玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。旧玖足手帖から記事・ブクマを引き継ぎました。


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∀ガンダム41戦いの決断42ターンX起動(アグリッパの魅力と家系について)

第41話「戦いの決断」
脚本・星山博之 絵コンテ・西森章 演出・西森章 作画監督佐久間信一
第42話「ターンX起動」
脚本・浅川美也 絵コンテ・奥田誠治 演出・南康宏 作監・しんぼたくろう/中田栄治
さて、今日こそは30分で、17時半までに書くぞ!
今回は、アグリッパ・メンテナー編ということでしょう。今まで、名前だけはたくさん出ていたが、全く印象に残らなかった黒幕、アグリッパ・メンテナーが初登場いたします。


あと、今回から、月の繭がエンディングです。理屈をぶっ飛ばした美しさで、ディアナ様の宇宙的神々しさに圧倒されます。というか、そんなにディアナが好きか!製作者は!
CENTURY COLORは、インディーズバンドがアニソンでブレイクという流れにガンダムまでが乗ったと思いましたね。しかし、井荻麟作詞でもある。
そして、ターンエーとターンXとバンデットが編隊飛行をしている絵を見て、ぜったいターンXとバンデットは味方になると思い、ならなかったので、変な感覚がした。
まあ、Zガンダムではハイザックリック・ディアスが仲良く飛んでいるから、そんなもんなんだろう。


今回はアグリッパ・メンテナーを中心にして書く。
アグリッパ・メンテナーの事は、放送当時は、なんだか微妙な印象だった。よくわからなかった。
というのは、今までアグリッパの名前だけは序盤からたくさん出ていたが、顔も声も一切出なかった。アニメ作品として、それでは全く印象に残っていなかった。
そして、今回の初登場では、グレンとリリが交渉に出向いたところでの登場であるが、黒幕の登場と云った盛り上がりではない。しかも、リリとグエンはアニメ本編で会う前に事前交渉ですでに顔を合わせているので、初対面ではない。
視聴者から見ては、なんとなくいつの間にか登場した、なんだか小物っぽい悪役、という印象になってしまう。どうかなあ。
富野アニメはファンから見ても微妙に不親切なところがある。その分ドラマを圧縮してるんだろうが。
黒幕だと思っていたのに、小物だった、という感覚を出すために、初登場のインパクトを小さくする演出意図かなあ。うーん・・・。本放送の時は、アグリッパという名前も覚えてなかったなあ。顔が出てないんだもん。
そこらへんは、機動戦士ガンダム00リボンズ・アルマークの登場の仕方のほうが、さりげなくてよかったかもしれん。リボンズは小物の人造人間でしかないのに、大物に見せようとする後半の処理は微妙だったが。


そんな風にあまり飲み込めていなかったアグリッパだが、10年ぶりに見ると、なかなかに面白い人物だったと思えてきた。
アグリッパって案外いい人なんじゃないかなあ。なにしろ、暗殺しようとしたディアナ・ソレル本人に「それはもう(使える人です。)実直すぎる人ですから」と、評されるのだから。
女王ディアナを暗殺しようとしたが、冬の宮殿の管理はキチンとしていたし、責任感は強い。
良い人じゃん。
ディアナを暗殺しようとしたり、ディアナがいなくなった後の月で戒厳令を敷いたのは、判りやすい「悪」

であるし、ロランにも「アグリッパと云う人に月を支配させたくない」と言われる。
だが、それも月の管理を平和裏に収めようとする方針としては、間違っていない。
ただ、アグリッパ・メンテナーという男の行動原理は理屈に偏っている。正にお役所思考なので、そこが現実との齟齬を起こしているのだな。
「現状」→「分析」→「目的」→「解決策」というのが、単純なのだ。
たとえば、
「ディアナが地球帰還作戦を行う現状」→「これでは人々に闘争本能が目覚めてしまうという分析」→「戦争を起こしてはいけないという目的」

解決策1「闘争本能に目覚め、地球に降りた人々やディアナは地球に取り残し、ディアナは抹殺する。ディアナを失ったディアナカウンターを瓦解させる」
解決策2「月に残った人の闘争本能を削ぐために、管理主義を徹底する。」
筋が通っている。


「地球との戦いによって、地球ではフィル、月ではギンガナムが闘争本能に目覚めた現状」→「月に攻め込みかねない分析」→「戦争を起こしてはいけないという目的」

解決策「暗殺を取りやめて、ディアナ・ソレルを回収して反乱を鎮める」
なるほど。


「地球で謎のモビルスーツが発掘された現状」→「それを解析しなくてはいけない目的」

解決策「ギンガナム隊を使って月のマウンテンサイクルを調べ、ターンエックスを復元する」


「解析の結果、ターンエーとターンエックスが古代文明を滅ぼした」→「戦争を起こしてはいけない」→「ターンXを使い、ターンAガンダムを取り押さえる。」

解決策「ギンガナムとロランに一騎打ちをさせる」


多分、一つ一つの事象に対する解決策としては悪くない判断なのだろう。が、全体的にまとめると泥縄。しかも、戦争を起こしてはいけないという目的、黒歴史に対する恐怖、人間の闘争本能に対する嫌悪が大きすぎ、行動が極端だ。
アグリッパ・メンテナーは300年前からディアナの地球帰還作戦に反対していた長命者である。そのような人だから、月の長期的で安定した管理には才能を発揮していたのだろう。


だが、地球帰還作戦、地球との紛争、ターンエーガンダムの復活、ターンコードによって暴かれた黒歴史の地球滅亡の真実、それらに共通する闘争本能という人間の本質、それをアグリッパ・メンテナーが一人で抱え込んで解決しなければならない、となれば、恐慌を来たして極端な政策を行うのも仕方ないような気がする。
一人で抱え込んで解決する、というのはロラン・セアック核兵器ターンエーガンダムの胸に抱えていたのと似ている。ギンガナムやウィル・ゲイムといったディアナの周りの男たちは、ロランが不幸になった形と見ることもできるが、アグリッパもまた、ロランに似ているのかもしれない。
あるいは、ロランは不幸な人と同じような状況になっても、なんとかする、っていうのが主人公様だからなのか。
アグリッパは不幸にして、ロランのようにターンエーガンダムという力を持たない。官僚であるから、自分で動くのではなく、暗殺者を差し向けたり、ギンガナムやターンエックスという他人を動かすことで目的を果たそうとする。結果、ギンガナムは暴走し、自身はミドガルドに殺される。
いや、ロランがターンエーという力を持っているのなら、アグリッパの政治権力も道具であり、それを使えなかったアグリッパの能力の問題だろうか?ターンエーも危険な道具だし。うむむ。


多分、アグリッパ自身はとてもまじめでストイックな官僚気質なのであろう。
だから、安定した管理を得意として、ディアナにも月を任された。
しかし、戦争がおこり、黒歴史を知り、闘争本能というものの恐ろしさを知ったとき、彼の真面目で、本能を抑圧する性格が、政治的行動や暗躍といった形になったのだろう。


面白いところは、彼は本能を抑圧しているが故に、ムッツリスケベでリリ・ボルジャーノを舐めまわすように見たり、リリ様と話すだけでご機嫌になってしまうという一面もある。
あー、判る、判るよ、そういうおっさんの気分。
微妙に親近感もわくのだ。
こういうのは、策士マ・クベが本質的には骨董オタクだったという感じでもあるねえ。
アグリッパの抑圧感覚と云うのは、彼の女性的な服装や物腰と結び付くのか?
アグリッピーナ・コンプレックスとの関連はあるだろーか?


しかし、女王ディアナやアグリッパが「闘争本能」をキーワードにしたり、アグリッパが黒歴史を生んだ闘争本能を恐れまくるのは、なんか、新機動戦記ガンダムWっぽいなー。リリーナ・ピースクラフト女王の絶対平和主義みたいだ、と、放送当時は思ったなー。
アグリッパが闘争本能を嫌いすぎるのは、冬の宮殿でガンダムWをたくさん見たせいだと思う。
絶対平和主義は革命権の否定だから、ガンダムWのそういうおめでたい理想主義はあんまり好きくなかった。かっこいいセリフは好き。
あ、でも、女王のもとで闘争本能を捨てて云々というのは、イデオンでもダンバインでもVガンダムでもやってたか。
んで、21世紀枠機動戦士ガンダムSEEDガンダム00でも女王のもとで絶対的な平和を守るために、絶対的に強いガンダムが革命家をボコるっていう構図が受け継がれてるねえ。
ただ、富野作品は、その他のものに比べて、グダグダ度が高い。多分、いろいろな物を突き詰めようとしているから、だろうね。
富野由悠季監督は「女性性が必要」と言いながら、女性のダメっぽいところも書くしなあ。


ディアナ様が月を捨てて地球に帰還して死のうと思っていたのに、ディアナ様の宮殿や公用車にアグリッパの紋章が入っているだけで「私の家にメンテナーの紋章を!」と、女性的な所有欲を出してイライラする。
で、リリ嬢に「家に帰る気はございましたの?」と突っ込まれて困ったりする。
ディアナ様はしょうがないなー。


そんなしょうがないディアナ様だが、地球帰還作戦の目的をついに明かしました。

ディアナ 「ほとんど眠っていたとはいえ、この体で何百年もの時を過ごしているのです。キエルさんのように、元気はつらつとはいきませんね」
キエル 「…」
ディアナ 「ワタクシは、今度の地球帰りで死にたかったのです。年を取り、死ぬ人生だからこそ生の喜びがある。その喜びを、一人でも多くのムーンレィスに知らせたかった。ワタクシのエゴだったのでしょうか?」
キエル 「いいえ、エゴではありませんよ」
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words42_TurnA.html

ここの、同じ顔の二人のドアップが畳みかける絵の作り方はとても面白い。
うーん。なんか、この間アニマックスで最終回を見た、銀河鉄道999メーテルっぽいですね。金髪ですからね。
メーテルもディアナ様と同じく、1000年「初恋」を繰り返している女だよなー。鉄郎が独り立ちして、男になって、初恋から恋愛になりそうになったら、違う少年に乗り換えるし。
親父も母親も殺したんだから、999に乗る任務は無くなったのに、メーテルはひたすら童貞食い。どうしようもないなあ。


どうも、死ぬ人生だから素晴らしいっていう物言いは、僕はあまり好きではない。死なないのなら、死なない生物として新しい考え方を持てばいいじゃないか仙人になれよ、って思う。
あと、「女性の強さ」というのもあんまり・・・。母性的なメーテルもディアナ様もかなりどうしようもない部分がある。宇都宮比瑪ちゃんは小娘だし。うん。小娘だいすきなんだ。


ただ、ディアナ様は単にその生き方に疲れたんだな。今回も疲れてたし。
長く生きることだけでなく、女王として民衆の「初恋」に似た期待を受け止め続けることに疲れたんだろう。
ディアナに対するムーン・レイスの期待とは、それは明日へ生きる希望だろう。
狭い穴倉で交代で冬眠しながら、ただただ、文明を守るだけのために生き続けるムーンレイス。
それが、アグリッパに管理されるだけの、永遠の今日を生きるだけの生活となれば、即座に発狂するだろう。
だから、ソレル家は土壌改革で農地を広げることから始め、地球帰還作戦やアーステイル(月面のMSレース大会(月の風))という、人々に夢を与える政策を行い、皆の精神的支柱となった。
ディアナ様の生きざまは「喜びを、一人でも多くのムーンレィスに知らせたい」それに尽きる。
ソレル家というのは、そのように民衆を生かすための「システム」であるような気がする。
そして、その「システム」を自らの生き様、思考回路として内面化しなくてはいけない為政者であるディアナ・ソレル、アグリッパ・メンテナー、そして、ギム・ギンガナムは不幸であるのかもしれない。王は孤独なのかもしれない。
そのようなシステムはアデスカのクワウトル王も体現していた。
ディアナの責任感やエゴは、ディアナのものであって、ディアナのものではないシステムに植え付けられたものかもしれないのだ。


人は、環境の中で置かれた役割に、自我も影響され、魂の自由はないのかもしれない…。
逆に、環境に影響されながらも自我をなんとか発露させようとするのが、生き様なのだろうか。
エコとエゴはガンダムのテーマだ。


そして、与えられた家の役割で生きているかもしれないアグリッパとの交渉が始まったと思えば、ターンXが起動し、エゴを出そうとギンガナムが暴走し、物語は急転直下の戦いへ!
だが、ギム・ギンガナムやスエッソン・ステロがエゴイズムによって戦う悪党と云うのは、見ればわかるが、ロランは「ギンガナム艦隊は月の軌道上で演習をしているだけの私設軍隊」で「ムーンレィスの鼻つまみ者」で「それは歴史的事実です」と言う。
おそらく、月の歴史を考えれば、ギンガナム家がゲンガナム・シティを武力で作り上げた後に不要になった軍人を月の中枢から遠ざけるための歴史的なシステムがあったんだろう。
スエッソンとか、シッキネンは見た目ヤンキーだし。
ヤンキーとか鼻つまみ者や食い詰め者を放り込むのがギンガナム隊というシステム。公立の暴力団ではないか?
実際、ヤンキーや不良は権力や集団の掟の中で自己主張する依存性人格の人が多いらしいし。
ギンガナムもディアナに対する依存がこじれたっぽいよなー。
ヤン・シッキネン少尉は見た目ヤンキーなのに、ギンガナムに忠誠を誓って捕虜になったら自殺を図ったり、スエッソンに虐められたりするのはとっても舎弟っぽいですね。
あきまん氏の∀ガンダムデザインズによるとシッキネンのデザインは、当初は物語の序盤で最初にミリシャの捕虜になるディアナカウンターの兵士として作られたそうです。
安田朗氏によると、「宇宙人だと思ったらヤンキーが出てきたっていうのが面白いと思った」らしい。
それがギンガナム隊に回されたのは、やっぱり、ギンガナム隊がヤクザ集団だからなのかなー。



ターンXはザクやガンイージと同じようなカラーリングで、思いっきり量産型臭いし、設定的にも外宇宙での量産機を改造したものなんだが。
改造のむちゃくちゃさと、ギンガナム子安武人の濃厚な芝居と、音楽や作画の盛り上げで見事にラスボスっぽいのがすごいですね。
「地球を一回滅ぼしてる兄弟MS」というのも箔が付きますね。


そして、30分で書くという目標が2時間半になってますね。
単に御三家の家制度について書いただけなのにねー。ほとんど書いてないのにねー。
むかつく!
ごはんつくるねー。


そーいえば、過去のギンガナム、現在のメンテナー、明日のソレル。というのは運命の三女神っぽい。
破壊のギンガナム、維持のメンテナー、創生のソレル。というのはインド神話っぽい。
大体そんな感じ。
まあ、散々既出だろうけど。