玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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フラクタル第9話追い詰められて

SF的アイデアは面白かった。
衛星軌道ネットワークのフラクタルシステムとか、宇宙エレベーターや飛空艇編隊など、見た目に面白いのもたくさん。
ただ、アイディアを思いつくだけなら素人にもできるのよね。ちょっとした知識があれば。
それを物語や架空世界の大系として実在しうる感じを持たせるように、作品としてまとめるのはまた別の才能が必要。
そこらへんはちょっと弱かったかなー。エウレカセブンにも似た感じ。
フラクタルシステムの是非を主人公のクレインが今回表明して、僧院は間違ってるって言うわけだが。どーもその動機がねえー。
なんちゅーか、遠未来の人なんだから、それに合わせた常識や判断をしたら未来っぽいんだが、僧院のオッサンが悪そうな物言いと表情をするとか、アンドロイド少女にエロい事や殺処分したらダメ、とか、ネッサが好きなのが好きとか、フリュネが好きだー!とかそういう21世紀の常識を使って、遠未来の事象への回答にするのは、ちょっと考えや悩みが足りないかな。
ま、完全に異質になるんじゃなくて、現代と地続きの部分を残しつつ、ってのが僕の好みだし、完全に異質な人のドラマは動物ドキュメンタリみたいになるから芝居にならないし、さじ加減は難しいんだろうな、とは思うんだが。
記念撮影とか、戦場への旅立ち前とか、そういうベタな部分のドラマは上手かったがね。逆に、麦畑は無批判に美しいって言うのはとってつけた感じ。さじ加減は難しい。
ロストミレニアムの人の「体内に機械を埋め込まれて支配されるのは嫌だ」って主張も、千年の血筋の独自文化を無批判に受け継いでるだけで、僧院と意見は違っても思考の惰性レベルは同じかな?
そこら辺は要素としては面白かったが、尺が少ないのか、逆に他にエンターテイメント性のあるアクションや感情の見せ場が無かったからか、ちょっと弱かった。
なんか淡々としてるなあ。世界が滅ぶ、滅ばないって話なのに、高揚感が足りない。
一般人が主人公の居るロスミレの船を追い出す時に、火を持って取り囲むのはちょっと面白かったが、せっかくドッペルとかあるし未来なのに、オッサンが話し合いで直談判ってのも弱かったかなー。
戦闘用無人ロボットやドッペルが退去勧告を繰り返しながら、遠くから砲撃、とかの方がクライマックスな絶望感は高まった気がする。ていうか一話ではドッペルのデザインの面白さが売りかと思ったけど、今回出なくて残念。
未来の人は体を使わないのが問題、みたいな話だと思ってたら、なんか取り囲む人達が農具を武器にしてたし、なんか文明レベルが良くわからん。
ロスミレは序盤で僧院の人や一般人を平気で銃殺してたし、取り囲む人達を殺害しなかったのも、殺人倫理のレギュレーションが定まらない感じでよくわからん。
かと言って、ファンでもないし設定補完のためにダビンチを読む気もないんだが。
やっぱり、尺の問題かなー。一クールだし。
時間数と、語りたい物が釣り合ってない。
未来世界のアイテム、倫理感や文化や歴史、ボーイミーツガール、人にとって未来と現在で変わる物と変わらない物、戦争、思想対立、機械と人間、現実と虚飾、少年と世界、とかね。
アイディアやガジェットの一つひとつは面白いんだが、やはり剪定のディレクションが弱かったかなー。
まあ、映画は本気出したら4時間で哲学を語り得る媒体なんだから、圧縮コードやモンタージュ技法とかいろいろあるよな。
やっぱりノイタミナ源氏物語の前半をやっちゃった出崎統はマジ圧縮率すごい

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