1話書くのに4日かかって、休息も必要だったが、なんとか22話を2日、23話を3日で書けるように。しかし、Gレコ自体の終盤の密度も濃くなって過去の蓄積もブーメランとして返ってくるのでデータ容量も重たくなる。スマホで読んでる人には申し訳ない。
最終回は4記事に分けないと駄目かも。
まあ、Gレコのことを考えないと、うつ病で停止したままになるので動きますか。動かなければ始まらないから。
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