玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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君のいる町第2話「桜の咲く頃」おジャ魔女どれみ16的な

テレビアニメなのに劇場版みたいな演出の張りつめたテンションの高さ。

山内重保劇場版と言えばも〜っと!おジャ魔女どれみカエル石のひみつ。
都会から田舎からに来た少女という構成はカエル石のひみつですねー。カエル石のひみつは劇場版だけど30分の掌編なので。君町では、毎週そういう20分の劇場映画の連作を見るという感じになるのだろうか。

も~っと!おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ [DVD]

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自然あふれる背景の感じ、桜の花びらの使い方、水彩画やイメージカットや照明の工夫の美しさなど、劇場版ですね。
というか、音楽がカエル石もやったおジャ魔女シリーズの奥慶一さんなので、本当におジャ魔女です。
奥さんは夢喰いメリーもやってたけど。キャシャーンSinsはやってない。
そういうわけで、照明や画面や展開の構成も含めて、水彩画の使い方とかもおジャ魔女どれみっぽさが感じる。コメディーシーンとロマンチックなシーンの転換に音楽もとてもいい効果を出してる。20分の劇場作品として音楽的な流れを感じさせてくれている。
声優の演技の声色の強弱も、キャラの表情の動きの変化も、色彩の流れも、止め絵も、音楽的で一続きの曲を構成するもののように感じられる。
水彩画のハーモニーの使い方も良い句読点になってる。いや、でも、それは原作のカラーページでヒロインの表情を出すのと共通していて、そこをさらに膨らませた感じの水彩画ともいえる。


しかし、原作はちょっとエッチな少年マガジンのラブコメなので、パンチラとかお風呂シーンがある。
おジャ魔女たちが高校生になって恋愛の生っぽい情動に突き動かされるような、思春期のおジャ魔女どれみ16っぽいもののように感じるなあ。

おジャ魔女どれみ16 (講談社ラノベ文庫)

おジャ魔女どれみ16 (講談社ラノベ文庫)

なんだが、おジャ魔女どれみ的な健全性の延長にある品のいい演出とコメディ、山内重保の女体のクローズアップを好むフェチシズムなどがあって、単なる美少女エロにとどまらない、妙なバランスのエロスを感じる叙情的映画になっている。
思春期のエロスや心情の揺れ、コメディ的なバカバカしさと内向的な詩的感覚、そういうのがないまぜになって、単なるラブストーリーやらエロコメに留まらない緊迫感のある独特のアニメになっている。
美少女アニメキャラの架空で都合のいいエロコメでなく、肉感と精神を感じさせる多重的なものになってる。
だけど、ムチムチ肉感的なわけでもなく、西位輝実さんのキャラクターデザインはすらっとしていて清潔感がある。キャシャーンSins的なスマートさもあるし。
原作だと「ドロドロの恋愛模様になっても、エロサービスシーンがあるから安心してコミックとして楽しめる」と言うものだそうだが、山内重保はサービスシーンがサービスと言うより肉感とか心理の動きのドラマにつながってるので、映画的だし、原作と山内要素がぶつかり合って何か新しいものが生まれそうな謎の期待感が。


こういう、恋愛美少女アニメなのに心理描写を重んじる、っていう作風だとtrue tearsが重要なんですがttは私は見てないんですよね。うーん。皆がほめてるから見ておくべきですねえ。
ホワイトアルバム水樹奈々様の歌が本当によかった。あと色彩。


2話ラストでわがままな美少女メインヒロイン柚希が主人公男子青大のあこがれの幼馴染女子の神咲七海に気を使ってるっていうことがわかるのが印象的でした。で、そういう風に明るくわがままな美少女という外面しか見えてなかった主人公が、彼女の内面の、他の女の子とか他人をすごく気にするっていう部分を見て、気づいて、っていう。
で、青大は大胆で奔放な柚希に早速振り回される、っていうだけの認識から、柚希が神咲七海と青大が話せるように気を遣ってくれたんだーって感動して、逆にそこから恋心が芽生えてーっていうのが。
ラブストーリーじゃのう。
たくさんヒロインがいるので、それがどう絡んでいくのか、かなり複雑な話になりそうで、しかもそれが山内監督の演出と合わさって、どうなることか本当にヤバい。全部で何話なんですかね。最近だと1クールがスタンダートだけども。原作は長いしキャラも多いし。


でも、1,2話を見る限り、引っ越しとか3,4人のキャラクターとの出会いとか数か所の移動とか見せ場も多い。20分に結構圧縮して、劇場版みたいな張りつめたテンションの高い演出で密度が高い。
だから1クールでも結構ストーリーをたくさんできるかもしれん。20分ずつの映画だけど、全体としても1つの映画になる、っという感じだと神作品になりそう。
最後まで絵コンテのテンションがダレないことを祈ります。
同じ原作者の涼風は2クールかぁ。映らなかったから見てないんだよなあ。


キャシャーンSins夢喰いメリーはすごい好きだけど、終盤は伏線や謎を消化するために力を振ってしまって、演出芸だけに力を入れられず失速したというのは否めない。山内重保さんは演出家だからなあ。
このラブストーリーは大して謎やミステリ要素が多くない普通の高校生の話だと思うので、心情演出に集中していい作品になるといいな。でもキャラは結構多い。一人一人のキャラを大事にしてにエネルギーを注いでいく山内重保監督が後半だれたらやだなー。
どうなるか、本当に緊迫する。もっと気楽に見るべきなんだろうが…。


日常を丁寧に描いた映画なんだが、演出のおかげで全然ダレないと言うか、逆に緊迫感と期待感と感動がある。
風立ちぬは日常に興味のない宮崎駿監督が飛行シーンを微妙に封じて日常を描こうとして長くてダレた映画になってた。でも、やっぱり日常系でも演出をガンガンしていったらハイテンションの緊張感が楽しめるよなあ。

うたかた

うたかた


エンディングは手振れが多い実写映像よりは、毎回アニメ本編の終盤にかぶせて鑢七花が歌った方がいいと思う。絵の方がきれいだし。


あと、初音ミク藤田咲さんがメインヒロインの妹役で、キャシャーンSinsのヒロインの妹ロボみたいでよかったと思う。