玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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機動戦士クロスボーン・ガンダム LOVE&PIECE 第1巻感想

機動戦士クロスボーン・ガンダム LOVE&PIECE(1) (角川コミックス・エース)
 発売日より2日前にフラゲしたけど、なんやかんや忙しくて(主に衣替えや家電の修理などの家事)昨晩読み終わった。


 普通に面白かった。


 そう、普通に面白かった萬画には特に感想を書くことがないのである!


 ここ数日、ずっと水星の魔女の最終回についての文句が最新記事だったので、それは申し訳ないのだが。面白いガンダムは、「あー、面白かった」で済む。別に富野監督との思想の違いがどうこうとか倫理観がどうのこうのとか最近の若者は~とかにはならない。(長谷川裕一先生も結構な大ベテランだし、そもそもマップスで一定以上の地位を築いているので)


 確かにね、「スカルハートのガンダムエースの不定期連載とか、ゴーストの時点で蛇足だったのに、まだクロスボーン・ガンダムを描いてるのかよ」みたいな不評もあるところにはあると思うのだけど。


 オリジナル新作のマン・バイトを長谷川裕一先生は描いているので、クロスボーン・ガンダムの自己スピンオフくらいは許容の範疇かと。(ちなみに最近ブログを更新してなかった一因としてマン・バイトを売ってる本屋が少なくて、探した末に結局ネット通販で購入したというのが…。えっ?クロスボーン・ガンダムと同じペースで刊行するんじゃなくて、第4巻は7月26日にさっそく出るんですか?)


 基本的に紙の本を買いたいけど、電子書籍の方が探す手間が少ないってのはある…。アイドルマスターシンデレラガールズU149とか…。


 というか、ガンダムエースのスピンオフ漫画って割と年表の隙間を埋めるって感じが多いのだけど。


 初代機動戦士クロスボーン・ガンダムの後、富野由悠季監督の原作を離れた長谷川裕一先生は「オフィシャルではございませんぞ」という自戒と宣言をしているので、宇宙世紀の解釈が富野監督と違っても「宇宙世紀という時代を描いた時代劇漫画なので、富野監督と作風が変わっても別にいい」という感じ。


 今回のLOVE&PIECEも、まあ、愛は普遍的なテーマとして、キャラクターをパズルのピースのようにはめたり、新キャラも含めて組み合わせを変えてみたり、という実験的作風でもある。


 ただ、ガンダムエースのスピンオフ漫画では基本的にアニメのガンダムに登場したキャラクターをパズルのピースのように組み替えて年表を埋めたりするわけだが。
 長谷川裕一先生の場合は逆襲のギガンティスからクロスボーン・ガンダムサーガが長く続いて、その当事者であるので、借り物のキャラクターではなく、「自分が何十年も関わっていたキャラクターの組み合わせをアレンジしてみる」という高等テク。ジュドー・アーシタと木星じいさんは同じ人物だが、アニメと書籍の中では作者が違うので別の人物のような気がする。(イボルブもあるけど)


 まあ、キャラクターをパズルのピースのように組み替えて愛の色合いを変化させてスピンオフ萬画にするのも、まあ、それはどうなの?という気もするけど、長谷川裕一先生はそこら辺のガンダムのオタクよりもよっぽどガンダムのオタクなので。
 というか、クロスボーン・ガンダムサーガがあまりにも長いんで長谷川裕一先生にとっては自分が造り上げて、他の人よりも誰よりも理解している自分のキャラクターを組み合わせていく、というのが今回の作品なので。本人がそう思っているんなら、そうなんだろって。そこに異論は差し挟めない。


 もちろん、長谷川裕一先生の作品らしく、宇宙世紀や宇宙戦国時代に関わるシリアスなシチュエーションでありつつも、マンガとしてはコメディーやドッキリやハッタリを利かせた格好良さもちりばめていて、硬軟のバランスがいい。


 また、キャラクターの組み合わせの化学反応でありつつ、同時にこれまでの作品で描かれなかった各キャラクターの描きなおしでもある。カラス先生が何でああいう思想になっていたのか、木星じいさんと木星帝国との距離感とか、アーノルドやカグヤの別の一面を描いたり。



 ただ、やっぱり「オフィシャルではありませんぞ」だし、木星ヘリウム船団やキュクロープスがその後どうなるのかって言うところはハッキリとは描かないで読者の想像のままに任せている部分もあり、決めつけすぎない距離感の注意深さを感じる。



 それと、これはあまり一般的な感覚ではないのかもしれないけど、「作家」という人種は「思いついたアイディアを描かないではすませたくない」というのがあると思う。30年くらいクロスボーン・ガンダムサーガをやってきた長谷川裕一先生としても、脳内でキャラクターが勝手に動くというか、「このキャラクターがこうしている時に、同時にいるあのキャラクターはどうなってるのか?」みたいなアイディアは湧いてきてしまうと思うので。


 なので、「いつまでクロスボーン・ガンダムやってるんだよ」という批判もごもっともなんだけど、でも思いついてしまったアイディアを書きたいって言うのも作家なんだし。それは仕方ないんじゃない?(一応原稿を落としてないようだし・・・。手塚治虫先生はアイディアが多すぎて掛け持ちが多すぎた気が…)


 それに、ベテラン萬画家として、「これくらいのアイディアならページ数を稼がなくてもサクッとまとめられる」という余裕すら感じられた。若手漫画家はアイディアを出すのも、まとめるのも苦労しそうだけど、長谷川裕一先生くらいのキャリアになると「思い付きを描いてまとめる」くらいで充分、エンターテインメントになる。



 そういうわけで、既存のキャラクターをパズルのピースのように組み替えなおして新しい話を作るって言う実験作品短編集でありつつ、そのパズルなるものをテーマにした話もあり、なかなか技巧が凝らされていて旨いなあと思うし、ちゃんと面白いのでよかったです。

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↑グダちん用


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