幻視小説「夢兄妹寝物語」全目次 - 玖足手帖-アニメ&創作-
創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年5月 第5話 [ナース演じ得る 姫草ローラ 地獄] - 玖足手帖-アニメ&創作-
この物語は、18禁要素もブチ込んでありますが、オナニーには向きません。
川岸の草むらの薄暗がりの中で、湿度の高い、規則正しい吐息が聞こえている。
林の中のその小川はそらの通う地方総合病院の裏手にある公園からちょっと行った所にある。遊歩道の橋が7メートルほどの狭い川幅にかかり、その下に1メートル半ほどの空間が、あった。その橋の下の暗がりで聞こえる吐息は、
オナニーだっ!
体脂肪率25.3%の小太り!身長142センチのチビ!ニキビに覆われ、角の丸まった四角い銀縁眼鏡をかけ、真っ黒い髪が耳を半分隠し、深緑色のポロシャツを着た、典型的な非モテ男子中学生がっ!彼の人生そのもののようにじめじめした場所で、うずくまってコミックLOを凝視しながら、勃起しても10センチしかない陰茎を一心不乱にしごいているッッ!!!!!
そう、この場所は彼、片平涼亮(かたひら りょうすけ)の秘密のオナニースポットであり、20冊以上の美少女コミックを蓄えているエロマンガマウンテンサイクルサンクチュアリなのだっ!
涼亮「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
涼亮「うっ!」
そら「こんにちわ。これ、あなたの本だったのね」
暗がりの外の太陽光を後光にまとい、精液を浴びてヘラリと微笑む女子児童の表紙の本を掲げる、超絶美少女・頭令そらの微笑に驚きながらも、その美しさを本能的におかず扱いして、涼亮は勢いよく射精した!!!!!!!
びゅるるるるるっ!!!どくどくどくっどぷっ!!びしゃびしゃびしゃっ!!!どぱぱっ!
彼が本物の女の子*1に向って射精したのは人生で初めてだったので、飛距離と量と快感の新記録を達成。そらの白いワンピース(のように見える大人用Tシャツ)から伸びる、紫と白ストライプのオーバーニーソックスに包まれた、足の先のピンクのパイルアンドフック(マジックテープ)のズックのつま先の前の地面に、セーエキの飛沫の先端がパタパタと着地し、そらには届かなかった。
涼亮「ごっ、ごめん!」
そら「ああ、ここってちょっとトイレから遠いもんね。うん。黙っててあげるわ」
涼亮『こどもだから、オナニーの事を知らないんだ。助かった』と、ズボンを直しながら心の中で安堵したが、看護婦に変身できるような魔法少女が男性機能を知らないわけがない。が、お兄ちゃん以外の別に好きでもない男が目の前で射精しようが、知ったことでもない。顔色も変えない。
涼亮「あ、ははは。ちょっとがまんできなくって」
涼亮は無様に笑いながら野ションベンをしていたと誤魔化した。だからモテないんだ。
そら「そうだよね。急にしたくなることってあるもんね。あたしの方こそ勝手にまんが読んでごめんなさい」
涼亮「よ、読んだの!?」
こんなかわいくってちっちゃくって肩がうすくて手足がしなやかにのびててつややかな髪が光ってて白い肌がぴちぴちでほほをうす桃色にそめている天使のような美少女が、この主にロリータ物が中心の美少女マンガを読んだって?その想像に射精したばかりだというのに、涼亮の陰茎は少し、かたくなる。
そら「ここはあたしもよく散歩しに来る所だから。涼しいし、気分いいよね」
涼亮「そ、そうだね」
ガサゴゾと、エロ本の入った箱を持ち上げて立ち去ろうとする涼亮に、
そら「ダメ。まだ読んでないのもあるから。置いてって」
わがままを言った。
兄を目ざめさせる手がかりを得るために、これまでの人生であらゆる種類の資料をあさってきたそらだが、エロマンガという書物を読むのは初めてであり、興味深いのだ。肉欲という共通項はありながら、ファンタジーから現代社会まで、広い題材を扱っている事も資料性が高いと判断した。もちろん、妹と兄のカップルが多いという事も魅力である。
涼亮「でもっ、これは子供がよんじゃだめだから」
そら「そーだね。18歳以上とか成年って書いてあるよね。お兄さんは大人なの?」
涼亮「・・・・・・ちがうよ」
そら「あはははっ。ならあたしたちいっしょじゃない☆もう読んじゃったし、いいじゃん♥
ねえ、どうやって買ったの?」
涼亮「ネットの通販で、父さんの名前を使った」
どうして、こんなに正直になってるんだろう?ああ、そうかこんなに可愛い子がキモヲタの僕に笑ってくれたのは初めてだからだ。そういえば、女の子とこんなに長く話したのも幼稚園以来のことだなあと、彼は思いついた。女の子の方から名前を聞かれたのも。
そら「あたしの名前は頭令そら。ずりょーは頭の命令って書いて、そらは平仮名ね。11歳。あなたのお名前は?」
涼亮「僕の名前は、片平、涼亮。中3」
そら「そう。りょうすけくんね」
涼亮「君、学校は?」
そら「あたしは学校には行かない。毎日病院に来てるよ。りょうすけ君も?」
涼亮「……あ、うん。先月から入院してる」
姫草ローラとしてのそらは、彼が入院していることは知っていたが、頭令そらとして応対した。
そら「ふぅん。だからここにえっちい萬画を置いてるのね」
涼亮「うん・・・・・・」
そら「二人だけの秘密よ♡」
しかし、頭令そらの周囲には常に数十兆人の微小不可視宇宙人がいるのだ。
こんな風に出会った二人。ちょくちょく逢うようになった。
元々この小川の橋の下は、そらが看護婦の仕事の前や後、兄と会う前や後、なんとなく一人になりたい時や読書したい時にすごす場所の一つだったのだが。
片方しか来ない時も、両方来ない時もあった。そらはエロマンガを読むのは3日くらいで飽きたんだが、涼亮が持ち込んだエロじゃない、オタクっぽい萬画や本を借りるようになった。オタクな萬画も、今までそらが調べていなかったマニアックな神話や宗教のエッセンスが散りばめられてあり、多少の興味を引いた。
同時に、偽装看護婦の姫草ローラとしてのそらはなるべく片平涼亮の看護をするようにした。今は病状が小康状態で、手術前の検査入院と言う事だ。それでも煩雑で体力を消耗する検査に耐えられるように、ローラがやさしく励ますと、思春期の涼亮は他の患者以上に張り切ったのだった。
それとなくローラは、涼亮に病院のうわさと言う感じで、検温や食事の時にそらの事を教えた。毎日植物人間の兄を見舞っている事、宍戸隷司と二人で暮らしている事。それに、何日の何時にどこへ行けば会えるか、どんな本やどんな音楽が好みか、涼亮が相談すると言う形で、ローラはそらの要望を涼亮に植え付けていった。そらと涼亮が会える時間を作るように、検査の時間を調節する事もした。
また、涼亮の身の上話、学校でいじめられていた事、高校受験を諦めなければいけないこと、家族の中の事、などを年上のお姉さんとして聞いてあげた。涼亮の不安や不満を聞いてあげていると、いつもそらの周りにいる長身老躯の宍戸隷司が怖いと言ったので、そらとして会う時にはレイは外そう、と決めた。ローラはそらと涼亮のの間を取り持つように動いたが、涼亮はそのように何でも言う事を聞いてくれるローラにも懸想しはじめた。
体力も容姿も劣っていた彼が、いきなり絶世の美少女と美人看護婦と定期的に暖かく会話をする状況を手に入れた。生まれて初めてのモテ期である。我を忘れるのも無理はない。
もはや、橋の下で隠れてエロ本を読む必要もなく、そらとローラのことを思い出して、想像して、トイレでチンポしごきに精を出す。
そしてそらは脳神経外科入院病棟イの一号室で眠り続けるお兄ちゃんに、涼亮のことを語って聞かせる。
Jack IN
2003/06/03
2003/06/04
2003/06/05
2003/06/06
2003/06/07
2003/06/08
2003/06/09
2003/06/10
そら「お兄ちゃんは、相変わらず、変な夢ばっかり見てるネー。子供の時からずーっとだね。
お兄ちゃん、あたし最近、中学の子と遊んでるよ。
かたひらりょうすけ君って言うの。
萬画も貸してくれるの。あのね、この萬画のエヴァンゲリンって子はあたしにちょっと似てるんだって。お兄ちゃんもそー思う?でも、あたしはこんなに長生きじゃないもん。まー、髪が長いのは似てるかな?しもべはいるけどねぇ?
あとねー、いろいろCDも借りたりしたよ。
えへへへ。
あたしのボーイフレンドのことぉ、気になる?えへへへー。どうしよっかなー?
うそうそっ。
お兄ちゃんには何でも教えてあげるー♡
んーとね、内科の方の病棟にね、入院してるの。うん。そんでね。最初は何ヶ月か通院してて、そんで、入院する時に部屋にエッチ萬画を持っていけないから橋の下の所に置いてたんだって。男の子ってそーいうの、大事なの?えっへっへー。まーお兄ちゃんは、おちんちん立たないけどねえ?えっへへへへー
あははははははははは(爆笑)」
笑い終わった後、そらは兄の胸に上半身を重ね、シーツ越しに兄の体を指でさすりながら、甘えて言う。
そら「ねー、おにいちゃん、りょうすけ君ってあたしの事、好きなんだって。あたしに会うのが楽しいんだって。あたしと会ってから元気になって来たんだって。
ローラの時に聞いたから、あたしにはヒミツなんだけどねっ。
どー思う?
お兄ちゃん、目が醒めなかったら、あたし、他の人に取られちゃうかもよ?りょうすけ君の好きなエロマンガみたいなこと、しちゃうかもね」
兄は眠っている。
そら「あははっあははははははははっははははははははははっ!
そんなわけないじゃーーーーん!!」
などと言う感じで。そらが眠るお兄ちゃんの胸に顔を擦り付けながら爆笑するんで、シーツによだれがついた。よだれである。
また別の日、そらと涼亮は公園から連れ立って病院に戻ろうとしてた。
そら「りょうすけ君ってすごいね。どこでこういう本を見つけるの?」
涼亮「いや、僕なんか大したこと無いよ。ネットの掲示板とかだと、もっとすごい人がいるし」
そら「ふーん。あたしはあんまりそういうの読まないから、りょうすけ君に教えてもらおうっと」
そこで、
母「涼亮ッ!!!あんた、何してんの!」
涼亮「あ、ごめんなさい」
母「人を馬鹿にして!」
そら「ああ、おかあさん。こんにちわ」
母「何してたの!」
涼亮「別になにもしてないよ」
母「こんな子と一緒にいて、あんた、変なことしてるんじゃないでしょうね」
そら「散歩だよ」
母「あんた、知恵遅れの子でしょ。みんな知ってるわよ」
涼亮「お母さん、」
母「もううちの子には近づかないで下さい。わかりますか?」
言うだけ言うと涼亮の母は涼亮に背を向けて歩き出したので、涼亮もそらに挨拶せずに、ついて行かざるを得ない。
そら「バイバーイ!」
とりあえず、そらは挨拶だけはしたけど、涼亮はなにもしなかった。
母「あんたは、入院してもフラフラフラフラしてっ!あの人たちは頭がおかしいんだから、恥をかかせないで!」
等と言うことが頭令そらの耳にも入ると言うことは、頭令そらにどう思われようが関係ないと母は思っているということだ。
レイ「そら様おかえりなさいませ」
邪魔者扱いされていたレイだが、涼亮が去ったのでひょっこり顔を出した。
そら「あのおばさん、検査結果を聞きに来たのかな」
レイ「片平涼亮の病状は悪化傾向にあります。半年以内に彼が外出不能になる可能性は高いでしょう」
そら「あ、そうなの?検査の結果はまだなんだけど」
レイ「スキャンしました」
そら「ふぅん。萬画が読めなくなるのはちょっとがっかりかな。ま、大体読み終わったけどね」
レイ「倶雫様の覚醒方法に対するヒントはありましたか?」
そら「うーん。もともと大して期待はしてなかったわ」
Jack IN
2003/06/11
2003/06/12
2003/06/13
2003/06/14
2003/06/19
2003/06/20
Jack Out
と言う訳で、そらは涼亮とは会わなくなった。ローラは白々しく人間による検査結果を待ち、その結果は涼亮に告知された。結果は悪性。現状での余命は8ヶ月。ただ、薬物療法と手術を何度か乗り越えれば、寛解の可能性もあると言う状況。すぐに手術が決定し、同時に副作用を伴う、治療が開始された。
姫草ローラも、彼の面倒を看て、今は点滴を交換している。
涼亮「ローラさん*2、僕、怖いよ。なんか薬を飲んだらだるいし。昨日、怖くて寝れなかった」
姫草「大丈夫よ。先生もちゃんと説明してくれたでしょう?」
涼亮「うん。がんばったら、絶対成功するって、言われた。でも、なにをがんばったらいいの?」
姫草「そうね、寝ているだけじゃ、何をしてがんばったら良いか分からないもんね。そういうときはね、心で頑張るの」
涼亮「つらくても我慢しろって言うこと?」
姫草「それもあるけど。治療は先生や私達がするわ?でもね病気を治すのは涼亮君の体の細胞一つ一つなの。それで、その細胞の力は、心が支えてるの」
涼亮「脳内ホルモンとか?」
姫草「よく知ってるわね。でも、脳だって細胞でしょ?その体全部が生きていきたいって思うことが大事なの。それを繋げるのが、心」
点滴は手早く換えおわったが、ローラは涼亮の個室のベッドの隣の椅子に腰掛け、涼亮の胸を愛撫しながら、話をしている。
涼亮「うーん。でも、結局なにをしたらいいの?」
姫草「簡単よ。生きたいってのは好きなことを味わいたいって言うことなんだから。涼亮君が好きって言う気持ちを体全部に味あわせたらいいのよ。
ふふ、実は私もね、好きっていう人や物のためなら何だって出来ちゃうの。体全体が元気になるのよね。そういう気持ち、涼亮君も分かるでしょ?」
ローラに対して、軽く失恋した涼亮であった。「ローラさんは大人だもんな。僕とは仕事で話してるだけなんだ」と、直感した。
姫草「涼亮君は何かやりたいことって無い?読みたい本とか。そういうことを考えたら」
涼亮「・・・・・・僕はもう一度そらちゃんに会いたい」
普段はキョドっているくせに、珍しく涼亮はローラの目を正面から見て、一息に言った。
姫草「なら、そらちゃんのことを考えてがんばりましょ」
涼亮「でも、治るまで何日もかかるから、すぐ会いたい。この間、変な風に別れたし。ねえ、ローラさん。なんとか会えないかなあ?」
姫草「そうねえ。でも、みんなには内緒にしなくっちゃいけないのよね」
涼亮「ローラさん、内緒にしてくれるの?ありがとう。明日の午前中ならお母さんは仕事だし、病院には来ないよ」
姫草「わかったわ。そらちゃんにも、そう言っておくから」
で、次の日―――
姫草ローラのお膳立てどおりというか、二人で相談した結果と言うか、久しぶりに病院の裏手にある林の中の小道と小川が交わる橋の下、頭令そらと片平涼亮は再会した。ビニールシートをそらが敷いているので、まるでママゴトのよう。
涼亮「今日はお母さんが仕事だから、大丈夫だよ。この間は、ごめん」
そら「そう。別にいいよ」
涼亮「そうだよね!人になんて思われたって、関係ないよね」
涼亮、そらの隣にしゃがみこむ。雨が降ってきた。にわか雨だろうか。
そら「ロザリオ、雨降ってきたわよ」
クロムのロザリオ「天候操作は可能ですが、お二人の予測会談時間内に止むとの観測予報です」
口の中の声でしもべとそらが内緒話をしてると、涼亮もまごつきながら口を開いた。
涼亮「・・・・・・僕、死ぬんだって」
そら「いつ?」
涼亮「なんか、いろいろ、手術とか薬とか頑張ったら死なない可能性もあるって先生には言われたけど」
そら「じゃ、死なないんじゃん」
涼亮「でも、最近だるいし、下痢とかするし、あと、薬も増えて頭痛いし、もう、嫌だ」
そら「でも、頑張るためにあたしに会いに来たんでしょ。元気付けてって、ローラさんが言ってたよ。だからさ、今日はここで、前みたいにあそぼ。あたしね、涼亮君が好きな萬画家の本をね、集めてきたよ。元気出るよ。萌え萌えだよ」
萌え萬画を沢山鞄から出しながら、それ以上に萌え萌えな笑顔で、そらが微笑んであげた。むしろ、この微笑で元気が出るだろうという笑顔である。だが、
涼亮「もう頑張りたくないんだよっ!僕はさあああっ!ずっとっ!がんばってっ!いつもいつもがんばってるのに、どうして僕だけ何にもならないんだようぅ」
切れた。キモヲタ男子中学生がいきなり顔面から数種類の体液を噴きだしてわめき始めた。
涼亮「いつもだ!いっつもだ!みんな僕を馬鹿にしてるし。キモイとか暗いとか。バカなやつらがさ。僕が汚くて弱いから、どこに行ってもバカにされて。
勉強だけは出来たし、ずっと勉強してたのに、こんな病気で受験も出来なくなって、僕がやろうとしたら、いつも邪魔されるんだ。勉強も出来ないしッ。
勉強できたのだって、こう言うがっかりを味あわせるための罠だったんだ。
ああっクソーッ。
やりたいことは、いっつも先延ばしで、努力ばっかりさせられてッ。努力、努力、努力!もう嫌なんだよっ!」
涙がシートに落ちて、妙に渇いた音を立てた。
そら「・・・・・・そっか。そうなんだ。じゃあ、何にもしないでいいよ。あたしが、元気が出るようにしてあげるから」
そういうと、そらは隣の涼亮の背中をさすってやった。これで気が晴れて、おとなしく治療に集中してくれればいい。
涼亮「やっぱり、そらちゃんだけだよ。僕の話を、馬鹿にしたり怒ったりしないで聞いてくれたのは。そらちゃんって、僕のことが好きなんだろ?ぼ、ボクもそらちゃんが好きッ!ハアハア…!」
そら「そう、ありがと」
あいまいに相槌を打ちながら、涼亮の体液でベショベショになったニキビ面が、ぼってりした頬を歪ませて自分を凝視するを見た。看護婦をやってる時に、家族を急に亡くした人間が号泣するのを見たことはあったけど、男の子供が泣きながら笑うような、こういう顔を見るのは初めて。
涼亮「はあっ!そらちゃんみたいなおんなのこはどこにもいないよっ!そ、そらちゃんも僕と同じ、変態で、みんなにバカにされて、ぼくの気持ちわかってッくれるからッ。フぅーッ!
なあっ。僕の言ってること分かる?」
そら「うん。知ってるよ」
涼亮はそらを押し倒した。
涼亮「やっぱり、そらちゃんも!僕のこと分かってるよね。僕たち、同じだから!ねえ。そらちゃんも、こうしたかったんだろ?ぼくだって、ぼくだってねえ。ごほうびがほしいっ!」
涼亮は、全身をそらの体に押し付けて、その柔らかさを全身で味わった。なんという、なんという・・・・・・肌!肉!香!
涼亮の湿った息が、そらの頬を這う。
そら「ちょっと、何?顔が近いよ!」
雨が降って、その声は外の社会には届かない。
涼亮「二人だけのひみつだよ。でも、そらちゃんはみんなに馬鹿にされてるから、人に言っても同じだよね」
彼の人生で、はじめて人の優位に立った。
涼亮「そらちゃんにセックスを教えたのは、僕なんだから」
初めて言うサディスティックなセリフと、童貞を捨てる予感に興奮が高まる。非力な14歳の少年が、か弱い11歳の少女の手首を握り、足をからめて圧し掛かり、顎で少女の肩を押さえつける。
互いに、逃げようと、捕まえようとし合って体をくねらせるのが、涼亮をさらに高ぶらせて行った。死の恐怖から逃れるには、こうしなければ、と本能が叫ぶ。ビニールシートがめくれて、二人の体が地面に転がる。
濡らせるため、涼亮は右手でそらの両手首を抑えながら、左の掌をなめて、唾液を塗りたくる。臭い!
そら「レイ!重い!どけて!」
涼亮「はーっ!はぁっ。誰も来ないよ。ちゃんとっローラさんが誰も来ないように」
レイ「そら様が重いと仰っています。どけます」
涼亮のレイプは三秒天下だった。
ロザリオからの信号でそらを観察していたレイが、涼亮の後にテレポートし、彼をヒョイとつまんで回れ右をし、自分を挟んでそらの反対側に、涼亮をポンと置いた。長身に真っ黒いコートをまとったレイのサングラスが涼亮を威圧した、ように見えた。
涼亮「うわっ、、うわあああああああああああああああっ」
涼亮は逃げた。ズボンのチャックからちっちゃなおチンチンをぶらぶらさせながら、小川の浅い水をけり、飛沫を上げて消えていった。
そら「遅い」
起き上がり、ソニックシャワーを発するロザリオを振り回して体についた泥を落としながら、そらはレイに文句を垂れる。
レイ「報告します。片平涼亮の行為の調査および判断に12秒。そら様が不快だという事が判明した後、実行方法の検討に1秒。テレポートが気付かれない座標の選定に1秒、転送に0.5秒、使用しました」
そら「あんた、セックスのことも知らないの」
レイ「性行為は成体のオスとメスによって行なわれます。そら様は子供です。生殖能力はありません。性行為ではありません」
そら「ドアホ!入れるだけならできるんじゃないの。子供を作らなくっても、そういうことをしたかったのよ」
イライラしたそらは、レイの差し出した傘を持って涼亮が逃げたのとは反対方向に歩き出した。
レイ「そら様に対して性的欲求を抱く者がいると、了解しました。しかし、そら様は片平涼亮のしたいことをさせたかったのではないですか?」
そらの後から雨がかからないように傘の下にバリアを張りつつ、レイが質問をした。ロボットの体に宿った微小宇宙人群体は地球人の性欲にさらされるようになったそらを護衛するルールを作らなければいけないので、そらの意見を公聴するのだ。
そら「あたしがしたくなかったのっ!あの子があんな事をするなんて、思わなかった。だいたい、私が怪我をしたらどうするつもりだったのよ!」
レイ「そら様の体が損傷する可能性が確定すれば、バリアによる自動排除が実行されました。ですが、人間型のレイによる介入の方が地球人に疑念を生じさせないと判断しました」。
そら「ほんと、お兄ちゃん以外の人って本当に最低!死ねばいいのに!」
レイ「今回の反省を踏まえ、護衛方法の改善を検討します」
そら「そうよ!あんたがちゃんとしたらいいのっ!もぅっ!うっとおしいなっ!
ったくっ。ローラが出勤する時間まで、ちょっとお兄ちゃんと一緒に寝る。ベッドを大きくできるでしょ」
完璧に不愉快なそらは、兄で体の口直しをしようと決めた。
病棟に入ろうとすると、入り口で数人の医師、看護士が騒いでいるのが見えた。彼らが囲むストレッチャーには、ずぶぬれの涼亮。
そら「忘れてた」
薬物療法で抵抗力が落ちている所に、川に浸かって恐怖に叫びながら全力疾走し、雨の中で倒れ、肺炎を起こしたらしい。たまたま林の隣の駐車場にいた人が、叫び声を聞いて見つけたそうだ。
そら「りょうすけ君!」
さすがに、多少の責任感は感じたのか、涼亮に駆け寄った。涼亮の顔は真っ赤で、雨だけじゃない、油汗にも濡れていた。
涼亮「・・・・・・うううぅ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・…ゲホーッゴヒューッゴゥッ」
看護士「そらちゃん、ちょっとどいて!」
そのまま涼亮は運ばれて、エレベーターに乗せられていった。
そら「レイ。涼亮君、死ぬかな?」
レイ「そのようです」
病棟に入ったロビーで涼亮を見送ってから、そらはレイを見上げて問うた。レイはスキャンした結果を伝えた。
そら「やっぱり、あたしたちのせい?」
レイ「違います。我々はそら様の傷害の危険性がありながら、片平涼亮の安全性を考慮し、レイによる介入を行ないました。病状の悪化を招いたのは、片平涼亮自身の判断です。我々の責任ではありません」
そら「治せないの?」
レイ「そら様。我々は姫草ローラの治療の補助は行ないますが。その他の条件で患者が死亡する場合には介入行動を行なっていません。今回、片平涼亮を蘇生させた場合、我々は全地球人を延命させるため介入行動をしなくてはならなくなります。
しかし、我々が地球にいるのは、そら様とグダ様に対する責任を果たすためです」
そら「そうか。私のせいじゃないの」
レイ「はい」
そう結論したので、あらためて兄の病室に向う。その途中の廊下で、そらがまた口を開いた。珍しく、神妙な顔で。
そら「でも、ちょっとかわいそうだよね」
レイ「片平涼亮はそら様に敵対行動をしました」
そら「そうだけど、あたしも、頑張ってるのに何にももらえないって言う気持ち、分かるよ。何にもないまま終わりって、嫌だよ」
レイ「そら様はおやさしい。では、片平涼亮に対して性行為をするのですか?しかし、片平涼亮の現状では、」
そら「セックスはダメ。だけど・・・・・・キス、くらいなら、さ。
……決めたッ!キスする!」
いきなり、決定し、頭令そらは廊下を走り出した!
レイ「そら様!片平涼亮のいる所は違います。そちらはグダ様の」
そらは、兄のいるイの一号室に飛び込んだ。
そら「お兄ちゃんッ!!!あのねっ。いきなりだけど、あたし、キスしなきゃいけなくなったのッ!
ゴメンね!本当のファーストキスは、お兄ちゃんにあげたい!だけど、涼亮君が、死ぬから。
お兄ちゃん、あたし、あたしね。お兄ちゃんの事が好きなの!他の誰よりも!
さっき、分かった。お兄ちゃん以外の人には抱かれたくない。お兄ちゃんじゃないと嫌なの。だけど、だけどね、お兄ちゃんがずっと寝てるから、だから、あたしもお兄ちゃんにキスできなくて、こ、告白も出来なかったッ。だって、聞いてくれないんだもんッ!」
叫びながら、そらはボロボロと泣き始めた。今日はいろんなことがあった。そらはもう、わけがわからない。イの一号室と、病室の扉の前で待つレイ、ロザリオそして通信でつながったその他のしもべ達などの宇宙人100兆人が、兄の代わりにそらの告白を聞いた。
そら「だ、だから、お兄ちゃんが、目を覚ましてからって、思ってた。でも、でも、あたしもお兄ちゃんも死ぬかもしれないんだよっ。
だから言いますッ。
私は、お兄ちゃんの事を愛しています!
・・・・・・聞こえてるよね。お兄ちゃん。動けなくても、聞こえたよね。そうだよね!」
そして、兄を守るイの一号室が抵抗するヒマもなく、兄の顔を保護していたヘッドギアを外し、兄の唇を奪った!お互い初めてのキス。そらは兄の乾いた舌を舐めた。味なんかわからない。
そのまま、そらは夢を見た。
Jack IN
2003/06/21
Jack OUT
そら「うふ。うふふふ。ウハ八ハハハハハハッ!ありがとうお兄ちゃん!
そのお兄ちゃんの夢に出てきた親戚の女の人って、あたしの事だよね!お兄ちゃんも、あたしと、したいんだよね!そうだよねっ!
あたし、きっと素敵な美女になるから!
やったぁ!6月21日は、ファーストキス記念日ッ!きゃはーっ♥」
頭令そらはキスの幸せ、そして、兄が自分に関係しているような夢を見たかもしれない喜びに、大爆笑して飛び跳ねた。
そら「じゃ、お兄ちゃんッ!ちょっと行ってくるねっ!」
イの一号室の宇宙人がヘッドギアを装着しなおしている兄に向って、そらは手を振ると病室を飛び出した。
レイ「そら様、どうするのですか」
そら「ファーストキスは済ませたッ!これで、誰とキスしても良くなった!だから涼亮君にもキスをしてあげる。そしたら、生き返るかも。行くよッ!」
レイ「さすがそら様です。了解しました」
しかし、涼亮はキスできなかった。そらは涼亮の病室までは来たのだが、そらが夢を見ている間に呼び出されていた片平の両親が涼亮に付き添い、病室に押しかけたそらを追い返したのだ。
混乱し、悲しみ、怒り、そらを罵る母親と、それに怒鳴り返す父親の声を聞きながら、片平涼亮は事切れた。
数日後
Jack IN
2003/06/24
2003/06/30
Jack OUT
そら「やっぱり、浮気は出来ないんだよねー。えへへへ。そういう運命なんだよね。えへへへへへへっ。おにいちゃーん♡」
幻視小説「夢兄妹寝物語」全目次 - 玖足手帖-アニメ&創作-
前回
創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年5月 第5話 [ナース演じ得る 姫草ローラ 地獄] - 玖足手帖-アニメ&創作-
次回
創作幻視小説版「夢兄妹寝物語」 2003年7月 第7話 第1節 - 玖足手帖-アニメ&創作-
次回予告
24時間テレビジョンで、
「徳光さん、私と付き合ってください!」
「リン・ミンメイさんッ!喜んで!!」
その様子を見てしまったミンメイの友人
そらも実は徳光が大好きだったのだ!
そしてミンメイとそらの
徳光をめぐる争いが始まった!!
しかし徳光は
そんな二人の前から姿を消して・・・!?
次回『そらの愛は地球を救う』
http://kairuna.hp.infoseek.co.jp/Ikinari.html
(こちらをやや改変しました)
今回の出演は
- 頭令そら(ZURYOU Sora)(11歳)
脳内妹。
主人公。
主人公であり、最高の価値を持つそらを誰もが求めるが、そら自身は誰も顧みず、自分が求める兄だけを求めつづける。
兄に向けては、「えへへ♥」と笑い、他人に対しては「わはははは」と笑う。
- 姫草ローラ(ひめくさ ろーら)
バイト看護婦。そらが宇宙人の力で変身した姿。医療技術を勉強し、兄を覚醒させる資料を収集する事が目的。
- 頭令倶雫(ZURYOU Guda)(21歳)
作者兼、男メインヒロイン。
特に何かが優れているわけでもなく、最底辺の植物人間だが、ヒロインなので主人公に好かれる。
簡単にくっついたら話が終わるので、朴念仁で人の好意に気がつかない、どころか植物。
夢を見るしか能がない。
その夢は、違う世界を映している。
現実と関係があるのかは不明だが。そらは都合のいい解釈をする。夢とはそういうものだ。
- レイ(0)
最初のしもべ。素体はロボット。
宇宙人。そらをものすごく甘やかす。
-
- 宍戸隷司(0.2)
レイが人間に変装している、そらの保護者兼執事。いつも死体の皮を被ってついてくるのがうっとおしいので、遠くに待機させられる事もあるが、そらのピンチには、クロムのロザリオの作るワームホールを通って現れて守る。
地球人には知的障害の老人だと思われている。
- イの一号室(1)
1番目のしもべ。兄が入院している病室。
- クロムのロザリオ(6)
6番目のしもべ。素体はロザリオ。
そらの側近。直接警護やそらの変身などの他に他のしもべとの連絡や連携も担当。
- 片平涼亮(かたひら りょうすけ)
キモヲタ中学生。享年14歳。
モデルは僕です。そらのことを好きになるやつはキモイ変質者の気違いだけです。趣味は覚えたてオナニー。
- 片平の両親
片平の親。気の毒。
- 看護士、医師
病院の従業員
でした。(森本レオ)
あとがき
あと、小説って言うよりト書きと絵コンテの間って言う感じが、非常にアレです。
ですが、萬画ではなく小説の武器は速度なので、マッハで書き逃げたいです。しかし、材料が自分の人生の貧相な冷蔵庫なので、いろいろと苦しいです。
うーん。うーん。
他のアニメ夜映画の感想も書かないようにして、これだけやりまっしょい!
時間をかけたらもっと丁寧に、絵もかけるし歌も自作のボーかロイドでできるでしょうが、時間を書けるとやらない性格だから一気です。
いろいろと不完成ですけど。
っていうか、一話も一気に書くので、終盤に体力的物理的に息切れして毎回終盤の描写がどうでも良くなっていくのが、もう、あれです。悪い癖です。
乙女の感想♡
妹「ファーストキスって大事な思いでなのよねっ☆」