玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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ゴッドバード(長谷川裕一) 第一部

一気に読んだ。
おもしろかった!


これはいわゆるスーパーロボット大戦的なコミック作品です。勇者ライディーン35周年記念企画と言うことらしい。

ゴッドバード? (CR COMICS)

ゴッドバード? (CR COMICS)

ゴッドバード? (CR COMICS)

ゴッドバード? (CR COMICS)

ゴッドバード? (CR COMICS)

ゴッドバード? (CR COMICS)

1975年に放送終了した勇者ライディーンの35年後の2010年を舞台にした漫画で、ライディーンにムーの血を引く21世紀の女子中学生の囀晶(さえずり・あきら)が、ひびき洸の代わりにライディーンに乗って、復活したバラオやプリンス・シャーキンと戦う、というストーリー。
また、ライディーンの後に放送された超電磁ロボ コン・バトラーV超電磁マシーン ボルテスV闘将ダイモスなどの長浜ロマンロボット三部作、超電磁マシーンシリーズもスーパーロボット大戦のように参戦している。なんかウラシマ効果とかのせいで。
また、妖魔大帝バラオはプリンス・シャーキン以外にも、魔術で長浜ロマンシリーズの市川治美形悪役の大将軍ガルーダ、プリンス・ハイネル、提督リヒテルを復活させて操っている。
そこに、超合金ブラック・ライディーンをモチーフにした月のライディーンや、浮上するムー大陸、ムートロンの真のライディーンの剣と楯、等の新しいアイテムが出る。ストーリー的にもシャーキンとムー帝国との因縁の暴露や、ライバルたちとヒーローの決着などなど、様々な要素が絡み合っている。
超合金魂 GX-41B ブラックライディーン

超合金魂 GX-41B ブラックライディーン


スパロボ世代的には、とても美味しい所取りな布陣である。
僕はスパロボ世代ではなく、ぎりぎり2歳頃に再放送でダイモスを見ていた程度なのだが。
勇者ライディーン富野喜幸作品と言うことで、先日見終わった。コン・バトラーVスーパーロボット大戦Fでチラッと知ってる。他は知らない。
だけど、上手く要素を抽出してあるので、ボルテスVダイモスを見てなくても楽しめました。
やはり、ゴッドバードの名前を冠しているので、最終的に勇者ライディーンのストーリーに集約して行った。だから、勇者ライディーンをちょっと前まで見ていたから、すんなり楽しめた。

超電磁大戦 ビクトリーファイブ? (CR COMICS)

超電磁大戦 ビクトリーファイブ? (CR COMICS)

超電磁大戦 ビクトリーファイブ? (CR COMICS)

超電磁大戦 ビクトリーファイブ? (CR COMICS)


また、やはり長谷川裕一先生はこういうコミカライズが上手い。機動戦士ガンダム伝説巨神イデオン逆襲のギガンティスや、機動戦士Vガンダム外伝など、名作を書いた人だ。コミカライズなんだけど、長谷川先生独自のネタやストーリーテリング、原作好きの見たいものを入れ込むオタク心への理解(というか長谷川先生自身がオタクの当事者だ)が上手い。

機動戦士Vガンダム外伝 (角川コミックス・エース)

機動戦士Vガンダム外伝 (角川コミックス・エース)

で、このマンガは4つのスーパーロボットアニメを題材にしているし、メインキャラクターも多い。しかもほとんどスーパーロボットのパイロットとライバルばかりなので、似たようなキャラばかりである。ストーリーもほとんど一本軸で、バラオがムー大陸を浮上させて地球を滅亡させようとしたから退治する、と言うだけだ。
だから、マンガ構成力が低ければ冗長で退屈、わかりにくい、山がない、と言う風になりそうなものだ。
だが、似たようなキャラクターの台詞や登場シーンを巧妙に入れ替えたり、シーンのつなぎを工夫して、上手く緩急を出している。非常に楽しめた。
また、バラオを退治するだけの話なのだが、ムートロンの神秘やシャーキンの血縁や、ライバルキャラの心理や、ひびき洸の復活ドラマやマリの失踪など、ミステリ的な謎解き要素や心理描写も入っている。これをちょっとずつ小出しにしていくことで、3巻分のマンガが非常にいいリズムになっている。
ずっと戦闘ばかりしているような話なのだけど、要所要所で会話とか人情っぽさを入れて、戦闘のテンションと精神的なテンションのバランスをうまく保っている。匠の技と言わざるを得ない!
ストーリーの上手さとしてはスパロボよりも絶対的に上だ。
「復活したキャラに、こんなことを言って欲しい」と「復活したら、こんなことを言いそう」のバランスが上手いのだ。
願望だけでも、予想だけでもつまらないのだが、それをうまく使っている。


それでねえ、ネタバレは避けるけど、やっぱり機動戦士クロスボーンガンダム長谷川裕一先生と言うことで、とても少年マンガとしてさわやかな読後感なんだよねえ。良いねえ。
富野作品と長浜忠夫監督作品で、辻真先脚本や五武冬史脚本だったり、非常にアクの強い原作だし、その濃い所も上手く拾っているんだけど、全体的にはジュブナイルとしてまとめていて、主人公の囀晶ちゃんがとても健全なので、爽やかな印象でまとまっている。
洸と晶の関係は、ほとんどクロスボーンガンダムのキンケドゥ・ナウとトビア・アロナクスの先輩後輩関係と同じような感じで、とても長谷川っぽい雰囲気になっている。シャーキンはギリのような感じ?


で、オタク的なエンターテインメントや、スーパーロボットバトルの楽しさも上手い長谷川先生だが、同時に人の心の矛盾や、それを内包した大らかさを描くことにも定評のある長谷川先生である。
今回も、ひびき洸のスーパーヒーローとしての部分と一人の男としての部分、桜野マリの女らしさ、成長した荒磯の洸への友情と後悔、囀晶のちょっとした初恋と淡い失恋、などなど、人間的な深みがとてもいい。勇者ライディーンの終盤で物語をひっかきまわした王女レムリアはこのマンガでは回想シーンにしか登場しないが、彼女の血縁のややこしさもキチンと取り入れている。ひびき洸の母である王女レムリアと、その父皇帝ラ・ムーの人間的な業が悪を産んだ一因になっている、という富野作品的な善悪の分かち難さを描いている。
特にすごかったのは、プリンス・シャーキンたち、美形ライバルたちのねじれた心の解放がラストの鍵になっている所で、そういう悪の心も否定しないで人間的な営みとして肯定する長谷川イズムがとても良いと思った!


こういう大らかさは、富野監督には出せない味なんだよなあ。富野監督はちょっと偏狭な所があるから・・・。富野監督にも宇宙や精神世界に飛び出す感じの大らかさ(ガンダムダンバイン)や、長大な歴史に身をゆだねる諦めに似た大らかさ(イデオンVガンダム∀ガンダムのラストなど)はあるんだけどね。ちょっと富野監督とはベクトルが違う。
まあ、富野監督や長浜監督の原作のややこしいライバルキャラと言う元の素材があってこそ、という所でもあるんだが。


また、プリンス・シャーキンがシャア・アズナブルのモデルだった、という小ネタも挟んでいるんだけど、それはそれで単なるネタにとどまらず、シャーキンの人間らしさというドラマ性にもなっていて良い。
主人公の家族の設定もご都合主義ではなく、ちゃんとドラマチックさに改宗されていて、本当に構成に感服した。


絵柄が問題視されることの多い長谷川先生だが、必殺技を放つ所などの構図の躍動感は素晴らしいものがあった。絵の迫力があった。やっぱり、スーパーロボットスーパーロボットのカッコよさがあるよなあ。うん。うん。
長谷川先生は分かってる。


私は勇者ライディーンの最終回の感想で、「ムートロンは原子力エネルギーのメタファーなのではないか」
勇者ライディーン第49、50話 映像の原則で読み解く災厄後の最終回 - 玖足手帖-アニメ&創作-
と、書いた。1975年のライディーンの最終回では、ムートロンの平和利用は原子力の平和利用を描いたのでは、と思った。
このゴッドバードは35年後の勇者ライディーンの続編と言うことで、洸の戦後の平和維持活動も描かれていたのだが、バラオの復活やビクトリーファイブとの関係で、戦闘がメインになってしまい、洸たちが地道な活動はしていない。そこはちょっと残念だ。ただ、ビクトリーファイブの超電磁チームたちが冷戦後の平和維持活動をしていた、というメタファーは上手い。
また、超古代オカルト精神的エネルギームートロンが核エネルギーのような感じで、新たなバラオの攻撃に利用されたり、津波が襲ったりするのはちょうどこのマンガが連載中に起きた東日本大震災と福島原子力発電所の爆発事故などを、それなりに取り入れた感じだ。
悪魔のバラオがムートロンを扱えないので、人間たちに使わせて地球を滅ぼそうとするのだが、それも「核エネルギーを使うのは人間」「人間は悪魔にそそのかされている」というメッセージ性を感じさせる。
ただ、ムートロン事件を解決するやり方は、ちょっとスーパーヒーローの精神性に頼り過ぎで、一気に終わってしまったので地道な原子力の平和利用と言う感じでは無かった。そこは残念。だが、まあ、スーパーロボットマンガとしてはこっちの路線の方が正しかったのかもしれん。
勇者ライディーンの最終回はちょっと富野的な原子力思想が出ちゃって、スーパーロボット的なエンターテインメントからは外れてるしなあ。まあ、富野監督は王道は書けない人で、長谷川先生は王道なので、そういう相違点はある。
現実の原子力事故の終息はもっと地味に超長期間でやっていかないといけないんで、あんまりドラマ的に盛り上がるものではないとは思う。


ただ、バラオが実体のない悪魔として描かれているのは、勇者ライディーンの前半の富野パートの神秘主義へのリスペクトだと感じたし、そこは良い。
バラオの悪魔的な誘惑は、魔法少女まどか☆マギカのキュゥべぇに近い所もある。そこは今日的な雰囲気をまとってるなあー。バラオが人の悪意を餌にしているというのは、プリキュアシリーズの悪役に近くもアリ。それに対するシャーキン達のドラマがナイスであった。
超エネルギームートロンを持っていたムー帝国が滅んだのは、エネルギー技術はあっても悪魔に付け込まれて失敗する人間の心の問題だ、というトミノらしい解釈もできる。まあ、その悪魔に実態を与えると責任転嫁っぽい気はしなくもないんだが・・・。絶対悪の悪役がいた方が王道ヒーロー漫画になるしなあ。



というわけで、長谷川裕一先生らしく、原作の濃い所を、長谷川流に取捨選択して、再構成、再演出して上手くまとめた王道萬画作品だということである。


しかし、これ、第一部完ということ。


え?これ?つづくの?
まとまってると思うけど・・・。まあ、3巻ってのは萬画としては短いかもしれないけど、ストーリー的には映画一本くらいの情報量でまとまってるじゃん。
どうすんの?
うーん。わからん。
超者ライディーンREIDEENに行くの?


神秘エネルギームートロンと付き合う人類とライディーンの戦後を描くドラマだと、地道で長い話になるし、そうするとあんまり長谷川作品っぽくなくなるし・・・。
新しい敵を出すのもちょっと微妙な気がするし。
わからん。
まあ、この3冊は面白かったし、ひびき洸が超カッコよかったので良かったと思います。



勇者ライディーン DVDメモリアルBOX(1)

勇者ライディーン DVDメモリアルBOX(1)


あと、やっぱりコン・バトラーたちメカニカルな超電磁マシーンと対比すると、ライディーンは神秘的で美麗なデザインでカッコいいなあ。
顔の両脇の水色のラインの流麗なラインがいいのだ。

スーパーロボット超合金 ライディーン

スーパーロボット超合金 ライディーン